就業者のおよそ20人に1人。2025年の1年間に前の仕事を辞め、今の仕事に移った人の割合です。
総務省の労働力調査によると、2025年平均の転職者は330万人で、就業者に占める転職者比率は4.8%でした。1人数は2023年から3年続けて330万人前後で、増えも減りもしていません。
では、自分の世代はどうでしょう。25〜34歳の女性に限ると、比率は8.0%まで上がります。同じ年代の友人や同期を12人集めたら、そのうち1人ほどは、この1年で職場を変えている計算です。2
山は2019年、2021年までに63万人減った
2025年は330万人が、前の職場から今の職場へ移ったイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
総務省は「就業者のうち前職のある者で、過去1年間に離職を経験した者」を転職者と呼びます。3調べた時点で働いていて、それまでの1年のうちに前の仕事を辞めた人のことです。
2002年からの24年でいちばん多かったのは、2019年の353万人でした。2020年、2021年と続けて減り、2021年は290万人。比率も4.3%まで下がり、24年の中でいちばん低い年になりました。4
その後は2023年に328万人まで戻り、そこからはほぼ横ばいです。2008年から2010年にかけても、335万人から283万人に減りました。景気が大きく落ち込んだあと、転職者は2回とも減っています。
転職者数と転職者比率の推移(2002〜2025年・男女別)作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」
いちばん新しいのは、総務省が2026年8月10日に出した4〜6月期の数字です。転職者は325万人、比率は4.7%で、人数は前年の同じ期と変わりません。5四半期の値は季節で動くので、前年の同じ期と比べます。7〜9月期の分は、まだ出ていません。
動いた人の後ろには、動きたい人もいます。今の仕事を辞めてほかの仕事に変わりたい、または別の仕事もしたいと考える人は2025年に1,023万人。転職者の3倍ほどです。2そのうち360万人は、実際に仕事を探していました。1
人数は25〜34歳、比率は若いほど高い
年代ごと・男女別の転職者比率(2025年)と、転職者の年代の内訳作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」
2025年の比率は15〜24歳の9.9%がいちばん高く、25〜34歳の7.1%が続きます。35〜44歳は4.4%、45〜54歳は3.5%と、35歳を過ぎると5%を下回ります。ただ、人数で見ると、いちばん多いのは25〜34歳の82万人でした。1
男女で分けると、65歳未満はどの年代も女性のほうが比率は高くなります。25〜34歳では女性が8.0%、男性が6.2%。人数も、女性の174万人が男性の156万人を上回りました。
年代ごとの比率を、節目の年で並べました。4
| 年齢 |
2002年 |
2019年 |
2021年 |
2025年 |
| 15〜24歳 |
14.1% |
12.3% |
9.8% |
9.9% |
| 25〜34歳 |
7.0% |
7.8% |
6.0% |
7.1% |
| 35〜44歳 |
4.2% |
4.7% |
4.2% |
4.4% |
| 45〜54歳 |
3.1% |
3.6% |
3.2% |
3.5% |
| 55〜64歳 |
3.0% |
4.4% |
3.6% |
4.2% |
| 65歳以上 |
1.5% |
2.4% |
2.3% |
2.7% |
24年で大きく変わったのは、両端の年代です。15〜24歳は14.1%から9.9%に下がり、55〜64歳と65歳以上は上がりました。そのため転職者を年代で分けた割合も変わり、45歳以上は約26%から約41%になりました。2中途の応募者に40代や50代が増えたと感じているなら、その感覚は統計とも合います。
一方、25〜34歳は7.0%から7.1%と、24年前とほとんど変わりません。この年代で転職した82万人のうち42万人は、前の仕事を辞めた理由に「より良い条件の仕事を探すため」を挙げました。6
医療,福祉は3人に2人が同じ業種から来る
業種ごとの転職者比率は結果の概要に載っていませんが、e-Statの統計表から出せます。今勤めている業種ごとに、転職者数を就業者数で割りました。7前の勤め先がどの業種だったかも分かるので、同じ業種から移った人の割合も並べました。8
| 今の業種 |
転職者 |
転職者比率 |
同じ業種から |
| 医療,福祉 |
53万人 |
5.6% |
66% |
| 卸売業,小売業 |
50万人 |
4.8% |
40% |
| 製造業 |
39万人 |
3.7% |
49% |
| 宿泊業,飲食サービス業 |
31万人 |
7.4% |
48% |
| サービス業(他に分類されないもの) |
31万人 |
6.6% |
29% |
| 建設業 |
17万人 |
3.5% |
47% |
| 運輸業,郵便業 |
17万人 |
5.0% |
41% |
| 情報通信業 |
15万人 |
4.9% |
53% |
| 教育,学習支援業 |
15万人 |
4.2% |
47% |
比率がいちばん高いのは宿泊業,飲食サービス業の7.4%で、製造業と建設業は3%台にとどまります。医療,福祉は人数こそ53万人といちばん多いのですが、そのうち35万人は前の勤め先も医療,福祉でした。経験のある人どうしで、職場を移り合う業種といえそうです。
反対に、サービス業(他に分類されないもの)は同じ業種から来た人が3割ほど。求人の条件を「同業の経験者」に絞るか、異業種からも受けるかは、この列を見ると決めやすくなります。
総務や経理の担当を採るなら、業種より仕事の種類の欄が近いでしょう。事務の仕事に就いた転職者76万人のうち、45万人は前の仕事も事務でした。8今の働き方で分けると、正規の職員・従業員として働く転職者は135万人で、非正規の173万人を下回ります。6
転職入職率の9.9%とは、数え方が違う
厚生労働省の雇用動向調査も、「転職入職率」という転職の率を出しています。2025年は9.9%です。9労働力調査の4.8%と比べると2倍ほどあり、採用の資料に2つが並ぶと、どちらが正しいのかと聞かれるかもしれません。
でも、どちらも誤りではありません。違いは、だれに聞き、何で割るかにあります。労働力調査は世帯に聞く調査で、今働いている人のうち、この1年に前の仕事を辞めた人を数えます。割る相手は、自営業や役員、公務員も含めた就業者全体です。
雇用動向調査は、事業所に聞く調査です。常用労働者が5人以上の事業所が1年間に採用した人のうち、入る前の1年間に働いた経験がある人を数え、1月1日現在の常用労働者数で割ります。9人数も、転職者は330万人、転職入職者は506万人。つまり、2つは同じものを数えた数字ではないのです。
雇用動向調査の離職率をどう読むかは、離職率の記事で詳しく説明しています。
中途採用の計画に数字を入れる手順
- 採りたい年代と業種を、1つずつ決めます。
- 労働力調査の長期時系列表で、その年代の転職者数と比率を3年分見ます。
- 業種別の表で、同じ業種から移る人の割合を見ます。
- 自社で前年に中途で入った人数を、1月1日の常用労働者数で割ります。
- 4で出した率を、雇用動向調査で同じ産業の転職入職率と並べます。
- 資料には、調査名と年、どちらの率かを書き添えます。
「25〜34歳は1年に82万人が動いていて、うちの業種では半分ほどが同業から来る」。計画の会議でそう言えると、求人の条件を絞るか広げるかを、感覚ではなく数字で選べます。
自分のこととして読んだ人にとって、8.0%は動くかどうかを決める数字ではありません。ただ、同じ年代で毎年これだけの人が職場を変えていると知っておくと、今の仕事で何を身につけ、どう数字で言えるようにしておくかを考えやすくなります。在職中に動くときの段取りは、在職中の転職活動にまとめています。
この記事の数字は2026年10月31日に、総務省統計局と厚生労働省の公表資料、e-Statの統計表で確認しました。