英文メールを生成AIで書くなら、できあがった日本語のメールを訳してもらうより、伝えたいことを短い日本語で渡して、英語のメールとして書いてもらうほうが進めやすくなります。「お世話になっております」のような日本語のあいさつを、無理に英語へ置き換えずに済むからです。
ただ、AIの英文が自然に見えても、そのまま社外に出すのは少し待ってください。答えには不正確な内容が混ざることがあり、使った文の責任は使った人が持ちます。12頼み方の例文は写して使えて、送る前の6つの点はそのままチェックリストになります。
日本語のメールを訳すより、伝える中身を渡す
付箋のメモと、AIが書いた英文の下書きを見比べるイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
日本語のビジネスメールには、「お世話になっております」「よろしくお願いいたします」のような決まった言い回しがたくさん入るもの。メールを丸ごと訳してもらうと、こうした言い回しまで英語にしようとして、英語のメールとしては回りくどい文になることがあります。
そこで渡すのは、メールの文面ではなく、伝えたい中身です。何を、いつまでに、どうしてほしいのか。それを短い日本語で書き、英語のメールとして書いてもらいます。
頼む文に背景を書くことは、AnthropicとGoogleのガイドに共通する勧めです。だれに向けた文か、何に使うのかが分かれば、AIは的を絞った答えを返しやすくなります。31頼む文の型そのものは、プロンプトの書き方の基本で分かります。
日本語のメモは、一文に1つの中身で書く
英語にする前の日本語も、短く区切っておくと、あとで英文と照らしやすくなります。外国人に向けた日本語の書き方をまとめた国のガイドラインには、文を分かりやすくするこつとして次のような点が並んでいます。4
- 一文で言いたいことは1つにする
- 「〜ないわけではない」のような二重否定を使わない
- 受け身の形をできるだけ使わず、だれがするのかをはっきりさせる
- 年月日は西暦で書き、時刻は午前・午後を明記する
英語は主語を書く言葉です。だから、日本語の段階でだれが何をするのかを決めておくと、英文を照らすときにも迷いません。
頼む文には、相手・目的・口調を添える
メモができたら、相手と目的と口調を添えて頼みましょう。〈〉の中を入れ替えれば、そのまま使えます。
「メモにないことは足さず」の一文は、頼んでいない約束や理由が入りこむのを防ぐためのもの。最後の日本語の説明があれば、英文を細かく読めなくても、言っている中身が合っているかを照らせます。
英文メールを生成AIで書く4つの段取り作成: 編集部 / 出典: Anthropic、Google Workspace、GOV.UK
受け取ったメールに返信するときも、流れは同じです。相手の英文を貼り、相手が何を頼んでいるのかを日本語の箇条書きにしてもらいます。返す中身を日本語で決めてから、英語の返信を書いてもらいましょう。
日付と時刻は、読み違えない形で書く
英国政府のウェブサイトGOV.UKの文体ガイドでは、日付を「4 June 2017」のように、月を英語の名前で書きます。5「11/12」のような数字だけの書き方は、月と日のどちらが先かで読み違いが起きることがあります。メールでも月の名前で書き、曜日を添えておくと、相手が迷いません。
時刻は、相手が日本の外にいるなら時間帯まで書きます。同じガイドも、英国の外の人に向けた案内には「UK time」を添えるとしています。5日本から送るなら「10:00 a.m. JST」のように、日本時間だと分かる形にします。
締め切りに「midnight」を使うのも避けたいところです。GOV.UKのガイドによると、midnightはその日の最初の1分なので、「火曜の真夜中まで」は月曜の終わりとも火曜の終わりとも読めてしまいます。そこでガイドは「11:59pm」と書く例を挙げています。5締め切りは「by 5:00 p.m. JST on Friday, 13 November」のように、曜日と時刻まで書いておきましょう。
社外に出す前に、6つの点を見直す
生成AIの答えには不正確な内容が含まれることがある。個人情報保護委員会は、2023年にそう注意を呼びかけました。2Googleのガイドにも、出力を使う前に内容が明確で正確かを見直すこと、最終的な成果物には使う人自身が責任を持つことが書かれています。1
AIが書いた英文を、社外に出す前に見直す6つの点作成: 編集部 / 出典: GOV.UK、Google Workspace
見直すのは次の6つです。
- 日付が元のメモと合っているか。11月12日が木曜日になっているかまで照らす。
- 時刻に、日本時間(JST)が付いているか。
- 相手の名前と肩書きが、相手のメールの署名と同じつづりか。
- 「I will send…」のように、頼んでいない約束が足されていないか。
- 元のメモにない理由やおわび、お礼が増えていないか。
- 本文で触れた添付が付いているか。宛先とCCが合っているか。
英文をもう一度日本語に訳してもらうと意味のずれは見つけやすくなりますが、英語として自然かどうかまでは分かりません。金額や契約に触れるメールは、英語の分かる同僚にも一度読んでもらうと確実です。
貼る前に、社外秘と個人情報を確認する
取引先から届いたメールを貼って訳してもらうと、相手の名前やアドレス、署名、取引の条件もAIに渡すことになります。個人情報保護委員会は、会社が生成AIに個人情報を含むプロンプトを入力するときは、利用目的の範囲内かを十分に確認するよう求めました。入力したデータを機械学習に使わないサービスかどうかの確認も必要です。2
会社が使ってよいと決めたサービスを使い、名前は「Aさん」のように置き換えてから貼ります。社内の決まりがまだ無い会社なら、生成AIの社内ルールの作り方で決める項目が分かります。
英文メールをAIで書く手順
- 伝えたいことを、一文に1つずつ日本語で書く。日付は曜日まで、時刻は午前・午後まで書く。
- 相手、目的、口調、長さを添えて、英語のメールとして書いてもらう。
- 英文と一緒に、段落ごとの日本語の説明を受け取る。
- 6つの点を元のメモと照らし、意味は日本語に訳し戻して比べる。
- 伏せた名前やアドレスは、送る前に自分で正しいものに入れ直す。
- うまくいった頼み方はメモに残して、次の英文メールでも使う。
日本語のメールそのものの書き方は、ビジネスメールのマナーで押さえられます。送る前の日本語の文章をAIに見てもらうなら、生成AIで文章を校正する頼み方も使えます。