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男女の賃金差異の公表はどう読む?低い数字の意味と転職先の調べ方

男女の賃金差異は、同じ仕事の給料の差ではなく、会社全体の女性と男性の平均を比べた数字です。低い数字が何を映すのかと、応募先を調べるときに読む欄の順番が分かります。

公開 更新 約7分執筆・監修:佐々木 航人が監修しながらAIを活用して執筆
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男女の賃金差異の公表はどう読む?低い数字の意味と転職先の調べ方

この記事でわかること

  • 女性の平均年間賃金を男性の平均で割った数字で、賞与や手当も入る。
  • 女性の新卒を増やした年は、差が広がって見えることがある。
  • 正社員で応募するなら正規の欄を見る。2024年3月時点の平均は75.3%。
  • 101〜300人で3月決算の会社は、初回の公表が2027年6月末ごろ。
対象実務

全労働者69.7%、正規雇用75.3%、非正規雇用80.9%。2024年3月時点で、301人以上の会社が公表した男女の賃金差異の平均です。1全体の数字が、内訳の2つより低い。少し不思議ではありませんか。

この数字が、同じ仕事の給料を比べたものではないからです。会社にいる女性全員の平均を、男性全員の平均で割っています。だから女性にパートが多い会社では、賃金の決め方が同じでも数字は下がります。

応募先の数字が低くても、それだけで「女性が損をする会社」とは決められません。どの欄をどの順に読めば、自分の働き方に関わる話になるのか。一緒にたどってみませんか。

分かるのは、会社全体の平均どうしの差

図書館の長い机の手前に、長さの違う3本の帯だけを描いた紙が3枚並び、奥で働く女性がその紙を見つめているイラスト
同じ会社の数字でも、欄によって見え方が変わるイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)

男女の賃金差異は、女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で割り、100を掛けた数字です。2男性を100としたときの女性の値なので、100%に近いほど差は小さく、女性の平均が高ければ100%を超えます。

賃金の範囲は広めで、基本給のほかに残業代や賞与、家族手当、住宅手当まで入ります。除いていいのは退職手当と通勤手当などで、除くかどうかは会社が決めます。3

人の数え方にも幅があります。育児のために短い時間で働く人も数に入りますが、パートや短時間の人を労働時間で換算するかどうかは会社しだい。産休や育休で休んでいる人を外すこともできます。4派遣社員は派遣先ではなく派遣元の数字に入り、非正規の欄は「パート・有期社員」と書かれていることもあります。

公表の単位は法人です。ホールディングスも単体の数字を出すので、グループの名前で見かけた数字が、応募する会社のものとは限りません。

つまり、この数字から読み取れるのは「同じ仕事なのに女性の給料がいくら低いか」ではありません。男性と女性がその会社でどんな立場に分かれ、1年間にいくら受け取ったか。その結果です。

全体の欄が、内訳より低くなるわけ

架空の会社の表。正規は男性80人600万円、女性60人480万円で80.0%。非正規は男性10人240万円、女性50人216万円で90.0%。全労働者は男性90人560万円、女性110人360万円で64.3%。非正規の割合は男性11.1%、女性45.5%。右の横棒は同じ会社の変化で、女性の非正規30人が正規に転換すると全労働者77.1%、女性の新卒20人を年300万円で採用すると全労働者62.6%で正規72.5%、女性パート50人を時間で換算すると全労働者72.5%で非正規120.0%になる
男女の賃金差異の3つの欄の出し方と、架空の会社で数字が動く例作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「男女の賃金の額の差異の算出及び公表の方法について」

図の架空の会社では、正規が80.0%、非正規が90.0%なのに、全労働者の欄は64.3%まで下がります。女性は110人のうち50人が非正規で、男性は90人のうち10人だけ。賃金の低い区分に女性が偏るぶん、内訳の差に人数の偏りが上乗せされるのです。厚生労働省の通達にも、全労働者の数字は正規と非正規の男女の割合に大きく左右されるとあります。

しかも、賃金の決め方を変えなくても数字は動きます。

架空の会社に起きたこと 全労働者 正規 非正規
元の状態 64.3% 80.0% 90.0%
女性の非正規30人が正規に転換 77.1% 80.0% 90.0%
女性の新卒20人を年300万円で採用 62.6% 72.5% 90.0%
女性パート50人を時間で換算 72.5% 80.0% 120.0%

女性の新卒を採用した行を見てください。女性を増やしたのに、数字は下がっています。新卒の賃金は平均より低いため、女性の採用に力を入れた年に差が広がることは、通達も例に挙げるほどです。いちばん下の行はもっと極端で、誰の給料も変わらないのに、非正規の欄が120.0%に跳ねました。

だから、ほかの会社と並べる前に、人数を換算しているかどうかは見ておきたいところ。換算した会社は、そのことを必ず注記します。

正社員で転職するなら、最初に見るのは全労働者ではなく正規の欄。自分がこれから入る区分の中で、男女の平均がどれだけ開いているかが分かるからです。

低い数字は、何の合図なのか

それなら低い数字に意味はないのかというと、そうとも言えません。厚生労働省の分析では、男女の差のいちばん大きな理由は役職の違いで、次が勤続年数です。2024年の数字では、男性を100とすると女性は75.8。女性の役職の構成が男性と同じだと仮定すると84.6に、勤続年数の構成が同じだと仮定すると79.4に上がります。6

だから低い数字は、女性が上の役職に就きにくいのかもしれない、長く働き続けにくいのかもしれない、という合図として読めます。女性管理職の割合のデータを見ると、役職が上がるほど女性が減っていく様子が分かります。

