総務の仕事は、毎月くり返す納付と、年に数回やってくる届け出の山でできています。この記事では、法律や制度で期限が決まっている仕事を4月から翌年3月まで並べ、2026年度の実際の日付を書き込みました。自社のカレンダーを作るときの下書きとして使ってください。
総務の1年は「毎月の期限」と「年2回の山」でできています
総務・労務の期限は、大きく2種類に分かれます。1つは、給与から天引きした税金や保険料を毎月納める期限です。もう1つは、年に1回の届け出で、こちらは7月10日前後と1月31日前後に集まります。
家計にたとえると、毎月の光熱費の引き落としと、年に一度まとめて払う税金や保険のようなものです。毎月の分は流れ作業にでき、年に一度の分は準備の時期を決めておくと慌てずにすみます。
期限の山の1か月前に準備を始めるのが、カレンダーを作るときの基本の考え方です。山の時期は、入退社の手続きや毎月の給与計算と重なるためです。
月ごとの仕事のカレンダー(2026年度)
4月始まりで、2026年度に期限がある主な仕事を並べました。日付は原則で、土日祝にあたるときは延びることがあります。
総務・労務の年間カレンダー。期限の山は7月10日前後と1月31日前後作成: 編集部 / もとの資料: 日本年金機構・厚生労働省・国税庁・総務省・協会けんぽほかの公表資料
| 月 |
主な仕事 |
期限・ポイント |
| 4月 |
新入社員の入社手続き |
社会保険は5日以内、雇用保険は翌月10日まで |
| 4月 |
雇用保険料率の切り替え |
2026年度の一般の事業は13.5/1,000(前年度14.5/1,000) |
| 4月 |
子ども・子育て支援金が始まる |
協会けんぽの支援金率は0.23%(5月納付分から) |
| 5月 |
住民税の特別徴収税額の通知が届く |
市区町村は5月31日までに通知する |
| 6月 |
住民税を新しい税額で天引き |
6月から翌年5月までの12回 |
| 6月1日 |
労働保険の年度更新が始まる |
高年齢者・障害者の雇用状況報告の基準日も同じ日 |
| 夏・冬 |
賞与を払ったら賞与支払届 |
支払日から5日以内 |
| 7月10日 |
算定基礎届 |
7月1日現在の全被保険者の4〜6月の報酬 |
| 7月10日 |
労働保険の年度更新の申告・納付 |
期間は6月1日から。延納の第1期も同じ日 |
| 7月10日 |
源泉所得税の納付(納期の特例) |
1〜6月分 |
| 7月15日 |
高年齢者・障害者の雇用状況報告 |
2026年は7月15日(水) |
| 9月 |
新しい標準報酬月額を使う |
9月から翌年8月まで |
| 10〜12月 |
地域別最低賃金の改定 |
2026年度は10月1日から12月2日までに順次発効 |
| 10月 |
年末調整の申告書を配る |
翌年分の扶養控除等申告書も一緒に |
| 10月末 |
労働保険料の第2期(延納) |
2026年度は11月2日(月) |
| 12月 |
年末調整 |
その年最後の給与で行う |
| 1月10日 |
年末調整をした月の源泉所得税 |
2027年は1月12日(火)。納期の特例は1月20日(水) |
| 1月31日 |
源泉徴収票の交付・法定調書の提出 |
2027年は2月1日(月) |
| 1月31日 |
給与支払報告書を市区町村へ |
2027年は2月1日(月) |
| 1月31日 |
償却資産の申告 |
1月1日現在の資産を市区町村へ |
| 1月末 |
労働保険料の第3期(延納) |
2026年度分は2027年2月1日(月) |
| 3月分 |
協会けんぽの保険料率の改定 |
毎年3月分(4月納付分)から。2026年度の全国平均は9.9% |
決算や株主総会など、決算期で時期が変わる仕事はこの表に入れていません。自社の決算月に合わせて書き足してください。都道府県ごとの最低賃金と発効日は最低賃金の改定額と発効日一覧 2026年度で確かめられます。
毎月の期限は「10日」と「月末」の2つです
