30代前半の平均勤続年数は、6.7年です。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査で、30〜34歳の欄を見るとこうなります。
入社して6年目、同期が一人また一人と転職していく。そんなとき、自分は長くいるほうなのか気になりませんか。よく目にする全体の平均は12.7年ですが、こちらは平均年齢44.4歳の人たちの年数です。だから自分と比べるなら、まずは同じ年代の欄から見るのが近道になります。
人事の担当として自社の数字を並べたいときも、考え方は同じです。年齢に加えて、業種と会社の規模もそろえないと、長いか短いかは言えません。
12.7年は、平均44歳の人たちの数字
自分の勤続の年数を、同じ年代の目安と並べて見直すイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
この調査でいう勤続年数は、いまの会社に雇われてから、調べた日までの年数です。1転職すると、次の会社では0年から数え直しになります。調べた日は2025年6月30日、結果が出たのは2026年3月24日でした。
数えているのは、常用労働者を10人以上雇う民間の事業所の「一般労働者」。その事業所のふつうの勤務時間と日数で働く人のことで、正社員のほかにフルタイムの契約社員なども入ります。正社員・正職員だけなら13.1年、それ以外の人は10.8年でした。パートのような短時間労働者は別に数えていて、こちらは6.5年です。2
男女で分けると、男性14.2年、女性10.4年。平均年齢は男性45.2歳、女性43.2歳です。3人数がいちばん多い年代は50〜54歳で、一般労働者の14.2%。412.7年は、こうした年代の人もまとめた平均です。
では、12.7年はふつうの人の年数なのでしょうか。
そうとも言えません。勤続年数の区分ごとの人数から計算すると、5年未満の人が32.6%、30年以上の人が10.5%でした。4全員を短い順に並べると、真ん中にいる人は「5〜9年」の区分に入ります。長く勤める人がいる分だけ、平均は上に引っぱられるのです。
30代前半は6.7年、女性は6.2年
年齢階級別・男女別の平均勤続年数と、勤続年数の分布(令和7年)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
年代別に見ると、平均勤続年数は5歳上がるごとに2.5〜3年ほどずつ延びていきます。6
| 年齢 |
男女計 |
男性 |
女性 |
| 20〜24歳 |
2.0年 |
2.2年 |
1.9年 |
| 25〜29歳 |
4.1年 |
4.3年 |
3.9年 |
| 30〜34歳 |
6.7年 |
7.0年 |
6.2年 |
| 35〜39歳 |
9.6年 |
10.1年 |
8.7年 |
| 40〜44歳 |
12.3年 |
13.1年 |
10.7年 |
| 45〜49歳 |
14.9年 |
16.4年 |
12.3年 |
| 50〜54歳 |
18.0年 |
20.1年 |
14.3年 |
| 55〜59歳 |
20.5年 |
22.8年 |
16.2年 |
| 60〜64歳 |
20.1年 |
21.6年 |
17.1年 |
30代前半の6.7年も、長いか短いかの境目と考えなくていいのです。30〜34歳を勤続年数で分けると、3年未満が26.0%、5〜9年が37.0%、10年以上が24.2%。44人に1人は、いまの会社に来てまだ3年たっていません。女性の30〜34歳なら、3年未満は29.2%でした。
自分の年数は、入社した年と月から数えてみてください。6月30日を基準にして、1年に満たない端数を切り捨てれば、表の値とそのまま比べられます。
男女の差は40代から開く
20代の男女の差は0.3〜0.4年で、ほとんどありません。差が1年を超えるのは35〜39歳から。そこから40〜44歳で2.4年、50〜54歳で5.8年と開いていき、55〜59歳では6.6年になります。
学歴別の表を見ると、大学卒の女性は平均37.6歳で8.7年、大学卒の男性は43.8歳で13.9年でした。7とはいえ、この2つは平均年齢が6歳ほど違います。全体の平均どうしを比べても、勤続の差のどこまでが年齢の差なのかは分かりません。年代をそろえてから比べたいのは、このためです。
