あ行 相見積もり・按分・印鑑証明書
相見積もり(あいみつもり)
同じ条件で、複数の会社から見積もりを取って比べることです。略して「あいみつ」とも言います。比べるのは金額だけでなく、納期・支払いの条件・保守の範囲なども含みます。
条件がそろっていないと、見積もりどうしを比べられません。依頼の前に数量・納期・納品場所などを1枚にまとめ、各社に同じ内容で送ります。
使い方の例:「複合機の入れ替えは、相見積もりを取ってから稟議に添付してください」
按分(あんぶん)
ひとつの費用を、決めた基準の割合で分けることです。たとえば共用の複合機のリース料を、部署ごとの印刷枚数の割合で振り分けます。国税庁の個人事業者向けの手引きにも、家事と事業で共用する費用を「使用面積や保険金額、点灯時間などの適切な基準」で按分すると書かれています。
基準は一度決めたら、毎月同じものを使います。途中で変えると、月ごとの数字を比べられなくなるためです。
使い方の例:「会議室の費用は、来月から利用時間で按分します」
印鑑証明書(いんかんしょうめいしょ)
登録した印鑑(会社の場合は登記所に提出した印鑑)の印影を、公的に証明する書類です。会社の場合は、登記所(法務局)に代表者の印鑑を提出している会社が取れます。
法務省によると、2021年2月15日から、登記をオンラインで申請する場合は印鑑の提出が任意になりました。書面で登記を申請する場合は、これまでどおり印鑑の提出が要ります。印鑑証明書を取れるのも、印鑑を提出している会社だけです。
使い方の例:「契約書には代表者印を押し、印鑑証明書を1通添えてください」
か行 角印・起案・決裁・月次・検収・源泉徴収
角印(かくいん)
四角い形の会社の印で、見積書・請求書・納品書などに押すことが多い印です。登記所に提出する代表者印とは別のものです。
国税庁が示すインボイス(適格請求書)の記載事項に、押印は入っていません。角印は法律で求められているものではなく、慣習として押すものです。電子の請求書に印影の画像を入れるかどうかも、取引先との約束や社内の決まりで決めます。
使い方の例:「請求書の角印は、総務で押してから発送します」
起案(きあん)
案を考えて、決裁を受けるための文書にまとめることです。稟議では、最初に稟議書を作る人を「起案者」と呼びます。
使い方の例:「この件は総務課で起案して、部長の決裁で進めます」
決裁(けっさい)
権限を持つ人が、案を採用するかどうかを決めることです。誰がどの金額まで決められるかは、社内の規程(職務権限規程・決裁権限表など。名前は会社で違います)で決まっています。代金の支払いを意味する「決済」とは字も意味も違うので、書くときに気をつけます。
使い方の例:「この金額は部長の決裁で足りますか。それとも役員の決裁が要りますか」
月次(げつじ)
「毎月の」という意味で、月次決算・月次報告のように使います。年に一度の決算とは別に、毎月の売上や経費を締めてまとめるのが月次決算です。経理から「月次を締めるので、精算は今日まで」と言われるのはこのためです。
使い方の例:「月次の締めが終わったら、部門別の経費を共有します」
年に一度の決算の意味は、決算とは 事業年度・決算月・決算書の3つの表を新人向けにやさしく解説で説明しています。
検収(けんしゅう)
届いた物やサービスが、注文どおりかを確かめて受け取ることです。数量・品番・傷の有無、システムなら動くかどうかを確かめます。検収の結果を書いた「検収書」をやり取りする取引もあります。
使い方の例:「ノートパソコン10台、検収が終わりました。請求書を回してください」
源泉徴収(げんせんちょうしゅう)
会社が給与や報酬を払うときに、所得税などを差し引いて、本人に代わって国に納めるしくみです。国税庁によると、差し引いた税は原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納めます(令和8年4月1日現在の法令等)。2027年(令和9年)分からは、差し引く税に防衛特別所得税が加わります。
弁護士・司法書士など特定の資格を持つ人への報酬も、源泉徴収の対象になります。対象の範囲は、支払う相手が個人か法人かで変わるため、迷ったら経理に確かめます。
使い方の例:「個人の司法書士さんへの報酬なので、源泉徴収した額で振り込みます」
さ行 36協定・締め・社判・就業規則・辞令
36協定(さぶろくきょうてい)
法定の労働時間を超える残業や、休日の労働をさせるために、会社が労働者側と結ぶ書面の協定です。相手は、労働者の過半数で組織する労働組合か、それがないときは労働者の過半数を代表する人です。労働基準法第36条に基づくので、こう呼ばれます。協定を結んで労働基準監督署に届け出ると、協定の範囲で残業や休日の労働をさせられるようになります。
