プロンプトに書くことは、役割・目的・条件の3つに分けると迷いません。GoogleやOpenAI、Anthropicが公開している書き方のガイドも、呼び名こそ違いますが、挙げている中身はほぼ同じです。
型が手元にあれば、要約もお知らせの下書きも同じ手順で頼めます。会議メモから全社向けのお知らせを作る例文は、写して書き換えればそのまま使えます。
一言の頼み方では、足りない分をAIが推測で埋める
頼む前に、役割・目的・条件を短く書き出しておくイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
AIは「優秀だがあなたの規範やワークフローに関するコンテキストを持たない新入社員」。Anthropicのガイドは、そう考えて頼むよう勧めています。望むことを正確に説明するほど、結果は良くなるという考え方です。1
新しく来た人に「この会議メモ、要約しておいて」とだけ頼んだら、どうなるでしょう。だれ向けに、どのくらいの長さで、何に使うのかを聞き返されるはずです。でも、AIは書かれていないことを推測で補って答えます。だから同じガイドは、曖昧な頼み方から推測させず、してほしいことをはっきり頼むよう書いています。1
型は3つ、役割・目的・条件の順に書く
頼む文は次の3つに分けます。
| 書くこと |
中身 |
例(編集部の例) |
| 役割 |
AIにどの立場で答えてほしいか |
社内のお知らせを書き慣れた総務の担当者 |
| 目的 |
何を作り、だれが何に使うか |
会議に出ていない全社員に送るお知らせの下書き |
| 条件 |
材料、守ること、返す形 |
会議メモだけを使う、400字以内、未定の所は[未定]と残す |
Googleのガイドが挙げる要素は「ペルソナ」「タスク」「背景情報」「形式」の4つ。すべてを毎回満たさなくても、いくつか取り入れるだけで効果があるそうです。2
OpenAIの開発者向けのガイドでは、指示を「Identity(目的や話し方)」「Instructions(従うルール)」「Examples(例)」「Context(答えに要る追加の情報)」に分け、ふつうはこの順に並べます。3どちらのガイドも、役割にあたる要素を先頭に置いています。
仕事で頼む文は、役割・目的・条件の3つに分けて書く作成: 編集部 / 出典: Google Workspace、OpenAI、Anthropicの公式ガイド
役割は1文で、立場を決める
役割は「あなたは〇〇です。」の1文で足ります。Anthropicのガイドによると、役割を設定するとAIの振る舞いとトーンが用途に合わせて絞り込まれ、1文でも違いが生まれます。1
とはいえ、大きく構えなくて大丈夫です。「経理の先輩」「人事の担当者」のように、仕事で実際に頼む相手を思い浮かべて書きます。「私は総務の担当で、来週この文書を全社に送ります」と、頼む自分の立場を書き添えるのも手です。
目的には、何に使うかまで書く
目的の行には、作るものに加えて、だれが読み、何に使うかまで入れます。指示の背景にある文脈や動機、つまりなぜそうしてほしいのかが分かれば、AIは目標をつかんで的を絞った答えを返せる。Anthropicのガイドの説明です。1
同じガイドに、読み上げソフトで読むので「…」を使わないでほしい、という例が載っています。「使わないで」とだけ書くより、理由を添えたほうがいい。AIはそこから一般化できるからです。1仕事なら「社内チャットに貼るので、400字以内で」のように、決まりに理由を1つ添えましょう。
条件は、材料・守ること・返す形の3つ
条件には次の3つを1行ずつ書きます。
材料は、使ってほしい資料のこと。貼る資料には【会議メモ】のように見出しを付けて、指示と分けておきます。MarkdownやXMLのタグで資料の始まりと終わりを示すと、AIが区切りをつかみやすく、取り違えも減るとOpenAIとAnthropicのガイドにあります。31
守ることには、字数、です・ます調、使わない言葉などを書きます。材料に無いことは書かない、という線もここに入ります。
返す形は、箇条書きか、表か、見出しを付けるか。Googleのガイドの例文も、最後の1文で箇条書きを指定していました。2
形をそろえたいなら、例を付けるのが近道です。前に出したお知らせを1通貼り、「この形で」と添えます。Anthropicのガイドでは、例は答えの形式やトーンを誘導する確実な方法の1つとされ、3〜5個入れると良い結果が得やすいそうです。1
もう1つ、頼む文そのものは、人に話しかけるように完全な文で書きます。自然な表現を使い、業界でしか通じない専門用語は避ける。これはGoogleのガイドの勧めです。2社内だけの略語も、ふだんの言葉に直しておきましょう。
書き換えの例、会議メモからお知らせの下書き
一言で頼むなら、こうなります。
型に当てはめると次のとおりで、〈〉の中を自分の仕事に入れ替えれば、そのまま使えます。
「[未定]と残す」の1行があれば、もっともらしい日時が紛れ込むのを防げます。最後の箇条書きは送る前に会議の担当者へ確認することの一覧として使えます。
一言で頼むときと、型で頼むときの違い作成: 編集部 / 出典: Anthropic、Google Workspaceの公式ガイド
返ってきたら、足りない条件を足して聞き直す
1回で思いどおりの答えが返ってくるとは限りません。結果が希望と違うときは補足のプロンプトを足し、見直しと微調整を繰り返す。Googleのガイドが勧めるのも、このやり方です。2
聞き直すときに、最初から書き直す必要はありません。足りなかった条件を1つ足すだけです。
頼む文そのものを直してもらう手もあります。プロンプトの頭に「これを効果の高いプロンプトにしてください」と書けば、改善の案が返ってくる。Googleのガイドに載っているやり方です。2
ただ、返ってきた答えはそのまま使わずに読み返しましょう。出力を使う前に、内容が明確で正確かを見直すこと。最終的な成果物には、使う人自身が責任を持つこと。Googleのガイドには、この2つが書かれています。2日付や人数、金額は、元のメモと1つずつ照らします。
貼る前に、会社の決まりと個人情報を確認する
材料を貼るほど、AIに渡す情報は増えます。個人情報保護委員会の注意喚起によると、会社が生成AIに個人情報を含むプロンプトを入力するときは、利用目的の範囲内かを十分に確認する必要があります。4
また、本人の同意なく入力した個人データが、答えの出力以外の目的で扱われれば、個人情報保護法に違反するおそれもあります。そのため委員会は、入力したデータを機械学習に使わないサービスかどうかの確認も求めました。4
貼る前に確認するのは次の3つです。
- 会社が使ってよいと決めているサービスか。
- 人の名前や連絡先、取引の金額を伏せてから貼れるか。
- サービスの利用規約やプライバシーポリシーで、入力した内容の扱いがどうなっているか。4
社内の決まりがまだ無い会社なら、生成AIの社内ルールの作り方で決める項目が分かります。
型をメモに置いて、今日から使う手順
- メモ帳かテキストファイルに、【役割】【目的】【条件】の3つの見出しを書いて保存しておく。
- 頼む前に、目的の行に「だれが読むか」「何に使うか」を書く。
- 条件に、材料・守ること・返す形を1行ずつ書く。材料に無いことは書かないよう頼む。
- 貼る材料から、名前・連絡先・金額を伏せる。
- 送る前に、事情を知らない同僚が読んでも分かるかを考えて読み返す。Anthropicのガイドにも、文脈をほとんど知らない同僚が混乱するならAIも混乱する、という見分け方があります。1
- 足りない所を1つずつ足して聞き直し、うまくいった頼み方は型のメモに書き足しておく。
作業ごとの頼み方は、この型の応用
型を覚えたら、作業ごとの頼み方も同じ形で読めます。