本文へ移動
ベンチャー・スピリット!VENTURE SPIRIT

ライフハックLIFE HACK

生成AIで年末の挨拶の文例を作る 定型に聞こえない出来事の渡し方

生成AIに年末の挨拶文を頼むと、宛名を別の会社に替えても送れる文が返ってきがちです。その相手と今年あった出来事を1つ渡し、季節の言葉と敬語を見直すと、相手ごとに違う1通になります。

文字
生成AIで年末の挨拶の文例を作る 定型に聞こえない出来事の渡し方

この記事でわかること

  • 宛名を別の会社に替えても送れる文が、定型に聞こえる。書き出しと結びの型は残してよい。
  • AIに渡すのは、相手、今年の出来事1つ、来年の予定、伏せる名前の4行のメモ。
  • 12月の挨拶に「旧年中は」は合わない。旧年は、年が明けてから前の年を指す言葉。
  • 上司には腕前をほめる言葉より、教わったお礼と、できるようになったことを書く。
対象実務

生成AIに「取引先への年末の挨拶メールを書いて」と頼めば、整った文がすぐに返ってきます。でも、読み返してみてください。宛名を別の会社に替えても、そのまま送れてしまいませんか。

定型に聞こえるのは、敬語の誤りより、この「だれにでも送れる」ところのせいです。相手と今年あった出来事を1つ渡して頼めば、宛名を替えたら送れない1通に変わります。

宛名を替えても送れる文が、定型に聞こえる

たとえば、こんな挨拶です。

言葉づかいに誤りはありませんが、この相手でなければ書けない1文が、どこにもありません。

文化庁の「敬語の指針」も、いつでも、どんな相手にも限られた表現だけを使うと、その場にそぐわない言葉づかいになりやすいと指摘します。メールで多くの人に一度に送るときの、画一的な表現への批判にもふれていました。1

ただ、型を全部捨てなくてもかまいません。「公用文作成の考え方」は、決まりきった挨拶が長いと文書の本質がぼやけるとしつつ、紋切り型が読み手を安心させる場合もあると認めています。2

だから、手を入れるのは書き出しと結びにはさまれた真ん中です。「いつもお世話になっております」と「よいお年をお迎えください」は型のまま。その間の1〜2文を、相手との出来事に入れ替えます。

頼む前に、相手ごとのメモを4行で

夕方のオフィスの高い窓のそばに、紺のニットとクリーム色のスカートの30代の女性が立っている。白い紙の開いた手帳を腕に抱え、ペンを口もとに当てて、少し上を見ながら穏やかにほほえみ、何かを思い出している様子。窓の外は淡い青と桃色の夕空と、明かりのともり始めた街のビル。窓辺の木の棚には、閉じた銀色のノートパソコン、湯気の立つカップ、鉢植えの観葉植物がある。
送る前に、その相手と今年あった出来事を1つ思い出すイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)

AIはその相手とのあいだに、今年何があったかを知りません。知らないことは書けないので、材料はこちらから渡すしかないのです。

渡すのは、次の4行のメモです。

  1. 相手がどんな立場で、どんな仕事で関わったか
  2. 今年あった出来事を1つ。いつ、何があって、相手が何をしてくれたか
  3. 来年の予定のうち、もう決まっていること
  4. AIに渡す前に伏せる名前や数字

いちばん効くのは2行目です。「いろいろお世話になった」と書いたのでは、AIはまた定型の言葉で埋めるでしょう。月と、相手がしてくれた動作まで書くと、真ん中の文の材料になります。

出来事が1つも浮かばない相手もいるはずです。そのときは無理に作らず、定型の挨拶で送ればいいのです。作った思い出話は、受け取った本人がいちばんよく分かります。

4行目の線は、会社の決まりで変わります。個人情報保護委員会は2023年6月、個人情報を生成AIに入れるなら利用目的の範囲内かを確認し、機械学習に使われないかを確かめるよう呼びかけました。3総務省と経済産業省のAI事業者ガイドラインも、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう、AIを使う側に求めます。4

たとえば社名を「A社」、担当者を「担当の方」に置き換えても、挨拶の中身は変わりませんよね。数量や金額は書かずに渡し、正式な名前は送る前に自分で戻します。どこまで伏せるかは、入力してはいけない情報で詳しく説明しています。

