チラシや名刺、移転の案内状にQRコードを載せる場面は、広報や総務、営業事務の仕事でよくあります。ただ、QRコードは刷ってしまうと直せません。この記事では、刷った後でも行き先を変えられるQRコードの作り方と、媒体ごとの反応を比べる段取りを、図と表でまとめました。
印刷物のQRコードで困りやすいこと
QRコードは、1994年にデンソーウェーブが発表した2次元コードです。同社によると、2002年に読み取り機能のある携帯電話が発売されたことをきっかけに一般に広まり、今では名刺や電子チケットなど、さまざまな所で使われています。手軽な反面、印刷物に載せたQRコードには、次のような困りごとがつきものです。
- キャンペーンが終わったのに、配ったチラシのQRコードが終了のページへつながっている
- ホームページを作り直してURLが変わり、名刺のQRコードから開くとページが見つからない
- チラシと名刺と展示会の資料のうち、どれから見に来てもらえたのかが分からない
1つ目と2つ目は「刷ったら直せない」こと、3つ目は「どこから来たか分からない」ことが原因です。家の住所を変えたとき、郵便局に転居届を出しておけば古い住所あての手紙も届くように、QRコードにも「転送」の役目を挟んでおくと、この2つをまとめて解決できます。
短縮URLを挟むと何が変わるのか
QRコードの中身を、ホームページのURLそのものではなく、短縮URLにしておきます。短縮URLのサービスは、開かれた回数を数えたうえで、いま設定している行き先へ転送します。行き先は、サービスの管理画面からあとで変えられます。
短縮URLを挟んだQRコードのしくみと、媒体ごとの分け方・名前の付け方の例作成: 編集部 / もとの資料: MiraqLink「使い方」「よくある質問」、デンソーウェーブ「QRコードドットコム」
| 媒体 |
QRコードの分け方の例 |
分けると分かること |
| チラシ |
配った地域や号ごとに1つ |
どの地域・どの号の反応がよかったか |
| 名刺 |
部署や展示会用の版ごとに1つ |
名刺から会社案内を見た人の数 |
| 案内状・DM |
送り先ごとに分けることもできる |
誰が案内を見たか |
| 展示会の資料 |
催しごとに1つ |
催しのあとに見に来た人の数 |
媒体ごとに分けておけば、同じ行き先でも「どこから開かれたか」を比べられます。1つのQRコードを全部の印刷物に使い回すと、合計の回数しか分かりません。
刷るまでの7つの段取り
QRコードを刷るまでの7つの段取りと、刷る前に確かめること作成: 編集部 / もとの資料: MiraqLink「使い方」「料金」「よくある質問」
- 載せる媒体を書き出す: チラシ・名刺・案内状など、媒体と部数、配る時期を一覧にします。
- 行き先のページを決める: 案内したいページのURLを確かめます。
- 媒体ごとに短縮URLを作る: あとで見分けられる名前を付けます(下の表)。
- QRコードを保存する: MiraqLinkの使い方の説明では、印刷にはSVG、WordやPowerPointにはPNGが向いているとされています。
- 試し刷りで読み取る: 実際の大きさ・紙・色で刷り、複数の端末のカメラで読めるかを確かめます。
- 配って、数を見る: 媒体ごとの開かれた回数と、日ごとの動きを見ます。
- 行き先を見直す: 案内が終わったら、次の案内のページか、会社案内のページへ差し替えます。
名前の付け方は、媒体・時期・場所が分かる形にそろえておくと、担当者が替わっても迷いません。
| 媒体 |
名前の例 |
行き先の例 |
| チラシ |
チラシ 2026年11月号 北区 |
キャンペーンのページ |
| 名刺 |
名刺 営業部 2026年版 |
会社案内のページ |
| 案内状 |
移転の案内状 2026年11月 |
新しい事務所の地図 |
試し刷りで確かめること
QRコードが読めないと、それまでの準備がむだになります。デンソーウェーブは、QRコードを印刷するときの注意として、次の点を挙げています。
- QRコードのまわりに、何も印刷しない余白(マージン)を確保する。上下左右それぞれ、QRコードを作る四角い点(セル)4つ分以上が必要。
- セルが大きいほど読み取りやすい。印刷できる範囲で、できるだけ大きく印刷するのがよい。
- QRコードの大きさは、入れる情報の量(バージョン)と、セル1つを何mmで印刷するかで決まる。
ここから言えるのは、入れる文字が少ないほど、同じ大きさでもセルを大きくでき、読み取りやすくなるということです。長いURLをそのまま入れるより、短縮URLを入れたほうが、名刺のように小さな場所でも読み取りやすいQRコードを作りやすくなります。
試し刷りでは、次の組み合わせで読み取ってみます。
