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生成AIの間違いの見つけ方 ハルシネーションを防ぐ確認の手順

生成AIの誤りは正しい文と同じ調子で書かれるので、読み返すだけでは気づけません。条番号、数字、固有名詞、出典を先に疑い、確認先を開いて照らすと見つけられます。

文字
生成AIの間違いの見つけ方 ハルシネーションを防ぐ確認の手順

この記事でわかること

  • 正しい文も誤った文も調子は同じ。条番号、数字、固有名詞、出典から疑う。
  • 社外に出す文、お金や法律に関わる文、人に答える文は、確認先を必ず開いて照らす。
  • AIが示した出典は架空のことがある。開いて、その文が書いてあるかまで見る。
  • 別のAIの同じ答えは根拠にならない。割れた所を見つける目印に使うまでにする。
対象総務人事経理実務

「入社から3か月で、有給休暇は10日付与されます」。生成AIの答えの中にこの一文があったら、立ち止まれるでしょうか。

正しくは6か月です。でも、文の調子は正しいときと何も変わりません。読み返して見つけようとするより、疑う場所を先に決めて確認先を開くほうが、ずっと確実です。

この答えに、誤りはいくつありますか

新入社員に配る休暇の説明を頼んだら、こんな答えが返ってきた。そう考えて読んでみてください。文面は編集部が作った例で、AIが実際に返したものではありません。

いくつ見つかりましたか。赤を入れると、次のようになります。

編集部が作った架空の答えに赤を入れた図。AIが実際に返した文ではなく、頼んだことは新入社員に配る休暇の説明、時点は2026年10月31日の法令。誤りは5か所、合っているのは2か所。1 労働基準法第36条により、は条番号の誤りで、有給休暇の定めは第39条、第36条は残業の協定(36協定)の条文。開く先はe-Gov法令検索の労働基準法。2 入社から3か月続けて勤務し、出勤率が8割以上の社員に10日付与、は数字の誤りで、正しくは6か月。8割以上と10日は合っている。開く先は同じ法律の第39条第1項。3 毎年1日ずつ増え、6年6か月で16日、は計算の誤りで、増え方は一定でなく、6か月で10日、1年6か月で11日、2年6か月で12日、3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日、6年6か月で20日。開く先は同じ条の第2項の表で、週5日で働く人などの日数。4 時効は2年、は合っている。賃金の請求権の5年(当面3年)とは別で、有給休暇は2年のまま。開く先は厚生労働省の確かめよう労働条件のQ&A。5 年10日以上付与される社員に会社が年5日を取得させる義務があり、違反すると30万円以下の罰金、は合っていて、誤りの文と調子はまったく同じ。開く先は第39条第7項と第120条第1号。6 子の看護休暇は小学校に入る前の子がいる社員が取得できる、は最近の変更の誤りで、2025年4月から子の看護等休暇に変わり、小学校3年生修了までに広がった。開く先は育児・介護休業法と厚生労働省の改正の案内。7 厚生労働省「年次有給休暇取扱いガイド(2025年版)」は出典の誤りで、編集部が作った架空の資料名。省の名前が本物でも資料が本物とは限らない。開く先は発行元のサイトで題を検索し、中身まで読む。まとめは、誤りも正しい文も同じ調子で並ぶので、読み返すより、条番号、数字、名前、出典を確認先で開いて照らすこと。
架空の答えに赤を入れた例。7か所のうち5か所が誤りで、どれも調子は同じ作成: 編集部 / 出典: e-Gov法令検索・厚生労働省

誤りは5か所。どれも文として自然で、「ここは自信がありません」とはどこにも書いてありません。1

困るのは、時効と罰金の文が合っていることです。知っている話が正しく書いてあると、ほかの文まで信じたくなりますよね。条番号も実在する番号で、開けば別の決まりが書いてあるだけですから、番号らしさでは見分けられません。

自信ありげなのは、仕組みから来ている

明るいオフィスの木の机を低い位置から見た様子。灰色の帯だけが並ぶ細長い紙の上に、紺の柄と金の縁の虫眼鏡が置かれ、レンズの中の1行にくすんだローズ色の線が引かれている。奥の2行にも短いローズ色の線がある。右には開いたバインダーと紺の鉛筆、左奥には白いカップと観葉植物、紺のペン立てがある。人はいない。
もっともらしく並ぶ行の中から、1行ずつ確認先で照らすイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)