年末の挨拶を生成AIに頼む前に、相手ごとに書く4行のメモの図。例は物流会社の窓口の方へ送る場合で、編集部が作った例。1行目は相手で、立場とどんな仕事で関わったかを書く。弱い書き方は取引先の人、伝わる書き方は物流会社の窓口で毎週の集荷を調整してくれる方。2行目は今年の出来事を1つで、いつ相手が何をしてくれたかを書く。弱い書き方はいろいろお世話になった、伝わる書き方は9月の倉庫の移転で集荷の時間を夕方まで延ばしてくれた、発送を1日も止めずに済んだ。3行目は来年の予定で、もう決まっていることだけ。弱い書き方は来年もよろしく、伝わる書き方は1月から集荷の依頼を専用のフォームで送る。4行目は伏せるもので、社名はA社、名前は担当の方、金額と数量は書かない、案件名は移転の件に置き換えてから渡し、送る前に戻す。中段は2行目の中身の違いで、取引先の担当者へは相手がしてくれたことと、それで助かったことを書き、売上や契約の金額、社外秘の案件の中身は入れない。上司やチームへは、教わったこと、助けてもらった場面と自分ができるようになったことを書き、上司の力量をほめる言葉は入れない。教わった立場ならお礼を伝えるほうが適切(敬語の指針)。出来事が浮かばない相手には作らずに定型の挨拶で送り、BCCで一斉に送る休業のお知らせも定型のままでよい。まとめは、2行目が具体的に書けた相手から1通ずつ頼む。月と相手の動作まで書けば、定型の言葉が入る余地が減る。
生成AIに渡す前に、相手ごとに書く4行のメモ。2行目の出来事を月と動作まで書く作成: 編集部 / 出典: 文化庁「敬語の指針」・個人情報保護委員会

頼む文には、書かないことも入れる

メモができたら、頼む文に貼ります。〈〉の中を入れ替えれば、そのまま使えます。

要は最後の段落です。書かないことを断っておかないと、足りない字数を「多大なるご尽力」のような飾りで埋めた文が返ってくることがあります。空けたままの〈〉は、送る前に自分で埋める所の目印。1行目に送る日を書いた理由は、あとで出てきます。

上司やチームあてなら、相手の行を「4月の配属から、見積もりの作り方を教えてくれた課長」に替え、条件に「力量をほめる言葉は使わず、教わったことへのお礼を書く」と足します。

「敬語の指針」によると、教えを受けた立場なら、上司の腕前をほめるより、教えてもらったことへの感謝を伝えるほうが適切です。決まった言い方の代わりに「おかげ様で仕事が少し分かるようになってきました」と伝える例も載っています。5社内の挨拶では、教わって身についたことが、出来事の1文になります。

直すのは、出来事と季節と敬語の3か所

返ってきた案は、メモと並べて読みます。見るのは次の3か所です。

出来事の文が、メモの言葉のままか

最初は真ん中の文から。「3日早めて」が「迅速にご対応いただき」に、「品切れを出さずに済んだ」が「売上が大きく伸びた」に変わっていたら、メモの言葉に戻します。してもらっていないことまで書かれていないかも、ここで見ます。

書き出しと結びは最初の例とほぼ同じですが、A社の担当の方にしか送れない1通になりました。

年末の言葉になっているか

年末と年始の言葉が混ざるのも、見落としやすい所です。とくに「旧年中は大変お世話になりました」。日本郵便の年賀状の手引きは、前の年を表すときは「昨年」か「旧年」と書くよう案内しています。6つまり、12月に「旧年中は」と書くと、お礼が去年の分になってしまうのです。年内に送るなら「本年は」か「今年は」にします。

結びの「本年もよろしくお願いいたします」も、12月なら「来年も」。終わりかけの年によろしく、では話がかみ合いません。頼む文の1行目に送る日を書いたのは、こうしたずれを減らすためでした。

敬語が重なっていないか

丁寧にしようとして、敬語が重なることもあります。指針は「お読みになられる」のような二重敬語を、一般に適切ではないとしています。「担当させていただきました」も、相手の許しを受ける場面でなければ「担当いたしました」のほうが簡潔です。7

「誠に」「心より」「格別の」のような改まった言葉が1通に何度も出てきたら、1つを残して削ります。相手を立てようと敬語を重ねすぎると、伝えたいことが分かりにくくなる。公用文作成の考え方にも、そう書かれています。8ほかの言い回しと直し方は、1枚の早見にまとめました。

