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異動・転勤・出向・転籍の違い 本人の同意がいる場面と社会保険・給与の扱い

異動・転勤・出向・転籍の違いを、雇用契約がある会社・指揮命令・本人の同意・給与・社会保険で比べました。出向は労働契約法第14条、転籍は民法第625条、転勤は最高裁の判決と育児・介護休業法第26条で確かめ、内示から辞令、出向契約書・転籍の同意書、保険の届けまでを図解します。

公開 約12分ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆チェック済み
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異動・転勤・出向・転籍の違い 本人の同意がいる場面と社会保険・給与の扱い

この記事でわかること

  • 異動・転勤は今の会社の中の配置の変更、出向は元の会社に籍を残して別の会社で働くこと、転籍は元の会社を辞めて移ることです。
  • 異動・転勤・出向は就業規則などの定めで命じられる場合がありますが、権利の濫用は無効です。転籍は本人の個別の同意が必要です。
  • 出向中の健康保険・厚生年金は報酬を払う会社、雇用保険は主たる賃金を払う会社、労災保険は出向先で働く実態で決まります。
対象人事労務新人・若手

「出向の内示を受けたけれど、今の会社の社員のままなのか」。異動・転勤・出向・転籍はどれも職場が変わる話ですが、雇用契約が残る会社が違い、本人の同意が要る場面や社会保険の手続きも変わります。この記事では、2026年10月19日時点の法令と、厚生労働省・日本年金機構の資料、最高裁判所の判決で確かめた内容を、内示を受けた社員と辞令を出す人事の担当者の両方に向けて整理します。

4つの言葉は「雇用契約がどこにあるか」で分かれます

異動と転勤は、今の会社の中での配置の変更です。出向と転籍は、別の会社で働く点は同じですが、元の会社との雇用契約が残るかどうかが違います。

異動・転勤・出向・転籍を比べた図。上段で、異動は配置の変更の総称で部署・職種・勤務地が変わりA社のまま、転勤は異動のうち勤務地が変わるもので転居を伴うものを指すことが多い、出向は在籍型出向でA社に籍を残しB社の指揮命令で働く、転籍はA社との労働契約を終えB社と新しく契約する。下の表で6つの点を比べている。雇用契約がある会社は、異動と転勤は今の会社、出向は出向元と出向先の両方、転籍は転籍先だけ。指揮命令をする会社は、異動と転勤は今の会社、出向は出向先、転籍は転籍先。本人の同意は、異動は就業規則に定めがあり職種・勤務地の限定の合意がなければ個別の同意は不要で権利の濫用は無効、転勤は異動と同じで育児・介護の事情への配慮が必要(育児・介護休業法第26条)、出向は個別の同意か就業規則・労働協約で処遇が整っていることで濫用は無効(労働契約法第14条)、転籍は個別の同意が必要(民法第625条第1項)。元の会社に戻るかは、異動と転勤は社内の配置の変更、出向は期間が終われば戻るのが原則、転籍は戻らない。給与を払う会社は、異動と転勤は今の会社、出向は出向契約で決める、転籍は転籍先。社会保険・雇用保険は、異動は今の会社で続く、転勤は今の会社で続き事業所が変われば雇用保険の転勤届(10日以内)など、出向は給与を払う会社で加入し雇用保険は主たる賃金を払う一方だけ、転籍は元の会社で喪失し転籍先で取得。
異動・転勤・出向・転籍の違い(雇用契約・指揮命令・同意・給与・保険)作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省・民法・育児・介護休業法・最高裁判所の判決・雇用保険業務取扱要領
比べる点 異動 転勤 出向(在籍型) 転籍
雇用契約がある会社 今の会社 今の会社 出向元と出向先の両方 転籍先だけ
指揮命令をする会社 今の会社 今の会社 出向先 転籍先
本人の同意 就業規則に定めがあり、職種・勤務地の限定の合意がなければ個別の同意は不要 異動と同じ。育児・介護の事情への配慮が必要 個別の同意か、就業規則・労働協約で処遇が整っていること 個別の同意が必要
元の会社に戻るか 社内の配置の変更 社内の配置の変更 期間が終われば戻るのが原則 戻らない
給与を払う会社 今の会社 今の会社 出向契約で決める 転籍先
社会保険・雇用保険 今の会社で続く 今の会社で続く。事業所が変われば届けが要る 給与を払う会社で加入 元の会社で喪失し、転籍先で取得

