休業のお知らせのメールを、そのまま読み上げて録音すれば済む。そう考えたくなりますが、メールの文は耳で一度聞くだけの案内には長すぎます。年末の挨拶や受付の締め切りまで入っていて、かけた人がいちばん知りたい再開の日が、その奥に埋もれてしまうからです。
留守電の文面は、名乗り、休業の期間、再開の日時、急ぎの連絡先、伝言の残し方。この5つを順に並べれば組み立てられます。
暦どおりに休むなら、2026年の年末年始は12月29日(火)から1月3日(日)までの6日間です。国の行政機関の休日と同じ期間にあたります。128日(月)も休む会社は26日(土)からの9連休。どちらも1月4日(月)から営業です。
メールの文と、耳で聞く案内は順番が違う
休みに入る前、案内を切り替えて外からかけて聞くイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
メールなら、受け取った人は必要なところだけを読み返せます。でも、録音はそうはいきません。流れてくる順にしか聞けず、聞き逃したら、もう一度かけ直すことになります。
かけた人が知りたいことはおおよそ決まっていますよね。正しい会社にかかったのか。いつからつながるのか。急ぎならどうすればいいのか。案内をこの問いの順に並べると、一度で頭に入りやすくなります。
反対に、メールにあって録音に要らないものもあります。年内の受付の締め切りは、休みに入ってからかけてきた人には、もう過ぎた話。1年のお礼や請求書の扱いも、録音からは外してかまいません。取引先へ送るお知らせの文は年末年始の挨拶メールの例文にあります。
言葉づかいも、メールより簡潔でいいのです。文化庁の「敬語の指針」では、店の休業の張り紙にある「本日、休業させていただきます」を例に、相手の許しを受けて休むと受け止められる場面なら適切で、そうでなければ「休業いたします」のほうが良い、とされています。2
休み中に流れる案内なら、「休業しております」で十分に丁寧です。指針の分け方では、「おる」「いたす」「申す」は謙譲語Ⅱ(丁重語)にあたり、「です」「ます」よりも改まった言い方です。3「させていただいております」と重ねなくても、改まった案内になります。
名乗りから伝言まで、5つの部品を順に並べる
留守電の文面の順番に、法令の決まりはありません。ここでは、かけた人の問いに沿った順番を一例として挙げます。
| 順番 |
部品 |
言うこと |
録音の例 |
| 1 |
名乗り |
会社名。窓口が分かれていれば部署名も |
株式会社〇〇でございます |
| 2 |
休業の期間 |
始まりと終わりの月日に、曜日を添える |
12月29日、火曜日から、1月3日、日曜日まで休業しております |
| 3 |
再開の日時 |
月日と曜日、つながり始める時刻 |
1月4日、月曜日の午前9時から、営業いたします |
| 4 |
急ぎの連絡先 |
番号か、メールやフォームなどの窓口 |
お急ぎの方は、〇〇〇、〇〇〇〇、〇〇〇〇へおかけください |
| 5 |
伝言の残し方 |
残してほしいことと、折り返す時期 |
発信音のあとに、お名前とお電話番号をお話しください |
表のうち、聞き違いが起きやすいのは2と3の日付です。「4日(よっか)」と「8日(ようか)」は、音がよく似ていますよね。だから、曜日も一緒に言います。日付を聞き逃しても、曜日のほうでわかるからです。
時刻には「午前」「午後」を付けるのが基本です。再開の日だけでなく時刻まで言っておくと、休み明けの朝、始業前にかけた人が、また留守電につながって戸惑わずに済みます。
電話番号は市外局番などの区切りごとに間をあけて読み、「繰り返します」と添えてもう一度。7を「なな」、4を「よん」と読むと、1や「し」と紛れにくくなります。電話で数字を伝えるときの、一般的な読み方です。
長さは、声に出して計って決める
全体の長さにも、決まった目安はありません。では、どう決めればいいのでしょう。いちばん確実なのは、自分の声で計ってみることです。
- 文面を紙に書き出し、電話で話すときの速さで読み上げる
- スマートフォンのストップウォッチで3回計り、いちばん長かった時間を控える
- 電話機や留守番電話サービスで、応答メッセージに録音できる長さの上限を調べる
- 同僚に一度だけ聞いてもらい、再開の日と急ぎの番号を書き取れるか試す
ただし、上限は機種や契約で違います。契約している電話会社の案内か、電話機の説明書で確認します。同僚が書き取れなかったら、削るのは前置きとお詫びの言葉から。日付と番号は削りません。
留守電の文面の5つの部品と並べる順番、声に出して長さを決める方法作成: 編集部 / 出典: 文化庁「敬語の指針」
そのまま録音できる例文を、場面ごとに
例文は4つ用意しました。会社名と番号は〇〇に置き換えてあり、日付は2026年の暦に合わせています。読み上げやすいよう、曜日は「、火曜日」の形で入れました。自分の会社に近いものを選んで、名前と日付を入れ替えてみてください。
| 例文 |
場面 |
休業の期間 |
急ぎの連絡先 |
伝言 |
字数 |
| 1 |
一般の会社 |
12月29日(火)〜1月3日(日) |
案内しない |
受ける |
143字 |
| 2 |
一般の会社 |
12月26日(土)〜1月3日(日) |
当番の番号 |
急ぎ以外を受ける |
221字 |
| 3 |
お客さま窓口 |
12月29日(火)〜1月3日(日) |
フォームへ |
受けない |
163字 |
| 4 |
休み明けに戻す時間外の案内 |
なし |
なし |
受ける |
117字 |
字数は句読点と〇〇も含めて数えたもので、例文どうしの長さを比べる目安です。いちばん長い例文2は番号を2回言うぶんと、つながる時間を添えたぶんだけ長くなっています。自分の文面も字数を数えて、計った秒数と並べておくと、次に文を足すときの見当がつけやすくなります。