ハルシネーションは、生成AIが誤った内容をもっともらしく答える現象です。米国立標準技術研究所(NIST)の資料はこれを自信ありげに述べられた誤りと定義し、学習データの傾向に沿って次の語を予測する設計から自然に生じるものだと説明します。2デジタル庁のガイドブックにも、「デジタル庁AI班の職員数」のように知識に無いことを聞くと、根拠のない適当な答えが返ることがある、とあります。3

では、なぜ「分かりません」と言わないのでしょう。OpenAIなどの研究者は2025年の論文で、その一因をテストの採点の仕方に求めました。空欄なら0点でも、当てずっぽうなら当たるかもしれない。そういう物差しで評価されるモデルは、自信がなくても答えを出すようになる、という見方です。4

同じ論文には、著者の1人の誕生日を「知っていれば答えて」と頼むと、あるモデルが3回とも違う誤った日付を返した例が出てきます。はったりの答えは「秋のどこか」より「9月30日」のように具体的になりやすい、とも。具体的だからといって、確かだとは言えないのです。

信じてしまうのは、注意力が足りないせいではありません。機械の出力を信じすぎる傾向には「自動化バイアス」という名前があり、AI事業者ガイドラインも注意を促しています。5起きる頻度は対象や時点で大きく変わるので、この記事では率を挙げません。

疑う場所と開く先の確認表

ここからの順番と確認先は、編集部の提案です。先に疑うのは、文の流れからは当てられず、1つずつ決まっている事実。条番号も日付も名前もURLも、もっともらしい別の値をいくらでも作れるからです。そこに、AIの知識が追いついていないかもしれない最近の変更と、途中で誤っても結論だけ整って見える計算を足します。

疑う所 開く先 開いて見ること
法令の名前、条番号 e-Gov法令検索 条文そのものと「現在施行」の表示
制度の変更、日付 所管の省の案内 施行日と案内の更新日
統計の数字、割合 e-Statか各省の統計 調査の対象、時点、単位
会社の名前 国税庁法人番号公表サイトか公式サイト 商号と所在地が答えと同じか
判例 裁判所の裁判例検索 事件番号と判決日、中身
料金、仕様 サービスの公式ページ 更新日と対象のプラン
計算 自分の電卓かExcel 元の数字と式

まず見てほしいのは右の列です。たとえば、e-Govで法令を開くと、題の下に「現在施行」や「未施行あり」と出ます。条文が見つかっただけで閉じず、ここまで見ておくと、古い答えにも、これから変わる決まりにも気づけます。社内の規程なら確認先は原文で、要約から消えやすい文の探し方は規程の要約に書きました。

手間は、出す先で変える

とはいえ、全部の文を毎回開いていたら、AIで浮いた時間がなくなってしまいます。手間は3段に分けましょう。

生成AIの答えを仕事に使うときの確認の手間を3段に分けた図。段の分け方は編集部の提案で、会社の決まりがあればそちらが先。迷ったら聞く3つの問いは、社外の人が読むか、お金や法律に関わるか、人に聞かれて答えるものか。1つでも「はい」なら確認先を全部開き、どれも「いいえ」なら読む人の広さで左の2段から選ぶ。軽い段は自分だけが読むもので、考えを整理するメモ、アイデア出し、会議前の予習。確認することは「未確認」と書いて残す、使うときに数字と名前だけ確認する。中くらいの段は社内で共有するもので、部内の連絡、議事メモの下書き、上司に見せる案。左の段に足すことは、数字、日付、名前を元の資料と照らす、確認していない所を渡すときに伝える。重い段は社外に出す、お金や法律に関わる、人に答えるもので、総務は社員に聞かれた規程の答え、人事は休暇や社会保険の案内、経理は請求や税についての説明、共通は取引先へのメールと社外に渡す資料。左の段に足すことは、言い切っている文を全部確認先で照らす、出典は開いてその文があるかまで見る、どこで確認したかを控えておく、法律の判断は担当部署や専門家に見てもらう。まとめは、手間を決めるのは文の長さではなく読んだ人への影響で、メモを報告に貼るときは貼った時点で段が上がること。
確認の手間を3段に分ける。3つの問いに1つでも「はい」なら重い段作成: 編集部 / 出典: 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」

気をつけたいのは、段が途中で変わるときです。自分用のメモとして作った文を、翌週の報告にそのまま貼る。文の段は上がったのに、確認はメモのまま、という場面はありそうですよね。貼る前に、数字と名前だけでも確認しておくと、報告の重みに少し追いつけます。

