月給30万円(額面)で59歳以下なら、失業保険は1日6,307円です。勤続10年未満の自己都合で受け取れるのは90日分で、全部で約56.8万円。ただ、最初の入金は手続きから約9週間あとになります。
失業保険は通称で、正式な名前は雇用保険の基本手当といいます。年末や年度末に辞めることを考え始めると、いくら入って、貯金でいつまでつなげばいいのか、気になりますよね。額は月給で、時期は辞めた理由で決まります。
月給で引く、1日の額と総額
月給18万〜50万円の失業保険の1日の額と総額、最初の入金の目安作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省、ハローワーク
表の月給は手取りではなく額面です。厚生労働省のQ&Aなどによると、保険料が引かれる前の総支給額で、残業代と通勤手当は含み、賞与は含みません。1
自分の数字は、給与明細があれば出せます。辞める前の6か月の総支給額を足して、180で割るだけ。この額が賃金日額で、いちばん近い行が自分の目安です。
表を縦に追うと、給付率が下がっていくのが分かります。18万円なら78.0%、40万円なら50.6%。35万円から40万円のあいだは、月給が5万円違っても1日115円しか増えません。月給が高い人ほど、今の収入との差は大きくなると思っておくといいでしょう。
日数のほうは、自己都合なら年齢ではなく、雇用保険に入っていた期間で決まります。転職のあいだが1年以内なら前後を足せますが、前に基本手当を受けた人はそのあとの期間だけ。育児休業給付を受けた期間も数えません。2
なお、受け取るには、辞める前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上要ります。解雇や雇止めなどなら、辞める前の1年間に6か月以上あれば大丈夫です。
会社の都合なら、同じ月給で日数が増える
4週間ごとの認定日を暦に印し、最初の入金までの生活費を見積もるイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
倒産や解雇のように、準備の時間がないまま辞めることになった人は特定受給資格者といい、受け取れる日数が増えます。更新を希望したのに雇止めになった人も、2027年3月31日までの離職なら同じ表の対象です。
| 離職時の年齢 |
1年以上5年未満 |
5年以上10年未満 |
10年以上20年未満 |
20年以上 |
| 29歳以下 |
90日 |
120日 |
180日 |
なし |
| 30〜34歳 |
120日 |
180日 |
210日 |
240日 |
| 35〜44歳 |
150日 |
180日 |
240日 |
270日 |
| 45〜59歳 |
180日 |
240日 |
270日 |
330日 |
横の見出しは雇用保険に入っていた期間で、1年未満はどの年齢も90日です。たとえば月給30万円の32歳で勤続7年なら180日になり、総額は約113.5万円。自己都合の90日の、ちょうど2倍です。
「会社都合」の範囲は、言葉の印象より広いものです。退職勧奨を受けた人や、上司や同僚の嫌がらせで辞めた人、賃金が85%未満に下がった人も入ることがあります。辞める直前の6か月に、連続する3か月で月45時間を超える残業があった場合も同じです。
離職票の理由が実態と違うときは、手続きの窓口で伝えられます。ハローワークは本人と会社の話、証拠の書類を見て決めるので、証明になる書類があれば持っていきましょう。
最初の入金は、辞めた理由で決まる
離職の事情で分かれる給付制限と、手続きから最初の入金までの週数の目安作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省、ハローワーク
給付制限は、正当な理由のない自己都合退職につく待ち時間です。手続きから7日の待期が終わった翌日に始まり、2025年4月1日以降の離職なら原則1か月。3月31日までの離職は原則2か月でした。3
では、1か月なのになぜ9週間もかかるのでしょうか。失業の認定が、原則4週間に1回しかないからです。手続きの4週間後の認定日はまだ給付制限の途中で、入金はありません。でも、この日に認定を受けないと待期が終わったことにならないので、休めません。そして次の認定日で、制限が明けた分がようやく認められ、約7日後に振り込まれます。
しかも最初の額は、制限が明けてから認定日までの分だけ。18日分ほどなので、月給30万円なら約11.4万円です。
たとえば今年の12月31日に辞めて、1月18日に手続きできたとすると、認定日は2月15日と3月15日で、入金は3月下旬が目安。その間の生活費は、貯金でつなぐ計算になります。
給付制限が3か月になる人、なくなる人
