会社のホームページの問い合わせフォームや、公開しているメールアドレスには、お客さまからの問い合わせと一緒に、営業の連絡も届きます。総務や庶務が受け取って仕分けている会社も多いはずです。この記事では、営業の連絡を受け付ける側として、方針の決め方、「営業お断り」の書き方と置き場所、届いたメールを止める方法をまとめました。法令は2026年10月23日にe-Gov法令検索で確かめています。
営業の連絡はどこから届くか
営業の連絡が届く入口は、主に次の4つです。
| 入口 |
届き方 |
受け取る人 |
| 問い合わせフォーム |
ホームページのフォームに入力されて届く |
フォームの通知を受ける担当者 |
| 公開しているメールアドレス |
info@ などのアドレスに届く |
アドレスを見ている担当者 |
| 代表電話 |
受付や総務が取る |
電話を取った人 |
| 郵便 |
DMや案内状として届く |
受付・総務 |
なかでも、問い合わせフォームとメールアドレスは、ホームページに載っている限り、誰でも送れる入口です。お客さまの問い合わせと営業の連絡が同じ所に届くので、仕分けの手間がかかり、大事な問い合わせが埋もれることもあります。電話の取り次ぎ方は電話応対の基本と例文にまとめています。
フォーム営業の自動化サービスを運営するミラクシード株式会社が、日本企業441社のサイトを読み取って数えたところ、たどり着けた問い合わせフォーム336社のうち、営業お断りの記載があったのは約4%でした(2026年10月計測)。多くの会社は、営業の連絡をどう扱うかをフォームに書いていないことになります。
まず決めること 受け付けるか、窓口を分けるか、断るか
営業の連絡の受け付け方の3つの方針と、お断りや案内の文を書く場所作成: 編集部 / もとの資料: 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律施行規則 第3条
営業の連絡の扱いには、大きく3つの方針があります。どれが正しいということはなく、会社の事情で選びます。
| 方針 |
向いている会社 |
すること |
注意 |
| 受け付ける |
仕入れや外注の候補を広く探したい |
担当の部署と、返事をする場合の期限を決める |
お客さまの問い合わせが埋もれないよう仕分ける |
| 窓口を分ける |
問い合わせが多く、仕分けの手間を減らしたい |
「お取引のご提案はこちら」のフォームかアドレスを用意する |
分けた窓口も、読む担当者を決める |
| お断りする |
受付の人手が少なく、問い合わせに集中したい |
お断りの文を、送る人の目に入る場所に書く |
届いてしまった連絡の扱いも決める |
方針は、総務だけで決めず、購買や営業、広報にも聞いておくと安心です。新しい仕入れ先を探している部署があれば、窓口を分ける形のほうが合います。
「営業お断り」の書き方と置き場所
方針を決めたら、送る人の目に入る場所に書きます。書いていなければ、送る側は受け付けているものとして読みます。書く場所は、フォームの上、送信ボタンの近く、メールアドレスの横、問い合わせページの本文の4か所が基本です。
| 書く場所 |
文の例 |
| フォームの上と送信ボタンの近く(お断りする場合) |
このフォームは、当社の製品・サービスに関するお問い合わせのためのものです。営業・勧誘を目的としたご連絡はお受けしておりません。 |
| 問い合わせページの本文(窓口を分ける場合) |
お取引・協業のご提案は、こちらのフォームからお送りください。内容を確かめたうえで、担当の部署からご連絡する場合があります。すべてのご提案にお返事できないことをご了承ください。 |
| メールアドレスの横 |
広告・宣伝のメールの送信はお断りします。 |
文は短く、誰に向けた窓口かがひと目で分かるように書きます。「ご遠慮ください」より「お受けしておりません」のほうが、方針がはっきり伝わります。
メールアドレスの横に書く文には、法律上の意味があります。特定電子メール法は、営利の団体などが広告や宣伝のために送るメールを、あらかじめ同意した相手にだけ送ることを原則にしています(第3条第1項)。同意がなくても送れる例外の1つが「自分のメールアドレスをインターネットで公表している団体など」です。ただし、施行規則第3条で、アドレスと一緒に送らないでほしいという文言を公表しているときは、この例外に当たらないと定められています。
届いた営業メールを止めたいとき
