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IT企業のバックオフィス リモートワークの労務・入退社・SaaSの管理

IT企業の総務・人事・労務は、離れて働く社員の労働時間と費用、入退社のたびに動くアカウントとPC、増えるSaaSの契約を扱います。厚生労働省のテレワークのガイドラインと社会保険・雇用保険の届け出の期限をもとに、決めておくルールと入退社の段取りをまとめました。

公開 約8分ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆チェック済み
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IT企業のバックオフィス リモートワークの労務・入退社・SaaSの管理

この記事でわかること

  • テレワークでも労働基準法などはオフィスと同じように適用され、労働時間はパソコンの使用記録など客観的な記録で把握するのが原則です。
  • 自宅の通信費などを社員に負担させるなら就業規則に定める必要があり、中抜け時間の扱いも前もって決めておきます。
  • 入社時の届け出は健康保険・厚生年金保険が5日以内、雇用保険が翌月10日まで。PCとアカウントの手配は情シスと同じ表で進めます。

IT企業のバックオフィスは、守る法律はほかの業種と同じでも、扱う場面が違います。社員が自宅や離れた地域で働き、入社や退社のたびにPCとアカウントが動き、部署ごとにSaaSの契約が増えていきます。この記事では、厚生労働省のテレワークのガイドラインと社会保険・雇用保険の条文をもとにまとめます。総務・人事・労務が決めておくルールと、入退社の段取りです。

IT企業のバックオフィスで変わる3つの場面

一つめは、働く場所が分かれることです。労働時間・費用・健康の管理を、社員がオフィスにいない前提で決める必要があります。

二つめは、入退社のたびに動くものが多いことです。社会保険と雇用保険の届け出に加えて、PC・アカウント・SaaSのライセンスの手配と回収が、人事の連絡を起点に動きます。

三つめは、時間の制度が多様なことです。フレックスタイム制や裁量労働制を使う会社では、制度ごとに把握することと確かめることが変わります。以下、この順で見ていきます。

テレワークの労務 ガイドラインで押さえる点

厚生労働省は「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(2021年3月改定)で、会社が決めておくことを示しています。ガイドラインそのものは法律ではありませんが、関係する法律の決まりを整理して書いているため、規程を作るときの土台になります。

法律はオフィスと同じように適用される

テレワークでも、労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法・労働者災害補償保険法などはそのまま適用されます。最低賃金は、社員がどこで働いているかではなく、その社員が属する事業場のある都道府県のものが適用されます。

労働条件の明示に、テレワークの場所を入れる

雇うときに明示する労働条件には、就業の場所と、その変更の範囲が含まれます(労働基準法15条・同施行規則5条)。ガイドラインは、テレワークをする自宅やサテライトオフィスなどを明示する必要があるとしています。入社直後からテレワークをするなら「就業の場所」として、契約期間中にする可能性があるなら「変更の範囲」として書きます。社員が働く場所を選べるモバイル勤務やワーケーションについては、別の方法も挙げています。会社の許可の基準を示したうえで、「会社が許可する場所」と定める方法です。

契約や就業規則で決めた勤務場所の範囲を超えてテレワークを命じるときは、本人の合意を得て契約を変えます。合意を得ないなら、合理的な内容の就業規則の変更と周知が必要です(労働契約法8条〜11条)。

労働時間は客観的な記録で把握する

原則は、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録をもとに、始業と終業の時刻を確かめる方法です。サテライトオフィスで働く場合は、入退場の記録で把握する方法もあります。

自己申告で把握する場合は、正しく申告するよう説明し、パソコンの使用状況と大きくずれていれば補正します。申告できる時間外労働に上限を設けるなど、正しい申告を妨げる扱いはしてはいけません。

中抜け時間と費用の扱いを決めておく

家事や通院などで仕事から離れる時間を「中抜け時間」といいます。ガイドラインは、これを把握しても、把握せずに始業と終業だけを把握しても、どちらでもよいとしています。把握するなら休憩時間か時間単位の年次有給休暇、把握しないなら休憩を除いて労働時間として扱います。どちらにするかは、就業規則などで前もって決めておきます。

通信費や電気代などの負担も、労使で話し合って就業規則などに定めておくことが望ましいとしています。社員に負担させる定めをするなら、就業規則への記載が必要です(労働基準法89条5号)。

