賞与の額を決めるときや、社員・経営に説明するときに、「世の中の平均」としてよく引かれるのが、厚生労働省の毎月勤労統計調査の賞与の数字です。この記事では、2016年から2025年までの夏季賞与・年末賞与の平均支給額と、賞与を出した事業所・労働者の割合を、業種別・規模別に図と表で整理します。数字の定義と、自社の賞与と並べるときの手順もまとめます。
毎月勤労統計調査の賞与 対象と公表の時期
毎月勤労統計調査(以下、毎勤)は、雇用・給与・労働時間の動きを毎月明らかにする基幹統計調査です。16の大産業で、常用労働者を常時5人以上雇う事業所が対象です。常用労働者は、期間を定めずに雇われている人か、1か月以上の期間を定めて雇われている人で、パートタイム労働者も含みます。
賞与の数字は、毎月の「特別に支払われた給与」のうち賞与として支払われた分を、夏と冬に分けて特別に集計したものです。
| 項目 |
夏季賞与 |
年末賞与 |
| 集計する月 |
6月〜8月に支払われた賞与 |
11月〜翌年1月に支払われた賞与 |
| 公表の時期 |
9月分の速報と一緒(11月上旬) |
翌年2月分の速報と一緒(4月上旬) |
| 最新の結果 |
2025年夏季(2025年11月6日公表) |
2025年年末(2026年4月8日公表) |
| 次の公表 |
2026年夏季(2026年11月6日の予定) |
2026年年末(予定はまだ出ていない) |
「支給労働者」は、受け取った人だけではない
賞与の表には4つの数字が並びます。名前は、厚生労働省の概況と政府統計の総合窓口(e-Stat)の結果表で少し違います。
この記事では、1つ目を「平均支給額」と呼びます。賞与を出さなかった事業所は、平均支給額の計算に入りません。賞与のない事業所も含めた平均は「全労働者1人平均」として参考に載っていて、2025年夏季は360,681円、年末は367,529円でした。
夏季・年末賞与の平均支給額の推移 2016〜2025年
夏季賞与・年末賞与の平均支給額の推移(2016〜2025年・事業所規模5人以上)作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省「毎月勤労統計調査」特別集計(夏季賞与・年末賞与)
2025年の平均支給額は、夏季が426,337円で前年より2.9%増、年末が424,889円で2.8%増でした。夏季・年末とも、この10年でいちばん多い額です。
| 年 |
夏季賞与 |
前年比 |
年末賞与 |
前年比 |
| 2025年 |
426,337円 |
2.9%増 |
424,889円 |
2.8%増 |
| 2024年 |
414,515円 |
2.3%増※ |
413,277円 |
2.5%増※ |
| 2023年 |
397,129円 |
2.0%増 |
395,647円 |
0.7%増 |
| 2022年 |
389,331円 |
2.4%増 |
392,975円 |
3.2%増 |
| 2021年 |
380,268円 |
0.8%減 |
380,787円 |
0.1%増 |
| 2020年 |
383,439円 |
0.5%増 |
380,481円 |
2.6%減 |
| 2019年 |
381,343円 |
1.5%減 |
390,733円 |
0.1%減 |
| 2018年 |
387,048円 |
4.2%増 |
391,158円 |
1.2%増 |
| 2017年 |
371,600円 |
0.4%増 |
386,614円 |
3.0%増 |
| 2016年 |
370,298円 |
2.6%増 |
375,207円 |
0.2%増 |
出典: 毎勤の特別集計の結果表(事業所規模5人以上)。前年比は資料の値。※は下の注意を参照。
この10年で前年を下回ったのは、夏季が2019年(1.5%減)と2021年(0.8%減)、年末が2019年(0.1%減)と2020年(2.6%減)です。2022年からは、夏季・年末とも前年を上回っています。
賞与を出した事業所と、そこで働く人の割合
| 年 |
支給事業所数割合(夏季) |
支給事業所数割合(年末) |
支給労働者数割合(夏季) |
支給労働者数割合(年末) |
| 2025年 |
73.4% |
76.5% |
84.6% |
86.5% |
| 2024年 |
73.0% |
77.8% |
84.3% |
87.3% |
