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建築基準法の定期報告 総務が知る4種類の対象・周期・罰則と年間の段取り

工場・事務所・店舗・倉庫を持つ会社の総務向けに、建築基準法の維持保全と12条の定期報告を整理しました。特定建築物・建築設備・防火設備・昇降機等の4種類、周期、報告先、資格者、テナントの立場、煙突など工作物の扱い、罰則、年間の段取りまで、法令と国・東京都の公式資料で確かめています。

公開 約10分ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆チェック済み
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建築基準法の定期報告 総務が知る4種類の対象・周期・罰則と年間の段取り

この記事でわかること

  • 建物の所有者・管理者・占有者には、建築基準法8条で敷地・構造・設備を常に適法な状態に保つ努力義務があります。
  • 12条の定期報告は4種類です。対象と時期は特定行政庁が決めるため、自社の所在地の窓口で確かめます。
  • 報告をしない・うその報告をすると100万円以下の罰金です。法人にも同じ罰金が科されます。

国土交通省は2026年10月23日、令和8年熊本地震で煙突が倒れる被害が出たことを受けた調査の結果を公表しました。高さ60メートルを超える鉄筋コンクリート造の煙突は全国に444本あり、180本(約4割)で損傷や劣化が確認されています。この記事は煙突の話を入口にして、工場・事務所・店舗・倉庫を持つ会社の総務が、建物と設備の維持保全と定期報告で何をするかを整理します。

今回の発表で分かったこと 煙突は「建築基準法の工作物」

調査の対象は、廃棄物処理・製鉄・製紙・化学・セメント製造・電気などの事業所が持つ煙突です。国土交通省から関係省庁を通じて、事業所に調査を依頼しました。結果を受けて、所管省庁は損傷や劣化のあった180本の持ち主に、応急的な補修の取組を要請します。国土交通省は特定行政庁(建築主事を置く自治体)に結果と補修方法を知らせ、事業者の相談に応じて必要な指導をするとしています。

国土交通省の煙突調査の結果。調査した煙突444本、損傷・劣化が確認された煙突180本(約4割)、そのうち対策予定ありが120本・なしが60本。事業の区分別の本数(損傷・劣化/調査)は、廃棄物処理24/128、製鉄31/87、製紙36/61、化学25/56、セメント製造29/44、電気13/30、ほか7区分22/38を横棒で示した図。
高さ60m超の煙突444本の調査結果 180本で損傷・劣化(2026年10月23日公表)作成: 編集部 / もとの資料: 国土交通省 報道発表資料と別紙1
項目 本数
調査した煙突(高さ60メートル超・鉄筋コンクリート造) 444本
損傷・劣化が確認された煙突 180本(約4割)
そのうち対策の予定あり 120本
そのうち対策の予定なし 60本
損傷・劣化なし 256本
点検の実施に向けて事業者が調整中 8本

事業の区分別では、廃棄物処理が128本のうち24本、製鉄が87本のうち31本、製紙が61本のうち36本です(別紙1)。別紙2には、ひび割れ幅が約0.3ミリ以下かどうかで補修の方法を分けるなど、応急的な補修の例が出ています。

高さ6メートルを超える煙突は、施行令138条で建築基準法の「工作物」に指定されています。建物そのものではありませんが、法88条によって、建築基準法の一部が準用されます。自社に高い煙突がなくても、同じ法律で建物・設備・昇降機が管理されています。そこで次の章から、建物と設備の決まりを順に見ていきます。

維持保全は努力義務 計画づくりが義務になる建物もある

建築基準法8条1項は、建物の所有者・管理者・占有者に、敷地・構造・建築設備を「常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と定めています。努力義務ですが、所有者だけでなく、借りて使っている会社(占有者)も入っています。

8条2項は、一定の建物の所有者・管理者に、維持保全の準則または計画を、必要に応じて作ることを求めています。「しなければならない」という義務の文ですが、「必要に応じ」と書かれています。対象は施行令13条の3が決めています。

