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基礎控除申告書の書き方 配偶者の年収136万円と169万円の境目

配偶者の控除は年収ではなく所得の見積額で決まり、給与だけなら136万円、169万円、207万円が境目です。1枚の申告書を埋める順番と、見積もりが外れたときの直し方が分かれば、従業員の質問にその場で数字を返せます。

公開 更新 約8分執筆・監修:佐々木 航人が監修しながらAIを活用して執筆
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基礎控除申告書の書き方 配偶者の年収136万円と169万円の境目

この記事でわかること

  • 配偶者の年収136万円までは配偶者控除、207万円までは配偶者特別控除の対象になる。
  • 170万円なら見積額は96万円。控除は38万円から36万円に減るが、なくならない。
  • 給与850万円超で23歳未満の扶養親族がいれば、所得金額調整控除のあとの額で区分を選ぶ。
  • 見積もりが外れても、源泉徴収票を渡す翌年1月末日までなら会社でやり直せる。
対象人事実務

配偶者の年収が170万円になりそうなら、申告書の見積額の欄に書くのは96万円です。本人の所得が900万円以下であれば、控除は38万円から36万円に下がるだけで、なくなるわけではありません。

年末調整の書類を配ると、配偶者のパートの年収が境目を超えそう、という相談が増えますよね。答えは全部、この1枚の書き方の中にあります。

1枚に4つの申告書、多くの人は上の2つだけ

様式の正式な名前は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」。ずいぶん長いですが、右上の札は「基・配・特・所」で、今年の用紙には「令和8年12月年末調整用」の印があります。

全員が全部の欄を書くわけではありません。本人の見積額が1,000万円以下で、配偶者の見積額が133万円以下なら、基礎控除、配偶者控除等の順に書きます。それ以外の人は基礎控除の欄で終わり。

特定親族特別控除と所得金額調整控除は、当てはまる人が書き足します。出してもらう期限は、その年の最後の給与を受け取る日の前日です。1

順番を1枚の図にまとめました。

図解。令和8年分の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書を様式の並びで描き直し、記入の順番を番号で示した図。例は編集部の例で、本人の給与1,100万円、配偶者の給与170万円、14歳の子が1人。手順1は用紙のいちばん下の所得金額調整控除申告書で、給与850万円超の人が最初に見る。要件は本人が特別障害者、同一生計配偶者が特別障害者、扶養親族が特別障害者、扶養親族が年齢23歳未満(平成16年1月2日以後生)。控除額は(1,000万円−850万円)×10%で15万円、15万円が上限、金額を書く欄はなく会社が計算する。手順2は本人の見積額で、収入金額1,100万円、給与所得905万円から15万円を引いた890万円を書く。手順3は判定で、489万円以下は基礎控除104万円で区分A、489万円超655万円以下は67万円で区分A、655万円超900万円以下は62万円で区分A、900万円超950万円以下は62万円で区分B、950万円超1,000万円以下は62万円で区分C、1,000万円超2,350万円以下は62万円で区分なし、2,350万円超2,400万円以下は48万円、2,400万円超2,450万円以下は32万円、2,450万円超2,500万円以下は16万円。例は区分A、基礎控除の額62万円。手順4は配偶者の氏名、個人番号、生年月日で、本人の見積額1,000万円以下で配偶者の見積額133万円以下の人だけが書く。手順5は配偶者の見積額で、収入金額170万円から74万円を引いた所得96万円。手順6は判定で、62万円以下かつ70歳以上が区分①、62万円以下かつ70歳未満が②、62万円超95万円以下が③、95万円超133万円以下が④。例は④。手順7は控除額の表で区分Aと④の95万円超100万円以下が交わるマスの36万円を配偶者特別控除の額に書く。①と②は配偶者控除の額の欄に書く。手順8は特定親族特別控除申告書で、当てはまる人だけ書く。下に給与所得の計算表。741,000円以上2,190,999円以下は収入から740,000円を引く。2,191,000円以上2,192,999円以下は1,451,000円、2,193,000円以上2,195,999円以下は1,453,000円、2,196,000円以上2,199,999円以下は1,456,000円。2,200,000円以上3,599,999円以下は収入を4で割り千円未満を切り捨て2.8を掛けて80,000円を引く。3,600,000円以上6,599,999円以下は収入を4で割り千円未満を切り捨て3.2を掛けて440,000円を引く。6,600,000円以上8,499,999円以下は収入の90%から1,100,000円を引く。8,500,000円以上は収入から1,950,000円を引く。まとめは、所得金額調整控除の欄は用紙のいちばん下にあるが、本人の見積額に書くのは控除したあとの額。
基礎控除申告書を様式の並びに沿って埋める順番。例は給与1,100万円の本人と給与170万円の配偶者作成: 編集部 / 出典: 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた・申告書の様式と記載例