異動と転勤は会社の中の配置の変更

厚生労働省の「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」は、配置の変更を「異動」と呼び、転勤を異動の一つの形と位置づけています。

同じ資料によると、転勤という言葉には、転居を伴う配置の変更を指す使い方と、転居の有無を問わず就業場所が変わる配置の変更を指す使い方があります。雇用保険の手続きでは、同じ会社のある事業所から別の事業所に勤務場所が変わることを転勤と呼びます(雇用保険業務取扱要領)。

出向は元の会社に籍を残して別の会社で働く

労働契約法第14条の「出向」は、いわゆる在籍型出向を指します。出向元との労働契約関係が終わることなく、出向先に使用されて働くことだと、厚生労働省は説明しています(「労働契約法のあらまし」)。

厚生労働省の在籍型出向のハンドブックによると、出向する人は出向元と出向先の両方と雇用契約を結び、出向先の指揮命令を受けて働きます。出向先と雇用契約がある点で、派遣先と雇用契約を結ばない労働者派遣とは違います。

転籍は元の会社との契約を終えて移る

転籍は、元の会社との労働契約を終えて、転籍先と新しく労働契約を結ぶことです。最高裁判所は平成15年4月18日の判決で、在籍出向と転籍の本質的な違いは、出向元との労働契約関係が続いているかどうかにあると述べています。

雇用保険の業務取扱要領は、転籍にあたるものを「移籍出向」と呼びます。元の会社での雇用関係を終える場合で、退職金かそれに準じた一時金が支払われたものを指し、離職として扱います。

家にたとえると、異動は同じ家の中で部屋を替えること、出向は実家に籍を置いたまま親戚の家でしばらく暮らすこと、転籍は住まいそのものを移すことに近いかもしれません。言葉で迷ったら、「どの会社と雇用契約を結ぶのか」を辞令や説明の書類で確かめると見分けられます。

本人の同意が必要な場面はどこか

同意が要るかどうかは、言葉ごとに根拠が違います。土台にあるのは労働契約法第3条です。労働契約は対等な立場の合意で結び、変えるもので(第1項)、仕事と生活の調和にも配慮し(第3項)、契約にもとづく権利を濫用してはならない(第5項)と定めています。

異動・転勤は就業規則と「限定の合意」で決まる

最高裁判所の昭和61年7月14日の判決(東亜ペイント事件)は、次の事情のもとで、会社は個別の同意なしに勤務場所を決めて転勤を命じる権限があるとしました。

  • 労働協約と就業規則に、業務上の都合で転勤を命じられる定めがある
  • 実際に転勤が頻繁に行われている
  • 入社のときに勤務地を限る合意がない

同じ判決は、転居を伴う転勤は生活への影響が大きいので、無制約には命じられないとしています。業務上の必要性がない場合、不当な動機・目的がある場合、本人に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合などは、権利の濫用になります。業務上の必要性は、余人をもって替え難いほどの高いものに限らず、労働力の適正な配置や業務の能率の向上なども含むとしています。

一方、最高裁判所の令和6年4月26日の判決は、職種や業務内容を限る合意がある場合、会社は本人の同意なしに合意と違う職種への配置転換を命じる権限を持たないとしました。

2024年4月からは、労働契約を結ぶときに就業場所・業務の「変更の範囲」も明示することになっています(労働基準法施行規則第5条)。自分の労働条件通知書で、変更の範囲を確かめておきましょう。就業規則の読み方は就業規則とはにまとめています。

