事務の仕事に近い8つの資格を公式の合格率で並べると、FP3級の学科は8割台、第二種衛生管理者とITパスポートは5割弱、簿記2級のネット試験は3割台、宅建は2割弱、社労士は1割弱です。
ただ、合格率は難しさそのものではありません。受験の条件も、受ける人の顔ぶれも違うからです。来年の目標は、数字を見たうえで、次に任されたい仕事から選ぶと決めやすくなります。
8つの資格を合格率で並べると
8つの資格の公式の合格率(高い順)作成: 編集部 / 出典: 日本FP協会ほか
集計の時期は、試験ごとに違います。FPは日本FP協会の2026年4月から8月のCBT試験の数字で、実技の合格率は3級が83.3%、2級が56.7%です1。金融財政事情研究会も同じ検定を実施していますが、ここには入れていません。第二種衛生管理者、ITパスポート、宅建は、いずれも令和7年度の数字です2。
簿記は、受け方で数字が変わります。2級はネット試験が2025年度で32.9%、2026年6月の統一試験は15.1%でした。統一試験は回ごとの振れも大きく、この1年の3回でも15.1%から23.6%まで動いています。3級はネット試験が40.8%、統一試験が33.8%です3。社労士も年によって動き、2026年は9.3%、前年は5.5%でした4。
勉強時間は図に入れていません。公式の数字がなく、講座ごとの目安も前提がそろわないからです。
合格率の高低だけでは選べない理由
日を選べる試験なら、忙しい月を避けて計画できるイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
受験の条件を見ると、受ける人の違いが見えてきます5。
| 資格 |
受験の条件 |
受けられる時期 |
| 簿記3級・2級 |
学歴や年齢を問わない |
ネット試験は会場が設定した日。統一試験は2月、6月、11月 |
| FP3級・2級 |
2級は3級の合格など |
休止期間を除き随時 |
| ITパスポート |
職業人とこれから職業人になる人が対象 |
随時 |
| 第二種衛生管理者 |
大学卒は1年以上、高校卒は3年以上の労働衛生の実務など |
全国の安全衛生技術センターで実施 |
| 宅建 |
国内に住む人なら誰でも |
年1回、10月の第3日曜日 |
| 社労士 |
大学卒など、または3年以上の実務など |
年1回、8月 |
第二種衛生管理者と社労士は、条件を満たした人が受ける試験です。だから、合格率が高いほうが易しいとは言えません。宅建と社労士の数字も、試験の範囲や受ける人が違うので、単純には比べられないのです。
合格の決まり方にも違いがあります。FP3級の学科は60点満点で36点以上と決まっています5。一方の宅建は、合格の基準点が令和6年度は37点、令和7年度は33点と動いたのに、合格率はどちらも18%台でした2。点数の取りやすさと合格率が、いつも同じ向きに動くわけではありません。
見比べるなら、むしろ受けられる時期のほうが役に立ちます。簿記のネット試験やFP、ITパスポートは自分で日を選べるので、繁忙期を避けられます。宅建と社労士は年に1回なので、逃すと次は1年後です。
資格は、次に任されたい仕事から選ぶ
任されたい仕事から選ぶ資格の例(編集部の見立て)作成: 編集部 / 出典: 日本FP協会ほか
経理で決算まで関わりたいなら、簿記が素直な選択です。3級で仕訳と帳簿の基礎を押さえてから、商業簿記と工業簿記を学ぶ2級へ進むと、月次や決算の数字の意味がつかみやすくなります。
総務や人事で職場の健康と安全を担いたいなら、第二種衛生管理者が候補です。常時50人以上の事業場には衛生管理者の選任が必要なので、社内で頼まれることもある資格です。選任の決まりは安全衛生管理体制の記事で確認できます。ただし、第二種で選任できるのは、情報通信業や金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場です5。
労務を専門にしていきたいなら、社労士です。合格率は最も低く、年単位の計画になります。それでも、毎年の法改正や手続きの知識を、そのまま仕事に返せるのは大きな強みでしょう。大学卒などの条件がない人は、一般企業での労働社会保険の事務も実務に数えられる場合があります。ただ、短時間の勤務は対象外で、休職や休業の期間は年数から引かれるので、育休を挟んだ人は先に公式の案内で確認してください5。
税や社会保険に強くなりたい人には、FPが合います。年末調整や社会保険の質問に答える場面でも、自分のお金を考える場面でも使える知識です。日本FP協会の受検手数料は、学科と実技を合わせて3級が8,000円、2級が11,700円です5。社内のシステムやITの窓口で頼られたいなら、職業人に共通のITの基礎を問うITパスポートが入口になります5。
宅建は、不動産の分野に仕事を広げたい人向けです。オフィスの賃貸の契約を読む総務にも役立ちますが、これだけのために受けるには範囲が広いと編集部は見ています。
2027年の日程から逆算する
年内に決めておきたいのは、どの試験を来年のどこに置くかです。年に1回の試験は、日付が先に決まります。宅建は10月の第3日曜日という決まりなので、2027年なら10月17日の見込みです(編集部の計算)。社労士は2026年が8月23日でした。来年も夏の試験と見ておき、公式の発表を待ちましょう4。
簿記の統一試験は、申込みの受付が試験日の約2か月前で、日時も商工会議所ごとに違います。受けたい回の少し前に、地元の商工会議所の案内を見ておくと出遅れません5。
資格の勉強が久しぶりなら、日を選べる試験を先に1つ受けて、試験の感覚をつかむのも手です。FP3級かITパスポートで春までに一度受けると、夏や秋の試験へ進むかを、手応えをもとに決められます(編集部の例)。
申し込む前に確認すること
- 最新の合格率と試験日を、公式のページで見直した。
- 受験の条件に当てはまるかを確認した。
- 実務経験の証明が要るなら、誰に頼むかを決めた。
- 会社に資格取得の補助があるかを、人事に聞いた。
- 受ける日を決め、週に使える時間を書き出した。
- 合格したあと、職務経歴書のどの実績と並べて書くかを考えた。
勉強の進め方は資格の勉強計画の記事、実績の書き方は職務経歴書の記事と一緒に読めます。合格率と試験の条件は、2026年11月4日に各試験の公式ページで確認したものです。