対象になる建物 条件
劇場・病院・ホテル・学校・百貨店など(法別表第一の(一)から(四)項の用途) その用途の床面積の合計が100平方メートルを超える(200平方メートル以下なら3階建て以上)
倉庫・自動車車庫など(同表の(五)・(六)項の用途) その用途の床面積の合計が3,000平方メートルを超える
事務所など(特殊建築物を除く) 階数が3以上で、延べ面積が200平方メートルを超える

ただし8条2項のただし書きにより、国・都道府県・建築主事を置く市町村が持つ建物は除かれます。

12条の定期報告 4種類の早見表

維持保全の義務のうち、行政への報告まで求められるのが12条の定期報告です。国土交通省は、建物を使い始めた後も適法な状態を保つために、定期的な調査と報告を求める制度だと説明しています。劣化の点検が中心ですが、不適切な改変で違反状態になっていないかも合わせて確かめます。

定期報告の4種類を4つの区画で示した早見表。特定建築物の調査(おおむね6月から3年)、建築設備の検査、防火設備の検査、昇降機等の検査(いずれもおおむね6月から1年、項目により1年から3年)。それぞれの対象、資格者(一級・二級建築士、建築物調査員または建築設備等検査員)、様式を載せ、報告先は特定行政庁と示す。
建築基準法12条の定期報告 4種類の対象・周期・資格者の早見表作成: 編集部 / もとの資料: 建築基準法・施行令・施行規則、国土交通省
種類 何を調べるか 国が一律に定める対象 周期(省令の幅) 資格者
特定建築物の調査 敷地・構造・建築設備の状況 劇場、病院・ホテル・共同住宅など、百貨店・店舗・飲食店などの用途で、建築確認の対象となる規模のもの。ほか特定行政庁が指定 おおむね6月から3年まで 一級・二級建築士、建築物調査員
建築設備の検査 換気・排煙・非常用の照明・給排水など 国の一律の定めはなく、特定行政庁が指定 おおむね6月から1年まで(項目により1年から3年) 一級・二級建築士、建築設備等検査員
防火設備の検査 防火扉・防火シャッターなど 国が定めた特定建築物に設けるもの 同上 同上
昇降機等の検査 エレベーター・エスカレーター・小荷物専用昇降機 国が一律に定める。国土交通大臣が定める使用頻度の低いものは除く 同上 同上

周期は、施行規則5条と6条が「特定行政庁が定める時期」の幅として示しています。実際に何年に1回、何月に出すかは、自治体ごとの決めに従います。

東京都の例では、特定建築物の調査は用途と規模によって3年ごと、または毎年です。防火設備・建築設備・昇降機は毎年、遊戯施設は半年ごとと案内されています。新築や改築のあとの初回は、特定建築物と防火設備には「初回免除」があり、建築設備と昇降機は検査済証の交付日の翌日から2年以内に出します。ほかの自治体は決め方が違うことがあります。

国が一律に定める特定建築物の範囲は、施行令16条が決めています。

  • 地階または3階以上を劇場・映画館などに使う建物、客席が100平方メートル以上のもの
  • 主階が1階にない劇場・映画館・演芸場
  • 病院・診療所(患者の収容施設があるもの)・ホテル・旅館・共同住宅・寄宿舎などと、百貨店・マーケット・展示場・飲食店・物品販売店舗などの建物(法6条1項1号の規模、つまりその用途の床面積が200平方メートルを超えるもの)
  • 3階以上を学校・体育館などに使う建物、その部分の床面積が2,000平方メートル以上のもの

避難上の支障が少ないものとして国土交通大臣が定めた建物は、除かれます。倉庫・事務所・工場などは、国の一律の対象に入っていません。倉庫・自動車車庫は、床面積200平方メートル超なら特定行政庁が指定できます。事務所は、階数3以上で延べ面積200平方メートル超が指定の候補です。

自社の対象と時期を確かめる方法

対象と時期を決めるのは、建物がある場所の特定行政庁です。都道府県や、建築主事を置く市区町村が担います。東京都の例では、特別区の区域は、延べ面積が1万平方メートルを超える建築物が敷地内にある場合は東京都、それ以外は各区役所です。多摩の区域では、八王子市など11市はそれぞれの市役所、ほかは東京都の多摩建築指導事務所が所管します。このように、同じ都内でも窓口が分かれます。

