札幌は10月25日、仙台は11月14日、大阪は12月10日、東京は12月23日。
気象庁が公表する、霜が初めて降りる日の平年値です。1
社用車のタイヤをいつまでに替えるか、決めた法律はありません。秋に「今年はいつ替えますか」と聞かれ、去年の日付を探す。そんな年が続いているなら、車が走る地域の平年値から交換日を逆算してみてください。
ここで扱うのは白ナンバーの社用車です。緑ナンバーのトラックやバスの決まりは別にあります。
雪より先に、霜と氷が来る
冬の前に、タイヤの溝とホイールの状態を自分の目で見ておくイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
スタッドレスタイヤが要るのは、雪が積もった道だけではありません。凍った道も同じ。だから替える目安には、雪の日だけでなく、霜と氷の日も入れておきたいのです。
| 地点 |
霜の初日 |
結氷の初日 |
雪の初日 |
| 札幌 |
10月25日 |
10月28日 |
10月28日 |
| 仙台 |
11月14日 |
11月23日 |
11月17日 |
| 新潟 |
11月27日 |
12月3日 |
11月23日 |
| 大阪 |
12月10日 |
12月17日 |
12月26日 |
| 福岡 |
12月13日 |
12月17日 |
12月16日 |
| 東京 |
12月23日 |
12月24日 |
1月3日 |
雪が降らないうちは、まだ夏タイヤでいいと思いますよね。でも大阪の行を見ると、雪より16日も早く霜が降ります。東京も11日の差。雪の予報を待っていると、最初に凍る朝を夏タイヤで迎えるかもしれません。
新潟のように、雪が霜より先に来る地域もあります。
冬支度の段取りは基準日から逆算する
そこで、3つの日付のうちいちばん早い日を「基準日」にしましょう。ここからは編集部の例ですが、基準日の6週間前に溝やチェーンを点検し、2週間前までに替え終えます。
2週間の余裕を取るのは、平年値が30年の平均で、もっと早い年もあるからです。雪の予報が出た直後は作業が集中してミスが起きやすいと、国土交通省も大型車の資料で指摘しています。2
冬タイヤの交換日を霜と雪の平年値から逆算した7地点の暦作成: 編集部 / 出典: 気象庁、日本自動車タイヤ協会
ただし、山あいや峠を通る車は、ルートに近い観測点の値に置き換えます。札幌や仙台のように期限を過ぎていたら、次の雪の予報を待たず、今週の予定に入れてしまいましょう。
溝は1.6mmと50%の2つで見る
雪道の決まりは、道路交通法を開いても細かくは書いてありません。中身は都道府県ごとの規則にあって、違反すると罰則は5万円以下の罰金、普通車の反則金は6,000円です。3
書き方は地域で違います。たとえば東京都は「明らかにすべると認められる状態にある道路」で滑り止めを求め、北海道はスノータイヤを全車輪に付けるか、チェーンなどを付けるよう求めます。宮城県は冬タイヤを「接地面の突出部が50パーセント以上摩耗していないもの」に限ります。4県をまたぐ車は、行き先の規則も見ておくと確実です。
溝の深さには、線が2本あります。
1本は保安基準の1.6mmで、夏も冬も同じ。5もう1本が冬タイヤの使用限度で、日本自動車タイヤ協会の基準では、残り溝が新品のときの50%未満なら冬用に使いません。プラットホームという目印が見えていれば、その線を越えたサインです。6法律の線の手前でも、雪道には出せないタイヤがあるわけです。
オールシーズンタイヤも、スノーフレークマークがなければ通行止めの原因になりうると、国は注意を呼びかけています。7
費用は会社持ち、悩むのはマイカー
社用車のタイヤ代は会社の経費です。科目は消耗品費や修繕費、車両費など、社内で決めた名前でかまいません。国税庁も修繕費について「名目によって判断するのではなく、その実質によって判定します」と書いています。8
法人が買ったものが10万円未満か、使える期間が1年未満なら、少額の減価償却資産として、使い始めた年度に全額を損金にできます。中小企業者等の特例は、2026年4月1日以後に買うものから40万円未満に広がりました。年300万円までで、青色申告などの条件もあります。8
