建設業の許可は、取ったあとも5年ごとに更新しないと、期間が過ぎた時点で効力を失います。更新の申請は、満了日の30日前までに出さなければなりません。この記事は、2026年10月時点の法令と、東京都・大阪府の公式の手引きをもとに、満了日からの逆算、決算変更届の確認、書類の集め方を、総務・法務の担当者向けにまとめたものです。
建設業法の条文と国土交通省の案内は全国共通ですが、受付の開始時期、手数料の納め方、書類の細部は許可を受けた都道府県で違います。違う点は「都道府県の手引きで確かめる」と書きます。個別の判断は、行政書士や許可行政庁の窓口に確かめてください。
許可の有効期間と、更新の期限はいつか
許可の有効期間は5年です(建設業法3条3項)。有効期間は、許可のあった日から5年目の対応日の前日に満了します(大阪府の手引き)。たとえば2022年8月5日に許可を受けた会社なら、満了日は2027年8月4日です。
更新の申請は、有効期間が満了する日の30日前までに、許可申請書を出します(建設業法施行規則5条)。国土交通大臣の許可でも、都道府県知事の許可でも同じです。
期限の手前には、受付の開始時期があります。ここが都道府県で違います。
| 許可行政庁 |
更新の受付 |
出典 |
| 東京都 |
満了日の2か月前から30日前まで |
東京都の手引き(令和6年度・7年度) |
| 大阪府 |
満了日の3か月前から。期限は30日前 |
大阪府の手引き(令和6年12月改定版) |
| 国土交通大臣 |
期限は30日前。本店所在地の地方整備局へ |
国土交通省 |
東京都の手引きは、更新期限の到来のお知らせを郵送していると書いています。ただ、お知らせが届く前提にはせず、会社の台帳に許可番号と満了日を書いて、自分たちで管理するのが安全です。
申請が間に合えば、満了日を過ぎても許可は続く
更新の申請を期限内に出し、満了日までに結果が出なかったときは、従前の許可が、結果が出るまで有効です(建設業法3条4項)。更新後の有効期間は、従前の満了日の翌日から数えます(同条5項)。東京都の手引きは、更新の許可通知書は有効期間満了日以後に発送すると案内しています。通知が満了日のあとに届くのは、珍しいことではありません。
建設業許可の更新を満了日から逆算するスケジュールと、受付・手数料の違い作成: 編集部 / もとの資料: 建設業法施行規則、国土交通省、東京都・大阪府の手引き
満了日から逆算するスケジュール
期限の30日前から動き出すと、書類が揃いません。次の逆算を目安にします。6か月前の点検は編集部の目安で、法令の決まりではありません。
| 時期 |
やること |
| 満了の約6か月前 |
決算変更届の提出状況、変更届の出し漏れ、社会保険、技術者と役員の在籍を点検する |
| 満了の3〜2か月前 |
書類を集め、申請書を作る。受付が始まったら、窓口や郵送で事前チェックを受ける |
| 満了日の30日前まで |
申請を出す。手数料を納める |
| 満了日 |
申請済みなら、結果が出るまで従前の許可が有効 |
大阪府には、申請書類の事前チェックサービスがあります。手引きによると、許可の有効期間が40日未満になると事前チェックは使えません。郵送で使うときは、満了日の40日前までに届くよう送る必要があります。ほかの都道府県にも相談窓口があるかは、手引きで確かめます。
許可日が違う業種を複数持っているときは、更新に合わせて、まだ期間の残る業種も一緒に更新して満了日をそろえる「許可の一本化」ができます(東京都・大阪府の手引き)。更新と業種追加などを1件の申請にまとめるときは、更新する業種の満了日まで30日以上残っている必要があります(大阪府の手引き)。毎回の更新が1回で済むので、複数業種の会社は検討する価値があります。
決算変更届が出ていないと、更新できない
更新の前に必ず確かめるのが、決算変更届(事業年度終了届)です。建設業者は、毎事業年度が終わってから4か月以内に、決算に関する書類を許可行政庁へ出さなければなりません(建設業法11条2項)。たとえば3月決算なら、7月末が期限です。
東京都は、期日の来た決算報告の届出がされていないと、更新申請も業種追加の申請もできないと案内しています。許可の有効期間内の届出事項のすべてが出ていないときも、同じです。大阪府の手引きも、工事実績がない年でも、決算変更届が出ていれば更新できるとしています。逆に言えば、出ていなければ、更新の窓口で止まります。
