来週の1on1、何を話そう。考えているうちに当日になり、結局その週の進み具合を報告して、15分で終わってしまう。そんな回が続いていませんか。
話題は1つで足ります。上司と一緒に考えたいことを1つ決めて、前日に5行だけ書いておく。準備はそれで十分です。
報告は、1on1の外に出す
話題を1つ書いたノートを手元に、上司と話すイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
1on1に、法律で決まった定義はありません。e-Gov法令検索で引いても当たる法令はなく、回数も中身も会社ごとに違います。
それでも、国の資料を読むと、どんな時間かは見えてきます。厚生労働省の「こころの耳」の説明では、年に1〜2回の評価面談とは違い、「業務の悩みや課題感について部下の話を聴くことを目的に」、15〜30分ほどを週に1回か、少なくとも月に1回開くもの。国の助成金の案内も、「対象者の希望に添った幅広い話題」が扱われることが望まれると書いています。1
話題を選ぶのは、部下のほうでいいのです。
だから、進み具合は先に送っておきます。知っておいてもらえば済むことは前日までにチャットで伝え、当日は「進み具合は昨日送ったとおりです」のひと言で本題へ。報告の順番や頻度は報連相の記事にあります。進み具合の確認を兼ねている職場もありますが、それなら最初の5分を報告にあてれば、残りは相談に使えるでしょう。
前日にやることは、5行のメモだけ
書くのは次の5行です。
| 行 |
書くこと |
編集部の例 |
| 1 |
いちばん話したいこと |
月末の集計がいつもぎりぎり |
| 2 |
起きている事実 |
先月は提出が2日遅れ、差し戻しが3件 |
| 3 |
自分の案か迷う2択 |
入力の分担か、締め日を前に寄せるか |
| 4 |
上司に頼みたいこと |
どちらがよいか、意見がほしい |
| 5 |
前回の続き |
手順書は半分まで進んだ |
いちばん効くのは4行目でしょう。聞いてほしいのか、意見がほしいのか、決めてほしいのか、動いてほしいのか。ここがあいまいなまま話し始めると、聞いてほしかっただけの話に解決策が返ってきて、お互いにかみ合わない感じが残ります。最初に「今日は意見がほしいです」と言えば、上司も聞き方を選べます。
3行目は空でもかまいません。「案が思いつかない」も、立派な相談です。
1行目を前日に送っておくと、上司も考える時間をとれます。
前日の5行、当日の話す順番、話したあとの3行を1枚に(例は編集部の例)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「こころの耳」
話すことがない月は、問いを借りる
順調で、相談が浮かばない月もありますよね。「特にありません」で閉じる前に、次の問いから1つ選んでみてください。
- 先月いちばん時間がかかった仕事は何か
- 人から聞かれることが増えた仕事は何か
- もっと任されたい仕事、手放したい仕事はあるか
- 半年後にできるようになりたいことは何か
上司に聞く側に回る月があってもいいと思います。「チームで今いちばん気になっていることは何ですか」と聞けば、次の期に求められそうなことが見えてきます。「最近の私の仕事で、続けるといい点と変えるといい点を1つずつ教えてください」と頼むのも手でしょう。
それでも話すことがなければ、早めに切り上げてかまいません。無理に埋めた30分より、困ったときに声をかけられる関係のほうが、あとで効いてきます。
キャリアの話は、3段に分けて切り出す
上司にキャリアの話をしたことがなくても、焦らなくて大丈夫です。厚生労働省の令和7年度能力開発基本調査で、2024年度にキャリアの相談をした人は、上司や社外の人まで含めても正社員の14.8%、正社員以外の5.4%でした。2
ただ、相談した人が選んだ相手は「職場の上司・管理者」がいちばん多く、正社員で69.5%、正社員以外で58.1%。1on1は、その入り口にちょうどいい時間です。
とはいえ、いきなり「異動したいです」と切り出すと、上司は人の手当てまで一度に考えることになり、決めるか決めないかの話になりがちです。そこで段を分けます。
キャリアの話を切り出す3段。2024年度に相談した人は正社員の14.8%、相手は上司が69.5%作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」
同じ回で段を上がらなくていいのです。1段目を何回か話しておくと、2段目の頼みごとが唐突になりません。話す材料が浮かばないときは、キャリアの棚卸しの「やりたいこと」の欄が使えます。
希望がはっきりしたら、次は異動希望の出し方の手順です。転職まで考え始めた段階の話は、1on1に持っていかなくてもかまいません。先に整理したいなら、国の無料の窓口があります。
言いにくい話は、範囲を自分で決める
体調や家庭のこと、人間関係の悩み。1on1で話すかどうかは、自分で決めていいことです。
上司に話さないのも、特別なことではありません。令和7年の労働安全衛生調査で、仕事のストレスを実際に相談した女性の相手は、家族・友人が73.7%、同僚が58.9%、上司が54.2%でした。3
病気の治療と仕事の両立についても、国の指針は、本人からの申出をきっかけに支援に取り組むのが基本としています。4話すと決めても、最初に伝えるのは「いつ、どの仕事に影響するか」で足ります。病名まで言うかは、そのあと考えれば間に合います。
「この話はどこまで共有されますか」と先に聞いておけば、話す範囲も選べます。病歴などの機微な個人情報を本人の了解なく他の労働者に暴露することは、パワハラの指針で、該当すると考えられる例に入っています。5
| 話したいこと |
1on1で伝えるなら(例) |
ほかの行き先 |
| 体調 |
当面は水曜の午前に通院で抜ける |
社内にいれば産業医や保健師、心の不調ならこころの耳の相談 |
| 家庭 |
3か月ほど、16時には上がる必要がある |
人事。妊娠や出産、介護の申出には、会社が個別に意向を聞く決まり6 |
| 人間関係 |
〇〇の仕事の進め方で困っている |
社内のハラスメント相談窓口、総合労働相談コーナー |
まず見たいのは人間関係の行です。相手が上司本人なら、1on1の席で無理に話さなくていい。会社にはパワハラの相談窓口を定めて周知する義務があり、相談したことを理由に解雇や不利益な取扱いをすることは法律で禁じられています。7総合労働相談コーナーは平日、無料で予約もいらず、面談か電話で話せます。
制度がなければ、まず15分を頼む
1on1の制度がない会社でも、頼めば始められることはあります。キャリアコンサルティングの仕組みがない事業所に理由を聞くと、正社員についていちばん多いのは「労働者からの希望がない」で49.0%でした。21on1そのものの数字ではありませんが、頼まれていないから用意していない職場もある、と読めそうです。
「1on1」という言葉を使う必要もありません。
話したあとの3行が、次の1行目になる
終わったら、その日のうちに3行足します。決まったこと、自分がやることと期限、次に聞きたいこと。自分がやることは次の回の5行目に、次に聞きたいことは1行目になります。決まったことをチャットで1行送っておけば、受け取り方のずれにも早く気づけます。
半年たつと、このメモの束が自己評価の材料になります。上司と何を話し、何を変えたのかを、事実で言えるからです。
次の1on1の前日、カレンダーを開いたら、まず1行だけ書いてみてください。今いちばん話したいことは何か。残りの4行は、そこから出てきます。
統計と指針は、2026年10月31日に確認しました。1on1がどれだけの会社に広がっているかを示す国の統計は、見つけられませんでした。