常勤換算は、非常勤の人の勤務時間を足し、常勤の人が勤務すべき時間で割って出します。常勤の人は1人と数え、兼務している人はそのサービスに就いた時間だけを入れる。休暇は、非常勤なら時間から抜き、常勤なら1か月までは勤務したものとして扱います。この3つを押さえると、勤務形態一覧表の数字が国の基準と同じ考え方でそろいます。
常勤換算は「勤務時間の合計÷常勤の時間」
国の解釈通知は、常勤換算を「事業所の従業者の勤務延時間数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で除する」方法としています1。割る数の「常勤の時間」は、その事業所の就業規則で決まった時間です。32時間を下回るときは、32時間が基本になります。
ここで迷いやすいのが、常勤と非常勤の線引きです。正社員なら常勤、と思いがちですよね。でも決め手は雇用の形ではなく、勤務時間です。常勤の人が週40時間勤務すべき事業所なら、パートの契約でも週40時間勤務する人は常勤です2。
数え方の細かい決まりは、国が示す標準様式の記入方法に載っています2。常勤の人も一覧表に時間を記入しますが、割り算には入れず、実人数で数えます。非常勤の人の時間は、1人あたり常勤の時間が上限です。期間は4週か暦月を選び、割った結果は小数点第2位以下を切り捨てます。
訪問介護なら、訪問介護員等は常勤換算で2.5人以上が基準です3。編集部の例で見てみましょう。常勤の時間が週40時間(4週で160時間)の事業所に、常勤のAさんと、4週で80時間、64時間、48時間勤務する非常勤の3人がいるとします。非常勤の合計は192時間で、160で割ると1.2。Aさんの1と合わせて2.2なので、0.3人分足りません。
訪問介護の事業所で常勤換算を出す例。非常勤の人の時間だけを足して割る作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省
兼務は、そのサービスに就いた時間だけを数える
複数のサービスの指定を受けている事業所では、兼務の数え方で数字がずれやすくなります。解釈通知の例では、訪問介護と訪問看護を兼ねる人は、訪問介護員としての時間だけを訪問介護の勤務時間に入れます1。
たとえば常勤のFさんが、週40時間のうち24時間を訪問介護、16時間を居宅介護支援に就いているとします。訪問介護の一覧表に入るのは4週で96時間で、常勤換算では0.6人です。勤務形態の区分も、常勤で専従のAではなく、常勤で兼務のBになります。兼務先と兼務する職務は、一覧表の兼務状況の欄に記入します2。
ただし、管理者のように「常勤であること」が求められる職は、少し扱いが違います。同じ敷地内などの併設の事業所で、同時に進めても差し支えない職務なら、両方の時間の合計で常勤と見られます。訪問介護の管理者と居宅介護支援の管理者を兼ねる人が、その例です1。
休暇と出張、短時間勤務の扱い
休暇の数え方は、常勤か非常勤かで分かれます。厚生労働省のQ&Aによると、非常勤の人の休暇や出張の時間はサービスに就いた時間ではないので、勤務時間に含めません。一方で、常勤の人の休暇は、その期間が暦月で1か月を超えない限り、勤務したものとして扱います4。
先ほどの例で、80時間勤務の非常勤の人が有給休暇を8時間取ったとします。非常勤の合計は184時間で、160で割ると1.15。小数点第2位以下を切り捨てて1.1になり、Aさんと合わせて2.1です。パートの人の休みが多い月は、シフトを組んだ時点で常勤換算を出しておくと、足りなくなる前に手を打てます。
育児や介護、治療のために所定労働時間を短くしている人は、週30時間以上の勤務で1人と数えられます。治療のための短時間勤務は、令和6年度の改正で加わりました1。標準様式では、この人の区分をAかBにして、兼務状況の欄に「短時間勤務制度利用」と記入します2。
常勤の人が産休や育休に入ったときは、同じ資格などを持つ複数の非常勤の人を常勤換算して、常勤の配置を求める基準を満たすこともできます1。
人員基準を下回ったときの減算
人員基準を下回ったとき、報酬が減るのは通所、多機能、入所、居住系のサービスです。介護職員や看護職員、ケアマネジャーなどが足りないときは、介護給付費が原則3割減ります5。訪問系のサービスは、この減算の対象に挙がっていません。でも、人員の基準を満たしていなければ、都道府県知事から勧告を受けることがあります6。
では、減算はいつから始まるのか。足りない幅で変わります。介護職員と看護職員が必要な数から1割を超えて足りないと、その翌月から、足りない状態が解消した月まで、利用者の全員について減算されます。1割の範囲なら翌々月からで、翌月の末日までに基準を満たせば減算されません5。
特別養護老人ホームでは、介護職員と看護職員を合わせて、入所者3人に1人以上を常勤換算で置きます。入所者の数は前年度の平均です7。編集部の例で、入所者が平均60人なら必要な数は20.0人。10月に19.0人だと足りないのは5%なので、11月末までに戻せば減算はありません。17.5人まで減ると12.5%足りないので、11月から減算になります。
2026年6月の算定分からは、猶予の仕組みも加わりました8。職員や家族の急な体調不良で、職員の1か月を超える不在が見込まれるとき。あるいは、自己都合の急な退職が重なったときが対象です8。足りない幅は1割の範囲で、ハローワークや福祉人材センターなどで職員を探していることが条件。1年に1回に限り、足りなくなった月の翌々月まで減算が猶予されます9。
猶予を受けるには、足りなくなった月の翌月までに、決まった様式で都道府県知事へ報告します。その時点で有効な求人票の写しも添えます9。10月に足りなくなったなら、報告は11月中です。
特別養護老人ホームで介護職員と看護職員が足りなくなったときの、減算が始まる月の例作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省
運営指導では、こうした勤務の実績も書類で見られます。当日の流れは介護の運営指導の準備 求められる書類と当日の流れ、指摘されやすい点に例があります。
シフトを組んだ時点で、勤務形態一覧表の常勤換算を一緒に見ておくイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
勤務形態一覧表を出す前に確認すること
- 事業所の常勤の人が勤務すべき時間(就業規則の所定労働時間。32時間を下回るなら32時間)
- 4週と暦月のどちらで出すか、提出先の自治体の扱い
- 職種ごとのA〜Dの区分と、兼務している人の兼務先と時間
- 非常勤の人の休暇と出張の時間を抜いたか、常勤の人の休暇が暦月で1か月を超えていないか
- 短時間勤務の人の時間が週30時間以上か、兼務状況の欄に書いたか
- 常勤換算を小数点第2位以下切り捨てで出し、必要な数と比べたか
- 足りないときは、翌月末までに戻せるか、猶予の条件に当たるか、報告の期限はいつか
人員の基準は、国の基準をもとに都道府県などの条例で決まります6。地域によって細かい扱いが違うことがあるので、迷ったら指定を受けた自治体の介護保険の担当に相談してください。
この記事の内容は、2026年11月5日時点の法令と、厚生労働省の通知、Q&A、分科会の資料にもとづいています。計算の例は編集部が作ったもので、実在の事業所の数字ではありません。