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労災保険法の改正で会社がすること 2027年4月施行の遺族年金と時効の見直し

労災保険法等の改正(令和8年法律第60号)は2027年4月1日に施行されます。遺族補償年金の夫の要件の撤廃と175日分への統一、時効2年から5年、特別加入団体の法定化まで、会社の規程・手続き・社員への周知を段取りで整理します。

公開 約12分ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆
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労災保険法の改正で会社がすること 2027年4月施行の遺族年金と時効の見直し

この記事でわかること

  • 令和8年法律第60号は2026年7月17日に公布され、遺族補償年金や時効の見直しは2027年4月1日に施行されます。
  • 夫の要件の撤廃、一律175日分、時効の5年化など、5つの改正点のうち会社の実務に近いものを分けて確かめます。
  • 意見募集中の政令案は施行日に公布予定の段階です。規程の見直し、社内の段取り、社員への周知文例を載せました。
対象労務総務実務

厚生労働省は2026年10月22日、「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案」への意見募集を、e-Govで始めました。締め切りは2026年11月23日です。もとになる改正法は、2026年7月17日に公布済みで、会社の実務に近い部分は2027年4月1日に動き出します。この記事は2026年10月23日時点の、公式の資料に基づく整理です。

政令案と改正法は別物です 決まったことと予定を分けます

まず、似た名前の資料を整理します。改正の本体は法律で、細かい中身を決めるのが政令と省令です。今回の意見募集は、政令の案についてのもので、法律そのものではありません。

資料 状態 日付
労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案 国会に提出 2026年4月7日
同法律(令和8年法律第60号) 可決成立 2026年7月10日
同法律 公布 2026年7月17日
関係政令の整備に関する政令案 意見募集 2026年10月22日〜11月23日
同政令 公布(予定) 2026年12月
改正法の大部分と政令 施行(予定を含む) 2027年4月1日

法律のほうは、成立・公布・施行日が決まっています。政令案の公布と施行日は、厚生労働省の概要に「予定」と書かれた段階です。この記事でも、法律で決まったことと、政令案の内容を分けて書きます。

2026年4月の法律案提出から7月の成立と公布、10月22日からの政令案の意見募集、12月の政令公布予定、2027年4月1日の施行までの5段階の流れと、資料ごとの確定・案・予定の区別、意見募集の期間と出し方
労災保険法の改正 成立から施行までの流れと、決まったこと・予定作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省「令和8年法律第60号について」・e-Gov意見募集

改正は5つ 会社の実務への近さで分けます

改正法は、働き方の多様化などを踏まえて、労働災害に対する幅広い安全網を整えるものと説明されています。内容は5つです。会社の実務との距離で並べました。

改正点 施行 会社の実務との近さ
遺族補償年金の夫の要件の撤廃と、遺族1人の年金額を175日分に統一 2027年4月1日 近い(社員が亡くなったときの案内と規程)
時効を2年から5年にする疾病を政令で定める 2027年4月1日 近い(請求の助力と記録)
特別加入団体の要件の法定化と業務改善命令 2027年4月1日 中(一人親方やフリーランスへの発注)
農林水産業の小規模な個人経営への暫定措置の廃止 公布から5年以内の政令で定める日 遠い(個人経営の取引先がある場合)
社会復帰促進等事業の不服申立て先の見直し 2027年4月1日(一部は公布の日) 遠い(社員から相談されたとき)
遺族補償年金と時効の見直しは近い改正、特別加入団体は中、農林水産業の暫定措置の廃止と不服申立て先の見直しは遠い改正として、内容・施行時期・会社の仕事を5つの枠で整理した図
改正の5つの点と、会社の実務への近さ作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省「令和8年法律第60号の概要」・基発0717第2号

近い順に、会社が何をするかを見ていきます。

遺族補償年金 夫の要件が撤廃され、遺族1人なら一律175日分になります

労災で労働者が亡くなったとき、生計を維持されていた遺族に、遺族補償年金が支払われます。通勤中の事故では遺族年金、複数の会社で働いていた場合は複数事業労働者遺族年金という名前です。厚生労働省の資料では、まとめて「遺族補償年金等」と呼んでいます。

何が変わるのか

これまでは、夫だけに要件が課されていました。労働者である妻が亡くなった時点で、夫が55歳以上か、一定の障害の状態でなければ、受給権が生じませんでした。妻が亡くなった場合の夫だけに年齢の壁があった、ということです。改正後は、この夫だけの要件がなくなります。

遺族の順位 見直し前 見直し後
第1順位 妻、または60歳以上か一定の障害の夫 妻または夫
第2順位 18歳以下か一定の障害の子 同じ
第3順位 60歳以上か一定の障害の父母 同じ
第7順位 55歳以上60歳未満の夫・父母・祖父母・兄弟姉妹 55歳以上60歳未満の父母・祖父母・兄弟姉妹