| 2023年 |
65.9% |
69.0% |
80.0% |
81.9% |
| 2022年 |
66.8% |
70.5% |
80.4% |
82.6% |
| 2021年 |
65.1% |
70.2% |
79.3% |
82.5% |
| 2020年 |
65.3% |
69.9% |
79.5% |
81.8% |
| 2019年 |
67.9% |
73.2% |
81.9% |
84.8% |
| 2018年 |
66.8% |
71.8% |
81.5% |
84.6% |
| 2017年 |
67.7% |
70.5% |
81.8% |
83.3% |
| 2016年 |
69.2% |
72.9% |
82.3% |
84.9% |
出典: 同上。
2025年に賞与を出した事業所は、夏季で73.4%、年末で76.5%でした。夏季は、およそ4つに1つの事業所(26.6%)が賞与を出していません。働く人の側から見ると、夏季は84.6%の人が、賞与を出した事業所で働いています。
2023年までは、夏季の支給事業所数割合は65〜70%の間でした。2024年に73.0%へ上がっていますが、上の注意にある段差を含む数字です。支給月数は、2025年が夏季1.02か月、年末1.08か月で、2016年は夏季0.97か月、年末1.02か月でした。
業種別の賞与 2025年夏季・年末
業種別の賞与の平均支給額(2025年夏季・年末・事業所規模5人以上)作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省「毎月勤労統計調査」特別集計 2025年夏季賞与・年末賞与
2025年夏季の平均支給額が多いのは、電気・ガス業の923,096円、情報通信業の788,065円、金融業,保険業の721,295円です。少ないのは、飲食サービス業等の78,097円と、生活関連サービス等の173,561円でした。最も多い業種と少ない業種の差は、夏季で約11.8倍、年末で約10.4倍です(編集部が計算)。
| 業種 |
夏季2025 |
年末2025 |
夏季2016 |
支給労働者数割合(夏季2025) |
支給月数(夏季2025) |
| 調査産業計 |
426,337円 |
424,889円 |
370,298円 |
84.6% |
1.02か月 |
| 電気・ガス業 |
923,096円 |
941,438円 |
681,352円 |
87.8% |
1.81か月 |
| 情報通信業 |
788,065円 |
746,758円 |
663,409円 |
87.9% |
1.34か月 |
| 金融業,保険業 |
721,295円 |
671,180円 |
616,966円 |
93.0% |
1.58か月 |
| 学術研究等 |
676,574円 |
630,569円 |
611,376円 |
88.5% |
1.27か月 |
| 鉱業,採石業等 |
648,299円 |
619,457円 |
378,106円 |
100.0% |
0.89か月 |
| 建設業 |
594,412円 |
564,364円 |
429,592円 |
83.5% |
1.17か月 |
| 不動産・物品賃貸業 |
588,748円 |
572,296円 |
455,833円 |
87.2% |
1.41か月 |
| 製造業 |
588,660円 |
571,854円 |
500,523円 |
91.5% |
1.08か月 |
| 教育,学習支援業 |
557,673円 |
611,400円 |
488,662円 |
92.9% |
1.44か月 |
| 複合サービス事業 |
460,009円 |
512,750円 |
420,500円 |
98.9% |
1.64か月 |
| 運輸業,郵便業 |
385,978円 |
390,665円 |
344,303円 |
86.3% |
0.94か月 |
| 卸売業,小売業 |
379,774円 |
364,408円 |
316,345円 |
80.3% |
0.97か月 |
| 医療,福祉 |
282,108円 |
314,546円 |
274,722円 |
88.2% |
0.88か月 |
| その他のサービス業 |
251,754円 |
253,436円 |
234,666円 |
84.4% |
1.12か月 |
| 生活関連サービス等 |