差が開く理由までは、この統計からは読み取れません。仕事を辞めた人の数と理由は、雇用動向調査という別の統計で調べています。年代別の離職率は離職率の平均は13.7%自社が高いか低いかを業種の数字で答えるにまとめました。
業種の差は、30代前半なら4.6年に縮む
業種別と企業規模別の平均勤続年数(令和7年・一般労働者)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
業種ごとの平均を、男女別と30〜34歳の値と一緒に並べました。8
| 業種 |
平均年齢 |
男女計 |
男性 |
女性 |
30〜34歳 |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 |
43.1歳 |
17.6年 |
18.1年 |
15.1年 |
9.7年 |
| 複合サービス事業 |
44.9歳 |
16.8年 |
18.1年 |
14.1年 |
8.4年 |
| 製造業 |
44.1歳 |
15.3年 |
16.4年 |
12.3年 |
7.7年 |
| 金融業,保険業 |
44.2歳 |
14.6年 |
16.7年 |
12.8年 |
7.3年 |
| 卸売業,小売業 |
44.3歳 |
14.5年 |
16.2年 |
11.5年 |
7.0年 |
| 鉱業,採石業,砂利採取業 |
48.5歳 |
13.9年 |
14.1年 |
12.9年 |
6.2年 |
| 建設業 |
45.5歳 |
13.7年 |
14.3年 |
10.9年 |
7.2年 |
| 運輸業,郵便業 |
48.7歳 |
12.9年 |
13.5年 |
10.1年 |
7.0年 |
| 情報通信業 |
40.2歳 |
12.3年 |
13.4年 |
9.6年 |
6.2年 |
| 学術研究,専門・技術サービス業 |
42.9歳 |
12.1年 |
13.2年 |
9.6年 |
5.9年 |
| 教育,学習支援業 |
44.2歳 |
11.7年 |
13.3年 |
10.2年 |
6.0年 |
| 不動産業,物品賃貸業 |
43.9歳 |
10.7年 |
11.7年 |
9.0年 |
6.0年 |
| 生活関連サービス業,娯楽業 |
42.3歳 |
10.6年 |
11.9年 |
9.1年 |
6.4年 |
| 医療,福祉 |
44.0歳 |
9.9年 |
10.6年 |
9.7年 |
6.3年 |
| 宿泊業,飲食サービス業 |
43.1歳 |
9.6年 |
10.7年 |
8.4年 |
6.3年 |
| サービス業(他に分類されないもの) |
45.9歳 |
9.3年 |
10.2年 |
7.8年 |
5.1年 |
いちばん長いのは電気・ガス・熱供給・水道業の17.6年で、いちばん短いサービス業(他に分類されないもの)の9.3年とは8.3年ひらいています。ところが30〜34歳どうしで比べると、9.7年と5.1年。
差は4.6年まで縮みます。
平均年齢も横に置いておくと、読み違えが減ります。たとえば情報通信業は平均40.2歳で12.3年、運輸業,郵便業は48.7歳で12.9年です。勤続はほぼ同じなのに、働く人の年齢は8.5歳も違う。30〜34歳の欄なら、6.2年と7.0年になります。平均の年数が同じでも、人が長くいる度合いまで同じとは限らないのです。
働き方を選ぶときは、男女の差の大きさも手がかりになるでしょう。差がいちばん小さいのは医療,福祉の0.9年で、ここは一般労働者の7割ほどが女性です。大きいのは卸売業,小売業で、4.7年の差がありました。業種ごとの給与は、業種別の給与と残業時間 毎月勤労統計は一般労働者の欄で比べるで比べています。
会社の規模の差は、50代で8年に広がる
会社の規模で分けると、大企業14.1年、中企業12.4年、小企業11.5年です。9なのに平均年齢は小企業がいちばん高く、46.0歳。年齢が高いのに勤続が短いのは、ほかの会社から移ってきた人が多いためかもしれません。
年代別に並べると、差の出方がよく分かります。6
| 年齢 |
大企業 |
中企業 |
小企業 |
| 25〜29歳 |
4.2年 |
4.2年 |
3.9年 |
| 30〜34歳 |
7.2年 |
6.7年 |
6.1年 |
| 35〜39歳 |
10.7年 |
9.6年 |
8.4年 |
| 40〜44歳 |
13.6年 |
12.3年 |
10.6年 |
| 45〜49歳 |
16.7年 |
14.8年 |
13.1年 |
| 50〜54歳 |
20.8年 |
