被扶養者状況リストが届いた会社の担当者がすることは、リストに名前のある社員に3つのことを聞いて、結果にチェックを入れ、12月11日(金)までに返送することです。
協会けんぽは今年度の被扶養者資格の再確認を始め、10月下旬から11月中旬にかけて、対象の被扶養者がいる事業所にリストを郵送しています。確認の観点と期限は、協会けんぽの案内に出ています。1同じ日の国の発表は、10月28日の国の情報まとめで紹介しました。
リストが届く会社と、届かない会社
届いたリストを、1行ずつ見ていく総務の机イラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
封筒には、被扶養者状況リスト、リーフレット、被扶養者調書兼異動届、電子申請のチラシ、返信用の封筒の5点が入っています。2
全員の被扶養者が対象ではありません。協会けんぽは、扶養から外れる可能性が高い人に絞っています。2026年9月19日の記録をもとに、次のどれかに当てはまる被扶養者がいる事業所にだけ、リストが届きます。
- ほかの健康保険の資格と、重複している可能性が高い人
- 同居が要件の続柄なのに、被保険者と別居している可能性が高い人
- 2025年中の課税収入額が130万円(60歳以上は180万円、19歳以上23歳未満で配偶者でない人は150万円)以上の可能性が高い人。32026年4月1日時点で18歳未満の人と、4月1日以降に認定された人は除かれます。
対象者のいない事業所にはリストが送られないので、グループ会社の一部にだけ届く、ということも起こります。届かなかった会社は、今回は対象外です。健康保険組合に加入している会社は、協会けんぽの再確認の対象ではありません。組合が別に確認を求めてくることもあり得るので、組合からの案内がないかは見ておくと安心です。
届いた会社は、変更のない人ばかりでも、リストの返送が必要です。
名前が載っていても、手続きが済んでいる人がいます。9月20日以降に退職したり扶養を外れたりした人も載っていることがあり、日本年金機構へ届け出ていれば、その行の「日本年金機構へ届出済」に☑を入れて、届出日を書きます。退職の届出そのものが漏れていたときは、先に被保険者資格喪失届を日本年金機構へ出し、リストは同じ「届出済」にチェックして返します。
社員に聞くのは、3つの点だけ
協会けんぽは、保険給付の適正化と無資格での受診を防ぐために、この再確認を毎年度行っています。昨年度の結果の報告では、扶養から外れた人の理由として、就職して勤め先の健康保険に入ったのに、扶養を外す届出が出ていなかったケースが多くを占めたと書かれています。4
リストの1行ごとに、次の3つをこの順で見ます。リーフレットも、①から③の順に確認するよう案内しています。
| 順 |
聞くこと |
主な確認書類 |
| ① |
就職して勤め先の健康保険に入っていないか。別の人の扶養に入っていないか |
資格情報のお知らせ、資格確認書のコピーなど |
| ② |
同居が要件の続柄の人が、別居していないか |
被保険者と被扶養者の住民票 |
| ③ |
収入が線を超えていないか。同居なら被保険者の年収の半分未満か、別居なら仕送り額より少ないか |
給与明細の直近3か月分、離職票、年金額改定通知書のコピー。別居なら、仕送りが分かる通帳のコピーなど |
確認書類は、事業主が見るためのものです。リーフレットには、協会けんぽへ提出する必要はないと書かれています。
見落としたくないのは、税の扶養との違いです。年末調整の扶養控除等申告書に載せている人でも、健康保険の確認は必要だと、協会けんぽのよくある質問に書かれています。見る線も数え方も別なので、違いは扶養とは 税は136万円、社会保険は130万円で線が分かれる理由に書きました。
社員にそのまま送れる依頼の文面
家族の収入や同居のことは、どう切り出すか迷いますよね。協会けんぽのホームページには、社員に答えてもらうための「被扶養者資格再確認調査票」(Excel)があります。メールに添付して、次のような文面で依頼します。
席で声をかけるなら、短い一言を添えると、メールが唐突に見えません。
回答の期限は、リストが届いた日から数えて決めます。ここでは12月2日(水)としました。
収入は、今後1年の見込みで見る
リストに載ったのは、2025年中の収入が線を超えた可能性が高い人です。ただ、確認で見るのは過去の収入ではなく、今後1年間の見込みです。協会けんぽのよくある質問は、2025年の収入が線に届かなくても、現時点の収入を1年に換算して判断すると書いています。反対に、2025年は線を超えても、今は勤務が減っている人もいるはずです。その人たちも、今後1年の見込みで見直します。
年収の線は、被扶養者によって3つに分かれます。
| 被扶養者 |
年収の線 |
