額面50万円のボーナスから引かれるのは、社会保険料の73,450円と所得税です。所得税は、前月の給与が社会保険料等を引いて25万円なら17,420円、35万円なら43,550円。手取りは、それぞれ約40万9,000円と約38万3,000円になります。
同じ50万円で2万6,000円ほど違うのは、所得税の率が額面ではなく、前月の給与で決まるからです。明細を開いて「思っていたより少ない」と感じたことはありませんか。引かれる項目は4つだけで、どれも計算のもとが決まっています。
この記事の計算は、東京の協会けんぽ、40歳未満、扶養親族等0人の場合です。40歳以上の人や扶養する家族がいる人、健康保険組合に入っている人は、後半の節で変わる分を見ます。
額面30万〜100万円の手取りを並べる
給与明細を見ながら、手取りを計算する場面イラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
先に、早見表です。額面は、税引き前のボーナスの総額を指します。前月の給与は、社会保険料等を引いたあとの額で、25万円の人と35万円の人を並べました。ボーナスの平均額が気になる人は、賞与(ボーナス)の平均支給額に書いています。
ボーナスの手取り早見表(額面30万〜100万円・前月の給与25万円と35万円)作成: 編集部 / 出典: 協会けんぽ・こども家庭庁・日本年金機構・厚生労働省・国税庁
まず、額面ごとの保険料です。単位は円で、本人が負担する分だけを載せています。
| 額面 |
標準賞与額 |
健康保険料 |
子ども・子育て支援金 |
厚生年金保険料 |
雇用保険料 |
合計 |
| 300,000 |
300,000 |
14,775 |
345 |
27,450 |
1,500 |
44,070 |
| 400,000 |
400,000 |
19,700 |
460 |
36,600 |
2,000 |
58,760 |
| 500,000 |
500,000 |
24,625 |
575 |
45,750 |
2,500 |
73,450 |
| 600,000 |
600,000 |
29,550 |
690 |
54,900 |
3,000 |
88,140 |
| 800,000 |
800,000 |
39,400 |
920 |
73,200 |
4,000 |
117,520 |
| 1,000,000 |
1,000,000 |
49,250 |
1,150 |
91,500 |
5,000 |
146,900 |
次が、所得税と手取りです。所得税は、額面から保険料の合計を引いた額に、前月の給与で決まる率をかけた額です。
| 額面 |
保険料を引いた額 |
所得税(前月25万円・率4.084%) |
手取り |
所得税(前月35万円・率10.210%) |
手取り |
| 300,000 |
255,930 |
10,452 |
245,478 |
26,130 |
229,800 |
| 400,000 |
341,240 |
13,936 |
327,304 |
34,840 |
306,400 |
| 500,000 |
426,550 |
17,420 |
409,130 |
43,550 |
383,000 |
| 600,000 |
511,860 |
20,904 |
490,956 |
52,260 |
459,600 |
| 800,000 |
682,480 |
27,872 |
654,608 |
69,681 |
612,799 |
| 1,000,000 |
853,100 |
34,840 |
818,260 |
87,101 |
765,999 |
意外なのは、額面が30万円でも100万円でも、手取りの割合がほとんど変わらないことです。前月の給与が25万円なら額面の約81.8%、35万円なら約76.6%。保険料は額面にかける率が一定で、所得税の率は前月の給与で決まるので、ボーナスが増えても割合は動きません。
引かれるのは4つ。率は決まっている
ボーナスから引かれるのは、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税の4つです。令和8年度(2026年度)からは、健康保険料と一緒に集められる子ども・子育て支援金も加わりました。
| 項目 |
率 |
本人の負担 |
かけるもと |
| 健康保険料(協会けんぽ・東京都) |
9.85% |
全額の半分 |
標準賞与額 |
| 子ども・子育て支援金 |
0.23% |