給与から天引きしたお金は、会社が預かって納めます。納めるものは次の3つで、期限は「10日」と「月末」の2つです。
| 納めるもの |
期限 |
納め先 |
補足 |
| 源泉所得税 |
給与を払った月の翌月10日 |
税務署(金融機関・e-Taxなど) |
常時10人未満の会社は、申請すると半年ごとにまとめて納められる(7月10日・1月20日) |
| 住民税(特別徴収) |
天引きした月の翌月10日 |
各市区町村 |
6月から翌年5月までの12回に分けて天引き |
| 健康保険・厚生年金保険の保険料 |
翌月末日 |
日本年金機構(口座振替か納入告知書) |
4月分の期限は5月末日 |
年末調整の還付が多く、納める源泉所得税が0円になった月でも、所得税徴収高計算書(納付書)は税務署に出します。2027年1月からは、源泉徴収する税に防衛特別所得税が加わります。ただし復興特別所得税の率が下がるため、合わせた率(2.1%)は変わらず、税額の計算方法も変わりません。
夏の山: 6月1日から7月15日までの届け出
夏の山は、社会保険と労働保険の「年に一度の計算のし直し」が中心です。
労働保険の年度更新は、前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を合わせて申告・納付する手続きです。2026年度の期間は6月1日から7月10日まででした。延納(分割での納付)ができる場合、2026年度の納期限は第1期が7月10日、第2期が11月2日、第3期が2027年2月1日です。
算定基礎届は、7月1日現在のすべての被保険者について、4月・5月・6月の報酬を届け出るものです。ここで決まった標準報酬月額は、9月から翌年8月まで使います。
高年齢者・障害者の雇用状況報告は、6月1日現在の状況を管轄のハローワークに報告します。2026年の期限は7月15日(水)でした。高年齢者雇用状況等報告は、定年や継続雇用制度の状況を報告するもので、東京労働局は従業員20人以上の事業所に用紙を送るとしています。障害者雇用状況報告は、2026年の報告では従業員40.0人以上の事業主が対象でした。2026年7月に民間企業の法定雇用率が2.7%に上がったため、2027年の報告からは37.5人以上が対象です。
冬の山: 年末調整から2月1日まで
冬の山は、1年分の給与と税金の締めくくりです。10月に申告書を配り、12月の最後の給与で年末調整をして、翌年1月に税額を納め、源泉徴収票を作ります。2026年分は基礎控除などが引き上げられたため、例年より確認が増えます。くわしい段取りは年末調整の段取り 2026年(令和8年分)にまとめました。
1月31日には、性格の違う3つの期限が重なります。2027年は1月31日が日曜日のため、いずれも2月1日(月)が期限です。
- 源泉徴収票の交付と法定調書の提出: すべての受給者に源泉徴収票を渡し、報酬の支払調書なども税務署に出します。
- 給与支払報告書: 1月1日現在の住所地の市区町村に出します。2027年1月からは、これを出せば税務署に源泉徴収票を出したものとみなされます。
- 償却資産の申告: 1月1日現在に持っている事業用の資産(パソコン・机・設備など)を、所在地の市区町村に申告します。償却資産の固定資産税の免税点は150万円で、2027年度分から180万円になります。
2026〜2028年に変わる決まりと、準備の時期
年間カレンダーに響く変更を、始まる順に並べました。今年度すでに始まったものと、これから準備が要るものがあります。
2026年から2028年以降に変わる総務・労務・経理の決まりの早見表作成: 編集部 / もとの資料: 国税庁・日本年金機構・厚生労働省・協会けんぽ・総務省・公正取引委員会の公表資料
| 時期 |
変わること |
総務・経理がすること |
| 2026年1月 |
取適法(下請法の改正)で、対象の取引の手形払いが禁止 |
支払条件の見直し |
| 2026年3月分 |
