令和8年3月卒の大学生の就職内定率は、2025年12月1日現在で84.6%でした。前の年の同じ時期より、0.3ポイント高い数字です。1
ただ、この84.6%は「大学生全員のうち、内定をもらった人の割合」ではありません。分母は、就職を希望した学生だけです。
12月1日は、秋に始まった内定出しがひと山こえて、年明けの追加募集や内定者との連絡を考え始める時期ですよね。そのころの全国の数字を、会議で説明できる形にしておくと、自社の動きが速いのか遅いのかを落ち着いて話せます。
84.6%の分母は、就職を希望した学生
内定率の折れ線と採用の日程表を見ながら、計画を書き込む採用担当イラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
調査は、文部科学省と厚生労働省が共同で行っています。全国の大学などから学校と学生を抽出する調査で、大学は62校の4,770人(国立1,450人、公立130人、私立3,190人)です。短期大学、高等専門学校、専修学校まで入れると、112校の6,250人になります。2
各大学が、決められた学生に電話や面接で、就職を希望しているか、内定をもらったかを聞きます。内定率は、就職希望者のうち、その時点で内定をもらっている人の割合です。3
では、就職を希望する学生はどのくらいいるのでしょう。大学の就職希望率は、2025年12月1日現在で75.9%でした。4人に3人ほどです。内定率の84.6%にこの希望率をかけると、大学生全体のうち内定を持つ人は約64%になります(編集部の計算で、公表された数字ではありません)。
就職を希望しなかった学生の進路の内訳は、公表された資料には載っていません。
分母の就職希望者の割合も、少しずつ動いています。2020年3月卒の79.4%から、2026年3月卒の75.9%へ、3.5ポイント下がりました。4内定率が同じでも、内定をもらう学生の数は、この分母の変化で変わります。
19年分の12月1日現在を並べると
12月1日現在の大学の就職内定率を、2008年3月卒から2026年3月卒まで並べました。
大学の就職内定率の推移(12月1日現在・2008年3月卒から2026年3月卒)作成: 編集部 / 出典: 文部科学省・厚生労働省「大学等卒業予定者の就職内定状況調査(12月1日現在)」
| 卒業年 |
12月1日現在 |
卒業年 |
12月1日現在 |
| 2008年3月 |
81.6% |
2018年3月 |
86.0% |
| 2009年3月 |
80.5% |
2019年3月 |
87.9% |
| 2010年3月 |
73.1% |
2020年3月 |
87.1% |
| 2011年3月 |
68.8% |
2021年3月 |
82.2% |
| 2012年3月 |
71.9% |
2022年3月 |
83.0% |
| 2013年3月 |
75.0% |
2023年3月 |
84.4% |
| 2014年3月 |
76.6% |
2024年3月 |
86.0% |
| 2015年3月 |
80.3% |
2025年3月 |
84.3% |
| 2016年3月 |
80.4% |
2026年3月 |
84.6% |
| 2017年3月 |
85.0% |
|
|
出典は文部科学省・厚生労働省の調査の推移の表です。5卒業年は、たとえば「令和8年3月卒」が2026年3月卒にあたります。
いちばん低かったのは2011年3月卒の68.8%で、いちばん高かったのは2019年3月卒の87.9%です。2026年3月卒の84.6%は、最高より3.3ポイント低く、最低より15.8ポイント高い位置にあります。
2017年3月卒からの10年は、82.2%から87.9%の間で動いてきました。2021年3月卒は、前の年から4.9ポイント下がっています。そこから83.0%、84.4%、86.0%と戻り、直近の2年は84.3%と84.6%です。
意外なのは、0.3ポイントという上がり幅の小ささです。2017年3月卒以降の前年差のうち、いちばん小さい変化でした。抽出して聞く調査なので、「前の年とほぼ同じ」と読むのが無理のないところでしょう。
自社の資料に書くなら、「84.6%、前年とほぼ同じ」と「過去10年の範囲の中ほど」の2点があれば足ります。「就職氷河期以来の」「過去最高」のような言い方は、この表からは出てきません。
同じ年の中で、10月から4月へ
12月1日の数字は、1年の途中経過です。同じ2026年3月卒の内定率を、調査の4つの時点で並べます。男女、国公立と私立、文系と理系も、公表資料の数字です。
| 区分(大学) |
10月1日 |
12月1日 |
2月1日 |
4月1日(就職率) |
| 全体 |
73.4% |
84.6% |
92.0% |
98.0% |
| 男子 |
71.5% |
83.3% |
90.9% |
97.5% |
| 女子 |
75.8% |
86.2% |
93.4% |
98.7% |
| 国公立 |
71.2% |
86.6% |
93.7% |
97.9% |
| 私立 |
74.1% |
84.0% |
91.5% |
98.1% |
| 文系 |
73.4% |
84.1% |
91.9% |
98.0% |
| 理系 |
73.6% |
86.8% |
92.8% |
98.1% |
| 参考:前の年(2025年3月卒)の全体 |
72.9% |
84.3% |
92.6% |
98.0% |
出典は、10月1日から4月1日までの4回の調査結果です。6
全体は、10月から12月で11.2ポイント、12月から2月で7.4ポイント、2月から4月で6.0ポイント上がります。いちばん大きく伸びるのは、10月から12月です。
12月1日の時点で、就職を希望していて内定をもらっていない学生は、15.4%です。2月1日には8.0%、4月1日には2.0%まで減ります。この「残りの割合」が、年明けの追加募集に応じる学生の目安になります。
前の年と比べると、10月は0.5ポイント、12月は0.3ポイント高く、2月は0.6ポイント低くなりました。12月までの勢いが、2月には少し落ち着いた形です。