| 一般 |
130万円未満 |
| 19歳以上23歳未満(その年の12月31日時点の年齢)。被保険者の配偶者は除く |
150万円未満 |
| 60歳以上、または障害厚生年金を受けられる程度の障害がある人 |
180万円未満 |
給与なら、130万円は月額に直して約108,333円が目安です。年収に数えるのは給与だけではなく、公的年金、雇用保険の失業給付、健康保険の傷病手当金や出産手当金も入ります。自営業の人は、年間の総収入から必要経費を引いた額です。奨学金は、貸与型なら収入に入らず、給付型は入ることがあります。
線を超えていなくても、もう1つ見る点があります。同居なら被保険者の年収の半分未満、別居なら仕送り額より少ないことです。被扶養者の年収が被保険者の年収の半分以上のときは、リストに「変更なし」などの記入をせず、確認書類のコピーを付けます。協会けんぽが、総合的に判断するためです。
18歳未満の被扶養者は、収入の確認がいりません。ほかの健康保険との重複と、同居だけを見ます。
12月11日の必着から逆算した段取り
返送は、12月11日(金)必着です。投函した日ではなく、協会けんぽに届く日が期限なので、郵送の日数を見込みます。11月から12月は、年末調整の書類も集まる時期です。リストが届いた週のうちに、社員への依頼まで進めておくと、あとが楽になります。
ここからは、編集部が考えた日程です。リストが届く日は会社によって違うため、届いた日を起点に、回答期限と投函日を決めます。
| 時期 |
すること |
相手と書類 |
| リストが届いた日 |
同封の5点がそろっているか見る。リストの人数を数え、担当者を決める |
労務の担当者。リスト、リーフレット、調査票 |
| 届いた週のうち |
社員に依頼のメールを送り、回答期限を決める(例は12月2日(水)) |
対象の社員。調査票、依頼のメール |
| 回答が戻った順 |
1人ずつ3点を見て、リストにチェックを入れる。扶養を外す人がいれば、日本年金機構へ電子申請する |
労務の担当者。被扶養者(異動)届 |
| 12月4日(金)まで |
事業主欄を書き、全員分のチェックを別の人が見直す |
労務と、見直す人。リスト |
| 12月7日(月)ごろ |
返信用の封筒に入れて投函する |
返信用封筒、リスト、必要なら調書兼異動届 |
| 12月11日(金) |
協会けんぽ(私書箱)に届いていなければならない日 |
協会けんぽ |
確認が終わらない人がいても、できた分だけ先に出すことはしません。全員の確認がそろってから、まとめて出します。期限を過ぎてしまったときは、すみやかに出すよう案内されています。
リストが届いてから12月11日必着の返送までの日程と、社員に聞く3つの点作成: 編集部 / 出典: 全国健康保険協会・日本年金機構
返送の前に、次の点を見ておくと、戻されることが減ります。
リストが複数枚のときは、事業主欄は1枚目だけで足ります。名前が載っていない社員の扶養家族を、書き足す必要はありません。リストの氏名や生年月日が違っていたときは、リストに直さず、日本年金機構へ訂正を届けます。
扶養から外れる人がいたときの出し方
確認の結果、扶養から外れる人がいたら、日本年金機構へ被扶養者(異動)届を出します。協会けんぽは、手続きを早く進めるために、電子申請を勧めています。出し方は3通りです。
| 出し方 |
出すもの |
届け先 |
決定通知まで |
| 電子申請 |
被扶養者(異動)届。リストは「日本年金機構へ届出済」に☑を入れ、届出日を書く |
日本年金機構 |
案内に目安の記載なし |
| 紙で日本年金機構へ(急ぐとき) |
紙の被扶養者(異動)届。リストは同じく「届出済」に☑と届出日 |
日本年金機構の事務センター |
案内に目安の記載なし |
| 紙で協会けんぽへ |
被扶養者調書兼異動届(解除用)。リストは「調書兼異動届を添付」に☑ |
協会けんぽ(返信用封筒) |
1〜2か月ほどかかることがある |
気をつけたいのは、同じ「扶養を外す」でも、どこへ出すかで決定通知書が会社に届くまでの時間が変わりうることです。調書兼異動届は再確認専用で、通常の異動届や、扶養の追加には使えません。
届書に書く「扶養でなくなった日」は、理由で決まります。ほかの健康保険に入ったときは、その資格を取得した日、別居なら別居した日です。収入が増えたときは、就職した日、時給が上がった日、年金額が改定された日など、収入が増えた日を書きます。日付が分からないときは、申し出た日です。
扶養から外れる人が資格確認書を持っているときは、協会けんぽへ返します。高齢受給者証、限度額適用認定証、特定疾病療養受療証も同じです。紛失などで回収できないときは、日本年金機構の「健康保険資格確認書回収不能届」を、被扶養者(異動)届に添えます。あとから見つかった資格確認書は、協会けんぽの都道府県支部へ返却します。