全額の半分 |
標準賞与額 |
| 厚生年金保険料 |
18.3% |
全額の半分 |
標準賞与額 |
| 雇用保険料(一般の事業) |
0.5% |
本人の分だけ |
ボーナスの総額 |
| 所得税 |
前月の給与で変わる |
全額 |
総額から保険料を引いた額 |
ボーナスから引かれる4項目の順番と、所得税の率の表(甲欄・令和8年分)作成: 編集部 / 出典: 国税庁・協会けんぽ・こども家庭庁・厚生労働省
健康保険料は、標準賞与額に率をかけ、本人と会社が半分ずつ負担します。標準賞与額は、額面の1,000円未満を切り捨てた額です。協会けんぽの東京支部は、令和8年度の健康保険料率を9.85%としています。1
支援金の率は、全国一律の0.23%です。給料からだけでなく、ボーナスからも標準賞与額にこの率をかけて引きます。2明細に支援金を別の行で出すかどうかは、法令上の義務ではなく、各社の取り組みです。こども家庭庁は、内訳を明細に書くことへの協力を呼びかけています。
厚生年金保険料の率は18.3%で、平成29年9月から変わっていません。標準賞与額の上限は、1回の支給につき150万円です。3
雇用保険料は、元になる額が少し違います。標準賞与額ではなく、ボーナスの総額に率をかけるので、1,000円未満の端数を切り捨てません。令和8年度の一般の事業の労働者負担は、1,000分の5(0.5%)です。4
健康保険(支援金を含む)には年度の累計573万円、厚生年金保険には1回150万円の上限があります。早見表の額面は100万円までなので、上限の話は出てきません。社会保険の全体は、社会保険とは 給与明細で引かれる保険料と、会社が負担している額にまとめています。
所得税の率は、前月の給与で決まる
ボーナスの所得税は、毎月の給与の税額表ではなく、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で出します。令和8年分の表です。5使う手順は、次の3つです。
- 前月の給与から、社会保険料等を引く。
- 扶養控除等申告書を出している人は、算出率の表の甲欄で、扶養親族等の数の列から、1の額が当てはまる行を探す。
- その行の率を、ボーナスから社会保険料等を引いた額にかける。1円未満は切り捨てる。
率は復興特別所得税を含んだ数字です。6令和8年分の甲欄で、扶養親族等が0人から2人の場合の一部を抜き出しました。前月の給与は、社会保険料等を引いたあとの額で、単位は千円です。
| ボーナスにかける率 |
0人 |
1人 |
2人 |
| 2.042% |
82以上94未満 |
107以上250未満 |
143以上276未満 |
| 4.084% |
94以上260未満 |
250以上289未満 |
276以上321未満 |
| 6.126% |
260以上309未満 |
289以上346未満 |
321以上377未満 |
| 8.168% |
309以上342未満 |
346以上373未満 |
377以上400未満 |
| 10.210% |
342以上372未満 |
373以上401未満 |
400以上426未満 |
| 12.252% |
372以上402未満 |
401以上430未満 |
426以上457未満 |
| 14.294% |
402以上433未満 |
430以上463未満 |
457以上492未満 |
扶養親族等0人で、前月の給与が25万円(250千円)なら、94千円以上260千円未満の行で4.084%です。35万円(350千円)なら、342千円以上372千円未満の行で10.210%。ボーナスが30万円でも100万円でも、使う行は変わりません。
扶養控除等申告書を出していない人は、乙欄を使います。前月の給与が350千円なら、295千円以上527千円未満の行で30.630%です。同じ額面でも率が3倍になるので、申告書を出したかどうかは、手取りに大きく響きます。
額面50万円の計算の手順
額面50万円、前月の給与が25万円か35万円の場合を、順に計算します。
- 額面の1,000円未満を切り捨てて、標準賞与額を出す。500,000円のまま。
- 健康保険料を出す。500,000円に9.85%をかけた49,250円の半分で、24,625円。
- 支援金を出す。500,000円に0.23%をかけた1,150円の半分で、575円。
- 厚生年金保険料を出す。500,000円に18.3%をかけた91,500円の半分で、45,750円。
- 雇用保険料を出す。額面500,000円に0.5%をかけて、2,500円。
