受講料の2割が戻るのは、一般教育訓練に指定された講座です。この給付金には、受ける前にしておく手続きがありません。雇用保険に入っていた期間が足りていれば、講座を修了したあと、その翌日から1か月以内にハローワークへ申請するだけで受け取れます。
ただ、同じ検索システムには、4割や5割が戻る講座も並んでいます。こちらは受講開始日の2週間前までに手続きを済ませていないと、その講座の給付は受けられません。申し込みボタンを押す前に、自分が対象か、その講座がどの種類かを見分けておけば、取りこぼさずに済みます。
対象かどうかは、受講開始日に決まる
申し込む前に、講座の案内と締め切りの日をカレンダーで見くらべるイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
まず気になるのは、自分が使えるかどうかですよね。基準になる日は講座の受講開始日です。この日に雇用保険に入っているか、会社を辞めてから1年以内であること。そのうえで、雇用保険に入っていた期間が3年以上あることが条件です。1
でも、初めて給付金を受ける人なら、その期間は当分のあいだ1年以上で足ります。2年以上がいるのは、専門実践教育訓練だけ。1つまり、今の会社に入って1年たっていれば、初めての人はもう一般教育訓練を使えます。パートやアルバイト、派遣で働いている人も、雇用保険に入っていれば同じです。
転職をはさんでいても、前の会社を辞めてから次の会社で雇用保険に入るまでが1年以内なら、2社の期間を合わせて数えられます。
会社を辞めたあとに学ぶなら、辞めた日の翌日から1年以内に受講を始めなければなりません。妊娠や出産、育児、病気やけがで、30日以上続けて受講を始められないこともあるでしょう。そんなときはハローワークに申し出れば、この1年を延ばせます。延ばせるのは、辞めた日の翌日から数えて20年までです。2
前に給付金を受けたことがある人は、数え方が少し変わります。前回の受講開始日より前の期間は数えないので、そこから改めて3年以上が要ります。前回の支給から3年たたないうちに始めた講座も、対象になりません。3
自分で数えてもはっきりしないときに頼れるのが、ハローワークの「支給要件照会」です。照会票を住んでいる地域のハローワークに出すと、答えが回答書で届きます。窓口のほか郵送や電子申請でも出せますが、電話では受け付けていません。照会のあとで講座の始まる日が変わったり、退職したりすると、答えのとおりにならないこともあります。
講座の種類は、検索システムで1講座ずつ見る
給付金が出るのは、厚生労働大臣が指定した講座だけ。その指定には一般、特定一般、専門実践の3つがあり、講座ごとにどれか1つに決まっています。同じ資格をめざす講座でも、種類が同じとは限りません。厚生労働省のリーフレットを見ると、介護職員初任者研修は一般と特定一般の両方に例として出てきます。
3つを並べると、こうなります。表の率は、2024年10月からあとに受講を始めた人のもの。4
|
一般教育訓練 |
特定一般教育訓練 |
専門実践教育訓練 |
| 戻る割合と上限 |
20%(上限10万円) |
40%(上限20万円)。資格を取って就職すると50%(上限25万円) |
50%(年間上限40万円)。資格を取って就職すると70%(同56万円)、賃金が5%以上上がると80%(同64万円) |
| 初めての人の加入期間 |
1年以上 |
1年以上 |
2年以上 |
| 受講前の手続き |
なし |
面談でジョブ・カードを受け取り、受給資格確認 |
面談でジョブ・カードを受け取り、受給資格確認 |
| 支給申請の期限 |
修了の翌日から1か月以内 |
修了の翌日から1か月以内 |
受講中も6か月ごとに、各期間の末日の翌日から1か月以内 |
| 講座の例 |
簿記検定、TOEIC、社会保険労務士、宅地建物取引士 |
介護職員初任者研修、大型自動車免許、ITSSレベル2の資格(基本情報技術者試験など) |
看護師や保育士の養成課程、専門職大学院、第四次産業革命スキル習得講座 |
最初に見てほしいのは「受講前の手続き」の行です。一般なら、申し込んだあとに考えても間に合います。けれど、ほかの2つは、開講が近い講座だと手続きが間に合わないことがあるのです。