特定電子メール法の決まりと、届いた営業メールを止めたいときの手順作成: 編集部 / もとの資料: 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律・同法施行規則・同法第二条第一号の通信方式を定める省令
| 決まり |
中身 |
条文 |
| 同意が原則 |
あらかじめ同意した相手にだけ送れる |
法 第3条第1項 |
| 同意がなくても送れる例 |
取引関係にある相手、アドレスをインターネットで公表している団体など |
法 第3条第1項 |
| 公表アドレスの例外の外れ |
公表したアドレスと一緒に送らないでほしい文言を置くと、同意なしでは送れない |
施行規則 第3条 |
| 止めてほしいと伝えたら |
その意思に反して送ってはいけない |
法 第3条第3項 |
| 送り手が表示すること |
送り手の名前、受信拒否を受け付ける連絡先など |
法 第4条 |
すでに届いている営業メールを止めたいときは、次の順に進めます。
- 表示を見る: メールに、送り手の名前と、受信拒否を受け付ける連絡先が書かれているかを確かめます。
- 受信拒否を伝える: 書かれた連絡先に、今後送らないでほしいと伝えます。法第3条第3項により、送り手はその意思に反して送ることができません。
- 記録を残す: いつ、どの会社に、どの方法で伝えたかを残します。
届いた連絡の仕分けの流れ
方針を書いても、営業の連絡がゼロになるわけではありません。届いたときの流れを決めておくと、担当者が替わっても扱いがそろいます。
- 入口ごとに受ける人を決める: フォームの通知とメールアドレスを、誰が毎日見るかを決めます。休みの日の代わりも決めます。
- 3つに分ける: お客さまの問い合わせ、取引先からの連絡、営業の連絡に分けます。迷うものは、お客さまの問い合わせとして扱います。
- 営業の連絡は方針どおりに: 受け付ける方針なら担当の部署へ回し、お断りする方針なら定型の文で一度だけ返すか、返さずに記録します。
- 記録を残す: 会社名、届いた日、入口、対応を一覧に残します。同じ会社から何度も届くかが分かります。
断りの返信は、相手の会社名を入れて、ていねいに短く書きます。理由をくわしく書く必要はありません。
フォームから届く営業の連絡
この法律でいう「電子メール」は、総務省令で、SMTPという方式を使う通信と、電話番号で送る通信(SMS)と定められています。問い合わせフォームからの送信はWebの画面への入力で、仕組みが違います。フォームからの営業の連絡に法律がどう当てはまるかの個別の判断は、弁護士に確かめてください。
フォームでは、注意書きに書いた方針がいちばんの手がかりになります。フォーム営業のツールの中には、注意書きを読んで送らない作りのものもあります。たとえば、ミラクシード株式会社の「うちの新規開拓係 フォーム担当」は、公式サイトで次のように説明しています(2026年10月23日時点)。
- ページの本文だけでなく、フォームのまわりの注意書きまで読み、営業お断りの記載がある会社には送らない。判断に迷うときも、送らずに確認へ回す。
- 認証(CAPTCHA)は解かず、利用者の確認に回す。ブラウザの偽装やIPアドレスの切り替えはしない。
- 送る前に、送信先と文面を利用者の画面に出す。送信は利用者の会社のブラウザと回線から行う。
- 同じ会社へは90日あけ、送る回数は3回までにしている(どちらも利用者が設定で変えられる)。
- 送り先から送信の停止を求められた場合、運営会社がその会社を送信の対象から外すことがあると、利用規約に書いている。
つまり、フォームに方針をはっきり書いておくことは、こうしたツールで送られる営業を減らすことにもつながります。
送る側に立つときに守ること
営業事務として、自社の営業の連絡を送る側に立つこともあります。そのときは、受け取る側で決めたことを裏返して守ります。
フォームを使った営業の進め方と、手作業・代行・自動化ツールの違いは、サービス・システム大全のフォーム営業とはにまとめています。ビジネスメールの基本はビジネスメールの書き方を参考にしてください。
今日からできること
- 自社の問い合わせフォームとメールアドレスの近くに、営業の連絡の扱いが書かれているかを確かめる。
- 営業の連絡を「受け付ける」「窓口を分ける」「お断りする」のどれにするかを、関係する部署と決める。
- 決めた方針の文を、フォームの上・送信ボタンの近く・メールアドレスの横に書く。
- 止めたい営業メールが届いたら、受信拒否を伝え、記録を残す手順を総務の手引きに足す。
この記事で例に挙げた「うちの新規開拓係 フォーム担当」の運営会社(ミラクシード株式会社)は、編集部と付き合いのある会社です。