転職すると決めたわけではない。でも、このままでいいのかとは思っている。そんなときは、国の窓口でキャリアコンサルタントに60分、無料で相談できます。
窓口の名前は「キャリア形成・リスキリング相談コーナー」。全国47か所のキャリア形成・リスキリング支援センターと全国のハローワークにあり、対面かオンラインかを選べます。働いている人も仕事を探している人も使えて、雇用形態は問いません。
ただ、働いている人の無料の面談は原則1回です。求人の紹介もありません。だから、どの窓口に行くかと、何を紙に書いて持っていくかで、60分の中身が変わってきます。
整理したいのか、仕事を探したいのか
分かれ道は、いま必要なのが考えの整理か、仕事探しかです。
なんとなく不安、今の会社に残るか迷っている、仕事と暮らしのバランスが気になる。こうした段階なら、相談コーナーで大丈夫です。公式サイトが挙げる「オススメ」の例にも、「今後のキャリアについてなんとなく不安がある」という項目があります。転職の相談に限った場所ではありません。
応募先まで一緒に探してほしいなら、ハローワークの職業相談です。在職中でも求職登録ができ、応募書類の添削や模擬面接も頼めます。
無料で相談できる国の窓口を、いま必要なことで選ぶ図(2026年10月時点)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「キャリア形成・リスキリング推進事業」ほか
| 窓口 |
使える人 |
申し込み方 |
回数 |
| キャリア形成・リスキリング相談コーナー |
働いている人と仕事を探している人。学生は対象外 |
公式サイトのフォームか相談コーナーへ |
1回60分。働いている人は原則1回 |
| ハローワークの職業相談 |
仕事を探している人。在職中も登録できる |
窓口か公式サイトで求職申込みをして、窓口へ |
上限の記載なし |
| マザーズハローワーク、マザーズコーナー |
子育てや介護と両立できる仕事を探す人。性別は問わない |
求職申込みをして窓口へ。予約なしでも使える |
担当者が続けて支援 |
| わかものハローワーク |
パートやアルバイトで働き、正社員を目指すおおむね35歳未満の人 |
窓口に問い合わせる |
担当者制で支援 |
| 地域若者サポートステーション |
15〜49歳で、今は仕事をしていない人や就学中でない人 |
電話かメールで予約 |
上限の記載なし |
表の窓口はどれも無料です。まず見るのは上の2行。どちらか迷うなら、相談コーナーで方向を整理してから、ハローワークで求人を見る順が使いやすいでしょう。
名前で見落としやすいのは、マザーズの行です。子育て中の女性だけの窓口に見えますが、案内では性別を問わず、子育てとの両立のために転職したい人や、介護と両立できる仕事を探す人も対象です。東京都の女性しごと応援テラスのように、結婚や出産、育児、介護から再就職を目指す人に向けた窓口を持つ自治体もあります。
悩みの中心が賃金の引き下げやパワハラ、雇止めといった職場のトラブルなら、行き先は総合労働相談コーナーです。予約はいらず、無料で、面談か電話で相談できます。
仕事のあとに受けるなら、支援センターへ
オンラインなら自宅から受けられる。手元には4行を書いた紙を1枚イラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
平日の昼に会社を抜けるのは難しいですよね。夜と週末の面談は、支援センターの相談コーナーだけです。
火・水・木は20時までで、最後の回は19時に始まります。月曜と金曜の夜は予約状況しだい。週末は第1、第3、第4土曜と第2日曜で、8時30分から17時15分までです。ハローワーク内の相談コーナーは平日の8時30分から17時15分までで、最後の回は16時に始まります。
相談コーナーの面談の時間割と、予約から面談までの4段階(2026年10月時点)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「キャリア形成・リスキリング推進事業」
平日の9時前や夜、土日を希望するときは、各支援センターに申し込みます。申し込みの受付時間は月曜から金曜の8時30分から17時15分で、祝日と年末年始は除かれます。昼休みに済ませてしまうのが現実的でしょう。