表の「60歳以上」は順位の区分です。死亡時に55歳以上60歳未満の夫は、見直し前は第7順位に置かれていました(厚生労働省の概要の表のとおり)。

もう1つの変更は、遺族が1人のときの年金額です。見直し前は、給付基礎日額の153日分でした。ただし、遺族が妻のみで、55歳以上か一定の障害の状態にある場合は175日分でした。見直し後は、遺族が1人なら、一律で175日分になります。

給付基礎日額とは、労災保険の給付額を計算する土台になる、1日あたりの額です。次の数字は、架空の例で、年金の年額を比べたものです。

給付基礎日額(架空) 153日分 175日分 差
10,000円 1,530,000円 1,750,000円 220,000円
12,000円 1,836,000円 2,100,000円 264,000円

実際の額は、本人の給付基礎日額で決まります。ほかの給付や特別支給金は、ここでは扱いません。

遺族が1人のときの年金額が153日分または175日分から一律175日分になること、受給資格者の順位の見直し前後の表、会社の実務の3点、施行日前の死亡の経過措置
遺族補償年金 夫の要件の撤廃と、遺族1人の年金額175日分作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省「令和8年法律第60号の概要」・法律の附則

施行日の前の死亡は、これまでのままです

法律の附則では、2027年4月1日より前に支給すべき事由が生じた遺族補償年金などは、遺族の範囲や順位、受給権の消滅や支給の停止について、従前の例によるとされています。施行日前の期間に係る年金の額も、従前の例です。つまり、施行日の前に亡くなった方の遺族には、新しい扱いは及びません。

会社の実務で手を入れるところ

労災の給付は、国(労働基準監督署)が行います。会社が年金額を計算するわけではありません。会社に関わるのは、次の3点です。

  1. 遺族への案内の文書やマニュアル。「夫は55歳以上でなければ」と書いた説明があれば、2027年4月1日以後の死亡に当たる案内を分けて直す
  2. 慶弔見舞金規程や、法定外の補償を定めた規程。労災の遺族補償年金の要件を前提にした書き方があれば、見直す
  3. 請求の助力と証明。労災保険法施行規則第23条は、事業主に、請求する人が手続きを行えるよう助力すること、必要な証明を求められたらすみやかに証明することを定めています

時効 一部の疾病は2年から5年になります

労災保険の給付を請求できる期間は、給付ごとに決まっています。厚生労働省の資料では、障害補償給付や遺族補償給付などは5年、療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付などは2年です。労働基準法の災害補償の請求権も2年です。

改正後は、疾病の性質上、災害補償の事由に当たるかどうかを容易に判断できない疾病として政令で定めるものに限り、2年の給付が5年になります。

請求権 現在 改正後
療養補償給付・休業補償給付・葬祭料・介護補償給付など 2年 2年。政令で定める疾病は5年
障害補償給付・遺族補償給付など 5年 5年(変更なし)
労働基準法の災害補償の請求権 2年 2年。政令で定める疾病は5年
請求権ごとの現在と改正後の期間の表、政令案が定める脳・心臓疾患と精神疾患と石綿関連疾病の3種類、施行日前後の事故の扱い
請求できる期間(時効)の見直し 政令で定める疾病は2年から5年作成: 編集部 / もとの資料: 厚生労働省「令和8年法律第60号の概要」・政令案の概要

政令案が定める疾病は3種類です

今回の政令案は、5年にする疾病を、次の3種類として定めています。細かい範囲は、厚生労働省令で定める形です。

  • 脳血管疾患または心臓疾患
  • 精神疾患
  • 石綿を吸入することで発生する疾病

法律の概要は、背景として、令和2年の労働基準法の改正法案への附帯決議で、災害補償の請求権の時効を労災保険法の時効と合わせて検討することが明記されていた、と説明しています。あわせて、政令案は、労働基準法第37条第1項の割増賃金の率を定める政令の題名を「労働基準法施行令」に改める案も含んでいます。

5年になるのは、施行日以後の事故です

附則では、施行日の前に生じた事故が原因の保険給付などの時効は、従前の例によるとされています。2027年3月31日までの事故は2年のままです。

会社の実務で手を入れるところ

時効が延びると、退職した社員からの請求や問い合わせが、事故から2年を過ぎても届く可能性が出ます。脳・心臓疾患や精神疾患は、本人が業務との関係に気づくまでに時間がかかることがある疾病です。会社には、次の準備が考えられます。

  • 退職者からの労災の証明の依頼を受ける窓口を、あらかじめ決めておく
  • 勤務時間の記録、健康診断やストレスチェックの実施記録、面談の記録を、どの期間残すか決める

労働基準法第109条は、労働者名簿、賃金台帳、災害補償などに関する重要な書類を、5年間保存するよう定めています。同法第143条により、当分の間は3年間です。時効の変更で、この保存期間が変わるとは、公式の資料に書かれていません。時効が5年になる疾病を考えると、3年で捨てる運用でよいかは、会社ごとに判断が要ります。

特別加入団体の要件が法律に書かれます

労働者ではない一人親方などは、特別加入団体を通じて申請し、政府の承認を得ると、労災保険に入ることができます。団体の要件は、これまで通達などで定められていました。改正後は、労災保険の業務や、業務災害の防止に関する活動を適切に行えることなどの要件が、法令に書かれます。具体的な要件は省令で定める予定です。