残業させられる時間には上限(限度時間)があり、原則は月45時間・年360時間です(同条第4項)。
使い方の例:「繁忙期の残業は、36協定の範囲に収まるよう調整してください」
締め(しめ)
ある期間の区切りで、数字や書類をまとめて確定させることです。給与の「締め日」、請求の「月末締め」などと使います。労働基準法は、賃金の締め切りと支払いの時期を、就業規則に書く事項としています(第89条)。
賃金は毎月1回以上、一定の期日を決めて払う決まりもあります(第24条)。取引先との請求の締め日は、契約や取引の条件で決まります。
使い方の例:「経費精算は月末締めです。領収書は今月中に出してください」
社判(しゃばん)
会社の印をまとめて呼ぶ言葉ですが、何を指すかは会社で違います。角印を指す会社もあれば、社名と住所の入った横長のゴム印を指す会社もあります。頼まれたら、どの印かを実物で確かめると間違えません。
使い方の例:「返信用封筒の差出人の欄に、社判を押してください」
就業規則(しゅうぎょうきそく)
働く時間・賃金・休暇・退職など、職場の決まりをまとめた規則です。常時10人以上の労働者を使う会社は、就業規則を作って労働基準監督署に届け出る義務があります(労働基準法第89条)。休暇や手当の扱いで迷ったら、まず就業規則を見ます。
使い方の例:「慶弔休暇の日数は、就業規則の別表に載っています」
どんな項目が書かれているかは、就業規則とは 作る義務がある会社・届け出の手順と、社員が見ておきたい項目にまとめています。
辞令(じれい)
異動・昇進・採用などを、会社が正式に本人へ知らせる文書です。紙で渡す会社も、メールや人事のシステムで出す会社もあります。
厚生労働省によると、2024年4月から、労働契約を結ぶときに「就業場所・業務の変更の範囲」も示すことになりました。変更の範囲とは、将来の配置転換などで変わり得る就業場所・業務の範囲のことです。異動の範囲が気になるときは、入社時に受け取った労働条件通知書を見直します。
使い方の例:「10月1日付の辞令で、経理課へ異動になりました」
た行・な行 代表者印・直行直帰・内示・年休
代表者印(だいひょうしゃいん)
会社の代表者(代表取締役など)の印で、登記所に提出する印です。「会社の実印」「丸印」とも呼ばれ、契約書や登記の書類など、会社として重い意思表示をする書類に使います。提出してあれば、その印の印鑑証明書を取れます。
内閣府・法務省・経済産業省の「押印に関するQ&A」(2020年6月19日)は、契約は当事者の意思の合致で成り立つと説明しています。特段の定めがある場合を除いて、押印をしなくても契約の効力に影響は生じません。本人の押印には、裁判で文書が本人によって作られたものと推定される働きがあります(民事訴訟法第228条第4項)。
使い方の例:「この契約書は代表者印でお願いします。角印ではありません」
直行直帰(ちょっこうちょっき)
自宅から会社に寄らずに取引先などへ直接行き(直行)、用事が済んだら会社に戻らずに帰る(直帰)ことです。前もって上司に伝え、行き先と時間を予定表に入れておきます。
厚生労働省のガイドラインは、使用者が労働日ごとの始業・終業の時刻を確かめて記録することを求めています。直行直帰の日も、会社が決めた方法で時刻を残します。決めた時間働いたとみなす「事業場外のみなし労働時間制」もあります(労働基準法第38条の2)。使えるのは、会社の外で働いて労働時間を算定しがたいときだけです。
使い方の例:「明日は10時に取引先で打ち合わせがあるので、直行します」
内示(ないじ)
正式な辞令の前に、異動や昇進を本人へ内々に知らせることです。引き継ぎや引っ越しの準備に使えるよう、辞令より前に伝えます。発令までは周りに話さないのが一般的な扱いです。
使い方の例:「来月の異動の内示がありました。発令までは内密にお願いします」
年休(ねんきゅう)
年次有給休暇の略で、「有給(ゆうきゅう)」とも言います。雇い入れから6か月続けて勤め、全労働日の8割以上出勤した人には、10労働日の年休を与える決まりです(労働基準法第39条)。
年休が10日以上ある人には、そのうち5日について、会社が時季を決めて取らせる義務もあります(同条第7項)。
使い方の例:「金曜は年休をいただきます。急ぎの件は鈴木さんにお願いしてあります」
は行〜ら行 振替休日と代休・前株と後株・与信・稟議
振替休日(ふりかえきゅうじつ)と代休(だいきゅう)