育児・介護休業法第26条は、就業場所が変わる配置の変更で子の養育や家族の介護が難しくなる人がいるとき、会社はその状況に配慮しなければならないと定めています。厚生労働省の指針は、配慮の例として、状況の把握、本人の意向のしんしゃく、代わりの養育・介護の手段があるかの確認を挙げています。

出向は個別の同意か、整った出向規程が要る

労働契約法第14条は、出向を命じられる場合でも、その命令が必要性や対象者の選び方などに照らして権利の濫用にあたるときは無効と定めています。労働契約を結んだだけで直ちに出向を命じられるわけではなく、命じられるかどうかは個別の事案ごとに判断されます(「労働契約法のあらまし」)。

厚生労働省のハンドブックは、出向を命じるには、本人の個別の同意を得るか、出向先での賃金・労働条件、出向の期間、復帰の仕方などが就業規則や労働協約で本人の利益に配慮して整えられている必要があるとしています。平成15年の最高裁判決も、就業規則と労働協約に社外勤務の定めがあり、出向中の地位・賃金・退職金・昇格などを詳しく定めた協定がある事情のもとで、個別の同意なしに出向を命じられるとしました。

同じ判決は、経営判断と人選の合理性、業務内容や勤務場所が変わらず著しい不利益がないことなどから、権利の濫用にもあたらないとしました。ハンドブックは、規程がある場合でも、労使でよく話し合い、個別の同意を得ていくことが望ましいとしています。

転籍は本人の個別の同意が必要

民法第625条第1項は、使用者は労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができないと定めています。転籍は今の会社との契約を終えて別の会社と契約し直すことなので、本人の承諾なしには進められません。厚生労働省の「確かめよう労働条件」も、平成15年の判決の解説で、転籍を「個別的な同意が必要な転籍出向」と書いています。

出向中の給与と労働条件は出向契約で決めます

出向中の労働条件と、出向元での身分の扱いは、出向元・出向先・本人の三者の取り決めで決まります。その取り決めで定めた権限と責任に応じて、出向元と出向先のそれぞれが、賃金の支払いなど労働基準法などの使用者としての責任を負います(厚生労働省のハンドブック)。

給与の払い方は、主に次の2つです。

  • 出向先が出向者に直接払う
  • 出向先が出向元に給与負担金を払い、出向元が出向者に払う

出向契約にはっきりした定めがない部分は、解雇や復帰を命じる権利は出向元に残り、働くことを求める権利と指揮命令の権利は出向先に移ると考えるのが合理的とされています(同ハンドブック)。厚生労働省の出向契約書の参考例は、次のように分けています。

項目 出向契約書の参考例での扱い
労働時間・休憩・休日・休暇・服務規律 出向先の定めによる
年次有給休暇 出向元の勤続年数で付与し、時季指定の義務は出向先が負う
表彰・懲戒 出向先が行う。諭旨解雇・懲戒解雇は出向元が行う
休職・退職・普通解雇 出向元の定めによる
賃金(割増賃金を含む) 出向元が払い、出向先が給与負担金として全額を負担する
通勤費・交通費・出張費 出向先が払う
定期健康診断などの安全衛生の措置 出向先の負担で出向先が行う