区分で見ると、12月に国公立と私立が入れ替わる
2026年3月卒の内定率の伸びと、男女・国公私立・文系理系・地域の違い作成: 編集部 / 出典: 文部科学省・厚生労働省「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」
12月1日現在で、いちばん差が目立つのは、地域でした。大学の就職内定率は、中国・四国が88.7%(前年同期比で9.4ポイント上昇)、関東が88.5%、中部と九州が84.7%、近畿が83.2%、北海道・東北が70.8%(同6.4ポイント低下)です。7最も高い地域と低い地域の差は、17.9ポイントあります。
ただし、地域ごとに調査の対象は、全体の4,770人をさらに分けた数になります。年ごとの動きが大きいのは、そのせいでしょう。自社の採用地域の数字に目が行きますが、水準のめやすとして1年だけで判断せず、前の年とあわせて見るのが安心です。
男女では、女子が男子より高くなっています。12月1日で、女子は86.2%、男子は83.3%、差は2.9ポイントです。表を見ると、10月、2月、4月でも女子が高いままです。
もうひとつ、表の国公立と私立に目を向けてみてください。10月1日は私立が74.1%で、国公立の71.2%を上回っていました。ところが12月1日には、国公立86.6%、私立84.0%と、順番が入れ替わります。2月1日も国公立が93.7%、私立が91.5%です。4月1日には、私立98.1%、国公立97.9%と、また近づきます。国公立の数字は、国立1,450人と公立130人を合わせたもので、公立の人数が少ないことは頭に置いておきます。
文系と理系は、10月1日では73.4%と73.6%で、ほぼ同じです。12月1日に、文系84.1%、理系86.8%と2.7ポイント開き、2月1日は0.9ポイント、4月1日は0.1ポイントまで縮まります。理系の内定が12月までに進み、文系が年明けまでに追いつく形です。
採用計画に当てはめる手順
全国の数字は、自社の採用の「出来のよさ」を測る物差しではありません。自社が内定を出した人数は採用予定数に占める割合で、全国の内定率は学生が1社以上から内定をもらった割合です。水準を比べるのではなく、時期の形を借りる、と考えると使いやすくなります。
- 自社の内定出しを、10月1日、12月1日、2月1日の時点で数える。採用予定数のうち、何人に出したかを割合にしておく。
- 全国の形を横に置く。10月で7割強、12月で8割半ば、2月で9割強、4月で98%。自社が全国より遅れているかを、時期の形で見る。
- 12月1日の時点で、就職を希望する学生の15.4%に、まだ内定がない。追加募集の告知を出す時期と、説明会の日程を決める。
- 内定を出した学生には、入社まで連絡を続ける計画を立てる。10月1日で、すでに7割強が内定を持っているためです。
- 会議の資料に、分母と時点を書いた一文を入れる。
4番目の「入社までの連絡」は、日程のルールとも関わります。政府は、正式な内定日を卒業・修了年度の10月1日以降としています。8その上で、学生の職業選択の自由を侵害する「オワハラ」を行わないよう、厚生労働省は事業主向けのリーフレットで呼びかけています。連絡は、学生の選択を狭めない形で続けます。
使うときは、〇の部分を自社の数字に入れ替えます。「就職を希望した学生に占める」の一言があれば、分母の取り違えは防げます。
採用の日程ルールと、次の数字
12月1日現在の数字は、採用の日程ルールの上で読むと、位置づけが分かりやすくなります。
政府が経済団体に要請している日程は、広報活動が卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動が卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日が卒業・修了年度の10月1日以降です。2026(令和8)年度卒業予定者(令和9年3月卒、いまの大学4年生)と、2027(令和9)年度卒業予定者(令和10年3月卒、いまの大学3年生)の2つとも、同じ日程です。9
どちらの年度も、専門活用型インターンシップで判断される人材に限り、卒業・修了年度に入る直前の春休み以降のインターンシップと、そのあとの採用選考を経たうえで、6月の採用選考開始にとらわれない扱いが認められています。対象は限られているので、自社が使えるかどうかは、要請の文書で見ておきます。
ここで、ひとつ気になることがあります。正式な内定日は10月1日以降なので、12月1日現在の内定率は、正式な内定になった時期から2か月たった数字です。調査が、正式な内定と、それ以前の内々定をどう数えているのかは、編集部が見た公表資料には書かれていませんでした。
次の数字は、令和9年3月卒の10月1日現在の内定率です。2026年10月28日の時点では、まだ公表されていません。次の公表が出たら、この記事の「同じ年の中で」の表に、1行を足せば、前の年と並べて見られます。ちなみに前の年度は、10月1日現在の分を2025年11月14日に、12月1日現在の分を2026年1月23日に、両省が公表しました。
分母と時点を言える採用担当は、会議で強い
内定率の数字そのものは、ニュースでも見られます。会議で頼りにされるのは、その数字の分母と時点を、ひとことで言える人です。
「就職を希望した大学生の84.6%が、2025年12月1日現在で内定をもらっています。前の年とほぼ同じです。自社は同じ時点で、採用予定数の〇%です」。この3文が言えれば、数字を「ふうん」で終わらせず、次の動きの話に進められます。
数字を自分の言葉にして並べておくこと。それだけで、採用の相談を受ける側から、先に提案する側へ回れます。新卒の定着まで話を広げたいときは、新卒の3年以内離職率の数字とあわせると、入社前と入社後を一続きで説明できます。
この記事の数字は、2026年10月28日に確認した文部科学省・厚生労働省・内閣官房の公表資料によるものです。