種類を調べるときは、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」を使います。学校名や講座名、資格の名前を一部だけ入れても探せます。講座の「詳細を見る」には指定期間の欄があり、ここは見落としやすいところ。受講開始日がこの期間に入っていないと、給付は受けられません。まだ指定が始まっていない講座も載っているので、開講日と見くらべておくと安心です。
教育訓練給付金の3つの種類の違いと、対象になるかの問い、戻る額の例作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「教育訓練給付制度」・各「教育訓練給付金」のご案内
戻る額は、自分で払った分から計算する
もとになるのは、講座を開く学校などに自分で払った入学料と受講料です。一般なら、数えるのは受講料の1年分まで。検定試験の受験料、なくても受けられる補助教材、補講の費用、交通費、パソコンなどの代金、クレジットカードの手数料は入りません。申請のときにまだ払っていない分も入りません。5
払った額ごとに計算すると、次のようになります。特定一般と専門実践の行は、厚生労働省の案内にある計算の例です。
| 講座の例 |
払った入学料と受講料 |
戻る額 |
| 一般 |
15万円 |
3万円 |
| 一般(上限に届く) |
60万円 |
10万円 |
| 一般(少額) |
2万円 |
0円 |
| 特定一般(3か月) |
30万円 |
12万円。資格を取って就職すると、さらに3万円 |
| 専門実践(2年) |
170万円 |
80万円。資格を取って就職し、賃金も5%以上上がると、さらに48万円 |
一般の講座は、払った額が50万円に届いたところで、上限の10万円に達します。それより高い講座を選んでも、戻る額は増えません。
気をつけたいのは2万円の行です。合計が2万円以下の講座は、1円も戻りません。20%にあたる額が4,000円を超えないときは支給しない、という決まりがあるからです。6手ごろな講座ほど、申し込む前に金額を見ておくといいでしょう。
割引を受けたなら、計算のもとは割引のあとの額。会社から受講のための手当や補助が出るなら、そのうち入学料や受講料に充てた分を引いて申請します。15万円の講座に会社が5万円を出したなら、計算のもとは10万円。戻るのは2万円です。あとで学校や販売代理店から一部が返ってくるときも、その額を引きます。パソコンを無料でもらえるような場合も同じ扱いです。
領収書は講座を開く学校などが出したものに限られ、販売代理店の領収書は認められません。申請の中身に偽りがあると、受けた額を返すうえに、その2倍の額の納付を命じられることもあります。
一般の講座には、こんな決まりもあります。講座が始まる前の1年のうちに、お金を払ってキャリアコンサルタントの相談を受けていたら、その費用も2万円まで足せます。5相談の記録と実施証明書を添えて申請します。
4割以上が戻るなら、始まる前にやること
特定一般と専門実践の講座は、始まる前に、ハローワークで受給資格確認を済ませておきます。そのとき出すのが、訓練前キャリアコンサルティングという面談で受け取るジョブ・カードです。順番は次の5つ。
- ハローワークの訓練の窓口で、受けたい講座を伝えて相談する
- 訓練前キャリアコンサルティングを、電話か申込フォームで予約する
- 面談の日までに、ジョブ・カードの4つの様式を書いておく
- 面談を受けて、ジョブ・カードの交付を受ける
- 受講開始日の2週間前までに、受給資格確認票とジョブ・カードをハローワークに出す
予約のときは学校名とコース名、開講日を伝えます。面談はハローワークのほか、キャリア形成・リスキリング支援センターでも受けられ、対面かオンラインかを選べます。かかるのは60〜90分ほど。様式はキャリア・プランシートと職務経歴シート、それに免許や資格を書く職業能力証明シートと、学習歴や訓練歴を書く職業能力証明シートです。何から書けばいいか迷うなら、キャリアの棚卸し 年末の振り返りを紙1枚で来年の目標につなぐの書き方を、そのまま下書きに使えるはずです。
