雇われて働く人の4割近くが非正規、と聞くと、増え続けているように感じませんか。じつは2025年平均の36.5%は、2013年の36.6%とほとんど変わりません。
動いたのは中身のほうです。この12年で、25〜34歳の女性の割合は大きく下がり、65歳以上の非正規は2倍を超えました。だから自社の比率が高いのか低いのかも、男女と年代、業種の欄を選ばないと答えが出ないのです。
「非正規」は勤め先での呼び方で決まる
同じ「働く人」も、呼び方ごとに分けると違う束になるイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
総務省の労働力調査は、役員を除く雇用者を、勤め先での呼び方で7つに分けます。「正規の職員・従業員」以外の6つをまとめたものが「非正規の職員・従業員」です。1
つまり、労働時間の長さや契約期間では決まりません。2025年平均で、月末の1週間に35時間以上働いた非正規は641万人。契約期間の定めがない非正規も646万人います。2
| 呼び方(2025年平均) |
男女計 |
男性 |
女性 |
25〜34歳の女性 |
| パート |
1,031万人 |
133万人 |
899万人 |
67万人 |
| アルバイト |
481万人 |
237万人 |
244万人 |
29万人 |
| 派遣社員 |
156万人 |
61万人 |
96万人 |
19万人 |
| 契約社員 |
273万人 |
143万人 |
130万人 |
23万人 |
| 嘱託 |
105万人 |
68万人 |
37万人 |
3万人 |
| その他 |
81万人 |
37万人 |
44万人 |
7万人 |
| 非正規の計 |
2,128万人 |
678万人 |
1,450万人 |
147万人 |
パートが半分近くを占め、派遣社員は1割に届きません。男性ではアルバイトと契約社員がパートより多く、顔ぶれがかなり違います。
割合の山は2019年、最新の9月は36.1%
非正規の割合の推移(2005〜2025年)と、10年で増えた雇用者の内訳作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」
| 時期 |
非正規の人数 |
割合 |
男性 |
女性 |
| 2005年 |
1,634万人 |
32.6% |
17.7% |
52.5% |
| 2015年 |
1,986万人 |
37.5% |
21.9% |
56.3% |
| 2019年 |
2,173万人 |
38.3% |
22.8% |
56.0% |
| 2025年 |
2,128万人 |
36.5% |
22.3% |
52.0% |
| 2026年7〜9月期 |
2,136万人 |
36.3% |
22.5% |
51.1% |
| 2026年9月 |
2,138万人 |
36.1% |
22.3% |
51.0% |
割合が大きく上がったのは2010年代の半ばまでで、2019年を山に少しずつ下がってきました。3この10年で増えた雇用者は、女性の正規が295万人、女性の非正規が100万人、男性の正規が88万人、男性の非正規が42万人です。
ただ、足元は少し違います。2026年9月の非正規は前年同月より47万人多く、割合も0.4ポイント高くなりました。増加は6か月続いています。4月ごとの値は季節でも動くので、前年の同じ月と比べます。
増えた分は、65歳以上が占める
ここからは、基本集計で同じ表がそろう2013年と比べます。
年齢階級ごとの非正規の増減と割合(2013年と2025年)作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局「労働力調査」
| 年齢 |
2013年 |
2025年 |
増減 |
割合の変化 |
| 15〜24歳 |
230万人 |
296万人 |
66万人増 |
48.7%→52.3% |
| 25〜34歳 |
303万人 |
225万人 |
78万人減 |
27.3%→20.7% |
| 35〜44歳 |
390万人 |
289万人 |
101万人減 |
28.9%→25.7% |
| 45〜54歳 |
364万人 |
413万人 |
49万人増 |
32.2%→29.6% |
| 55〜64歳 |
418万人 |
460万人 |
42万人増 |
47.8%→42.6% |
| 65歳以上 |
204万人 |
446万人 |
242万人増 |
71.5%→76.1% |
| 全体 |
1,911万人 |
2,128万人 |
217万人増 |
36.6%→36.5% |
65歳以上の増加は全体の増加を上回り、ほかの年代を足し引きすると、わずかに減る計算です。この年代は雇用者そのものも285万人から586万人に増えました。一方、25〜64歳は、どの年代でも割合が下がっています。全体がほぼ同じに見えるのは、この2つが重なった形です。
読み違えやすいのは15〜24歳で、学生のアルバイトも入っています。在学中を除くと2025年は24.3%で、2013年の32.3%から下がりました。3若手と比べるなら、こちらの欄です。
25〜34歳の女性は12年で約13ポイント低下
5歳ごとの非正規の割合(女性は2013年と2025年、男性は2025年)作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局「労働力調査」
| 年齢 |
女性2013年 |
女性2025年 |
男性2025年 |
| 25〜29歳 |
38.1% |
25.9% |
15.9% |
| 30〜34歳 |
44.4% |
31.4% |
11.6% |
| 35〜39歳 |
51.5% |