健康と安全、労災

自宅には、事務所衛生基準規則などは一般には適用されません。それでもガイドラインは、同じ程度の作業環境になるよう会社が教育や助言をし、作業環境の状況を報告してもらうことが大切だとしています。厚生労働省は、会社用と社員用の2つのチェックリストを用意しています。

業務上の災害は、テレワークでも労災保険給付の対象です。長時間労働を防ぐ方法として、ガイドラインは時間外のメール送付の抑制や、深夜・休日のシステムへのアクセス制限を挙げています。時間外に働ける時間帯や手続きを就業規則などに書いておくことや、長時間労働のおそれがある人に会社から注意を促すことも有効だとしています。

厚生労働省のテレワークのガイドラインの要点を5つの枠に分けた図。場所と契約(法律はオフィスと同じ、最低賃金は所属する事業場の都道府県、就業の場所と変更の範囲に自宅などを明示、許可する場所の基準、契約を超えて命じるときは本人の合意か合理的な就業規則の変更)。労働時間(パソコンの使用時間など客観的な記録が原則、サテライトオフィスは入退場の記録、自己申告なら十分に説明し実態とずれたら補正、申告の上限は設けない)。中抜けと費用(中抜けの把握はしてもしなくてもよい、把握するなら休憩か時間単位の年休、費用は労使で話し合い、社員に負担させるなら就業規則に書く)。健康・安全・労災(事業者用と労働者用のチェックリスト、業務上の災害は労災保険給付の対象)。長時間労働の防止(メール送付の抑制、深夜・休日のアクセス制限、時間外労働の手続、注意喚起)。
テレワークの労務で会社が決めておくことを5つの区画に整理した図作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
決めること ガイドラインの考え方 書く場所の例
テレワークをする場所 自宅・サテライトオフィスなど。許可する場所の基準を示す 就業規則・労働条件通知書
労働時間の把握 パソコンの使用時間など客観的な記録が原則 就業規則・勤怠の運用ルール
中抜け時間 休憩か時間単位の年休にするか、労働時間とするか 就業規則
費用の負担 労使で話し合って決める。社員に負担させるなら就業規則に記載 就業規則・在宅勤務規程
作業環境 会社用と社員用のチェックリストで確かめる 安全衛生の手順書
長時間労働の防止 メール送付の抑制、システムへのアクセス制限など 就業規則・社内の通知

フレックスタイム制と裁量労働制を使うとき

フレックスタイム制は、社員が始業と終業の時刻を決める制度で、ガイドラインもテレワークになじみやすいとしています。中抜けした分を同じ日の終業を遅らせて調整したり、清算期間の中でほかの日に回したりできます。ただし、会社が労働時間を把握する義務はなくなりません。

専門業務型裁量労働制は、決めた時間を働いたものとみなす制度で、対象の業務が省令で限られています。その一つが「情報処理システムの分析又は設計の業務」です(労働基準法施行規則24条の2の2)。厚生労働省の解説は、プログラムの設計や作成を行うプログラマーは含まれないとしています。

2024年4月1日からは、本人の同意を得ることと、同意しなかった人を不利に扱わないこと、同意の撤回の手続きなどを労使協定に定める必要があります。同意や健康確保の措置などの記録は、協定の有効期間中とその満了後5年(当分の間3年)残します。

