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生成AIで長文の規程を要約 読み落としを防ぐ頼み方と4つの確認

規程の要約で消えやすいのは、「ただし」のあとの例外や別枠の金額です。章ごとに条番号を付けて頼む文例と、原文と照合する4つの確認があれば、社員に聞かれても条文で答えられます。

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生成AIで長文の規程を要約 読み落としを防ぐ頼み方と4つの確認

この記事でわかること

  • 要約で消えやすいのは、ただし書、別枠の金額、対象の範囲、別に定める、準用の先。
  • 頼むときは読む人の判断を先に書き、1章ずつ、文ごとに条番号を付けてもらう。
  • 確認は語の検索、数字の照合、抜けた条の発見、関わる条の通読を軽い順に重ねる。
  • 社員への答えは原文を読んでから条番号を添える。法律の判断は専門家に相談する。
対象総務人事経理実務

たとえば要約に「日当は1日2,000円」とあり、原文のその続きに「ただし、研修への参加には支給しない」とあったら。研修で出張する人に「日当は出ますか」と聞かれて、どちらを見るかで答えは逆になります。

長い規程をすばやくつかみたいとき、生成AIの要約は頼りになりますよね。ただ、こういう短い一文は、要約から消えることがあります。

防ぐ方法は2つです。頼むときに、条番号と例外の一覧も付けてもらうこと。返ってきたら、原文と4つの点で照合すること。

間違いのない要約でも、答えは変わる

木の机を真上から見た様子。左に紺の表紙のバインダーが開かれ、罫線だけのページの両端から淡いローズ色の付箋が6枚のぞいている。右に罫線が2本だけの小さな紙と紺の鉛筆が置かれ、右上に紅茶のカップ、左下に観葉植物がある。
付箋を付けた原文と、短い要約を並べて見比べるイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)

架空の出張旅費規程で見てみましょう。ここから先の規程、要約、文例はどれも編集部が作った例で、AIが実際に返したものではありません。

条番号を除いて231字のこの規程を要約すると、たとえば「出張の日当は1日2,000円、宿泊料は1泊12,000円までの実費です。精算書は帰着後10営業日以内に出します。」の56字になります。

間違ったことは書いていません。それでも、聞かれることによって答えが変わります。

聞かれたこと 要約で答えると 原文では
役員の出張にも使えますか 使えそうに読める 対象は社員だけ(第2条)
研修の出張で日当は出ますか 出る 出ない(第3条のただし書)
大阪で1泊14,000円でした。全額出ますか 12,000円まで 全額出る(第4条の上限15,000円)
精算の期限を過ぎました。もう出せませんか 出せない 理由書があれば出せる(第5条)
海外出張の日当も2,000円ですか 2,000円 海外旅費細則による(第6条)
転勤の移動にも日当は出ますか 書いていない 第3条と同じ条件で出る(第7条)

いちばん怖いのは2行目でしょう。要約のとおりに答えると、出ないはずの日当を「出ます」と伝えてしまいます。

最後の行の準用は、ある条の決まりを、似た別の場面にも当てはめることです。第7条はたった1行ですが、転勤する人の日当も宿泊料も精算もまとめて決めています。

編集部が作った架空の出張旅費規程の原文と要約を並べ、質問ごとの答えの違いを示した図。AIの実際の出力ではない。原文は第2条から第7条までの231字で、要約から消えた6か所に色が付いている。第2条はこの規程は社員の出張に適用する。第3条のただし、片道50km未満の出張と研修への参加には支給しない。第4条の東京23区内と大阪市内は15,000円を上限とする。第5条の期限を過ぎた精算は所属長の理由書がある場合に限り受け付ける。第6条の海外出張の旅費は別に定める海外旅費細則による。第7条の第3条から第5条までの規定は転勤に伴う移動に準用する。要約は56字で、出張の日当は1日2,000円、宿泊料は1泊12,000円までの実費です、精算書は帰着後10営業日以内に出します。下の表は6つの質問で、要約で答えた場合と原文の答えを比べている。役員の出張は、要約では使えそうに読めるが原文では対象は社員だけ。研修の出張の日当は、要約では出るが原文では出ない。大阪で1泊14,000円は、要約では12,000円までだが原文では全額出る。精算の期限後は、要約では出せないが原文では理由書があれば出せる。海外出張の日当は、要約では2,000円だが原文では海外旅費細則による。転勤の移動の日当は、要約には書いていないが原文では第3条と同じ条件で出る。まとめは、要約の文はどれも正しいが、消えた短い一文が答えを決めること。
架空の旅費規程で、要約から消えた6か所と、質問ごとの答えの違い作成: 編集部 / 出典: ベンチャー・スピリット!編集部(架空の例)