41.3% |
9.2% |
| 40〜44歳 |
57.8% |
47.9% |
8.6% |
| 45〜49歳 |
58.4% |
51.6% |
8.3% |
| 50〜54歳 |
59.9% |
53.2% |
8.2% |
| 55〜59歳 |
60.8% |
55.8% |
10.0% |
| 60〜64歳 |
75.1% |
73.2% |
39.5% |
10歳刻みでは、25〜34歳の女性は41.4%から28.5%へ、男性は16.3%から13.6%へ下がりました。6女性の人数は、正規が285万人から368万人に増え、非正規が201万人から147万人に減りました。就業率も、2015年の72.1%から2025年は85.7%まで上がりました。7
非正規から正規に移った人が増えたのか、最初から正規で働き始める人が増えたのか。この表からは分かりません。
一方で、30代後半から割合が上がる形は残ります。では、今の25〜34歳の女性も、10年後には35〜44歳の44.9%に近づくのでしょうか。
2015年に25〜34歳だった女性の世代は40.8%で、10年後の2025年は44.9%でした。上がったのは4.1ポイントで、同じ年の表を横に読んだ16.4ポイントの差より、ずっと小さい。同じ人を追った数字ではなく、仕事を離れた人は分母から外れます。それでも、表の横の差をそのまま自分の10年後と読まなくていい、という手がかりにはなるはずです。
役職に占める割合は女性管理職の記事で見られます。
「正規の仕事がない」は8.4%
非正規を選んだ理由は基本集計になく、対象世帯が約4分の1の詳細集計で聞いています。
| 主な理由(抜粋) |
男女計 |
女性25〜34歳 |
女性35〜44歳 |
男性25〜34歳 |
| 都合のよい時間に働きたい |
36.6% |
35.2% |
30.0% |
30.7% |
| 家計の補助・学費等を得たい |
17.7% |
10.3% |
17.6% |
8.0% |
| 家事・育児・介護等と両立しやすい |
10.9% |
20.0% |
31.3% |
1.3% |
| 正規の職員・従業員の仕事がない |
8.4% |
7.6% |
5.2% |
18.7% |
厚生労働省は、この「仕事がない」人を不本意非正規雇用と呼びます。8その数は2025年に173万人で、2015年の316万人から大きく減りました。反対に「都合のよい時間に」は493万人から757万人に増えました。9
女性の35〜44歳では両立を挙げる人がいちばん多く、男性の25〜34歳では「仕事がない」が2割近くあります。ただ、両立のために選んだ人が、正社員で働きたくないとは限りません。選べる正社員の働き方があれば、答えが変わる人もいるでしょう。社内の面談で一度聞いてみる価値があります。
本業が非正規の人の副業は、副業の割合の記事で読めます。
業種が違えば、36.5%は物差しにならない
| 主な業種 |
非正規の割合(2025年平均) |
| 宿泊業,飲食サービス業 |
76.3% |
| 生活関連サービス業,娯楽業 |
55.1% |
| 卸売業,小売業 |
50.0% |
| サービス業(他に分類されないもの) |
46.5% |
| 教育,学習支援業 |
39.0% |
| 医療,福祉 |
37.0% |
| 不動産業,物品賃貸業 |
35.9% |
| 運輸業,郵便業 |
29.2% |
| 製造業 |
24.5% |
| 学術研究,専門・技術サービス業 |
23.5% |
| 公務 |
18.7% |
| 金融業,保険業 |
18.1% |
| 建設業 |
15.4% |
| 情報通信業 |
13.9% |
表でいちばん高い業種と低い業種では、5倍以上の差があります。2小売の会社が全体の36.5%と比べても、高いとも低いとも言えません。
会社の規模の差はこれより小さく、1〜29人の42.4%から500〜999人の34.4%まで。仕事の種類の欄もあり、事務従事者は30.5%、女性では40.4%です。総務や経理の職場と比べるなら、こちらが近いかもしれません。
呼び名と分母をそろえる段取り
自社の比率は、統計の数え方に合わせて出します。
- 役員を除いた雇用者の名簿を、月末の時点で用意します。
- 社内の呼び方で、正社員とそれ以外に分けます。
- 非正規の人数を、正規と非正規の合計で割ります。
- 男女と年齢階級で分けて、同じ計算をします。
- 同じ業種と年代の欄を横に置き、統計の時点も書き添えます。
ずれやすいのは2か所です。統計は世帯に聞く調査なので、短時間の正社員や無期転換した契約社員を本人が何と答えたかは、社内の区分と一致するとは限りません。また、派遣社員は統計の非正規に入りますが、派遣先の雇用者ではありません。派遣を足した数字も出しておくと説明しやすくなります。
比率そのものに良し悪しはありません。数字を出したら、次に見るのは待遇の差と、正社員へ移る道です。2026年10月1日からは、パートや有期の人を雇い入れるときに、本人が待遇の違いについて説明を求められることも明示する決まりになり、同じ日に同一労働同一賃金ガイドラインも改正されました。10転換の仕組みは正社員転換の記事で、定着は平均勤続年数の記事と離職率の記事で読めます。
全部を一度に出さなくても、同じ業種の欄を1つ選ぶところからで十分です。「うちは同じ業種より何ポイント高い」と言えれば、雇用の見直しは感覚の話ではなく、数字の話として始められます。
この記事の数字は、2026年10月31日に総務省統計局の公表資料とe-Statの統計表で確認しました。制度は2026年10月時点の内容で、個別の判断は社会保険労務士や都道府県労働局に相談してください。