この表は参考例で、実際は会社ごとに出向契約で決めます。出向先での労働条件は出向先が本人に明示し、出向元が代わりに明示してもかまいません(同ハンドブック)。

社会保険・雇用保険・労災保険の扱い

出向中の保険は、だれが給与を払い、どこで働いているかで決まります。

在籍出向中の保険を、給与の払い方の3つの形で分けた図。出向元が払う場合(出向先は給与負担金を払う形など)は、健康保険・厚生年金は出向元で続く、雇用保険は出向元で続く、労災保険は出向先で、出向先の指揮監督で働くときは出向元が払う賃金も出向先の賃金総額に含める。出向契約では給与負担金の額を決め、厚労省の参考例は出向元が払った賃金の相当額を出向先が負担する形。出向先が払う場合は、健康保険・厚生年金は出向先で加入し出向元で喪失届・出向先で取得届(いずれも5日以内)、雇用保険も出向先で加入し出向元は喪失届(原因は離職以外)・出向先は取得届、労災保険は出向先、戻るときは出向元で取り直し雇用保険の取得届に復帰と書く。両方が払う場合は、健康保険・厚生年金は両方で被保険者で本人が二以上事業所勤務届を10日以内に出し報酬を合算して標準報酬月額を決める、雇用保険は主たる賃金を払う一方だけ、労災保険は出向先、失業したときの基本手当は一方の賃金だけで計算するので払い方を一方にまとめるのが望ましい。下段は出向以外の届け。転籍では元の会社が健保・厚年の喪失届を5日以内、雇用保険の喪失届を10日以内、転籍先が健保・厚年の取得届を5日以内、雇用保険の取得届を翌月10日まで。転籍の離職票は本人が希望しなければ離職証明書を付けず離職票は出ない、59歳以上なら必ず付ける、あとで必要なら元の会社に求められる。転勤では雇用保険の事業所が変わるなら転勤届を10日以内に転勤後の事業所のハローワークへ、2〜3か月ほどの短い出張・駐在は転勤にあたらない。
在籍出向中の健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の判定作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省・雇用保険業務取扱要領・日本年金機構
給与の払い方 健康保険・厚生年金 雇用保険 労災保険
出向元が払う(出向先は給与負担金) 出向元で続く 出向元で続く 出向先
出向先が払う 出向先で加入(出向元は喪失) 出向先で加入(出向元は喪失) 出向先
両方が払う 両方で被保険者。本人が二以上事業所勤務届を10日以内に出す 主たる賃金を払う一方だけ 出向先

健康保険・厚生年金保険は報酬を払う会社で

健康保険・厚生年金保険は、適用事業所に常用的に使用される人が被保険者になります。日本年金機構は、この使用関係を、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受ける関係だと説明しています。

厚生労働省のハンドブックによると、出向する人は、出向元と出向先のうち、使用関係があり報酬が支払われている会社(一方または両方)で加入します。両方で被保険者になるときは、本人が主たる事業所を選び、「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を事実発生から10日以内に出します。標準報酬月額は、両社の報酬を合算して決めます(日本年金機構)。

雇用保険は主たる賃金を払う会社で

雇用保険は、同時に2つ以上の雇用関係にある人について、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける一つの雇用関係だけで被保険者になります(雇用保険業務取扱要領 20352)。出向先で被保険者になるときは、出向元で資格喪失届(喪失原因は「離職以外の理由」)、出向先で資格取得届を出します。

両方から賃金を受けている人が失業したとき、基本手当の計算のもとになるのは、一方の会社が払った賃金だけです。このため業務取扱要領とハンドブックは、賃金の払い方を一方の会社にまとめるのが望ましいとしています。

労災保険は出向先で働く実態で

労災保険は、出向先の組織に組み入れられ、出向先の指揮監督を受けて働く場合、出向先の保険関係で扱います。出向元が払う賃金名目のお金も、出向先の賃金総額に含めて保険料を納めます(昭和35年11月2日 基発第932号)。

転勤と転籍のときの届け出

転勤で雇用保険の事業所が変わるときは、転勤後の事業所を管轄するハローワークに転勤届を、事実があった日の翌日から10日以内に出します(雇用保険業務取扱要領 21751)。おおむね2〜3か月の短い出張や駐在は、転勤にあたりません。健康保険・厚生年金保険は事業所単位で適用され、日本年金機構の疑義照会回答は、資格を失う「使用されなくなったとき」の例に転勤を挙げています。別の適用事業所に移るときは、年金事務所に届けの要否を確かめましょう。

