事務の人にも、ITパスポートは役立ちます。ITを使って働く社会人すべてが対象の国家試験で、情報セキュリティや法務、会計まで範囲に入るからです。合格者への調査では、総学習時間は「50〜100時間未満」がいちばん多く、平日は30分から1時間ほどの学習が最多でした1。受験料は7,500円で、日時と会場は自分で選べます2。
ただ、いま申し込むなら日程に注意が必要です。システムの入れ替えのため、試験は2026年12月28日から一時休止し、再開は2027年1月下旬の予定です3。
事務の仕事で役立つ場面
IPAのページも、事務職や営業職には関係ないという思い込みに触れたうえで、システムを使う側の社員にこそ基礎知識が要ると説明しています4。実際、令和7年度の社会人の応募者は、IT系企業が40,715人で、非IT系企業は179,995人と4倍以上です。業務別では、総務・人事の人が16,266人応募しています5。
事務の仕事に当てはめると、次のような場面で効いてきます(編集部の見立て)。
- 怪しいメールや添付ファイルに気づき、情シスに報告できる
- 顧客や社員の個人情報、著作権の扱いで迷ったときの土台になる
- システムの入れ替えやクラウドの導入で、担当者の説明についていける
- 決算書の読み方や損益分岐点など、会社のお金の話に慣れる
- 生成AIを仕事で使うときの、基本の用語と注意点がわかる
合格した人に聞くと、「合格できたことで自信がついた」が1,450件で最も多く、「デジタル技術に関する会話や資料の理解がしやすくなった」が1,042件、「業務システムやデジタルツールの理解・操作に役立った」が701件と続きます。「社内評価の材料になった」は621件、「就職・転職活動、進学でのアピール材料になった」は505件です1。
回答は3,297件なので、社内評価の材料になった人は2割弱、転職や進学の材料になった人は1割半ほどです(編集部の計算)。「特にない」も290件ありました1。合格すれば転職が決まる、という資格ではありません。仕事の言葉がわかるようになる試験、と考えると期待と合いやすいはずです。
試験の範囲は、3つの分野
試験は120分で100問、4つの選択肢から選ぶ形です。ストラテジ系(経営全般)が35問程度、マネジメント系(IT管理)が20問程度、テクノロジ系(IT技術)が45問程度出ます2。
ITパスポート試験の3つの分野と、事務の仕事とのつながり作成: 編集部 / 出典: 情報処理推進機構
合格には、総合で1,000点満点の600点以上に加えて、3分野それぞれで300点以上が必要です2。苦手な分野を丸ごと捨てると、ほかが高くても不合格になるので、テクノロジ系が苦手な人ほど早めに手をつけましょう。令和7年度の合格率は48.6%でした5。
パソコンの操作を問う試験ではないので、Excelが速くなるわけではありません4。
勉強時間は、なじみの度合いで見込む
IPAが2026年10月に公表した調査では、合格者の総学習時間は「50〜100時間未満」が1,023件で最多です。100時間未満の人が70.9%を占めました1。
ITパスポート合格者の総学習時間(回答3,297件)作成: 編集部 / 出典: 情報処理推進機構
IT苦手の人が見たいのは、受験前のなじみの度合いごとの数字でしょう。100時間未満で合格した人の割合を足すと、「仕事でデジタルツールや業務システムを継続的に使っていた」人は75.3%、「日常的なPCやスマートフォンの利用が中心だった」人は64.7%、「ほとんどなじみがなかった」人は54.1%です。なじみがなかった人では、150時間以上かけた人も30.4%いました(編集部の計算)1。
だから、ふだんスマホとメールが中心なら80時間、ほとんどなじみがないなら150時間くらいを見込んでおくと、途中で焦らずに済みます(編集部の見立て)。平日に45分、休日に1時間半ずつ勉強すると週に6時間45分で、80時間なら約12週間です(編集部の計算)。
学習期間は「1カ月〜2カ月未満」が最多で、3か月未満が66.6%でした。使った教材は、市販の参考書や問題集が2,671件で最も多く、スマートフォンアプリが1,291件で続きます。IPAの公開問題やシラバスを使った人も643件いました1。過去問題はiパスのサイトで公開されているので、参考書を買う前に1回分解いて、今の実力を見ておくのもおすすめです。
なお、調査に答えたのは合格者のうち、メールの案内を受け取ることに同意していた人です。不合格だった人の時間は入っていないので、目安として見てください1。
平日は30分から1時間ほどの学習がいちばん多い(イメージ)イラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
申し込みから受験までの流れ
受験資格はありません6。申し込みはiパスのサイトで、次の順に進みます2。
- メールアドレスを用意して利用者IDを登録する
- ログインして地域、会場、試験日、開始時間を選ぶ
- 7,500円(税込)をクレジットカード、コンビニ、バウチャーのどれかで払う
- 利用者メニューから確認票をダウンロードして印刷する
- 当日は確認票と、顔写真付きの本人確認書類の原本を持って会場へ行く
- 試験後に画面で結果を見て、翌月以降の合格発表を待つ
受験票は郵送されません。コンビニ払いは187円の手数料がかかり、予約できるのは申し込みの5日後からです。クレジットカードなら翌日か翌々日から予約できます2。時計は腕時計も持ち込めず、残り時間は画面に出ます。メモ用紙とシャープペンシルは会場で渡されます6。
試験の画面に出る結果がよくても、その時点では合格ではありません。合格は月ごとに発表されます6。
会社によっては、受験料の補助や合格の報奨金があります。調査でも、一時金や報奨金、手当等の支給をきっかけに挙げた人が514件いました1。申し込む前に、人事や総務に聞いてみましょう。
いま受けるなら、休止と新制度に注意
IPAは2026年11月5日、次の予定を公表しました3。
| 時期 |
予定 |
| 2026年12月27日まで |
年内の試験。会場によってはこの日まで実施しない |
| 2026年12月28日から |
試験の一時休止 |
| 2027年1月中旬以降 |
申し込みの受付を再開 |
| 2027年1月下旬 |
試験の再開 |
年内に申し込んだ分は、12月27日までに受けなければなりません。再開後の日に変えることはできず、受けられなくても受験料は返ってきません。年末の席が埋まる前に、会場の空きを見ておきましょう3。
もう1つ、2027年度の春ごろから新しい試験制度に移る予定です。ITパスポートは120分100問のままですが、出題の分野が「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に組み替えられ、データマネジメントの基礎などが加わります7。シラバスは案の段階で、変わる可能性があります。
これから勉強を始めるなら、受ける時期を先に決めて、教材がどちらの制度に対応しているかを見て選びましょう。今の参考書で進めるなら今の制度のうちに、春以降に受けるなら新制度に対応した版を待つほうが無駄がありません(編集部の見立て)。
事務で取れる資格をほかと比べたい人は、事務職の資格を合格率で比べる 簿記、FP、宅建など8つと選び方も合わせて読んでみてください。
申し込む前に確認すること
- 受ける時期は年内か、1月下旬以降か
- 年内なら、12月27日までの会場に空きがあるか
- 教材は、受ける時期の制度に対応しているか
- 週に何時間とれるかを出し、必要な週数を計算したか
- 受験料の補助や報奨金が会社にあるか
- 顔写真付きの本人確認書類の期限は切れていないか
この記事の内容は、2026年11月5日時点の情報処理推進機構(IPA)の資料にもとづいています。休止と新制度の予定は変わることがあるので、申し込む前にiパスのサイトを確認してください。