短くするほど、どこかが削られる

なぜ、こうした文が消えやすいのでしょうか。

OpenAIが2024年に公開した資料に、手がかりがあります。長い文書を1回で要約させると、長さに見合わない短い要約が返りやすいそうです。2万トークンの文書でも、要約は1万トークンの文書の2倍にはなりません。1別の手引きによると、出力の量はたいてい似たようなもので、頼むことが増えるほど1つあたりの答えは薄くなります。2

つまり、文書が長くなっても要約の長さがあまり変わらないなら、どこかを削るしかありません。例外は本筋のあとに短く添えられていることが多く、削っても文として自然に読めてしまう。残りにくいのは、そういう文でしょう。人が要約しても、きっと同じです。

「別に定める」の先は、もっと単純な話です。細則を貼っていなければ、AIはその中身を読めません。

例外そのものも、珍しくはありません。厚生労働省のモデル就業規則は全70条で、解説を除いた規程例を検索して数えると、「ただし」が24回、「かかわらず」が10回、「別に定める」が4回ありました。3給与の支払日の条にも「ただし、支払日が休日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う」と続きます。

読む人と判断を、最初に書いて頼む

同じ規程でも、精算書を差し戻すかを決める経理と、全体をつかみたい新任の担当者では、残してほしい文が違いますよね。だから、だれが何を判断するために読むのかを先に伝えます。OpenAIの手引きにある要約の例でも、読む人とその目的を最初に書いています。2

貼るのは1章ずつ。先ほどの2024年の資料によると、文書を分けて要約すれば、細かさを調整できます。1

読み落としを防ぐ中心は、次の2つです。要約の文ごとに条番号を付けてもらえば、原文に戻る目印になります。例外の文を原文のまま一覧にしてもらえば、言い換えで意味がずれる心配も減るはずです。手引きにも、正確さが要るときは出典を求め、渡した資料からそのまま引用してもらう方法が載っています。2

〈〉を入れ替えれば、どの生成AIにも同じように渡せます。場面に合わせて、最後に一文足してもいいでしょう。

ただ、貼ってよい文書かどうかは社内ルールが先です。e-Govで公開されている法令と、社外秘の規程や秘密保持の定めがある契約書では、扱いが違います。線の引き方は入力してよい情報の線引きに書きました。

原文と照合する手順は、軽いものから4つ

要約と一覧が返ってきたら、手間の軽い順に進めます。

  1. 原文を「ただし」「除」「限り」「限る」「かかわらず」「別に」「準用」で検索し、一覧の件数と合わせる
  2. 原文の金額と日数、期限が、要約か一覧に出ているかを1つずつ照合する
  3. 貼った章の条番号を書き出し、要約に出てこない条を探す
  4. 質問や判断に関わる条は、条番号から原文に戻って全文を読む

「除」を1字にしているのは、「除く」も「除き」もまとめて拾うため。古い規程なら「但し」もあります。件数が合わなければ、その差が読み落としの候補です。スキャンしただけのPDFは検索できないので、文字認識をかけてから進めます。