協会けんぽの保険料率の改定(全国平均9.9%) |
給与計算の料率を更新 |
| 2026年4月 |
雇用保険料率の引下げ(一般の事業 13.5/1,000) |
給与計算の料率を更新 |
| 2026年4月 |
子ども・子育て支援金(協会けんぽ 0.23%) |
天引きの項目を追加 |
| 2026年4月 |
被扶養者の年間収入を、労働条件通知書などの労働契約の内容で見込む取り扱い |
扶養の届け出の添付書類を確かめる |
| 2026年7月 |
障害者の法定雇用率が2.7%に(対象は37.5人以上) |
雇用の計画と報告の対象を確かめる |
| 2026年10月 |
短時間労働者の社会保険の月額8.8万円の要件を撤廃 |
パートの加入の判断を見直す |
| 2026年10月 |
登録のない相手からの仕入れの控除が80%から70%に |
取引先の登録状況を確かめる |
| 2026年10〜12月 |
地域別最低賃金の改定(全国加重平均1,177円) |
時給の点検 |
| 2026年12月 |
年末調整で基礎控除などの引上げを反映(最大104万円) |
申告書の回収と確認 |
| 2027年1月 |
源泉徴収票のみなし提出・法定調書の電子提出は30枚以上 |
提出の方法を決める |
| 2027年1月 |
新しい源泉徴収税額表・防衛特別所得税(合計の率は同じ) |
給与ソフトの更新 |
| 2027年度 |
償却資産の免税点が180万円に |
申告の準備 |
| 2027年4月 |
支払告示の施行(取適法の対象外の製造委託なども、受領から60日以内に支払う) |
支払サイトの点検 |
| 2027年4月 |
外国人雇用状況届出書の新しい様式 |
様式の差し替え |
| 2027年10月 |
社会保険の企業規模要件が36人以上に |
対象になるパートの洗い出し |
| 2028年4月 |
ストレスチェックが50人未満の事業場も義務に |
実施の体制づくり |
| 2028年10月 |
雇用保険の加入が週10時間以上に |
対象者の洗い出し |
| 2028年10月 |
登録のない相手からの仕入れの控除が70%から50%に |
取引先の登録状況を見直す |
| 2029年9月末 |
インボイスの少額特例(税込1万円未満は帳簿だけで控除)の期限 |
少額の経費の処理を見直す |
社会保険の企業規模要件は、その後も段階的に広がります。2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、2035年10月には10人以下の会社も対象になります。人数の線に近い会社は、数年先の人員計画と合わせて確かめておくと安心です。登録のない相手からの仕入れの控除は、2030年10月から30%になり、2031年9月30日で経過措置が終わります。
自社の年間カレンダーを作る手順
カレンダーは、作るよりも毎年使い続けられることが大切です。次の順で作ると、担当が替わっても引き継げます。
- 自社に当てはまる仕事を選ぶ: 従業員数(37.5人・50人など)、納期の特例の有無、償却資産の有無、賞与の月で、要る行と要らない行を分けます。
- 今年度の実際の日付を書く: 原則の日と、土日祝で延びた日を並べて書きます。
- 準備を始める日を書く: 期限の1か月前を目安に、データを集め始める日を決めます。
- 担当者と確認者を決める: 1人で抱えないよう、届け出ごとに確認する人を置きます。
- 共有のカレンダーに登録する: 期限の1週間前と前日に通知が届くようにします。
- 2月から3月に見直す: 翌年度の料率や制度の変更を確かめ、数字を入れ替えます。
この記事の期限と料率は、2026年10月18日時点で国税庁・日本年金機構・厚生労働省などの資料で確かめたものです。健康保険組合に加入している会社は料率が違い、届け出の扱いも会社の状況で変わることがあります。個別の判断は、社会保険労務士・税理士や、年金事務所・税務署などの窓口に確かめてください。