振替休日は、もともと休日の日を前もって労働日にし、代わりに別の労働日を休日にすることです。代休は、休日に働いたあとで、その代わりに別の日を休みにすることです。
違いはお金に出ます。厚生労働省は、振替休日なら元の休日は労働日になるため休日労働にはならず、代休なら休日労働分の割増賃金を払う必要がある、と説明しています。
使い方の例:「土曜の出勤は、前の週に振替休日として申請しました」
前株・後株(まえかぶ・あとかぶ)
社名の前に「株式会社」が付くか(前株)、後ろに付くか(後株)の違いです。宛名・請求書・振込先の名義で取り違えやすいので、名刺や登記の名前で確かめます。
使い方の例:「先方は前株です。宛名は『株式会社〇〇』でお願いします」
与信(よしん)
取引先に代金の後払い(掛け)を認めるときに、どこまで信用して取引するかを決めることです。「与信枠」は、後払いで取引してよい金額の上限を指します。新しい取引先では、登記の情報や支払いの実績などをもとに決めます。
使い方の例:「初めてのお客様なので、与信の確認が済んでから出荷します」
稟議(りんぎ)
決裁の権限を持つ人に、関係する人の確認を順に経て、案の承認を求めることです。起案者が稟議書を作り、上司や関係部署の承認を経て、決裁者が決めます。紙の稟議書を回す方法のほか、ワークフローのシステムで回す方法もあります。
使い方の例:「新しい勤怠システムの導入は、来週稟議に上げます」
稟議書の書き方は、稟議書の書き方 通りやすい構成と例文 件名から添付までの8項目で紹介しています。
法律で決まっている言葉と、社内の慣習の言葉を分けて覚える
社内用語には、法律や公的な手続きに根拠がある言葉と、会社ごとの慣習で使われている言葉が混ざっています。根拠がある言葉は会社の都合で中身を変えられず、慣習の言葉は会社ごとに意味ややり方が違います。この違いを知っておくと、どこで確かめればよいかがすぐに分かります。
法律に定めがある言葉・国の機関が考え方を示す言葉・社内の慣習の言葉作成: 編集部 / もとの資料: 労働基準法(e-Gov法令検索)・厚生労働省・国税庁・法務省・押印に関するQ&A
| 言葉 |
根拠 |
数字・期限など(2026年10月時点) |
| 36協定 |
労働基準法 第36条 |
限度時間は原則 月45時間・年360時間 |
| 年休 |
労働基準法 第39条 |
6か月勤務・8割以上出勤で10労働日。10日以上ある人は年5日を会社が時季指定 |
| 就業規則 |
労働基準法 第89条 |
常時10人以上の労働者を使う会社は作成・届け出 |
| 締め(賃金) |
労働基準法 第24条・第89条 |
毎月1回以上・一定の期日に支払い。締め切りと支払いの時期は就業規則に書く |
| 直行直帰 |
労働基準法 第38条の2、厚生労働省のガイドライン |
始業・終業の時刻を確かめて記録。みなし労働時間制は算定しがたいときだけ |
| 辞令に関係する明示 |
労働基準法施行規則 第5条(厚生労働省のリーフレット) |
2024年4月から「就業場所・業務の変更の範囲」も明示 |
| 源泉徴収 |
国税庁 No.2502 |
原則、支払った月の翌月10日までに納付。2027年分から防衛特別所得税も差し引く |
| 代表者印・印鑑証明書 |
法務省(商業登記規則の改正) |
2021年2月15日から、オンライン申請なら印鑑の提出は任意(書面で申請するなら提出が要る) |
| 按分 |
国税庁 収支内訳書の書き方 |
使用面積・保険金額・点灯時間などの基準で分ける |
| 振替休日と代休 |
厚生労働省の説明 |
代休は休日労働分の割増賃金が要る |
| 押印(角印・代表者印) |
押印に関するQ&A、国税庁のインボイスの記載事項 |
特段の定めがなければ押印がなくても契約の効力に影響なし。インボイスの記載事項に押印はない |
稟議・起案・決裁・相見積もり・検収・月次・与信・内示・社判・前株と後株は、法律で決まった言葉ではありません。決裁の金額や稟議の回し方は社内の規程で、検収や請求の締めは取引先との契約で確かめます。
今日からできること 社内用語を早く覚える5つの手順
- 自社の決裁権限表(職務権限規程)の置き場所を聞く。誰がいくらまで決められるかが分かると、稟議の回し方が見えてきます。
- 就業規則で、給与の締め日と支払日、休日と振替休日の扱いを確かめる。
- 総務の担当者に、角印・代表者印・社判の実物と、それぞれを押す書類を見せてもらう。
- 分からない言葉はその場でメモし、1日の終わりにまとめて先輩に聞く。
- メモした言葉と意味を、チームで共有している用語集に足していく。