本人の欄が先なのは、配偶者の控除額が2人の所得の組み合わせで決まるからです。本人の見積額から基礎控除の額と区分Ⅰが、配偶者の見積額から区分Ⅱが決まり、2つが交わるマスが控除額になります。だから「配偶者の欄だけ書けばいいですか」と聞かれても、まず左上から埋めてもらいます。

ただ、去年の控えは写せません。本人の所得が400万円なら、基礎控除は去年の68万円から今年は104万円に上がりました。2改正の全体は年末調整2026の段取りで説明しています。

見積額は、支給日が今年の分で考える

明るいオフィスで、紺のカーディガンの女性が席に座ったまま横を向き、そばに立つベージュのブラウスの同僚と話している。同僚は白紙の紙を1枚持っている。手前に観葉植物と低い棚がある。紙にも画面にも文字はない。
年収が境目を超えそうな人からの質問は、この時期の担当者の机に届くイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)

書くのは、年末調整をする時点で見込む、1月1日から12月31日までの1年分の所得です。3配偶者がパートなら、次の順に出してもらいます。

  1. 1月から今までの給与明細で、支給された額を足す。
  2. 12月までに支給される給与と賞与の見込みを足す。
  3. 出た年収から74万円を引く。

たとえば編集部の例で、1月から10月の支給が142万円、11月と12月に14万円ずつ受け取る見込みなら、年収は170万円。74万円を引いた96万円が見積額です。

どの給与を入れるかで迷ったら、決め手は働いた月ではなく支給日です。12月に働いた分を翌年1月に受け取るなら、来年の収入に入ります。4勤め先が2か所あれば合計します。結婚した年も、結婚前に受け取った給与まで入れた1年分です。

反対に、入れない収入もあります。非課税の通勤手当のほか、求職者給付や育児休業給付金、出産手当金には税がかからないので、判定の所得に含めません。5産休や育休で年の途中から給与が減った配偶者なら、受け取った給与の分だけで計算すればいいのです。