17.9年 |
14.8年 |
| 55〜59歳 |
24.6年 |
19.7年 |
16.3年 |
25〜29歳では、どの規模も4年前後。差は0.3年しかありません。30〜34歳になると1.1年、40〜44歳で3.0年と開いていき、55〜59歳では8.3年になります。女性に限ると、大企業11.1年、中企業10.2年、小企業9.8年。男性の15.9年、13.8年、12.5年に比べると、規模による差は小さめです。
ここでいう規模は、支店や工場ごとの人数ではありません。会社全体で雇っている常用労働者の数です。1支店が20人でも、会社全体で1,000人を超えていれば、大企業の欄を見ることになります。
20年で延びた平均は0.7年
平均勤続年数の推移(2005〜2025年)と、年代別の2020年との比較作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
平均勤続年数は、2005年の12.0年から、2015年に12.1年、2025年に12.7年と延びてきました。10同じ20年で平均年齢は40.7歳から44.4歳に上がっていて、働く人の年齢が上がれば、そのぶん平均の勤続も延びやすくなります。
そこで年齢の影響を外すため、推計のやり方が同じ2020年と2025年を、年代別に並べてみました。630〜34歳は6.8年から6.7年、40〜44歳は12.1年から12.3年。40代までは、どの年代も差が0.2年以内に収まっています。延びたのは50代から上で、60〜64歳は18.2年から20.1年になりました。
女性に限ると、40代から上の延びが目立ちます。40〜44歳は10.0年から10.7年、50〜54歳は12.8年から14.3年へ。一方で、30〜34歳は6.3年から6.2年と、ほぼ同じでした。
つまり、「最近は同じ会社に長く勤める人が増えた」とは、まだ言い切れません。平均が延びた分の多くは、年齢の高い人が増えたことと、50代から上が同じ会社に長くとどまるようになったことで説明できそうです。
自社の平均勤続年数を統計と並べる手順
自社の数字を統計と並べるときは、数え方を統計に合わせるところから始めます。
- 数える人を、短時間勤務でない社員に絞ります。パートタイムの人は別に出します。
- 基準日を6月30日に決め、入社日から満年数で数えます。
- 同じ人たちの平均年齢も出します。
- 業種は日本標準産業分類の大分類、規模は会社全体の常用労働者数で、統計の欄を選びます。
- 5歳刻みの年齢階級ごとに、自社と統計の値を並べます。
- 平均のほかに、勤続5年未満と10年以上の人の割合も出します。
中途採用が多い会社や、グループ会社から人が移ってくる会社は、勤続が短めに出ます。再雇用や転籍をどう数えるかを社内で決めて、毎年同じ数え方にしておくと、去年と比べてもぶれません。
人の出入りの多さを見るなら、離職率という物差しもあります。ただ、こちらは1年のうちに辞めた人の割合で、勤続年数とは測っているものが違います。資料では分けて書いておくと、読む人が迷いません。
女性活躍推進法にもとづいて会社が公表する情報には、「男女の平均継続勤務年数の差異」という項目があります。12対象は期間の定めのない労働者で、どの項目を出すかは会社が選びます。えるぼし認定の基準にも、雇用管理区分ごとに見て、女性の平均継続勤務年数が男性の7割以上、という条件があります。13ちなみに、この統計の女性10.4年を男性14.2年で割ると約73%。数える人の範囲が違うので、あくまで目安です。
自分の年数は、同じ年代の欄で言う
転職先を探しているときに会社の平均勤続年数を見かけたら、そばに平均年齢と男女別の数字がないかも見てみてください。会社が女性活躍推進法にもとづいて出す情報は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」にものせられます。気になる会社が男女の平均継続勤務年数の差を出していれば、そこで見られます。
自分の6年を「平均より短い」と思っていたなら、30代前半の6.7年と、4人に1人が3年未満という分布の横に並べてみる。同じ年代の欄で自分の年数を言えれば、評価面談でも転職の相談でも、これまでの経歴を数字で話せます。
この記事の数字は、2026年10月30日に厚生労働省の公表資料とe-Statの統計表で確認したものです。次の年の結果が出たら、同じ欄でまた並べてみてください。