入社・退社の手続きと期限

入退社の手続きは、社会保険・雇用保険の届け出と、PCやアカウントの手配が同時に進みます。期限のある届け出を次の表にまとめました。

場面 手続き 期限 根拠
入社 労働条件の明示(就業の場所と変更の範囲を含む) 労働契約を結ぶとき 労働基準法15条・同施行規則5条
入社 健康保険・厚生年金保険の資格取得届 資格を取った日から5日以内 健康保険法施行規則24条・厚生年金保険法施行規則15条
入社 雇用保険の資格取得届 被保険者となった日の属する月の翌月10日まで 雇用保険法施行規則6条
退社 健康保険・厚生年金保険の資格喪失届 資格を失った日(退職日の翌日)から5日以内 健康保険法36条・同施行規則29条・厚生年金保険法施行規則22条
退社 雇用保険の資格喪失届 被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から10日以内 雇用保険法施行規則7条
退社後 労働者名簿・賃金台帳などの保存 5年(当分の間3年) 労働基準法109条・附則143条
入社と退社の2つの表。入社は、労働契約を結ぶときに労働条件の明示と連絡票での依頼、入社日までに書類とPCの準備、入社日にPCの貸与、5日以内に健康保険・厚生年金保険の資格取得届と使うSaaSの記録、翌月10日までに雇用保険の資格取得届。退社は、退職が決まったら退職日と最終出社日、アカウントを止める日を決める、最終出社日に貸与品とPC・スマホの回収、退職日にアカウント停止(資格を失うのは翌日)、翌日から5日以内に健康保険・厚生年金保険の資格喪失届とSaaSのライセンスの解約、10日以内に雇用保険の資格喪失届、その後は労働者名簿・賃金台帳を5年(当分の間3年)保存。下に連絡票に書く項目とつまずきやすい点。
入社・退社の届け出の期限と、PC・アカウント・SaaSの手配を並べた表作成: 編集部 / もとの資料: 健康保険法施行規則・厚生年金保険法施行規則・雇用保険法施行規則ほか(e-Gov 法令検索)

IT企業で手続きが遅れやすいのは、PCとアカウントです。入社日の朝にPCがない、退職した人のアカウントが残っている、といった問題がよく起きます。原因の多くは、人事から情シスへ連絡する時期と形が決まっていないことです。社会保険の手続きの細かい点は、次の2本にまとめています。入社手続きのチェックリストと退職の手続き 会社側のチェックリストです。

情シス側の段取りは、姉妹メディアの情シスのミカタが詳しく扱っています。

SaaSの管理はバックオフィスから見て何をするか

SaaSは、情シスが選んで設定し、経理が支払い、各部署が使う、と担当が分かれやすい道具です。バックオフィスの役目は、契約・支払い・利用者の3つを一つの台帳でつなぐことです。

台帳には、サービス名、契約している部署と担当者、契約の更新日を書きます。支払いの方法(請求書かカードか)、管理者のアカウント、契約している人数も並べます。入退社の手続きの表に「使っているSaaS」の欄を足しておくと、退職者のライセンスを解約し忘れることが減ります。

クラウドで受け取る請求書は電子データのため、電子帳簿保存法のルールで保存します。経理の流れは請求書の受け取りから支払いまでが参考になります。経理と情シスの役割分担は、情シスのミカタのSaaSの請求書とカード払いは誰が管理する?経理と情シスのライセンス数の合わせ方で詳しく扱っています。

情報セキュリティについて、ガイドラインは総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」などを使った対策を勧めています。社員への教育もあわせて挙げています。端末やアカウントの設定は、情シスと分担して進めます。

今日からできること

この記事は、2026年10月18日時点の厚生労働省のガイドラインと条文で確かめた内容です。自社の就業規則や労使協定の書き方に迷うときは、社会保険労務士か、所轄の労働基準監督署に確かめてください。

よくある質問

Q在宅勤務の通信費や電気代は、会社が払わないといけませんか。

A厚生労働省のガイドラインは、どちらがどう負担するかを労使で話し合い、就業規則などに定めておくことが望ましいとしています。社員に情報通信機器や作業用品などを負担させる定めをするなら、就業規則に書かなければなりません(労働基準法89条5号)。支給したときの源泉所得税の扱いは、国税庁の「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」で確かめます。

Q在宅勤務中に家事で抜けた時間は、どう扱えばよいですか。

Aガイドラインは、中抜け時間を把握する場合は休憩時間として終業時刻を繰り下げるか時間単位の年次有給休暇とし、把握しない場合は始業から終業までを休憩を除いて労働時間とする方法を挙げています。どちらにするかは、就業規則などで前もって決めておきます。

Q在宅勤務中のけがは労災になりますか。

A労働契約にもとづいて事業主の支配下にあることで起きた災害は、テレワークでも業務上の災害として労災保険給付の対象です。私的な行為など業務以外が原因のものは対象になりません。ガイドラインは、このことを社員に十分周知することが望ましいとしています。

出典・参考

チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月18日)

執筆

ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の資料・公的な統計などの一次情報を調べて、バックオフィスの仕事・ビジネスマナー・会社のしくみの解説記事と図解を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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