インフルエンザの予防接種は、12月中旬までに終えておくのがひとつの目安です。例年の流行のピークが1月末から3月上旬に来るため、厚生労働省は今シーズンのQ&Aでも、この時期までの接種を望ましいとしました。1
ただ、受けたその日から効くわけではありません。効果が出始めるまでに、およそ2週間。年末の帰省や1月の受験、家族の出産のように外したくない日があるなら、その2週間前から逆算して予約の週を決めればいいのです。
効果が出始めるのは、約2週間後
手帳の空いた週に、予約の印をひとつイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
今年10月に厚生労働省が出した定期接種の案内にも、「効果が現れるまでに約2週間かかる」とあります。2そこから効果が十分に続くのは、厚労省の審議会資料で接種後約5か月まで、堺市の案内では4〜5か月です。3だから11月に受けても、例年のピークが終わる3月上旬までは目安の範囲に入ります。
12月中旬という線も、この2週間から引かれました。2008年度の厚労省のQ&Aも、流行の中心が1月上旬から3月上旬で、効果が出るまで2週間ほどかかることを理由にしていました。4
でも、今シーズンは少し事情が違います。流行入りの公表は8月28日で、1999年以降で2番目に早い時期でした。110月30日の発表では、第43週(10月19〜25日)の定点当たり報告数が9.49。昨年の同じ時期の6.29より高い水準です。5厚労省のワクチンのQ&Aには、「流行状況に応じて流行を迎える前に接種することが望ましい」という書き方もあります。612月中旬はあくまで例年のピークから逆算した線なので、予約が取れる週から押さえておく考え方もあるでしょう。
自分の予定を暦に重ねると、予約する週が決まります。
接種日ごとに、効果が出始める頃と続く目安を、流行の時期と年末年始に重ねた暦作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省・堺市
たとえば12月14日の週に受けると、効果が出始めるのは年末のころ。12月29日から1月3日は行政機関の休日で、病院やクリニックの年末年始の休みも、それぞれ違います。712月に締めや繁忙期がある人は、その前の週に入れておけば、忙しいさなかに通院の時間をつくらずに済みます。
子どもの分は、2回目から数える
家族の分もまとめて予約するなら、年齢で回数が変わります。
| 受ける人 |
ワクチン |
回数 |
| 6か月以上3歳未満 |
注射 |
1回0.25mLを2回 |
| 3歳以上13歳未満 |
注射 |
1回0.5mLを2回 |
| 13歳以上 |
注射 |
1回か2回。定期接種は1回 |
| 2歳以上19歳未満 |
経鼻ワクチン |
1回 |
13歳以上の注射は、添付文書では「1回または2回」。健康な成人などでは、1回でも2回と同じくらい抗体価が上がったという報告があります。6なお、鼻に噴霧する経鼻ワクチンは2歳以上19歳未満が対象で、19歳以上の大人は受けられません。8
13歳未満の2回は2〜4週間あけ、できれば4週間おくのが望ましいとされます。8子どもの効果は、2回目の約2週間後から見込めます。9そこで4週間あけて年内に効果を出したいなら、1回目は11月の中ごろまでに。つまり親の予約より、ひと月ほど早く動くことになります。
防げることと、出やすい反応
インフルエンザワクチンには、発病を抑える効果が一定程度認められています。とはいえ厚労省のQ&Aは、「麻しんや風しんワクチンで認められているような高い発病予防効果を期待することはできません」とも書きます。感染そのものを完全に抑える働きはなく、発病と、肺炎や脳症のような重症化を防ぐ効果が期待されるワクチンです。10
ワクチンは毎年、そのシーズンにはやると予測されたウイルスで作られます。ですから、昨年受けた人も今年の分は改めて考えることになります。11
出やすい反応は、接種した所の赤みや腫れ、痛みで、受けた人の10〜20%。熱や頭痛、寒気、だるさは5〜10%に出ます。どちらも、ふつうは2〜3日で消えます。まれにアナフィラキシーのような急なアレルギー反応が起きるので、受けたあと30分は、その場で休んで様子を見ます。12