| 確かめること |
見るところ |
| 大きさ |
名刺やはがきなど、いちばん小さく載せる媒体で読めるか |
| 余白 |
文字や写真、紙の端がQRコードに近すぎないか |
| 紙と色 |
光る紙、濃い色の背景、色の薄いインクで読めるか |
| 端末 |
iPhoneとAndroidなど、2台以上のカメラで読めるか |
| 行き先 |
読み取った先が、意図したページか |
結果の見方と、数字の注意
配ったあとは、媒体ごとの開かれた回数を比べます。チラシは配った枚数が違うことが多いので、回数をそのまま比べるより、配った枚数で割って比べると公平です。
数字は目安として扱います。LINEやSlackなどのチャットにURLが貼られると、プレビューを作るために先に開かれることがあり、検索エンジンのボットが読みに来ることもあるからです。MiraqLinkは、ボットと名乗るアクセスやデータセンターからのアクセスなどを、自動のアクセスとして除いて数えると説明しています。それでも、すべては見分けられないと明記しています。
部署で決めておくルール
QRコードは、作った人しか中身が分からなくなりがちです。担当者が替わったときに困らないよう、部署で次のことを決めておきます。
| 決めること |
決め方の例 |
| 作る人 |
広報か総務がまとめて作る。各部署は作ってほしい媒体を依頼する |
| 名前の付け方 |
「媒体 時期 場所」の順にそろえる |
| 管理のアカウント |
担当者個人のメールアドレスでなく、部署で共有できる形にする |
| 一覧の置き場所 |
媒体・部数・配った時期・行き先を1つの表にまとめ、共有フォルダに置く |
| 見直す時期 |
案内が終わる日と、年に1回の点検の日を決める |
サービスを選ぶときに確かめること
短縮URLのサービスはいくつもあります。印刷物に載せるなら、次の点を先に確かめます。
| 確かめること |
理由 |
| リンクの有効期限・試用期間 |
期限が過ぎると、刷ったQRコードが開けなくなる |
| 無料で行き先を変えられるか |
変更に回数の上限や条件があることがある |
| 開いた人に広告を見せないか |
取引先やお客さまに広告のページを挟むと印象が悪い |
| 危険なサイトへの転送を防ぐ仕組み |
自社のQRコードが悪用されないように |
| 開いた人について何が記録されるか |
プライバシーへの配慮を説明できるように |
| やめたときの扱い |
アカウントを消すと、刷ったQRコードも開けなくなることがある |
例として、ミラクシード株式会社の短縮URLのサービス「MiraqLink」の公式サイトの説明をまとめます(2026年10月23日時点)。
- 無料プランがあり、試用期間はありません。作ったリンクに有効期限はありません。
- 作ったすべてのリンクの行き先を、あとから変えられます。無料プランには、行き先の設定(作成と変更)が月10回まで、登録から7日間は同じドメインの中でだけ変えられる、などの条件があります。
- 転送の途中に広告のページを挟みません。無料プランで広告が出るのは、MiraqLinkの画面だけです。
- QRコードはPNGとSVGで保存できます。
- 送り先の名前の一覧を貼り付けると、送り先ごとのリンクをまとめて作れます(1回に1,000件まで)。
- 行き先は、作るときと変えるときにGoogle Web Riskで確かめ、その後も定期的に確かめます。
- 分かるのは、開かれた日時と回数、国・地域、参照元のページ、端末の種類です。名前やメールアドレスは分かりません。
- 有料プラン(Lite・Pro)では、はがき・DM用のQRコードをまとめてダウンロードするなどの機能が使えます。有料プランの申し込みの受け付けは準備中です。
- アカウントを削除すると、印刷物に載せたものを含めて、すべての短縮URLが開けなくなります。
料金は公式の料金のページで確かめてください。営業メールでの使い方や、開封の数字がずれる理由は、サービス・システム大全の営業メールの「開いた」は本当かでくわしく説明しています。
今日からできること
- 今配っている印刷物のQRコードを、スマートフォンで読み取って、行き先がいまも正しいか確かめる。
- 次に刷るチラシ・名刺・案内状を一覧にし、媒体ごとの名前と行き先を決める。
- 短縮URLのサービスの有効期限・変更の条件・やめたときの扱いを、公式の説明で確かめる。
- 行き先を見直す日をカレンダーに入れ、担当者が替わっても引き継げるようにしておく。
この記事で例に挙げた「MiraqLink」の運営会社(ミラクシード株式会社)は、編集部と付き合いのある会社です。QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。