173,561円 |
194,018円 |
141,488円 |
71.7% |
0.60か月 |
| 飲食サービス業等 |
78,097円 |
90,551円 |
71,218円 |
65.5% |
0.40か月 |
出典: 2025年夏季・年末、2016年夏季の結果表(事業所規模5人以上)。夏季2025年の多い順。業種名は資料の略称で、たとえば飲食サービス業等は宿泊業,飲食サービス業のことです。
業種の数字を読むときの3つのこと
1つ目は、支給の割合です。飲食サービス業等は、夏季に賞与を出した事業所が50.9%、支給労働者数割合が65.5%で、ほかの業種より低い数字です。平均支給額の人数には、パートタイム労働者も入ります。業種ごとのパートの比率は、業種別の給与と残業時間 毎月勤労統計で比べる2025年の数字と読み方にまとめています。
2つ目は、夏と冬の配分です。教育,学習支援業、医療,福祉、複合サービス事業は年末のほうが多く、情報通信業や金融業,保険業は夏季のほうが多い業種です。配分は会社で違うので、夏季と年末の両方を見ます。
3つ目は、支給月数です。夏季は電気・ガス業が1.81か月、飲食サービス業等が0.40か月でした。「月々の給与の何か月分か」で比べると、給与水準の違いを除いて見られます。
10年前の2016年夏季と比べると、表の17の区分すべてで額が多くなっています。差が大きいのは鉱業,採石業等(378,106円から648,299円)と建設業(429,592円から594,412円)、小さいのは医療,福祉(274,722円から282,108円)でした。この比べ方は、2024年の段差を含みます。
事業所の規模別の賞与 5〜29人と500人以上の差
事業所の規模別の賞与の平均支給額と支給の割合(2025年夏季・年末)作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省「毎月勤労統計調査」特別集計(事業所規模別の結果表)
ここでの規模は、会社全体ではなく、事業所(本社・支店・工場などの1か所)で働く常用労働者の数です。大きな会社の20人の支店は、5〜29人の区分に入ります。
| 規模 |
夏季2025 |
年末2025 |
支給事業所数割合(夏季・年末) |
支給労働者数割合(夏季・年末) |
支給月数(夏季・年末) |
| 5人以上(全体) |
426,337円 |
424,889円 |
73.4%・76.5% |
84.6%・86.5% |
1.02・1.08か月 |
| 30人以上 |
496,889円 |
490,695円 |
91.2%・92.8% |
92.9%・94.4% |
1.17・1.22か月 |
| 500人以上 |
723,832円 |
677,164円 |
95.5%・95.8% |
95.8%・95.9% |
1.50・1.45か月 |
| 100〜499人 |
479,695円 |
481,249円 |
92.0%・94.5% |
92.9%・95.3% |
1.22・1.25か月 |
| 30〜99人 |
378,351円 |
390,219円 |
90.8%・92.3% |
91.4%・92.7% |
1.14・1.21か月 |
| 5〜29人 |
283,954円 |
296,405円 |
70.3%・73.6% |
71.5%・74.4% |
0.99・1.05か月 |
出典: 2025年夏季・年末の事業所規模別の結果表。
2025年夏季の平均支給額は、5〜29人の事業所が283,954円、500人以上が723,832円で、約2.5倍の差がありました。年末は296,405円と677,164円で、約2.3倍です(編集部が計算)。
差は額だけではありません。5〜29人の事業所では、夏季に賞与を出した事業所が70.3%で、約3割は出していません。30〜99人では90.8%、500人以上では95.5%でした。支給月数も、5〜29人の0.99か月に対し、500人以上は1.50か月です。
| 年 |
5〜29人 |
30〜99人 |
100〜499人 |
500人以上 |
| 2025年 |
283,954円 |
378,351円 |
479,695円 |
723,832円 |
| 2024年 |
283,327円 |
360,606円 |
473,763円 |
694,343円 |
| 2023年 |
271,429円 |