所得金額の欄に年収のまま書く間違いの見つけ方は、扶養控除等申告書の書き方で詳しく説明しています。

136万円は名前が変わるだけ、額が動くのは169万円から

境目は3か所あります。

図解。配偶者の収入が給与だけの場合の令和8年分の所得税の控除額。流れは、1月から12月に支給日が来る給与の合計である年収から74万円を引いて見積額の所得を出し、区分Ⅱと本人の区分Ⅰを掛け合わせて控除額が決まる。表は年収、所得、区分Ⅱ、区分A、B、Cの順に、136万円以下は所得62万円以下で区分②、38万円、26万円、13万円。136万円超169万円以下は62万円超95万円以下で区分③、38万円、26万円、13万円。169万円超174万円以下は95万円超100万円以下で④、36万円、24万円、12万円。174万円超179万円以下は100万円超105万円以下で31万円、21万円、11万円。179万円超184万円以下は105万円超110万円以下で26万円、18万円、9万円。184万円超189万円以下は110万円超115万円以下で21万円、14万円、7万円。189万円超194万円以下は115万円超120万円以下で16万円、11万円、6万円。194万円超199万円以下は120万円超125万円以下で11万円、8万円、4万円。199万円超204万円以下は125万円超130万円以下で6万円、4万円、2万円。204万円超207万円以下は130万円超133万円以下で3万円、2万円、1万円。207万円超は控除なし。本人の区分Ⅰは、Aが所得900万円以下で給与だけなら1,095万円以下、Bが900万円超950万円以下で1,095万円超1,145万円以下、Cが950万円超1,000万円以下で1,145万円超1,195万円以下、1,000万円超は控除を受けられない。所得金額調整控除があれば給与の額に15万円を足す。70歳以上の配偶者で所得62万円以下はA 48万円、B 32万円、C 16万円。収入が公的年金だけの配偶者は、65歳以上で172万円以下が配偶者控除、243万円以下が配偶者特別控除、65歳未満で122万円以下が配偶者控除、214万1円以下が配偶者特別控除。
配偶者の年収から見積額、区分Ⅱ、控除額が決まるまで。136万円、169万円、207万円が境目作成: 編集部 / 出典: 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた

136万円を超えると、控除の名前が配偶者控除から配偶者特別控除に変わります。チェックする欄も区分②から③に移りますが、額は同じ38万円です。実際に下がるのは169万円を超えてから。そこから先は所得5万円ごとの階段になります。6

「170万円になると損ですか」と聞かれたら、差を数字で返せます。表は、本人の税率を10%とした編集部の例で計算しました。

配偶者の年収 見積額に書く所得 控除額(区分A) 38万円との差 本人の所得税の増加
136万円 62万円 38万円 なし なし
170万円 96万円 36万円 2万円 2,000円
180万円 106万円 26万円 12万円 1万2,000円
208万円 134万円 0円 38万円 3万8,000円

まず170万円の行を見てください。境目を1つ超えても、この例で増える税は2,000円。崖に見える線も、税だけを見れば階段の1段です。表に復興特別所得税と住民税は入れていないので、目安として伝えてください。

もっとも、本人の所得が900万円を超えると、同じ階段でも額は小さくなります。区分BかCの列を読み、1,000万円を超えたら配偶者の欄は書きません。給与だけの人なら1,195万円が目安です。

税と社会保険は線が別です。130万円の話を聞かれたら、税の扶養と社会保険の扶養の違いを見てもらうと早いでしょう。配偶者手当の基準は、会社ごとの給与規程で決まります。

給与850万円超の人は、いちばん下の欄が上に効く

所得金額調整控除は、給与が850万円を超え、次のどれかに当たる人が年末調整で受けられます。本人が特別障害者、同一生計配偶者か扶養親族が特別障害者、または23歳未満の扶養親族がいる場合。控除額は給与から850万円を引いた額の10%で、15万円が上限です。7

16歳未満の子も「23歳未満の扶養親族」に入る点は、見落としがちです。扶養控除の対象にならない子でも、要件は満たします。夫婦とも給与が850万円を超えていれば、同じ子について2人とも受けられるのも、扶養控除との違いです。8

計算するのは会社です。ただ、本人の見積額には控除したあとの額を書きます。つまり用紙のいちばん下の欄が、いちばん上の数字を動かします。

図の例で見ると、差がはっきりします。給与1,100万円の人の給与所得は905万円で、このままなら区分B。配偶者の年収が170万円なら控除は24万円。14歳の子がいて15万円を引けると890万円になり、区分Aで36万円に変わります。同じ家族で、控除が12万円違ってきます。

給与が850万円を超えるか分からない人にも、書いて出してもらってかまいません。超えなければ適用されないだけです。8なお、給与と年金の両方がある人向けの所得金額調整控除は別の種類で、年末調整では受けられず、確定申告になります。9