3か月に延びるのは、退職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合退職で受給資格決定を2回以上受けている人です。受給資格決定は、ハローワークで受け取る資格を認められること。回数に入るのは、そこまで進んだ退職です。
反対に、給付制限がなくなる道も用意されています。教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練などを、辞める前の1年以内に受け終えたか、辞めたあとに受けている場合です。2025年4月1日以降に始めた講座に限り、途中でやめた講座は入りません。ハローワークへの申し出も要るので、対象かどうかは教育訓練給付金の対象講座でご確認いただけます。
妊娠や出産、病気ですぐに働けない人は、受け取れる期間を延ばせます。受給期間は原則、離職の翌日から1年ですが、30日以上続けて働けないときは、その日数を最大3年まで足せるのです。働けない状態が30日続いた翌日以降に、早めに申請してください。申請は延長後の最後の日までできるものの、遅いと全部の日数を受け取れないことがあります。
妊娠、出産、育児で辞めて延長を受けた人は特定理由離職者にあたり、あとで手続きをしても給付制限はありません。
退職の前から入金までの手順
手続きの入口は離職票です。紙のほか、2025年1月20日からはマイナポータルでも受け取れます。条件はマイナンバーの登録、マイナポータルの利用手続き、会社の電子申請の3つで、登録は辞める2週間ほど前までが目安です。
- 退職前に、離職票の発行を人事へ頼む。
- 届いた離職票で、離職理由と賃金の額を確認する。
- 住所を管轄するハローワークで求職を申し込み、離職票を出す。
- 雇用保険説明会に出て、最初の認定日を確認する。
- 認定日に行き、失業認定申告書を出す。
- そのあとも4週間ごとの認定日に行く。
持っていくのは離職票、マイナンバーカード(なければ確認書類と写真2枚)、本人名義の通帳かキャッシュカード。窓口は平日の17時15分までですが、16時前に行くよう案内されています。
認定日までの求職活動は原則2回以上で、最初の認定日までは1回以上。求人サイトを見ただけでは数えられません。
離職票は、会社が離職日の翌々日から10日以内に手続きをしたあとで届きます。過ぎても届かなければ会社に聞き、それでも届かないときはハローワークに相談できます。
人事の担当者は、資格喪失届を出す前に本人の希望を聞いておくと、発行の漏れを防げます。希望しない人は離職証明書を省けますが、59歳以上は省けません。4会社側の流れは退職の手続きでご覧いただけます。
早く決まれば、再就職手当が出る
基本手当を受け切る前に就職が決まると、残りの日数の一部を再就職手当として受け取れるかもしれません。残りが所定の日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%。月給30万円で90日の人が60日を残して就職すると、6,307円×60日×70%で264,894円です。計算に使う日額の上限は、59歳以下で6,745円です。
ただ、見落としやすい条件が2つ。1つは、手続きの前に内定していた会社は対象外だということ。もう1つは、給付制限がある人の場合、待期が終わってから1か月は、ハローワークか許可や届出のある職業紹介事業者の紹介による就職に限られることです。自分で直接応募して決まると、紹介には入りません。
申請は就職日の翌日から1か月以内で、1年を超えて勤める見込みも条件です。再就職手当を受けた人の賃金が前より下がったまま6か月続くと、就業促進定着手当の対象になります。
税金はかからず、扶養は加入先で変わる
基本手当は非課税で、確定申告も要りません。5ただ、家族の健康保険の扶養に入るつもりなら注意が要ります。
被扶養者の収入には基本手当も数えます。日本年金機構の案内だと、雇用保険を受けている人の基準は日額3,611円以下で、3,612円以上の支給が始まると扶養から外す届出が要ります。表の額はどれもこの線を超えています。扱いは加入先で違うことがあるので、配偶者の勤務先か健康保険組合に先に聞いておくと確実です。
まずは給与明細を6か月分だけ開いて、総支給額を足してみてください。1日の額と最初の入金の週が分かれば、辞める月も、貯金で備える額も、自分で決められるようになるはずです。賞与との兼ね合いが気になる人は、ボーナスをもらって退職する時期も合わせてお読みいただけます。
この記事は、2026年11月2日に確認した雇用保険法と、厚生労働省、ハローワーク、日本年金機構の公式情報にもとづいています。金額は2026年8月1日から2027年7月31日までに適用される式で計算した目安で、実際の額と離職理由はハローワークが決めます。60〜64歳は計算式が違います。自分の場合の判断に迷うときは、住所を管轄するハローワークに相談してください。