確かめるときは、次の3つを手元に揃えて問い合わせると話が早く進みます(東京都が案内している項目です)。

  1. 建物全体の階数と面積
  2. 用途ごとの床面積
  3. 階ごとの用途

特定行政庁のホームページには、対象の用途と規模、報告の年度、様式、提出の方法が載っています。国土交通省によると、メールやシステムで報告できる特定行政庁もあり、報告書の様式は押印が不要になりました(2021年1月1日から)。

テナントの会社と所有者 役割はどう違うか

借りているビルに入る会社と、ビルを持つ会社では、役割が変わります。

立場 8条の維持保全(努力義務) 12条の定期報告 特定行政庁からの報告の求め(12条5項)
所有者 対象 報告者(管理者が別にいるときは管理者) 対象
管理者 対象 所有者と管理者が違うときは報告者 対象
占有者(テナント) 対象 ふつうは報告者にならない 対象

テナントとして入っている会社は、報告書を出す立場ではないのがふつうです。しかし、内装工事や間仕切りの変更で、防火設備・排煙・避難の経路に影響が出ると、違反状態になるおそれがあります。一般的には、賃貸借契約や管理規約で、工事の事前の届出や、点検への立ち会いが決められています。契約と規約を一度読み直します。

工作物の扱い 煙突・昇降機・看板はどうなるか

法88条は、建物ではない工作物にも建築基準法を準用します。条文から読み取れる範囲は次のとおりです。

工作物 準用される主な規定 12条1項から4項の定期報告
煙突(高さ6メートル超)、高い柱、広告塔、高架水槽、擁壁など 8条から11条(維持保全・是正の命令)、12条5項(報告の求め)など 準用されない(88条1項)
観光用のエレベーター・エスカレーター、ジェットコースターなどの遊戯施設 上記に加えて、12条1項から4項 準用される
法64条に規定する工作物(看板・広告塔など) 8条から11条、12条(5項3号を除く)など 準用される(88条3項)

つまり、高い煙突は、定期報告の制度の外にあります。それでも8条の努力義務は準用されます。特定行政庁は、9条・10条で是正の命令もできます。今回のように、所管省庁が補修を要請し、特定行政庁が相談に応じる動きがあります。

また、法2条3号は、建物に付いている煙突を「建築設備」に含めています。建物の一部としての煙突は、建築設備の扱いです。「独立した煙突は工作物」「建物に付く煙突は建築設備」と分けて理解します。看板などの対象や報告の時期は自治体の定めによるので、所在地の窓口で確かめます。

地震のあとに確かめること

熊本地震のような大きな地震のあと、建物や設備で何を確かめるか、法律が決めた手順は今回確認した資料の範囲では見つかりませんでした。実務では、次のように進めるのが一般的です。

  • 自治体の被災建築物応急危険度判定が行われる地域では、結果を確かめます。建築士などの判定士が建物を調べ、危険(赤)などの結果で示す制度です(国土交通省の東日本大震災の資料に実績が出ています)
  • 自社で、外壁のひび割れ・タイルや外装材の浮き・天井材の落下・防火扉やシャッターの動き・エレベーターの停止・煙突や高架水槽などの損傷を、目で見て記録します
  • 気になる箇所は、建築士など専門家に見てもらいます
  • エレベーターは、保守会社に点検を頼みます
  • 判断に迷うときは、特定行政庁の建築指導の窓口に相談します

今回の煙突の補修方法(別紙2)は、鉄筋コンクリート造の煙突向けの内容です。ほかの建物の判断には使えません。なお、熊本地震で人を雇う会社の支援制度は、熊本地震特例の産業雇用安定助成金の記事にまとめています。

報告をしないとどうなるか 罰則

12条1項または3項の報告をせず、または虚偽の報告をした人は、100万円以下の罰金です(法101条1項2号)。従業員が会社の仕事でした違反は、行為をした人のほか、会社にも同じ額の罰金が科されます(法105条)。

また、特定行政庁が12条5項で求める報告をせず、または虚偽の報告をした人は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(法99条1項5号)。この報告の求めは、所有者・管理者・占有者のいずれにも向けられます。