外れる家族の側にも、手続きが残ります。決定通知書を国民健康保険の加入手続きに使えるかどうかは、加入先の市区町村に聞くよう案内されています。国民年金の第3号被保険者だった配偶者は、国民年金の種別変更が必要です。第1号被保険者になる場合は、住民票のある市区町村役場で手続きします。社員には、決定通知書を渡すときに、この2点も伝えておくと安心です。
扶養を外す人の出し方3通りと、一時的な収入増の事業主の証明作成: 編集部 / 出典: 全国健康保険協会・厚生労働省
収入が一時的に増えた人は、事業主の証明で扶養のまま
リストに載った理由が収入の増加でも、そのまま扶養解除になるとは限りません。人手不足による労働時間の延長などで、一時的に年収が130万円以上になったときは、被扶養者を雇う事業主の証明書を添えると、扶養のままでいられる特例があります。厚生労働省は、毎年の被扶養者認定で、原則として連続2回まで使えると案内しています。5
協会けんぽのよくある質問は、一時的に増えた状態が3年連続しているときは、解除の手続きが必要としています。基本給が上がったり、恒常的な手当が新しく付いたりして、今後も収入が増えることが確実なときは、一時的な増加とは認められません。
証明書を書くのは、被扶養者を雇っている事業主です。社員の家族が別の会社で働いているなら、その会社に書いてもらいます。家族が自社で働いているなら、書くのは自社の側です。様式は協会けんぽのホームページにあり、事業主の欄には、事業所の所在地、名称、事業主の氏名、電話番号のほか、雇用契約などで本来想定される年間収入、労働時間の延長などが行われた期間、その期間の収入の実績額を書きます。本来の年間収入が130万円未満であることが前提で、雇用契約書などの添付を求められることもあります。
リストには、「変更なし」に☑を入れて、この証明書を添えます。2か所で働いて合計が130万円以上になるときは、増えた主な理由になっている勤務先の証明をもらいます。それぞれの勤務先で一時的に超えているなら、それぞれの証明が必要です。証明を頼まれる側の会社の目線で、短期アルバイトの扶養内の希望をどう聞くかは、短期アルバイトの雇用契約書と社会保険に書いています。
家族の情報は、必要な分だけ預かる
集める書類には、社員の家族の氏名、生年月日、収入、住まいの情報が入ります。個人情報保護委員会のガイドラインは、利用目的をできるだけ具体的に決めること、書面で直接集めるときは、あらかじめ利用目的を本人に示すことを求めています。6調査票やメールには、「協会けんぽの被扶養者資格の再確認に回答するため」と、一行で書いておきます。
集める量は、協会けんぽの案内に合わせると、必要な分で足ります。仕送りの確認は直近1か月分でよく、通帳の写しは、関係のない部分を黒く塗ってから出してもらいます。確認が済んだ書類は、協会けんぽへ出す必要がありません。
預かったあとは、見る人を絞ります。ガイドラインには、取り扱う従業者と役割を決める、書類を施錠できる棚にしまう、持ち運ぶときは封筒に入れる、廃棄はシュレッダーなど復元できない方法で行う、といった例が挙がっています。使う必要がなくなった個人データは、遅滞なく消すよう努めることも書かれています。法令で保存期間が決まっているものは、別です。
返送したあとに残る仕事
返送が済んでも、リストの結果の通知は協会けんぽから届きません。被扶養者調書兼異動届を出した場合だけ、日本年金機構から被扶養者(異動)決定通知書が会社に届きます。届いたら外れた社員に渡し、さきほどの市区町村での手続きを伝えます。
もう1つ、来年のために残せるものがあります。昨年度の結果で多かったのは、就職して健康保険に入ったのに、扶養を外す届出が出ていなかったという理由でした。日本年金機構の案内では、被扶養者の削除の届出は、そのつど出すことになっています。7再確認で見つかってから出すのではなく、社員から総務に知らせてもらえる入口があれば、次の年の確認は軽くなるはずです。
入口は、大きなものでなくてかまいません。たとえば、年末調整の扶養控除等申告書を配る連絡に、「ご家族が就職したとき、年収が130万円を超えそうなときは、先に総務へ知らせてください」と一文足しておく方法があります。
封筒を開けた日から返送するまで、やることは決まっています。いちばん気を使うのは、社員に家族のことを聞く最初の一通です。文面を先に整えておけば、残りは日程どおりに進みます。
この記事は、2026年10月28日時点の協会けんぽ、日本年金機構、厚生労働省、個人情報保護委員会の案内にもとづいています。扶養から外れるかどうかの個別の判断は、加入している協会けんぽの都道府県支部、年金事務所、社会保険労務士に相談してください。