「源泉徴収票はいつもらえますか」と聞かれたら、答えは相手によって2つに分かれます。年の途中で退職した人には、退職の日から1か月以内です。12月まで在籍した人には翌年1月31日までで、2026年分は1月31日が日曜日のため、2027年2月1日(月)までになります1。
再発行には法律の期限がなく、電子で渡すには本人の承諾が要ります。この2つは、問い合わせが来る前に社内で決めておけることです。
渡す期限は、退職した人と在籍している人で違う
源泉徴収票を本人に渡す期限(2026年分)作成: 編集部 / 出典: 国税庁
所得税法の決まりは「翌年1月31日まで、年の途中で退職した人は退職の日以後1か月以内」です2。だから、11月15日に退職した人なら12月15日が期限です(編集部の例)。
月末締めの翌月払いだと、最後の給与の支払いを待つうちに残りの日数が少なくなります。退職の面談で最終の給与日と送り先の住所を聞き、いつごろ届くかまで伝えておくと、問い合わせそのものが減るはずです。
渡す相手は全員です。税務署へ出す票には金額などの範囲がありますが、本人の分はその範囲にかかわらず作ります。パートやアルバイトも、国内に住所がある外国人の従業員も同じです1。
退職した人の票で書き漏らしやすいのは、「中途就・退職」の欄でしょう。「退職」に○を付け、年月日には退職の日を入れます。扶養の欄も、扶養控除等申告書の内容に沿って記入してください1。年の途中で辞めた人の票は年末調整の前の金額なので、税が多めに引かれたままのこともあります。そのことを一言添えて渡すと、受け取った人が次にすることを迷いません。
退職金を払ったなら、給与の票とは別に「退職所得の源泉徴収票」も退職の日から1か月以内に渡します2。給与の票だけを送って終わりにしないよう、退職者の一覧に2枚分の欄を作っておくと抜けません。期限までに渡さなかった場合は、法律では1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です3。
2027年1月から変わるのは、税務署への提出のほうです。市区町村に給与支払報告書を出せば、税務署にも出したものとみなされます。ただ、本人へ渡す分は、これまでどおり全員分が必要です4。
中途入社の人に頼まれたら、どの票かを先に聞く
送った日と方法は、その場で記録しておくイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
転職してきた人が「源泉徴収票」と言うとき、指しているものは2つ考えられます。前の会社の票のことなら、出すのは前の会社で、自社は受け取る側です。頼み方の文例は中途入社の年末調整の記事で確認できます。
自社の今年分のことなら、渡せるのは1年分の給与が固まる年末調整のあとです。ただ、住宅ローンや保育園の手続きで急に必要と言われることもあります。そのときは、前年分の票や給与明細、市区町村の所得証明書で代えられないか、提出先に聞いてもらいましょう。
再発行は会社が受ける。法律に期限はない
11月から1月は、転職先の年末調整や確定申告の準備で、前の会社の票が必要になる時期です。国税庁は、なくした票の再発行は本人が勤務先に頼むものと案内しています。税務署の「源泉徴収票不交付の届出」は、再発行の手続きには使えません5。つまり、頼める相手は実質的に会社だけです。
所得税法を読むかぎり、再発行の期限や書式の定めは見当たらないので、窓口と届くまでの日数は社内で決めておけます。依頼が来たら、次の順に進めてください。
- 一度渡したかを、送付の記録で確認する。
- 本人かどうかを、在籍時の社員番号や生年月日で確認する。
- どの年の分かを聞く。退職金があった年なら、退職所得の票も要るか聞く。
- 給与システムや控えから、同じ内容で出力する。
- マイナンバーが載っていないかを見る。本人に渡す票には載せません1。
- 今の住所かメールアドレスを聞いて送り、送った日を記録する。
1で「まだ渡していなかった」とわかったら、話は再発行ではなくなります。期限を過ぎているなら、すぐに渡してください。本人が頼んでも受け取れないときは、税務署に不交付の届出書を出せます5。
前に渡した票と金額が変わるときも、再発行では済みません。税務署へ出した分があれば、無効分と訂正分を出し直します1。年末調整をやり直す場合の流れは、再調整の記事が参考になります。
電子で渡すなら、承諾と紙の請求に備える
源泉徴収票を電子で渡すときの進め方作成: 編集部 / 出典: 国税庁
メールやPDF、社内の閲覧画面で渡す方法は認められています。前もって方法を示して本人の承諾をもらえば、紙を渡したものとみなされる仕組みです2。
承諾の取り方には、使いやすい決まりがあります。給与所得の源泉徴収票なら、「期限までに回答がなければ承諾したものとみなす」と通知する形が使えます。ですが、退職所得の源泉徴収票にはこの形が使えないので、回答をもらう必要があります6。
承諾の後でも、本人が紙を求めたら紙で渡します。請求はメールでも書面でも構いません6。正当な理由なく断ると、罰則の対象です3。
Webの給与明細に同意している社員でも、源泉徴収票まで同意しているとは限りません。承諾の際に示す内容には書類の名前も入るので、同意の文面を一度見直してみてください6。
気をつけたいのは、退職する人です。社内の閲覧画面で渡す会社では、退職してログインできなくなると票を見られなくなるおそれがあります(編集部の見立て)。最終出社の前にPDFを保存してもらうか、メールや紙に切り替えると、あとの再発行の依頼も減らせます。
渡す前に確認すること
- 退職の日から1か月後の日付を、退職者の一覧に書いた。
- 最終の給与日と送り先の住所を、退職の面談で聞いた。
- 退職金があれば、退職所得の票も作った。
- 本人に渡す票に、マイナンバーが載っていない。
- 電子で渡す人の承諾に、源泉徴収票が含まれている。
- 退職する人には、ログインなしで受け取れる方法を用意した。
- 再発行の窓口と、届くまでの日数を決めた。
- 渡した日と方法を記録した。
期限と様式は、2026年11月4日に確認した令和8年分の手引のものです。