店舗や待合室で、市販のCDや音楽配信をBGMとして流している会社に、新しい支払いが加わります。2026年6月に成立した改正著作権法で、歌手や演奏家などの実演家と、レコード会社などのレコード製作者が、お店で流れた音楽から二次使用料を受け取れるようになるからです。「レコード演奏・伝達権」と呼ばれる権利です。12
施行は2029年6月までに政令で決まる日で、額もまだ決まっていません。ただ、11月2日には、使用料を集める団体と額の決め方の手続きを定める政令・省令の案について、意見の募集が始まりました。3準備は少しずつ進んでいます。
何が変わるのか
店舗ごとに、流している音源と機器を書き出しておくイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
改正法は、商業用レコードを使って音楽を公に再生した人に、実演家とレコード製作者への二次使用料の支払いを求めます。商業用レコードには、音楽CDのほか、インターネットで配信される音源も含まれます。配信などの公衆送信を受信装置で受けて、公に流す場合も同じです。2
文化庁は、この権利をつくる目的を、アーティストへの適切な対価の還元と、音楽の海外展開の後押しだと説明しています。1他の国の実演家と同じように、日本の実演家も対価を得られるようにする、という考え方が背景にあります。2
対象外になる場合
次の場合は、二次使用料の支払いの対象外です。2
- 営利を目的とせず、聞く人から料金も取らずに流す場合
- テレビやラジオの放送、有線放送などを、ふつうの家庭用の受信機で流す場合
- 著作権法のほかの例外の決まりに当てはまる場合
ただし、家庭用の受信機の例外は、放送や有線放送などに限られます。音楽配信サービスの音源を店で流すことは、この例外に入っていません。2
店で流す音楽の流し方ごとの、二次使用料の対象と対象外作成: 編集部 / 出典: 文化庁
額は、これから決まる
額は、文化庁長官が指定する団体(指定団体)が決めます。指定団体が二次使用料の規程の案を公示し、利用者の代表から協議を求められたら、それに応じなければなりません。公示から6か月たっても協議がまとまらなければ、文化庁長官に裁定を申請できます。2
改正法の公布にあわせた文化庁の通知は、額を決めるときに配慮することとして、次の点を挙げています。2
- 業界や業種ごとに料金の区分を細かく分け、面積や定員などに応じて段階的に決める
- 小規模な事業者の負担に配慮し、収益がほとんど出ていない事業などには、支払いの免除や減額を検討する
- 徴収を始めるときは額を低くして段階的に上げる、猶予の期間を設けるなどの緩和策を検討する
- 業務用BGMの配信サービスの事業者などとの包括的な契約でまとめて集める方法と、事業者ごとに集める方法の両方を整える
施行までの約3年は、指定団体の指定や規程づくり、利用者への周知のための準備の期間です。2
二次使用料の額が決まるまでの流れと、額を決めるときの配慮作成: 編集部 / 出典: 文化庁、e-Govパブリック・コメント
11月2日から意見を募集している政令・省令の案は、指定団体と二次使用料の規程についての手続きを定めるものです。指定団体が業務規程に書く事項(権利の行使を任される手続き、手数料、分配の方法)や、二次使用料の規程を届け出るときの書類などを定めます。施行は改正法の施行の日の予定です。3
意見の受付は2026年12月1日の23時59分まで。e-Govパブリック・コメントのページから出せます。3
今のうちに確かめること
額が決まるのは先でも、今のうちに把握できることはあります。
- 店舗や施設ごとに、BGMを流しているかを一覧にする。
- 流している音源の種類を分ける(市販のCD、音楽配信サービス、業務用BGMの配信サービス、テレビやラジオの放送)。
- 放送を流している場合は、使っているのが家庭用の受信機かどうかを確認する。
- 業務用BGMの配信サービスを使っているなら、契約先に、新しい制度への対応の予定を聞いておく。
- 加盟している業界団体の案内を、総務や法務で受け取れるようにしておく。
- 店舗の面積や席数など、料金の区分に使われそうな数字を、すぐ出せるようにしておく。
面積や定員で段階的に決めることが検討されているので、店舗ごとの数字がそろっていれば、規程の案が出たときにすぐ自社の負担を見積もれます。まずは音源の種類と店舗の数字から、そろえておきましょう。
法律と通知は文化庁のサイトで、意見募集はe-Govパブリック・コメントで、2026年11月3日時点の内容です。施行日や額が決まったら、この記事に書き足します。