転籍は、元の会社を退職し、転籍先に入社する手続きになります。

手続き 出す会社 期限
健康保険・厚生年金保険の資格喪失届 元の会社 5日以内
雇用保険の資格喪失届 元の会社 喪失の翌日から10日以内
健康保険・厚生年金保険の資格取得届 転籍先 5日以内
雇用保険の資格取得届 転籍先 取得した月の翌月10日まで

離職票は、元の会社が資格喪失届に離職証明書を付けたときに交付されます。本人が離職票を希望しないときは離職証明書を付けなくてよく、その場合は離職票は出ません。ただし、離職の日に59歳以上の人は、希望の有無にかかわらず離職証明書を付けます(雇用保険業務取扱要領 21204・21452)。退職の側の流れは退職の手続き 会社側のチェックリストにまとめています。

内示から辞令、書類までの段取り

異動・転勤は就業規則にもとづく辞令で動けますが、出向は会社どうしの出向契約、転籍は本人の同意と退職・入社の手続きが加わります。

内示から辞令・届け出までの5つの手順と、異動・転勤、出向、転籍ごとの作業を並べた図。手順は、1 打診・意向の確認(候補になった時点で育児・介護などの事情に変わりがないか確かめる)、2 内示(できる限り時間の余裕をもって、趣旨・期待する役割・旅費や手当などの条件を説明)、3 同意・契約(出向は出向契約書、転籍は本人の同意と転籍先の労働条件の明示)、4 辞令(発令日・新しい所属・勤務地、出向は期間も)、5 届け出(保険の喪失・取得、雇用保険の転勤届などを期限までに)。異動・転勤では、就業規則の異動の定めと労働条件通知書の変更の範囲を確かめる、職種や勤務地を限る合意があれば本人の同意なしに合意と違う配置転換は命じられない、育児・介護への配慮として状況の把握・本人の意向のしんしゃく・代わりの手段の有無の確認、辞令は雇用保険の転勤届で転勤を示す書類の1つ、事業所が変わるなら転勤届を10日以内。出向では、本人の個別の同意か出向規程、本人への説明(目的・出向先の名称と勤務地・期間・業務・労働条件)、会社どうしの出向契約書(期間・業務・勤務場所・労働時間・休日・負担金・手当・保険・福利厚生・報告・考課・守秘・途中解約)、労働条件の明示は出向先が行い出向元が代わってもよい、延長するときは本人に説明し出向契約を結び直す。転籍では、本人の個別の同意を一人ずつ得て同意書に残す、転籍先は労働契約を結ぶときに労働条件を明示(労働基準法第15条)、元の会社は健保・厚年の喪失届5日以内と雇用保険の喪失届10日以内、離職票は希望したとき(59歳以上は離職証明書を必ず添える)、転籍先は健保・厚年の取得届5日以内と雇用保険の取得届を翌月10日まで。
内示から辞令・届け出までの段取り(異動・転勤、出向、転籍)作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省・育児・介護休業法・労働基準法・雇用保険業務取扱要領・日本年金機構

打診と内示は時間の余裕をもって

内示は、正式な発令(辞令)の前に、本人に異動の予定を伝えることです。厚生労働省の「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」は、決まった転勤はできる限り時間の余裕をもって告知することが重要としています。あわせて、上司や人事部門から転勤の趣旨や期待する役割、赴任旅費・単身赴任手当などの条件を説明することが望ましいとしています。

出向は出向契約書と本人への説明

出向は、出向元と出向先の会社どうしで出向契約を結びます。厚生労働省のハンドブックは、出向契約で次の事項を定めておくことが考えられるとしています。

  • 出向期間、職務内容・職位・勤務場所
  • 就業時間・休憩時間、休日・休暇
  • 出向負担金・通勤手当・時間外手当などの負担、出張旅費
  • 社会保険・労働保険、福利厚生
  • 勤務状況の報告、人事考課、守秘義務、損害の賠償、途中解約