判定は「通常1単位として取引される」単位ごと。4本そろって役に立つタイヤは、1台分で見るのが自然でしょう。リース車なら、交換と保管が料金に入っているかを、まず契約書で見ます。
マイカーの冬タイヤ代を誰が持つかを決めた法律は、見当たりません。決めるのは就業規則や規程で、社員に負担させる定めを置くなら、常時10人以上の事業場では就業規則に書く事項です。9許可制の決め方やアルコールチェックは社用車の管理規程にあります。
国税庁の質疑応答事例は、本人が負担すべき費用を会社が持てば給与として課税するとしています。10ただ、タイヤを名指しした資料は、社用車でもマイカーでも確認できませんでした。科目や課税に迷ったら、税理士か税務署に聞いてみてください。
冬タイヤでも通れない日がある
全国13区間には「チェーン規制」があり、愛媛県の国道56号も入っています。大雪特別警報や国土交通省の緊急発表が出るような、異例の雪のときの規制です。スタッドレスタイヤでも4WDでも、チェーンを付けていなければ通れません。11道路法にもとづく通行禁止です。12
スプレー式の滑り止めは認められません。ふだんの「冬用タイヤ規制」は別物で、冬タイヤかチェーンのどちらかで通れます。13
もうひとつが予防的通行止め。車が動けなくなる前に道を閉めるやり方で、高速道路と並行する国道を同時に止めることもあります。2026年1月28日には、近畿地方整備局が名神や新名神などで実施の可能性を前もって知らせました。14
つまり「高速が止まったら下の道で」が通じない日があります。訪問や納品の予定は、前の日のうちに動かせるようにしておきたいものです。
出す、遅らせる、止めるを前日に決める
雪の日に車を止める数字は、法律にありません。では、誰が決めるのでしょうか。
安全運転管理者を置く事業所なら、異常な気象のときに運転者へ指示を出すのは管理者の業務です。厚生労働省のガイドラインも、必要なら「走行を中止し、又は安全な場所での一時待機、徐行運転を行わせる」よう事業者に求めます。管理者のいない小さな事業所でも、社員の安全に配慮する決まりは同じです。15
だから「各自の判断で」と任せる前に、決める人を1人置きたいのです。
情報の名前も今年変わりました。2026年5月から、「顕著な大雪に関する気象情報」は「気象防災速報(短時間大雪)」です。大雪警報と大雪注意報の名前はそのまま。速報の目安はおおむね3時間で20〜25センチ、または6時間で30〜40センチの雪で、運用は北陸や近畿、中国など限られた地域です。社内の手順書に古い名前があれば、直しどきでしょう。16
もっとも、同じ雪の量でも重みは地域で違います。気象庁によると、雪の少ない地域では降る量が多くなくても、立ち往生やスリップ事故が起きやすくなります。16よその会社の数字を借りられないのは、そのためです。
雪の日に社用車を出すか、遅らせるか、止めるかの判断表(編集部の例)作成: 編集部 / 出典: 気象庁、国土交通省、厚生労働省
図の基準は編集部の例で、〇の数字は自社の車と道で決めます。国の発表も、大雪が予想される地域に「テレワークの活用などを含め不要不急の外出を控えてください」と求めました。17文面にするなら、次のような形です。
止めた日の賃金は大雪で出勤できない日の賃金に、屋外の作業を止める基準は建設現場の冬の労災予防にあります。
動けなくなったときに備えて積むもの
内閣府の手引きは車内に用意するものとして、スコップ、飲食料、毛布、砂、軍手、長靴、懐中電灯、スノーブラシを挙げます。燃料の残りも忘れずに。18
いちばん怖いのは排気ガスでしょう。マフラーのまわりが雪に埋まると、排気ガスが車内に逆流して、一酸化炭素中毒になるおそれがあります。まわりをときどき除雪して、窓を少し開けておく。国の雪道の案内にある対処です。19
来年の担当へ渡す1枚
基準日、替えた日、止めた日に出ていた情報。この3つを1枚に残しておくだけです。
「霜の平年値の2週間前に替えて、雪の日は2回止めました」。そう数字で言えれば、タイヤの予算の相談も担当の引き継ぎも、次の秋はずっと短く済みます。
2026年11月時点の制度で、法令と各機関の資料は11月1日に確認した内容です。規程の個別の判断は、社会保険労務士に相談してください。