AIが示した出典も、開くまでは未確認

根拠を付けてもらえば大丈夫、とは言えません。NISTの資料は、答えを正当化する理屈や出典までAIが作り上げることがあると指摘します。2

よく知られた例が米国の裁判です。2023年、弁護士がChatGPTの作った実在しない判決を裁判所に出し、弁護士2人と事務所に5,000ドルの制裁金が命じられました。ChatGPTに本物の判例かと聞くと、データベースで見つかる本物だと答えた、というやりとりも裁判所の文書に出てきます。6

だから、出典は次の順に開きます。

  1. リンクを開く。開けなければ、資料の題を発行元のサイトで検索する
  2. 発行元が本物かを、組織名とサイトのドメインで見る
  3. ページの中を検索し、答えの文や数字が書いてあるかを見る
  4. 日付や版を見て、今も有効かを確認する

抜けやすいのは3つ目で、ページは本物でも答えの文はそこに無い、ということがありえます。

別のAIに聞くのはどうでしょう。これは確認になりません。生成の仕組みが似ていて、ネットに広まった誤解をなぞることもあるので、2つが同じ誤りを返しても不思議はないのです。7一致しても、根拠が1つ増えたわけではありません。使えるとしたら、答えが割れた所を「ここから開こう」と決める目印まででしょう。

頼み方で減らせるが、なくならない

OpenAIの手引きは、正確さが要るときの工夫に、出典を求める、渡した資料から引用してもらう、不確かな所に印を付けてもらう、などを挙げます。8AI事業者ガイドラインにも、資料を検索して答えを作る仕組みでハルシネーションの抑制が期待される、とあります。5頼む文に足すなら、この3行です。

ただ、誕生日の例のとおり、それでも誤りは残ります。付いてきた根拠も、先ほどの4つの順に開いてください。資料を貼る前には入力してよい情報の線引きも見ておくと迷いません。

出してしまったら、先に上司へ

確認していても、すり抜ける日はあります。そのときは早く言うことです。先ほどの裁判所も、疑いを指摘された直後に正直に話していれば記録は違ったものになったのに、弁護士たちは偽の判決を主張し続けた、と述べています。6

上司には、直す前に伝えます。何が誤りで、だれに届き、どう直すか。この3つが言えれば十分です。

社外の相手ならお詫びメールの書き方も役に立ちます。原因は「AIの誤り」で止めず、「確認先を開かずに出した」まで言えると、次の手が決まります。裁判所も、AIを使うこと自体は問題にせず、提出物の正確さを守る役目は弁護士にあるとしていました。6

答えを知っている問いで、一度試す

OpenAIの手引きには、答えを知っている質問を5〜10問用意して、AIの答えと比べる方法も載っています。8法定の有給の日数、よく聞かれる手続きの期限、自分の業界の用語。自分の仕事で試すと、どの種類の問いで外れるのかが見えてきます。

AIを速く使える人は、これから増えていくはずです。差がつくのは、その先かもしれません。「この数字はここで確認しました」と1行添えられる人の資料なら、読む人は調べ直さずに済みます。

法令と各資料は、2026年10月31日に確認しました。法律の判断に迷う場面は、社会保険労務士や弁護士に相談してください。

注

  1. 労働基準法第39条第1項、第2項、第7項、第115条、第120条第1号、育児・介護休業法第16条の2 ↩

  2. NIST AI 600-1(2024年7月。英語の資料を要約)の2.2節 ↩ ↩2

  3. デジタル庁のガイドブック(α版)の2.1節。今後はDS-920に統合して更新するとの案内がある ↩

  4. Kalaiほか「Why Language Models Hallucinate」(arXiv、2025年9月。英語の論文を要約)。著者はOpenAIとジョージア工科大学の研究者で、原因の説明は著者の見解 ↩

  5. AI事業者ガイドライン(第1.2版)の15ページ、注23と注27 ↩ ↩2

  6. 米国ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所「Mata v. Avianca, Inc.」(2023年6月22日の制裁の命令。英語の文書を要約)の1〜2、19、33〜34ページ ↩ ↩2 ↩3

  7. Linほか「TruthfulQA」(arXiv、2021年。英語の論文を要約)。当時のモデルの報告 ↩

  8. OpenAI「ChatGPT Enterprise Prompting Guide」(2026年4月27日。英語の資料を要約)の6章 ↩ ↩2

出典・参考

この記事は、下の監修者が内容を確認しました()。

執筆

ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の資料・公的な統計などの一次情報を調べて、バックオフィスの仕事・ビジネスマナー・会社のしくみの解説記事と図解を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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