共働きと言葉の違いを聞かれたら

夫婦で互いに配偶者特別控除を使えるか、と聞かれたら、答えは「使えません」です。2人とも所得が62万円を超えて133万円以下でも、控除できるのはどちらか一方だけ。10

扶養控除等申告書の配偶者の欄に書いていないから無理では、という質問もあります。年末調整の配偶者の控除は、その欄に書いてあるかどうかに関係なく、この1枚で申告します。逆に欄に書いてあっても、この1枚を出さなければ控除はありません。11

似た言葉が3つあって、紛らわしいですよね。

言葉 配偶者の所得 本人の所得 使う場面
同一生計配偶者 62万円以下 問わない 障害者控除、所得金額調整控除の要件
控除対象配偶者 62万円以下 1,000万円以下 年末調整の配偶者控除
源泉控除対象配偶者 95万円以下 900万円以下 毎月の源泉徴収で数える人数

いちばん下の行だけ、使う場面が毎月の給与です。年末調整の控除額を決める言葉ではないと分けて話すと、説明が短くなります。12

見積もりが外れたら、1月末までの手順で直す

賞与が思ったより多かった、12月のシフトが増えた。見積もりはそんな理由で外れます。控除額が変わるときは、次の順に直します。

  1. 配偶者の12月の給与明細か源泉徴収票で、1年分の収入を確認してもらう。
  2. 所得に直し、区分Ⅱと控除額を見直す。
  3. 額が変わるなら、申告書を訂正してもらう。
  4. 会社が年末調整をやり直す。

やり直しの期限は、源泉徴収票を渡す翌年1月末日です。2027年は1月31日が日曜日なので、交付の期限は2月1日になります。13過ぎたら本人が確定申告で直します。14配偶者の勤め先の交付期限も同じなので、源泉徴収票を待つと間に合わないことも。12月の給与明細が出た時点で足してもらうほうが確実です。

申告書を配るときに、次の案内を添えておくと、質問も出し直しも減らせます。

ここまでの年収の数字は、令和8年分と9年分のものです。令和10年分は給与所得控除が変わるので、年収に直した線も変わります。15

「170万円なら、控除は2万円減ります」と数字で言えると、説明はその場で終わります。案内文と表を手順書に残しておけば、来年の担当者にもそのまま引き継げます。

2026年11月1日に、国税庁の資料で確認した令和8年分の内容です。個別の判断に迷ったら、税理士か所轄の税務署に相談してください。

注

  1. 申告書の裏面「各申告書の記載に当たってのご注意」 ↩

  2. 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」3ページ、タックスアンサーNo.1199、所得税法第86条 ↩

  3. 「年末調整のしかた」9ページ、タックスアンサーNo.1191 ↩

  4. 国税庁「令和8年分 年末調整Q&A」問2 ↩

  5. タックスアンサーNo.1191のQ&A(Q4からQ6)、No.2582 ↩

  6. 「年末調整のしかた」17〜18、55ページ、所得税法第83条、第83条の2 ↩

  7. タックスアンサーNo.1411、No.2676、租税特別措置法第41条の3の11 ↩

  8. 「年末調整Q&A」問6、問7、問11 ↩ ↩2

  9. タックスアンサーNo.2676の(注3) ↩

  10. 「年末調整のしかた」18ページ ↩

  11. 「年末調整のしかた」9ページの(注)1 ↩

  12. 「年末調整のしかた」17、44ページ ↩

  13. 「年末調整のしかた」43ページ、国税庁「令和8年分 年末調整についてのお知らせ」 ↩

  14. 「年末調整Q&A」問12、確定申告書等作成コーナー ↩

  15. 「年末調整のしかた」3ページ ↩

出典・参考

この記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆しました。執筆と監修は佐々木 航が担当し、公開した後も人が内容を確認しています。

執筆・監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

記事の中身の責任は編集部(執筆・監修者)が負い、AIは調べものと下書きの道具として使っています。くわしくはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら更新日を改め、記事の最後に何を直したかを書きます。

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