架空の出張旅費規程で要約から消えた6か所を行に、手間の軽い順の4つの確認を列にした対応表。規程は編集部が作った架空の例で、AIの実際の出力ではない。確認の1は語で検索で、ただし、除、限り、限る、かかわらず、別に、準用を探し、第3条のただし、第5条の限り、第6条の別に、第7条の準用の4か所が見つかる。確認の2は数字を照合で、第3条の50kmと第4条の15,000円の2か所が見つかり、第4条は数字の照合でだけ見つかる。確認の3は抜けた条で、要約に出てこない第2条、第6条、第7条の3か所が見つかり、第2条は条番号の抜けでだけ見つかる。確認の4は原文を読むで、研修で大阪に1泊した人の精算を確認する場合、第2条から第5条の4か所が見つかり、第6条と第7条は質問の外になる。注意として、件数が合わなければその差が読み落としの候補で、古い規程には但しもあること。10と全角の10、漢数字の十が混ざることがあり、単位と税込か税抜かも見ること。先に貼った章の条番号を全部書き出しておくと消していくだけで済むこと。条番号から原文に戻り要約を閉じて読み、迷う条は法務か専門家に聞くこと。まとめは、1つの確認で全部は拾えないこと。
4つの確認で、要約から消えた6か所のどれが見つかるかの対応表作成: 編集部 / 出典: デジタル庁「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」

先ほどの規程に当てはめると、6か所のうち語の検索で見つかるのは4か所、数字の照合は2か所、条番号の抜けは3か所です。第4条の15,000円には「ただし」も「除く」も付いていないので、数字を照合して初めて見つかります。第2条の対象者には語も数字もなく、条番号の抜けを探さないと気づけません。どれか1つで済ませないのは、このためです。

3つ目の考え方は、行政の仕事にもあります。デジタル庁のガイドブック(α版)には、パブリックコメントをAIで分類する例があり、ラベルが付かなかったコメントは「見落とした意見である可能性が高い」として、職員が改めて精読する工程を置いています。4

社員に答える根拠は、要約にしない

要約で決めてよいのは、どの条を読むかまでです。

たまったメールなら、読む順番が決まれば十分なこともあります。でも規程は違います。答えた内容が、相手のお金や働き方を左右するからです。

社員に答えるときは、原文を読んだうえで、条番号と読める場所を添えます。就業規則なら会社に周知の義務があるので、社員も同じ条文を開けるはずです。5

解雇や懲戒、賃金の控除、契約の解除のように法律の判断がからむ場面は、要約も自分の読みも結論にしません。原文を持って、法務か社会保険労務士、弁護士に相談してください。

要約を渡すなら、確認した範囲も渡す

チームで要約を共有するなら、次の3行を添えておくと、受け取った人が続きから確認できます。規程が改定されたときに、古い要約だと気づく目印にもなります。

次に規程のことを聞かれたら、要約を読み上げる前に、その条を開いてみてください。「第3条のただし書です」と答えられると、聞いた人は自分で条文を開けますし、上司にも後任にも同じ根拠をそのまま渡せます。仕事を任されるのは、たぶんそういう人です。

モデル就業規則、労働基準法、OpenAIとデジタル庁の資料は、2026年10月31日に確認しました。

注

  1. OpenAI「Summarizing Long Documents」(2024年4月19日。英語の資料を要約)。今は保管扱いで、古いモデルが前提の場合があると断りがある ↩ ↩2

  2. OpenAI「ChatGPT Enterprise Prompting Guide」(2026年4月27日。英語の資料を要約)の3章B、6章、要約の例 ↩ ↩2 ↩3

  3. 厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)。規程例の本文を編集部が検索した結果で、例が複数ある条は全部を数えた。支払日の例は第46条 ↩

  4. デジタル庁「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」の11ページ。内容は今後、標準ガイドラインDS-920に統合して更新すると案内されている ↩

  5. 労働基準法第106条第1項 ↩

出典・参考

この記事は、下の監修者が内容を確認しました()。

執筆

ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の資料・公的な統計などの一次情報を調べて、バックオフィスの仕事・ビジネスマナー・会社のしくみの解説記事と図解を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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