ただ、役職だけで説明がつくわけでもありません。2025年の賃金構造基本統計調査で、無期雇用の人の月給を役職ごとに女性÷男性で割ると、部長級90.0、課長級86.9、係長級89.0、役職のない人は84.3でした。7年齢や勤続の違いも混ざった数字ですが、役職をそろえても100には届かないのです。

国全体と比べたくなったら、物差しの違いに気をつけてください。同じ調査の男女間賃金格差は2025年に76.6で、10年前の72.2より縮まりました。ただし、こちらは6月分の所定内給与だけで、残業代も賞与も入らず、短時間労働者も含みません。OECDの国際比較は、フルタイムの人の中央値どうしを比べたもので、日本の差は22.0%(2023年)。男性を100とすると女性は78.0です。

どちらも計算の土台が違うので、会社の数字の横に並べて高い低いは言えません。目安にするなら、同じ計算式で集計した冒頭の平均のほうが近いでしょう。

応募先の数字を調べる手順

いちばん手早いのは、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」です。個人情報を登録しなくても無料で使えて、2026年11月2日の時点で4万5,056社のデータが見られます。

  1. 女性の活躍推進企業データベースを開く
  2. 検索欄に、「株式会社」を付けずに応募先の社名を入れる
  3. 検索結果から、応募する法人の企業情報を開く
  4. 「データの対象」が単体かどうかと、データの最終更新日を確認する
  5. 「男女の賃金の差異」の3つの数字と、注釈・説明、対象期間を読む

載っていなければ、会社のサイトを探します。公表の場所はデータベースに限られていないためです。

上場企業なら、EDINETで有価証券報告書を開く方法もあります。数字が載るのは「従業員の状況」で、2026年3月期の報告書から「第4【提出会社の状況】」の「5【従業員の状況等】」に移りました。8それより前の報告書は「第1【企業の概況】」の「5【従業員の状況】」です。親会社の報告書には、公表している連結子会社の数字も書く決まりなので、グループの会社に応募するときにも役立ちます。

もっとも、見つからなくても隠しているとは限りません。公表の義務が301人以上から101人以上に広がったのは2026年4月で、101〜300人の会社の初回は、4月1日以後に最初に終わる事業年度の実績です。3月決算の会社ならおおむね2027年6月末まで、12月決算なら2027年3月末まで。100人以下は努力義務です。

読む順番が決まれば、聞くことも決まる

読む順番の8段の表。1データの対象と対象期間、2自分が入る区分の欄(正規の平均75.3%・2024年3月時点)、3全労働者との開きと女性の割合、4注釈・説明、5女性管理職の割合と係長級の女性の割合、6平均継続勤務年数の差異と採用10年前後の継続雇用割合、7育児休業取得率と残業時間と有給休暇取得率、8中途採用の実績。それぞれ必須、選択、任意の扱いを添えている
転職先を調べるときに読む欄の順番と、公表の扱い作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「女性活躍推進法が改正されました!」

いちばん手がかりが多いのは4番の注釈・説明です。記入は任意なので、空欄だからといって問題があるとは言えません。でも書いてあれば、要因が採用の増加なのか、勤続年数なのか、職種の偏りなのかが、会社の言葉で読めます。厚生労働省も、求職者に向けて、数字だけを切り取らず説明欄まで見るよう呼びかけています。

ほかの会社と比べるなら、同じ業種で規模の近い会社どうしがおすすめです。パートの多い会社と正社員が中心の会社を並べても、全労働者の欄の差は、人員の構成の差でしかないかもしれません。

残った疑問は、面接で聞いてかまいません。数字を責める聞き方ではなく、背景を教えてもらう聞き方にすると、相手も答えやすいはずです。

面接の時間の作り方は在職中の転職活動の進め方で、転職で年収がどう変わるかは年収が上がる人の割合のデータでご覧いただけます。

公表の数字は、会社を落とすための点数ではありません。面接で何を聞くかを決める材料です。次に求人を開いたら、その会社の正規の欄と注釈・説明を読んでから、応募するかどうかを決めても遅くはありません。

この記事は、2026年11月2日に確認した女性活躍推進法と省令、厚生労働省の通達と資料、賃金構造基本統計調査、開示府令の内容です。

注

  1. 厚生労働省「女性活躍推進に関する現状等」(労働政策審議会雇用環境・均等分科会第72回資料1)。公表された15,845社の数値の平均で、2024年3月22日時点 ↩

  2. 女性活躍推進法第20条、同法に基づく省令第19条、厚生労働省「男女の賃金の額の差異の算出及び公表の方法について」第3〜第5 ↩

  3. 同通達第3(2)、厚生労働省「解釈事項」問24〜問26 ↩

  4. 同「解釈事項」問12、問13、問30 ↩

  5. 労働基準法第4条 ↩

  6. 厚生労働省「女性活躍推進法に基づく男女間賃金差異の情報公表について(解説資料)」参考2。「調整」は女性の各要因の労働者構成が男性と同じと仮定した値 ↩

  7. 令和7年賃金構造基本統計調査 第8表。雇用期間の定めのない一般労働者の所定内給与を、女性÷男性で編集部が計算した値 ↩

  8. 企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式 記載上の注意(58-3)h〜k、第三号様式 記載上の注意(39-3)。主要な連結子会社以外の分は「第7【提出会社の参考情報】」に書くことができる ↩

出典・参考

この記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆しました。執筆と監修は佐々木 航が担当し、公開した後も人が内容を確認しています。

執筆・監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

記事の中身の責任は編集部(執筆・監修者)が負い、AIは調べものと下書きの道具として使っています。くわしくはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら更新日を改め、記事の最後に何を直したかを書きます。

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