348,192円 |
455,878円 |
664,508円 |
| 2022年 |
264,470円 |
336,960円 |
441,551円 |
673,602円 |
| 2021年 |
265,204円 |
338,240円 |
417,894円 |
636,176円 |
| 2020年 |
274,564円 |
335,961円 |
418,274円 |
633,853円 |
| 2019年 |
261,268円 |
331,267円 |
431,227円 |
652,608円 |
| 2018年 |
264,937円 |
337,787円 |
437,380円 |
659,089円 |
| 2017年 |
267,327円 |
329,145円 |
419,223円 |
612,228円 |
| 2016年 |
262,137円 |
318,364円 |
421,280円 |
633,284円 |
出典: 夏季賞与の事業所規模別の結果表。
5〜29人の夏季は、2016年から2023年まで26万〜27万円台で、2024年に283,327円になりました。
国税庁の民間給与実態統計調査の賞与との違い
国税庁の民間給与実態統計調査にも賞与の平均があります。期間と平均の取り方が違います。
| 項目 |
毎月勤労統計調査(厚生労働省) |
民間給与実態統計調査(国税庁) |
| 期間 |
夏季(6〜8月)と年末(11月〜翌年1月)に分けて集計 |
1年間(1〜12月)の合計 |
| 平均の分母 |
賞与を出した事業所の常用労働者(受け取らなかった人も含む) |
1年を通じて勤務した給与所得者(パート・役員を含む) |
| 事業所 |
常用労働者を常時5人以上雇う事業所 |
民間の事業所。従事員1人の事業所から |
| 最新の数字 |
2025年夏季426,337円・年末424,889円 |
令和7年分の平均賞与749千円(年額) |
出典: 厚生労働省「毎月勤労統計調査」、国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」調査結果報告 第10表。
毎勤の夏季と年末を足すと851,226円ですが、定義が違うので国税庁の749千円とは一致しません。年収の中での賞与や年代別の平均給与は、平均年収の推移 年代別・男女別・業種別に見る民間給与実態統計調査(令和7年分)で紹介しています。
賞与を払うときの手続き 2026年10月時点の要点
賞与を払った月の届出と計算の要点です(日本年金機構と国税庁の資料による)。
- 被保険者賞与支払届: 賞与を支払った日から5日以内に、事務センターか管轄の年金事務所へ出します。対象は年3回以下の支給の賞与です。
- 社会保険料: 税引き前の総支給額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、保険料率をかけます。上限は、健康保険が年度の累計573万円、厚生年金保険が1か月あたり150万円です。
- 源泉所得税: 前月の給与から社会保険料等を引いた額と扶養親族等の数で、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の率を求めます。賞与から社会保険料等を引いた額に、その率をかけます。前月の給与の10倍を超える賞与などは、別の計算です。
今日からできること 自社の賞与を統計と並べる手順
賞与の水準を社内で説明するときは、次の順に進めます。
- 比べる行を選ぶ。自社の業種を日本標準産業分類の大分類で確かめ、拠点ごとの常用労働者の数から規模の区分を決めます。
- 定義をそろえて自社の数字を出す。夏季は6〜8月、年末は11月〜翌年1月に払った賞与の総額を、賞与を出した拠点の常用労働者の数で割ります。受け取らなかった人やパートタイムの人も人数に入れます。
- 支給月数でも並べる。賞与の1人平均を、きまって支給する給与(残業代や手当を含む月々の給与)の1人平均で割ります。
- 時点と注意を書き添える。統計の時期・公表日・規模の区分と、2023年以前との段差を書きます。
- 2026年11月6日に2026年夏季の結果が出たら、表を新しい数字に直します。
この記事の数字は、2026年10月20日に各資料で確かめたものです。この日の時点で、毎勤の賞与は2025年年末賞与の結果が最新で、2026年夏季はまだ公表されていません。