保安上危険な建物については、特定行政庁が9条・10条で、使用禁止や改築などを命じることができ、命令に違反した場合の罰則も法に定められています。ここに書いたのは条文の範囲です。個別の事案がどうなるかは、特定行政庁や弁護士に確かめます。

総務の年間の段取り

報告の時期は自治体ごとに違うので、月を決め打ちせず、時期から逆算して動きます。

定期報告の段取りを7段階で示した図。1台帳をつくる、2特定行政庁に確かめる、3調査・検査の依頼先を決める、4現場を整える、5調査・検査に立ち会う、6報告書を確かめて提出する、7指摘を直し台帳に残す。年度の途中で動く出来事として、内装工事や間仕切りの変更、地震や水害のあとを挙げる。
定期報告の年間の段取り 総務の7つの仕事と年度の途中で動く出来事作成: 編集部 / もとの資料: 建築基準法・施行規則、国土交通省、東京都都市整備局
順 仕事 目安の時期 担当
1 台帳づくり(拠点・建物・設備・昇降機・防火設備の一覧) 年度の初め 総務
2 特定行政庁への確認(対象・時期・様式・提出方法) 年度の初め 総務
3 資格者への見積りと依頼 報告の約半年前(一般的な目安) 総務・経理
4 現場の準備(防火扉の前の荷物、機械室の鍵、テナントへの連絡) 調査の前 総務・拠点の責任者
5 調査・検査の立ち会い 調査の日 総務・拠点の責任者
6 報告書の確認と提出 報告の期限まで 総務
7 指摘の是正と台帳への記録 提出の後 総務・施設の担当

前回の報告書と是正の記録は、次の調査のときに使います。特定行政庁は、報告の内容をもとにした台帳を整えて保存します。会社側でも、前回の報告書と是正の記録を、建物がある間は残しておくと、担当者が替わっても困りません。

今日からできること

この記事は、2026年10月24日時点で、e-Govの法令(建築基準法は2026年5月27日施行の版、施行令は2025年12月1日の版、施行規則は2026年10月1日の版)、国土交通省・東京都の公開資料をもとにしています。調査・検査の項目を定める国土交通省の告示は改正されています。自社の対象・周期・様式は、建物がある地域の特定行政庁に確かめてください。

よくある質問

Q事務所だけの小さな建物でも、定期報告は必要ですか。

A国が一律に定めているのは、劇場・病院・ホテル・共同住宅・店舗など不特定多数が使う建物や、就寝に使う施設などです。事務所は国の一律の対象ではありませんが、階数が3以上で延べ面積が200平方メートルを超えるものは、特定行政庁が報告の対象に指定できます。エレベーターは建物の種類にかかわらず対象になります。自社の所在地の特定行政庁に確かめてください。

Qテナントとして借りているビルでも、自社が報告をするのですか。

A12条の報告をするのは、所有者です。所有者と管理者が違うときは管理者です。借りている会社(占有者)が報告者になるのは、ふつうは契約で管理を任されたときです。ただし8条の努力義務は占有者にもあり、特定行政庁から報告を求められたら応じる必要があります。賃貸借契約と管理規約で、誰が報告者かを確かめます。

Q工場の高い煙突は、定期報告の対象ですか。

A法88条1項は、煙突などの工作物に8条から11条まで(維持保全や是正の命令)を準用しますが、12条1項から4項までの定期報告を準用するのは昇降機などの工作物だけです。条文のうえでは、煙突は12条の定期報告の対象に入りません。ただし維持保全の努力義務は準用され、国土交通省と所管省庁が補修を求める動きもあります。

Q定期報告と消防設備の点検は同じものですか。

A別の制度です。東京都は、建築基準法の定期調査・検査報告制度は消防法に基づく消防用設備等点検とは異なる制度だと案内しています。どちらも必要な場合があるので、担当部署と時期を分けて管理します。

出典・参考

チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月24日)

執筆

ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の資料・公的な統計などの一次情報を調べて、バックオフィスの仕事・ビジネスマナー・会社のしくみの解説記事と図解を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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