生成AIの下書きを直す早見の図。線を引いた文と直した例は編集部が作った例。まとめは、書き出しと結びは型のままでいい、直すのは真ん中の文と季節の言葉と敬語の重なりの3か所。左の列はだれにでも送れる文で、多大なるご尽力をいただきは、月としてもらったことを書いて〈月〉に〈してもらったこと〉をしていただきに。迅速にご対応いただきは、メモにあった数字に戻して〈3日〉早めていただきに。実り多き一年となりましたは、おかげで〈できたこと〉ができましたに。今後ともよろしくお願い申し上げますだけで終わる文には、来年は〈決まった予定〉です、と決まっている予定を1つ添える。メモにない近況や抱負が足されるときは、メモにない出来事は足さないと頼み、足りない字数を飾りの言葉で埋めさせない。中央の列は季節がずれた言葉で、旧年中は大変お世話になりましたは本年は大変お世話になりましたに。旧年は年が明けてから前の年を指す言葉(日本郵便の年賀状の手引き)。本年もよろしくお願いいたしますは、12月に送るなら来年もよろしくお願いいたしますに。送る日を書かずに頼まず、頼む文の1行目に送る日を書いておく。同じ年でも呼び方は送る月で変わり、12月に書くなら2026年は本年(今年)、2027年は来年。1月に書くなら2026年は旧年(昨年)、2027年は本年(今年)。右の列は重なった敬語で、お読みになられましたらはお読みになりましたらに(同じ種類の敬語を重ねた二重敬語は一般に適切ではない)。担当させていただきましたは、相手の許しを受ける場面でなければ担当いたしましたが簡潔。上司へのご指導力に感服いたしましたは、〈見積もりの作り方〉を教えていただき、ありがとうございましたに(教わった立場なら腕前の評価より感謝)。上司への本年もご苦労様でしたは、本年もお疲れ様でございましたに(ねぎらいの御苦労様は目上に使わない)。誠に、心より、格別の、が何度も出るときは1つだけ残して削る(敬語を重ねすぎると伝えたいことが分かりにくくなる)。
年末の挨拶で定型に聞こえる言い回しと直し方の早見。だれにでも送れる文、季節のずれ、重なった敬語作成: 編集部 / 出典: 文化庁「敬語の指針」「公用文作成の考え方」・日本郵便

宛名と出来事を照らし合わせる、送るまでの段取り

何通もまとめて作る日に、いちばん気をつけたいのは出来事の取り違えです。A社の担当の方に、B社との出来事を書いたメールが届いたら、定型の挨拶よりずっと気まずいですよね。

  1. 送る相手の一覧を作り、名前の横に今年の出来事を1行ずつ書く。
  2. 出来事が書けた相手から、1通ずつ頼む。
  3. 返ってきた案を、その相手のメモと並べて読む。
  4. 「A社」「担当の方」を、正式な社名と名前に戻す。
  5. 休業期間と年明けの営業開始日を、社内の決まりと照らし合わせる。

送る時期や休業のお知らせの書き方は、年末年始の挨拶メールの例文にあります。一斉に送る休業の案内は、むしろ定型のままがいい連絡です。

相手ごとに出来事を1行ずつ書いた一覧は、そのまま今年の仕事の記録です。だれに助けられ、だれの役に立てたか。年明けの評価面談の前に1年の振り返りをするとき、思い出す手間がかなり省けるはずです。

宛名を別の会社に替えたら、もう送れない。そんな1通なら、下書きをAIに頼んでいても、受け取った人には自分あての挨拶です。

敬語と公用文の考え方、生成AIの注意喚起とガイドライン、年賀状の手引きの内容は、各機関の公表資料で確認しました。確認したのは2026年10月31日です。

注

  1. 文化庁「敬語の指針」(2007年)第1章 第2の3と4 ↩

  2. 文化庁「公用文作成の考え方」(2022年)解説のⅡ-8のオ ↩

  3. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)の(1)と(3) ↩

  4. 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」第5部 ↩

  5. 「敬語の指針」第3章の【27】と【28】 ↩

  6. 日本郵便「年賀状の書き方完全ガイド」(郵便局のプリントサービス) ↩

  7. 「敬語の指針」第2章 第2の6の(2)と、第3章の【18】 ↩

  8. 「公用文作成の考え方」解説の「基本的な考え方」2の(3)のウ ↩

出典・参考

この記事は、下の監修者が内容を確認しました()。

執筆

ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の資料・公的な統計などの一次情報を調べて、バックオフィスの仕事・ビジネスマナー・会社のしくみの解説記事と図解を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

役に立ったら、保存・いいね・共有をお願いします

コメントを読み込んでいます