本人には、出向の目的、出向先の名称と勤務地、出向期間、業務の内容、出向先の労働条件などを事前に説明します(ハンドブックの出向規程の参考例 第4条)。

転籍は同意書と退職・入社の手続き

転籍は、本人の同意を一人ずつ得て、書面に残しておくと後で確かめやすくなります。転籍先は、労働契約を結ぶときに賃金や労働時間などの労働条件を明示します(労働基準法第15条)。元の会社では退職、転籍先では入社の手続きをします。

辞令では、発令日、新しい所属や勤務地、出向なら期間を本人に知らせます。雇用保険の転勤届では、辞令も転勤を示す書類の一つになります(雇用保険業務取扱要領 21751)。

今日からできること

内示を受けた方は、まず「どの会社と雇用契約を結ぶのか」を確かめます。辞令を出す人事の方は、命令の根拠、契約と同意、保険の届けの3つを、辞令の前にそろえます。

人事・労務の担当者の方は、次の表で漏れがないかを確かめましょう。

確かめること 異動・転勤 出向 転籍
命じる根拠・同意 就業規則の定めと、限定の合意がないか 個別の同意か出向規程 本人の個別の同意(同意書)
本人への説明 趣旨、役割、旅費・手当 目的、出向先、期間、業務、労働条件 転籍先の労働条件の明示
書類 辞令 出向契約書・辞令 同意書・労働条件通知書
保険の届け 事業所が変われば雇用保険の転勤届など 給与の払い方で決める 喪失届と取得届、希望があれば離職証明書

異動のあいさつの文例は異動の挨拶メールにまとめています。

この記事は、2026年10月19日時点の法令と、厚生労働省・日本年金機構の資料、最高裁判所の判決にもとづいています。個別の判断は、社会保険労務士や弁護士、所轄の労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所に確かめてください。困ったときは、都道府県労働局などの総合労働相談コーナー(予約不要・無料)にも相談できます。

よくある質問

Q出向の内示を断ることはできますか。

A就業規則や労働協約に出向の定めがあり、出向先での賃金・労働条件、期間、復帰の仕方などが本人の利益に配慮して整えられている場合は、個別の同意がなくても出向を命じられるとされています(厚生労働省のハンドブック、最高裁判所平成15年4月18日判決)。ただし、必要性や人選などに照らして権利の濫用にあたる出向命令は無効です(労働契約法第14条)。育児・介護などの事情があれば、まず人事に具体的に伝えましょう。解決しないときは、総合労働相談コーナー(予約不要・無料)に相談できます。

Q出向中の有給休暇や労働時間は、どちらの会社の決まりになりますか。

A出向元・出向先・本人の取り決め(出向契約など)で決めます。厚生労働省の出向規程・出向契約書の参考例では、労働時間・休日・休暇・服務規律は出向先の定めにより、年次有給休暇は出向元の勤続年数にもとづいて付与し、休職・退職・普通解雇は出向元の定めによるとしています。自社の出向規程と出向契約書で確かめてください。

Q転籍するとき、離職票はもらえますか。

A雇用保険では、転籍(業務取扱要領の言葉では移籍出向)は元の会社を離職する扱いです。離職票は、元の会社が資格喪失届に離職証明書を付けたときに交付されます。本人が希望しなければ離職証明書は付けなくてよく、その場合は離職票は出ません。離職の日に59歳以上の人は必ず付けます。あとで必要になったときは、元の会社に離職証明書の交付を求めて請求できます。

Q出向期間を延ばすときは、何が要りますか。

A厚生労働省のハンドブックは、出向期間が終われば出向元に戻ってもらうのが原則としています。延長や更新が必要になったときは、本人に事情を丁寧に説明して意向を十分に踏まえたうえで、出向元と出向先が出向契約を改めて結ぶ必要があります(本人ごとに出向契約を結んでいる場合)。出向先と有期の雇用契約を結んでいるときは、その契約の更新も要ります。

出典・参考

チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月19日)

執筆

ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の資料・公的な統計などの一次情報を調べて、バックオフィスの仕事・ビジネスマナー・会社のしくみの解説記事と図解を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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