急ぎの連絡先を案内しないとき
伝言で名前より先に会社名を言ってもらうと、休み明けに聞いたとき、どの取引先からかがすぐわかるでしょう。
急ぎの連絡先を案内するとき
「お急ぎの方」の範囲は「設備の故障など」とひとことで示しておきます。範囲を言わないと、休み明けで間に合う問い合わせまで、当番の電話に集まりかねません。つながる時間を区切っておけば、当番の人も夜中の電話に追われずに済みます。
お客さま窓口で、伝言を受けずに案内だけ流すとき
伝言を録音せず、案内だけを流す設定ができる電話機やサービスもあります。伝言を受けないなら、代わりの窓口と、返事を始める日まで言っておくと、かけた人は次に何をすればいいかがわかります。ネットショップなら、「ご注文は、休業中もホームページで承っております。発送は1月4日から順にいたします。」の一文を足すのもひとつの手です。
特定商取引法にもとづく表記に電話番号を載せているなら、その番号も休み中は留守電になります。消費者庁は特定商取引法ガイドのQ&Aで、24時間いつでもかかってくる電話に対応しなければならないのか、という問いに「一般常識として夜間等営業を行っていない時間帯については、留守番電話等を利用することは構いません。」と答えています。4表記のページの書き方は特定商取引法に基づく表記の書き方にまとめています。
休み明けに戻す、ふだんの時間外の案内
機種によっては、年末年始の案内を録音すると、それまでの時間外の案内が上書きされます。録り直す前に今の文面を書き写しておけば、休み明けにそのまま戻せるので安心です。書き写す前に消えてしまったら、次の文をもとに作り直してください。
場面別の例文の早見と、案内を切り替えて元に戻す時期、急ぎの番号の決め方作成: 編集部 / 出典: 個人情報保護委員会・消費者庁
急ぎの連絡先は、誰の番号を流すかから決める
留守電の案内を聞くのは取引先だけではありません。営業の電話をかけてきた人も含めて、かけた人の全員が同じ録音を聞きます。
そこに担当者の名前と携帯電話の番号を入れると、その人の個人情報を、誰でも聞ける形で流すことになります。個人情報保護委員会のガイドラインでは、電話番号などの連絡先と本人の氏名を組み合わせた情報が、個人情報の例に挙がっています。5
流すなら、会社で持っている当番用の携帯電話か、転送先として決めた番号が向いています。そうしておけば、当番が替わっても、案内を録り直さずに済みます。個人の携帯電話しか手段がないなら、録音するのは本人の了解を得てから。この2つは公的な決まりではなく、編集部からの提案です。
また、番号は仕事納めの点検で作る非常連絡先の一覧や、メールの自動応答に書く窓口とそろえておくと、休み中の連絡が1か所に集まります。一覧の作り方は仕事納めの総務の点検表で紹介しています。
切り替えから休み明けまでの段取り
日付は暦どおりに休む会社の例です。9連休なら、切り替えは12月25日(金)の終業後になります。
- 12月中旬までに、今の時間外の案内の文面を書き写す
- 同じころ、切り替えの操作を電話機の説明書か、電話会社の案内で調べる
- 12月28日(月)の終業後に、年末年始の案内に切り替える
- 社外の電話からかけて、案内を最後まで聞く
- メールの自動応答やホームページのお知らせと、日付がそろっているかを見る
- 1月4日(月)の始業前に、ふだんの案内に戻す
- 伝言を聞いて伝言メモに書き移し、担当者に回す
- 対応が済んだ録音を消す
やることは多く見えますが、どれも小さな作業です。
決まった日時に案内を切り替える設定ができる電話機やサービスもあります。戻し忘れが心配なら、使えるかどうかを見ておいて損はないでしょう。ただ、設定で切り替える場合も、4番目と同じように外からかけて、日付を耳で確認しておくと確実です。
始業前に戻すのは、休み明けの朝いちばんの電話に、休業中の案内を流さないためです。誰が戻すかは最初に出社する人の名前で決めておきます。
聞き終えた録音は、書き移したら消す
休み中にたまる伝言には、かけた人の名前や電話番号が入ります。個人情報保護委員会のガイドラインには、本人の氏名が入っているなどで特定の個人を識別できる音声録音情報が、個人情報の例として載っています。6
伝言の名前と番号を表計算ソフトの一覧に書き移すと、その一覧は個人情報データベース等にあたります。ガイドラインでは、名刺の情報を表計算ソフトに入力して整理した場合が、その例です。そこに入った個人データは、利用する必要がなくなったら、遅滞なく消去するよう努めることになっています。7
録音そのものは伝言メモに移して折り返しが済んだものから消していきます。録音できる件数や時間に上限がある電話機なら、古い伝言を残したままにすると、次の休みに新しい伝言が入りきらないかもしれません。
聞き終えた人が、メモを1行書けるか
電話を切ったあと、かけた人が手帳に「1月4日(月)9時から」と1行書ける。留守電の案内がうまくいったかどうかは、それでわかります。
録音の前にはつい丁寧な言葉を足したくなるものです。でも、言葉を足すほど、日付と番号は聞き取りにくくなります。迷ったときは、同僚に一度聞いてもらった結果で決めればいいのです。
計った秒数と、同僚が書き取れたかどうか。この2つを原稿と一緒に残しておけば、来年の担当者は日付を差し替えて録るだけで済みます。この文面にした理由も、数字で説明できるようになるはずです。
2026年10月28日に、文化庁の敬語の指針と個人情報保護委員会のガイドライン、消費者庁の特定商取引法ガイドのQ&A、行政機関の休日の決まりを確認して書いています。