もう一つ、仕事帰りに受ける人が気をつけたいのは遅刻です。開始に遅れても、終わりの時間は延びません。退社の時刻に余裕を持たせて予約すれば、60分を丸ごと使えます。
オンラインならZoomかMicrosoft Teamsで受けられるので、移動の心配はいりません。
予約から面談までの段取り
申し込みから面談までは、4つの段階です。
- 公式サイトのフォームか相談コーナーで申し込む。
- 希望の日時と、対面かオンラインかを伝えて、日程を決める。
- ジョブ・カードを作り、相談コーナーに出す。
- キャリアコンサルタントと面談する。
ジョブ・カードは、職歴や強みをまとめる厚生労働省の様式です。全部は埋まらなくてもかまいません。公式サイトには「記入できるところまでで結構です」とあり、書き方に迷うなら作る段階から相談に乗ってもらうこともできます。ただし、記入状況によっては予約時間内に終わらない可能性がある、という注意書きもあります。急ぐ人ほど、空欄を減らしておくと話が早く進みます。
教育訓練給付の講座を受けるための訓練前キャリアコンサルティングは、申し込みのフォームが別です。流れは教育訓練給付金の対象講座と申請にまとめました。
相談の前に、紙に書いておく4つ
60分は、話し始めると短いものです。経歴の説明に時間を取られると、いちばん聞きたかったことにたどり着く前に終わってしまいます。そこで編集部がすすめたいのが、ジョブ・カードとは別に、紙に4行だけ書いて持っていく方法です。
- いま引っかかっていること。「なんとなく不安」のままでかまいません。
- 60分のあと、どうなっていたいか。聞きたいことを1つに絞ります。
- これまでの仕事の事実。件数や期間を1つ添えます。
- 動かせない条件。時間、収入、家族、健康のうち、譲れないものです。
3つ目は、キャリアの棚卸しを紙1枚での1段目がそのまま使えます。いちばん効くのは2つ目でしょう。「転職すべきですか」と聞くより、「残る場合と移る場合で、いま準備することはどう違いますか」と聞くほうが、話は具体的に進みます。
面談は、答えを決めてもらう場ではありません。申込フォームの確認事項にも「重要な選択や決断は、利用者様本人が主体的に行っていただくものです」とあります。4行は、一緒に考えてもらうための材料です。
会社に知られないか、気になったら
面談の内容は、本人の同意がなければ第三者に渡りません。担当するのは全員、国に登録されたキャリアコンサルタントで、法律上の守秘義務があります。1資格の中身が気になる人は、キャリアコンサルタントとはをどうぞ。
もっとも、個人が特定できない形で記録され、事業の実施状況の確認などに使われることはあります。ジョブ・カードの原本は面談のあとに返され、写しは事務処理が終わると破棄される決まりです。
勤め先にキャリア面談やセルフ・キャリアドックがあるなら、そちらも入り口になります。セルフ・キャリアドックは、年齢や昇進などの節目に面談や研修をする取り組みです。ただ、社内の面談では、話した内容の扱いは会社の決め方しだい。異動や転職の本音を話す前に、記録がだれに渡るのかを聞いておくと、話す内容を選べます。会社側の進め方は、中高年社員のキャリア面談が参考になります。
面談が終わった週にやること
確認事項には「1回の面談ですべての課題が解決するとは限らない」ともあります。60分で結論が出なくても、失敗ではありません。次の一歩だけ決めれば十分です。
- その日のうちに、残った言葉を3行でメモする。
- 次の行動を1つ、期限を付けて手帳に書く。
- 求人を見たくなったら、ハローワークで求職申込みをする。
- 学びたくなったら、教育訓練給付の対象講座を検索する。
案内がすすめるのは、節目ごとのジョブ・カードの更新。紙の4行も一緒に取っておけば、次に迷ったときの出発点になります。もう一度面談を受けたくなったら、最寄りの支援センターに聞いてみてください。国の予算の範囲内で行う事業のため、一定の上限があるとされています。
このままでいいのかな。その1行が書けていれば、申し込むには十分です。
窓口の名前と対象、受付時間は、2026年10月30日に厚生労働省と委託事業の公式サイトで確認しました。相談コーナーは令和8年度の事業として運営されているので、年度が変わると内容が変わることがあります。