年末年始は、ふだんと違う作業でケガが起きやすい時期です。中央労働災害防止協会は、この時期には大掃除や機械設備の保守点検などの作業が増え、そこから災害が起きるおそれが高まるとして、毎年12月から1月にかけて無災害運動を呼びかけています。1
オフィスの大掃除も、その「ふだんと違う作業」に入ります。高い所の照明を拭く、重い書類箱を運ぶ、ふだん触らない棚の奥を片付ける。分担表と当日の時間割を先に配り、ケガと捨て方の決まりを準備しておけば、半日で終えて年末を迎えられます。
いつ、誰がやるかを先に決める
分担表を手に、場所ごとの担当で一斉に片付けるイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
大掃除の日は、仕事納めの数日前にしておくと安心です。最終日にすると、片付けで出た書類の整理や、ごみの回収の手配が年明けに持ち越されます。決める順番は次のとおりです。
- 日と時間を決める(午前中だけ、など)
- 場所ごとの分担表を作る
- 高い所と重い物の担当と人数を決める
- 書類と機器の捨て方を決め、回収の業者や日を手配する
- 備品をそろえる
- 1週間前に分担表と時間割を配る
中央労働災害防止協会の実施要領は、事業場がすることとして「大掃除等を契機とした5Sの徹底」を挙げています。15Sは整理・整頓・清掃・清潔・しつけのこと。ふだん手が回らない棚や共用部を見直す機会として、分担表に「捨てる・残すを決める人」も書いておきましょう。
場所ごとの分担表
分担は人ごとではなく、場所ごとに作ると抜けが出ません。表の担当は一例です。
| 場所 |
すること |
担当の例 |
要る備品 |
| 自分の机と引き出し |
書類を捨てる・残すに分け、机の上と引き出しを拭く |
全員 |
雑巾、書類箱 |
| 書類棚・キャビネット |
保存期間を過ぎた書類を抜き出し、残す書類を並べ直す |
部署ごとに1人 |
書類箱、ラベル |
| プリンター・複合機の周り |
用紙と消耗品の在庫を確認し、周りを片付ける |
総務 |
雑巾、ごみ袋 |
| 給湯室・冷蔵庫 |
冷蔵庫の中を空にし、名前のない物を処分する |
当番を2人 |
洗剤、手袋 |
| 会議室 |
机と椅子を拭き、備品の数を確認する |
若手2〜3人 |
雑巾、備品の一覧 |
| 照明・窓・高い棚の上 |
脚立を使って拭く |
慣れた人を2人1組で |
脚立、手袋 |
| 床・入口・受付 |
掃除機をかけ、受付の備品を整える |
総務 |
掃除機、モップ |
冷蔵庫の中を空にする日は、前の週から社内に知らせておくと、持ち主の分かる物を先に持ち帰ってもらえます。
当日の時間割
午前中に終える場合の時間割の例です。最初の15分で、分担と、脚立や重い物の注意を全員で確認します。
| 時間 |
すること |
| 9:00〜9:15 |
分担表の確認、脚立と重い物の注意、ごみの分け方の説明 |
| 9:15〜10:30 |
自分の机と引き出し、書類棚 |
| 10:30〜11:30 |
共用部(給湯室・会議室・照明・窓・床) |
| 11:30〜12:00 |
ごみと書類箱を決めた場所に集める。総務が点検して終わり |
場所ごとの分担表と、午前中に終える当日の時間割の例作成: 編集部 / 出典: 中央労働災害防止協会
高い所と重い物は、ケガの多い作業
脚立を使うときは、厚生労働省のチェックリストが目安になります。天板の上に乗ったり、天板をまたいだりして作業しない。踏みさんは2段目以下(3段目以下ならなおよい)を使う。開き止めを確実にロックし、頭の真上での作業や、荷物を持っての上り下りはしない。高さ2m以上で作業するなら、墜落制止用器具も要ります。2
重い物を運ぶときの目安は、厚生労働省の腰痛予防の指針にあります。満18歳以上の男性が人の力だけで扱う重さは体重のおおむね40%以下、女性はさらにその60%くらいまで、とされています。3体重50kgの女性なら、目安は12kgほどです。これを超える書類箱や機器は、身長の近い2人以上で運ぶか、台車を使います。
書類箱は、詰め込むと思った以上に重くなります。箱の半分くらいで止める、底の抜けにくい箱を使う、といった準備も、腰を守ることにつながります。
書類と機器は、捨て方を先に決める
大掃除でいちばん量が出るのは、書類です。捨ててよいかは、法律ごとに決まった保存期間で決めます。期間の一覧は会社の書類の保存期間一覧にまとめています。
個人情報が書かれた書類を捨てるときは、元に戻せない方法を選ぶ決まりです。個人情報保護委員会のガイドラインは、焼却や溶解、適切なシュレッダー処理などを例に挙げています。パソコンや記録媒体を捨てるなら、データを消すソフトを使うか、物理的に壊します。捨てたことは、責任のある立場の人が確認し、記録を残しておきます。4
| 捨てる物 |
捨て方の例 |
残す記録 |
| 個人情報が書かれた書類 |
溶解の業者に頼む、シュレッダーにかける |
捨てた日、量、確認した人 |
| パソコン・USBメモリなど |
データを消すソフトを使う、物理的に壊す |
機器の番号、消した日、確認した人 |
| それ以外の書類・ごみ |
自治体や回収の業者のルールで分別する |
― |
捨てる机やパソコンが会社の固定資産なら、経理にも伝えます。固定資産台帳から外すだけでなく、毎年1月31日までに市区町村へ出す償却資産の申告でも、前の年から減った資産として書くことになるからです。申告の流れは償却資産の申告の書き方にあります。
オフィスから出たごみは、家庭のごみの日には出せません。事業活動から出たごみは、事業者が自分の責任で処理する決まりです。5ビルの決まりや、契約している回収の業者の分別の方法を、大掃除の前に確かめておきましょう。
片付けで通路をふさがない
大掃除の途中は、書類箱やごみ袋が通路に並びがちです。会社には、働く人が使う安全な通路を設け、いつも使える状態に保つ決まりがあります。床も、つまずいたり滑ったりしない状態に保つことになっています。6
箱やごみ袋は、通路ではなく決めた場所にまとめて置き、その日のうちに運び出します。拭いたあとの床が濡れているあいだは、ほかの人が通らないよう声をかけましょう。年末年始無災害運動の実施要領も、転倒の防止を事業場で確かめる事項に挙げています。1
準備する備品
前日までにそろえておくと、当日に買いに走らずに済みます。
- 雑巾、使い捨ての手袋、マスク
- 洗剤(キッチン用・ガラス用・アルコール)。塩素系と酸性の洗剤は混ぜない
- ごみ袋(分別の数だけ)、書類箱、ラベル、油性ペン
- 脚立(開き止めと踏みさんの傷みを前日に点検)
- 台車、掃除機、モップ
- 溶解に出す書類の回収箱(鍵付きか、封をできるもの)
脚立と重い物の注意、書類・機器・ごみの捨て方作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省・個人情報保護委員会・e-Gov法令検索
1週間前までにやること
分担表と時間割は、終わったあとに「次の年に直すこと」を書き足して保存しておきます。担当の人数や時間の配分を毎年ゼロから考えずに済み、来年の大掃除は配るだけで始められます。
この記事の注意点は、2026年10月27日時点の中央労働災害防止協会の実施要領、厚生労働省のリーフレットと指針、個人情報保護委員会のガイドライン、廃棄物処理法によるものです。分担や時間割は一例で、会社の規模やビルの決まりに合わせて変えてください。