- 保険料を足す。24,625円、575円、45,750円、2,500円で、73,450円。
- 額面から保険料を引く。500,000円から73,450円を引いて、426,550円。
- 前月の給与の行から、率を引く。25万円なら4.084%、35万円なら10.210%。
- 所得税を出す。426,550円に率をかけて、17,420円か43,550円(1円未満は切り捨て)。
- 手取りを出す。500,000円から73,450円と所得税を引いて、409,130円か383,000円。
2と3の合計は、標準賞与額に10.08%(9.85%と0.23%を足した率)をかけて半分にしても同じです。500,000円なら25,200円で、24,625円と575円の合計と合います。会社側の計算と届出は、賞与の計算と賞与支払届で説明しています。
住民税は、ボーナスの額では決まらない
明細のボーナスの欄に、住民税は出てきません。個人住民税は、前の年の所得に応じて決まる税です。東京都主税局によると、給与をもらう人は、6月から翌年5月まで毎月の給料から引く特別徴収が基本です。7勤務先は、市区町村から届く通知書の月割額を、毎月の給与から引きます。
つまり、ボーナスが多い年でも、その年の月割額は変わりません。ボーナスを含むその年の所得は、前の年の所得として、翌年の住民税の計算に使われます。この仕組みは、給与明細の見方 手取りが思ったより少ない理由を、項目ごとに読み解くに書いています。
所得税のほうは、ボーナスの源泉が最終の額ではありません。毎月の給与などから源泉徴収した所得税の合計と、1年間に納める所得税の差額は、年末調整で精算されます。8ボーナスの手取りは、年末調整の前の、概算の額と考えておくと安心です。
前提を変えると、手取りはこう動く
ここまでは、額面50万円、前月の給与35万円、扶養親族等0人、40歳未満を基準にしました。手取りは383,000円です。前提を1つずつ変えると、手取りは次のように動きます。
| 変えるもの |
手取り |
基準との差 |
動いたところ |
| 基準(前月35万円・0人・40歳未満) |
383,000円 |
なし |
所得税43,550円(率10.210%) |
| 前月の給与が25万円 |
409,130円 |
26,130円増 |
所得税17,420円(率4.084%) |
| 扶養親族等が1人 |
391,710円 |
8,710円増 |
所得税34,840円(率8.168%) |
| 扶養親族等が2人 |
400,420円 |
17,420円増 |
所得税26,130円(率6.126%) |
| 40歳以上(介護保険料が加わる) |
379,363円 |
3,637円減 |
介護保険料4,050円、所得税43,137円 |
| 扶養控除等申告書を出していない(乙欄) |
295,898円 |
87,102円減 |
所得税130,652円(率30.630%) |
前月の給与と扶養親族等の数は、率の行を動かします。額面を動かすより、手取りへの影響が大きいところです。40歳以上の人は、健康保険料と同じ標準賞与額に介護保険料率の1.62%(本人は半分)がかかり、500,000円なら4,050円増えます。保険料が増えた分だけ、所得税の元になる額は少し減ります。
健康保険料率は、協会けんぽでも都道府県で違います。令和8年度の大阪府は10.13%で、東京都より0.28ポイント高くなります。額面50万円なら、本人の負担は700円ほど多い計算です。9健康保険組合に入っている会社は、組合の率で引かれます。率は組合ごとに違うので、加入先の案内を見てください。
明細の数字がずれたときの見方
早見表と明細の手取りが合わないときは、保険料の合計、所得税の率の行、年齢と扶養親族等の数の順に見ていくと、手がかりが見つかります。
保険料の合計が合わないなら、先に健康保険料率を見ます。協会けんぽの都道府県か、健康保険組合かで、率が違うからです。合計が合っていて所得税だけ違うなら、前月の給与の額と扶養親族等の数、申告書を出したかどうかです。住民税の欄は、ボーナスには出てきません。
社員から「ボーナスの手取りはいくら」と聞かれた給与担当の人は、額面だけでなく、前月の給与と扶養親族等の数を一緒に聞くと、答えが近づきます。額面50万円でも、前月の給与が違えば、手取りは2万円以上違うことがあるからです。
この記事の数字は、2026年10月28日時点の、令和8年度の保険料率と令和8年分の国税庁の表にもとづきます。個別の金額は、勤務先の給与担当、税務署、年金事務所に相談してください。