妊娠中と授乳中について、今シーズンの厚労省のQ&Aに問いはありません。2010年の新型インフルエンザワクチンのQ&Aには、妊娠中の接種で流産や先天異常が増えたという報告はなく、授乳中も支障はない、とあります。14一方で国立健康危機管理研究機構は、妊婦(特に妊娠後期)を、入院が必要になりやすい人に挙げました。15経鼻ワクチンは、妊娠中は受けられません。8迷ったら、通っている産婦人科で相談するのがいちばんの近道でしょう。
接種した日と、翌日の予定の入れ方
受けた翌日に大事な予定を入れていいのか、気になりますよね。公的な資料には、決まった答えがありません。
参考になるのは堺市の案内です。副反応の多くは24時間以内に出るので、この間はとくに体調に気をつけたいところ。当日はいつも通りに過ごしてかまいませんが、激しい運動や大量の飲酒は避けます。お風呂も入れますが、注射した所は強くこすらないように。3帰ってから気になる症状が出たら、受けた医療機関にすぐ連絡しましょう。12
大事な発表や面談の前日を避けたいなら、金曜の仕事帰りに受ける手もあります。24時間以内に出やすい反応が、土曜に重なるからです。
費用は自費、補助は先に聞く
予防接種は病気の治療ではないので、健康保険が使えません。原則は全額が自己負担で、費用は医療機関によって違います。16大人の任意接種の金額を示した公的な資料は見つからなかったので、予約のときに医療機関で聞くのが確実です。
では、補助はどこに聞けばいいのでしょうか。
インフルエンザの予防接種の費用と補助を、受ける人ごとの聞く先で分けた図作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省・広島市・三鷹市・協会けんぽ
会社員の補助は、会社と健康保険組合の決まり次第。厚労省のセルフメディケーション税制のQ&Aにも、保険者がインフルエンザの任意接種を補助している場合の問いがあります。17案内を探すより、人事や総務に聞いてしまうほうが早いかもしれません。
受けたあとの領収書は、捨てずに取っておきます。予防のための費用なので、医療費控除の対象にはなりません。18ただ、インフルエンザの予防接種はセルフメディケーション税制の「一定の取組」にあたり、領収書か予防接種済証がその証明になります。19税務署から求められることもあるので、確定申告の期限から5年間は保管します。17市販薬が多い年の使い分けは、医療費控除の申告にあります。
総務が案内を出すときの線引き
季節性インフルエンザの予防接種について、職場での扱いを直接説明した厚労省の資料は見当たりませんでした。参考になるのは、新型コロナワクチンの説明でしょう。
厚労省は「職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをしたりすることのないよう」呼びかけ、医学的な理由で受けられない人もいると書きました。20企業向けのQ&Aでは、接種を拒否したことだけを理由にした解雇や雇止めを「許されるものではありません」としています。21だから社内の案内も、受けるかどうかは本人が決める、と分かる書き方にしておきます。
接種の時間を出勤扱いにしたり、副反応が出たときに使える休暇を設けたりすることも、社員が任意に使える限り、一般には不利益にあたらないとされました。21会社が費用を補助するときの税の扱いは、インフルエンザの出勤停止と休業手当で取り上げました。
予約までの段取りは4つ
予約までにすることは、次の4つです。
- 手帳やカレンダーで、外したくない日を1つ選ぶ
- その日の2週間前の週を、接種の締め切りにする(13歳未満の子は2回目の締め切り)
- 会社と健康保険組合、市区町村の補助を確認する
- 医療機関に予約して、費用と年末年始の診療日を聞く
受けるかどうかも、いつ受けるかも、決めるのは自分です。カレンダーに印を1つつけておけば、12月の忙しさの中で迷う時間が、1つ減るはずです。
記事の内容は厚生労働省などの公的な資料によるもので、確認日は2026年10月31日です。体調や持病、妊娠中の接種のことは、医師に相談してください。