締め切りは受講開始日の14日前です。7たとえば4月1日に始まる講座なら3月18日で、郵送ならこの日の消印まで有効です。面談の日は予約で決まり、その前にジョブ・カードを書く時間も要ります。だから、2月のうちに窓口へ相談しておくと、締め切りの直前に慌てずに済むでしょう。
ジョブ・カードは、講座が始まる前の1年のうちに面談で受け取ったものなら使えます。前に特定一般か専門実践の給付金を受けたことがある人は、「再受給時報告」という書類も一緒に出します。
修了したら、1か月以内に申請する
講座を修了したら、その翌日から1か月以内に、住んでいる地域のハローワークへ申請します。8修了した日が9月30日なら、10月31日まで。一般の講座なら、出すものは次の6つです。
- 支給申請書(修了したあとに講座の実施者が配る)
- 教育訓練修了証明書
- 講座の実施者が出した領収書(クレジットカード払いならクレジット契約証明書)
- マイナンバーカード(ないときは、本人確認の書類とマイナンバーが分かる書類)
- 教育訓練経費等確認書(通信以外の講座を窓口で申請するなら不要)
- 口座が分かる通帳かキャッシュカード(雇用保険の手続きで届け出た口座や、公金受取口座を使うなら不要)
2024年2月1日からは、窓口に行かなくても、郵送やe-Govの電子申請で出せるようになりました。受講の前にする受給資格確認も、同じように出せます。
特定一般と専門実践には、あとから上乗せされる給付もあります。資格を取り、修了の翌日から1年以内に就職したら、就職した日の翌日から1か月以内に、もう一度申請する仕組みです。働きながら受けた人も、修了の翌日から1年以内に資格を取れば対象になり、資格を取った日の翌日から1か月以内に申請します。4登録してはじめて名乗れる資格なら、登録した日が資格を取った日。また、原則として、講座が始まった時点で予定されていた最初の試験で受かることが条件です。
専門実践は、講座の途中でも6か月ごとに申請します。賃金が受ける前より5%以上上がったときの分は、就職した日などの翌日から6か月たってから、6か月のうちに申請。この申請書には、会社に証明してもらう欄もあります。
4月1日開講、9月30日修了の講座で見る、受講前から修了後までの手続きの日付作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「教育訓練給付金(手続の流れ)」・各「教育訓練給付金」のご案内
長く学ぶなら、休暇の給付金もある
働きながらでは、どうしても時間が足りない学びもありますよね。2025年10月からは、会社の制度を使って30日以上続けて無給の休みを取り、その間に学ぶ人が、教育訓練休暇給付金を受けられるようになりました。休みに入る前に雇用保険に5年以上入っていることなどが条件で、もらえる日数は入っていた期間によって90日、120日、150日。1日あたりの額は、失業したときの基本手当と同じやり方で決まります。
ただし、この休みは就業規則などにある会社の制度に沿って、会社と合意して取らなければなりません。受けたあとしばらくは失業給付などを受けられなくなりますが、教育訓練給付金のための加入期間が減るわけではありません。会社に制度があるかは人事に聞いてみるのが早いでしょう。会社の側で使える国の助成金は、中高年社員のキャリア面談と、45歳から使える助成金で紹介しています。
スクールに聞いておく5つのこと
講座の種類や始まる日は、検索システムだけでは決めきれないこともあります。申し込む前にスクールへ聞いておけば、あとで日付がずれる心配もぐっと減るでしょう。メールはこんな形で十分です。
返事がそろったら、次は自分の側の点検です。
試験日から逆算して、勉強の時間割を組むやり方は資格の勉強計画 働きながら続ける選び方と、週ごとの時間割の作り方で紹介しています。
戻ってくるのは受講料の一部ですが、手元には修了証明書が残ります。特定一般や専門実践なら、面談で書いたジョブ・カードも。何をいつ学び、いつ修了したかを日付つきで言えると、評価面談でも職務経歴書でも、学び直しが「やったこと」として伝わります。
この記事の制度と金額は、2026年10月時点のものです。雇用保険法とその施行規則、厚生労働省とハローワークの案内は、いずれも10月30日に見直しました。自分が対象になるかや、いる書類で迷ったときは、住んでいる地域を受け持つハローワークに相談してください。