転職すれば、お給料は上がるのでしょうか。
厚生労働省の雇用動向調査によると、2025年に転職した人のうち、前の勤め先と比べて賃金が増えた人は40.8%、変わらない人は25.5%、減った人は31.0%でした。1上がる人のほうが多いとはいえ、10人に3人は下がりました。
ただ、この割合は年代と男女でかなり動きます。20代後半から30代前半の女性なら、見ておきたい行がいくつかあります。
20代は半分が上がり、50代で逆になる
前の勤め先と比べて、賃金は増えたか減ったかイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
年代で分けると、20代は増えた人が5割前後います。20〜24歳は55.2%、25〜29歳は49.8%。30代と40代は40%台で、50〜54歳になると29.4%まで下がり、減った人の42.0%を下回ります。160〜64歳では、減った人が54.3%と半分を超えました。
男女で分けると、20代後半から30代前半で差が開きます。
年代・男女別、転職で賃金が増えた人と減った人の割合(2025年)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「令和7年雇用動向調査」
25〜29歳で増えた人は、女性43.3%、男性57.4%。30〜34歳では、減った人が女性38.5%、男性19.3%で、女性がほぼ2倍です。3同じ30代前半でも、男性は2人に1人以上が上がり、女性では上がった人と下がった人がほぼ並びます。
これは2025年だけの偶然でしょうか。2024年の同じ表では、減った人がとくに多かったのは25〜29歳の女性で34.8%、30〜34歳の女性は27.6%でした。5歳ごとの数字は、年によって動きます。それでも人数から計算して25〜34歳でまとめると、減った人は女性が2024年31.9%、2025年31.1%。男性は21.9%と20.6%で、2年続けて女性のほうが10ポイントほど高くなりました。4
フルタイムからパートへ移ると、7割が下がる
この調査では、パートタイム労働者以外の常用労働者を一般労働者といいます。ここではフルタイムと書きます。前の勤め先と今の勤め先の働き方で分けると、増減ははっきり分かれます。5
| 移り方(男女計) |
増えた |
変わらない |
減った |
| フルタイムからフルタイム |
42.0% |
25.0% |
31.5% |
| パートからパート |
39.0% |
34.2% |
21.8% |
| フルタイムからパート |
9.0% |
14.7% |
72.7% |
| パートからフルタイム |
76.3% |
12.5% |
8.4% |
パートからフルタイムに移った人は4人に3人が上がり、逆の移り方では7割が下がりました。働く時間が短くなれば、月の賃金も下がりやすくなります。
30〜34歳の女性では、フルタイムからパートに移った人が11.9%いました。同じ年代の男性は3.7%です。この年代の女性で下がった人を100とすると、そのうち25.2はこの移り方でした。4
30〜34歳の女性の転職、賃金の変わり幅と働き方の移り方(2025年)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「令和7年雇用動向調査」
ただ、それだけでは説明しきれません。フルタイムどうしの移動に絞っても、30〜34歳で下がった人は女性31.4%、男性19.9%です。3差の理由は、この調査からは分かりません。自分がどの移り方を考えているかで、見る行が変わります。
1割以上上がった人は28.2%
上がったといっても、幅は人それぞれですよね。答えの選択肢は、増えた幅と減った幅を1割と3割で区切ったものです。2025年は、1割以上増えた人が28.2%、1割以上減った人が21.9%でした。1月給25万円の人なら、1割は2万5,000円。転職した人の4人に1人あまりは、それ以上上がったことになります。
3割以上に絞ると、増えた人は9.0%、減った人は10.2%で、下がった人のほうが少し多くなります。3上がった人のうち3割以上上がったのは5人に1人ほどですが、下がった人では3人に1人が3割以上下がりました。4上がるときは1〜3割の幅がいちばん多く、下がるときのほうが大きく動きやすいのです。
増えた人が上回るのは2022年から
2019年から2025年までの7年を並べると、流れが変わったのは2022年です。61年に何人が転職しているかは、転職者数の推移の記事で年代別に見られます。
| 年 |
増えた |
変わらない |
減った |
| 2019年 |
34.2% |
27.9% |
35.9% |
| 2020年 |
34.9% |
28.4% |
35.9% |
| 2021年 |
34.6% |
29.0% |
35.2% |
| 2022年 |
34.9% |
29.1% |
33.9% |
| 2023年 |
37.2% |
28.8% |
32.4% |
| 2024年 |
40.5% |
28.4% |
29.4% |
| 2025年 |
40.8% |
25.5% |
31.0% |
2021年までは減った人のほうがわずかに多く、2022年に逆転しました。2025年の40.8%は7年でいちばん高い一方、減った人も前の年より1.6ポイント増えました。そのぶん少なくなったのが「変わらない」で、7年でいちばん低い25.5%でした。
別の調査も見ておきましょう。厚生労働省は転職者実態調査で、パートを除く転職者に、1か月あたりの賃金総額が前の勤め先と比べてどう変わったかを聞いています。2025年10月時点の結果は、増えた人42.2%、変わらない人20.9%、減った人36.0%でした。7上がった人が4割という点は同じです。
ただ、この調査では30〜34歳で減った人が女性28.5%、男性33.7%と、男女の並びが雇用動向調査と逆になります。調べ方も対象の人数も違うので、5歳ごとの男女差は、1つの調査の1年分だけで決めつけないほうがよさそうです。
自分の転職に数字を当てはめる手順
統計は、自分の行を選んでから読むと役に立ちます。内定の条件と並べるまでの手順です。
- 1枚目の図で、自分の年代と男女の行を見ます。
- 移り方の表で、今と次の働き方の組み合わせの行を見ます。
- 今の給与明細と賞与の明細から、月の総支給額と1年分の賞与を書き出します。
- 内定の労働条件通知書で、月給と賞与の決まりを確認します。
- 月給に固定残業代が入っているかを確認します。
- 月の額と年の額それぞれで、今との差を今の額で割ります。
差が1割を超えていれば、2025年に1割以上上がった28.2%の人と同じ側です。上がった4割に入るかどうかは、統計では決まりません。それでも、自分の数字を同じ物差しで並べておけば、条件の面談で希望の額を数字で話せます。在職中に進めるときの暦は、在職中の転職活動の記事にあります。
この記事の数字は、2026年10月31日に厚生労働省の公表資料とe-Statの統計表で確認しました。