出さないままにしておくと、罰則もあります。決算変更届を出さない、または虚偽の記載で出したときは、6か月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金です(建設業法50条)。
変更届も更新の前に出す
決算のほかにも、許可を受けたあとに変わったことは届出が必要です。
- 商号、営業所の名称や所在地、資本金、役員等の氏名が変わったとき: 30日以内(建設業法11条1項)
- 営業所に置く技術者が置かれなくなったとき、代わる人がいるとき: 2週間以内(同条4項)
- 経営業務の管理や技術者の基準を満たさなくなったとき、欠格要件に当たるに至ったとき: 2週間以内(同条5項)
大阪府の手引きは、前回の許可から今回の更新までに役員・営業所・経営業務の管理責任者・専任技術者などの変更があったときは、更新の申請の前に変更届を出すよう求めています。更新の書類は、現在の会社の姿を前提に作るからです。
関連して、会社の移転で許可の届出が必要になる場面は、オフィス移転の手続き 届け出先と期限の一覧 移転前後のチェックリストにまとめています。決算の基本は、決算とは 事業年度・決算月・決算書の3つの表を新人向けにやさしく解説を参照してください。
更新の必要書類と、集め方
更新の必要書類は、新規の許可より少なくなります。工事経歴書や財務諸表は、決算変更届で毎年出している前提で、更新では付けません。東京都の手引き(令和6年度)の一覧表では、次のように整理されています。
| 区分 |
書類の例 |
更新での扱い |
| 申請書・一覧表 |
許可申請書(様式第1号)、役員等の一覧表、営業所一覧表(更新用)、専任技術者一覧表 |
必ず出す |
| 調書・書面 |
役員等の調書、株主(出資者)調書、営業の沿革、所属建設業者団体、主要取引金融機関名、健康保険等の加入状況 |
必ず出す |
| 確認資料 |
登記されていないことの証明書、身分証明書(いずれも発行後3か月以内)、社会保険の加入を示す資料 |
必ず出す |
| 付けない書類 |
工事経歴書、直前3年の工事施工金額、財務諸表、事業税の納税証明書(新規時) |
更新では不要 |
これは東京都の例です。法令が定める書類は施行規則にありますが、確認資料の種類、部数、納税証明書の要否は、許可行政庁が定めます。大臣許可は地方整備局の案内、知事許可は都道府県の手引きで、最新の様式を確かめてください。
更新申請の必要書類の早見表(東京都の手引きの例)作成: 編集部 / もとの資料: 東京都都市整備局 建設業許可申請変更の手引(令和6年度)
手数料の目安
国土交通省の案内では、更新の手数料は次のとおりです。
| 許可の区分 |
更新の手数料 |
納め方 |
| 知事許可 |
5万円 |
収入証紙か現金など、都道府県で違う |
| 大臣許可 |
5万円(許可手数料) |
収入印紙を申請書に貼る |
一般建設業と特定建設業の両方を更新するときは、区分ごとに納めるため10万円です(東京都・大阪府の手引き)。新規の許可は、大臣許可が登録免許税15万円、知事許可が9万円なので、更新とは金額も納め方も違います。手数料は、申請を取り下げても戻りません。
経営業務の管理体制と営業所技術者の確認
更新は、前回と同じ要件を、今も満たしているかを確かめる手続きです。要件を満たさなくなると、許可の取消しの対象にもなります(建設業法29条1項1号)。申請の前に、2つの人の要件を確認します。
経営業務の管理体制(常勤役員等)
検索では「経営業務の管理責任者」の名前で調べられることが多いですが、現在の基準は、施行規則7条1号の「常勤役員等」です。常勤役員等のうちの1人が、建設業に関し5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を持つこと、などが基準です。経営経験が足りない場合は、財務管理・労務管理・業務運営の経験を持つ人を、直接補佐する者として置く方法もあります。
更新では、東京都の手引きによると、経営経験を証明する資料は不要です。ただし、その人が今も常勤の役員として在籍していることは、確認資料で示します。
営業所技術者
営業所ごとに置く技術者は、2024年12月13日施行の建設業法の改正で、名称が「専任技術者」から「営業所技術者」に変わりました(建設業法7条2号、特定建設業では特定営業所技術者)。国土交通省の第三次・担い手3法の案内は、この改正の施行日を2024年12月13日としています。東京都の手引きなど、様式や手引きの文言には「専任技術者」の名前が残っていることがあります。同じ人を指します。
営業所技術者は、営業所に専任で置く決まりです。資格や学歴と実務経験などの要件は法7条2号にあり、更新では、東京都の手引きによると、実務経験を証明する資料は不要です。
大阪府の手引きは、常勤役員等や専任技術者が常勤・専任でいることは許可の基本的な要件で、代わる人がおらず1日でも空白ができると許可が失効する、と注意しています。担当者の退職の連絡を、総務が受けたときに、建設業許可の台帳にも反映する流れを作っておくと安心です。
社会保険の加入の確認
2020年10月1日から、適切な社会保険に加入していることが、許可と更新の要件になりました(東京都・大阪府の手引き)。東京都の手引きは、令和2年10月1日以降の申請(更新を含む)では、適切な社会保険に加入していないと許可できないと書いています。
見られるのは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つです。施行規則7条2号は、適用事業所に当たるすべての営業所について、それぞれの届出をしていることを求めています。大阪府の手引きによると、確認資料は提示ではなく提出で、直近月または直近分の写しが必要です。被保険者の整理番号や基礎年金番号は、マスキングします。
電子申請(JCIP)で更新するには
国土交通省の建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)は、2023年1月に、建設業許可や経営事項審査の電子申請の受付を始めました。東京都の手引きによると、更新を含む許可申請と、決算変更届を含む各種変更届を電子で出せます。ただし、事業承継の認可申請は対象外です。
使うときの準備は次のとおりです。
- デジタル庁のgBizIDを取得する(東京都の手引き)
- 手数料は、Pay-easy(ペイジー)の決済で納める(東京都の手引き)
- 納税情報の連携を使うときは、e-Taxの利用者登録を済ませる(国土交通省)
JCIPの納税情報は「納税証明書」ではありません。直前の申告や納税が反映されていないときは、時間をおいて取り直すか、電子納税証明書を請求して別に出します。電子申請に対応する手続きは、都道府県によって違います。許可を受けた都道府県の案内で確かめてください。
更新を忘れたら、どうなるか
満了日を過ぎると、許可は失効します(建設業法3条3項)。許可の有効期間が過ぎたあとは、更新の申請ができず、許可を受けるなら新規の申請になります(大阪府の手引き)。
許可がない状態で請け負える工事は、軽微な建設工事に限られます。国土交通省の案内では、建築一式工事は請負代金1,500万円未満(または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅)、それ以外の工事は500万円未満です(消費税を含む)。この範囲を超える工事を、許可なしで請け負うと、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金の対象になります(建設業法47条)。
失効の間に結んだ契約や、進行中の大きな工事への影響は、会社ごとに違います。失効に気づいたときは、すぐに許可行政庁と、行政書士や弁護士に相談してください。
今日からできること
- 許可通知書(許可証明書)を出して、許可番号・許可日・満了日・「満了日の30日前」を台帳に書く
- 直近の決算変更届の受付印のある表紙(電子申請なら通知)を探し、期日の来た年度がすべて出ているか確かめる
- 経営業務の管理体制の担当役員と、営業所技術者の氏名・資格・在籍を一覧にして、変更届が必要な点がないか見る
- 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況と、確認資料(納入告知書の写しなど)の置き場を確認する
- 許可を受けた都道府県の手引きで、受付の開始時期・手数料の納め方・書類の様式を確かめ、満了の6か月前、3か月前の日付を、スケジュール表に入れる
この記事の基準は、2026年10月21日時点の建設業法・同法施行規則と、国土交通省・東京都・大阪府の公式資料です。手数料や受付の時期は改められることがあるため、申請の前に、許可を受けた行政庁の最新の手引きで確かめてください。