政府は、承認した団体に業務の改善を命じることができ、命令に違反した場合は、その団体の保険関係を消滅させることができるようになります。

すでに承認を受けている団体は、附則により、施行日に新しい法律の承認を受けたものとみなされます。団体や加入者が、施行日に手続きをやり直す必要はありません。

会社の実務では、一人親方や、フリーランスの職人に仕事を発注している場合に関わります。発注先が特別加入団体に入っているか、事故のときの連絡先をどうするかを、取引の資料に整えておくと安心です。フリーランスへの発注そのものの決まりは、フリーランス法の取引条件の明示 発注書の書き方と支払期日60日・禁止行為の確認で整理しています。

農林水産業の暫定措置の廃止と、不服申立て先の見直し

暫定措置の廃止

労災保険は、労働者を使用するすべての事業に適用されるのが原則です。ただし、当分の間の暫定措置として、農林水産業の小規模な個人経営の事業の一部は、任意適用でした。たとえば、個人経営で常時5人未満の労働者を使う農業などです。この措置が廃止され、これらの事業も適用事業になります。

施行は、公布の日から5年以内の政令で定める日です。厚生労働省の概要は、施行までに5年ほどの準備期間を設ける想定、としています。法人の会社は、すでに適用事業ですので、手続きは変わりません。

社会復帰促進等事業の不服申立て

義肢や車いすの費用の支給など、労災保険の付帯事業として行われる社会復帰促進等事業の給付について、不服がある場合の申立て先が変わります。これまでは行政不服審査法の対象でした。改正後は、労災保険給付と同じく、労働保険審査官及び労働保険審査会法の対象になります。業務上かどうかという同じ争点で、結果が分かれることを防ぐ趣旨です。

政令案は、この対象になる事業を、5つに分けて定めています。

事業の区分(政令案) 内容
ア 被災労働者の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業
イ 被災労働者の療養生活の援護を図るために必要な事業
ウ 被災労働者の受ける介護の援護を図るために必要な事業
エ 被災労働者の遺族の就学の援護を図るために必要な事業
オ ほか、被災労働者と遺族の援護を図るために必要な事業

具体的な事業は、省令で定める形です。会社が手続きをする場面は少なく、社員から相談されたときに、不服の申立て先が変わることを知っていれば足ります。

意見募集の要点 会社として意見を出すか

意見募集の対象は、政令案の概要です。期間は2026年10月22日(木)から11月23日(月)で、必着と書かれています。提出先は、厚生労働省 労働基準局労災管理課 企画法令係です。

  • 提出方法は、e-Govの意見提出フォーム、電子メール、郵送の3つで、様式は自由です
  • 理由を付けて、日本語で書きます
  • 法人は、法人名と所在地を書きます
  • 個別の回答はされず、氏名と連絡先以外は公表されることがあります

意見を出すのは、会社の任意です。政令案が定めるのは、疾病の範囲(脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病)や、不服申立ての対象事業です。会社の実務に近いのは、今後の省令と通達です。意見を出さない場合も、結果が公表されたときに確かめられるよう、担当者が経過を追っておくと足ります。

社内の段取り 2027年4月までに何をするか

施行日までは約5か月半あります。次の順に進めると、年度の切り替えと重なる4月に慌てません。

時期 担当 やること
2026年11月 労務・総務 意見募集を確認する。出す意見があれば11月23日までに提出する
2026年12月ごろ 労務 政令の公布(予定)を確認する。省令・通達が出たら、本記事の内容を照らす
2027年1月〜2月 労務・総務 遺族への案内文書、慶弔見舞金規程、法定外補償の規程を見直す
2027年3月 労務 記録の保存期間を、文書管理の規程で決める。窓口の担当を決める
2027年3月〜4月 総務 社員へ周知する(次の文例)
2027年4月1日 労務 施行。それ以降の事故・死亡から新しい扱い

労災保険の保険料の計算や年度更新は、この改正で変わるとは公式の資料に書かれていません。通常どおりの手続きは、労働保険の年度更新 申告書の書き方と確定・概算保険料の計算方法で確かめられます。労災保険の基本は、社会保険とは 健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の違いと負担の分け方にまとめています。

社員への周知 社内のお知らせの文例

周知は、政令と省令が決まり、公式の案内が出てから行います。内容は、社員の生活に関わる点に絞ります。

政令と省令の最終の内容が変わったときは、文例も直します。

今日からできること

制度の判断は、個別の事情で変わります。この記事は2026年10月23日時点の公式の資料に基づいています。規程の見直しや、個別の事案については、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士に確かめてください。

よくある質問

Q労災保険法の改正で、会社が新しく出す届出はありますか。

A厚生労働省の法律の概要と施行通達には、会社に新しい届出や申請を義務づける項目は書かれていません。ただし、関係する省令や通達は今後の予定です。遺族への説明、請求の助力と証明、規程の見直しなど、手続きの周辺で手を入れる点があります。

Q2027年3月以前に起きた事故にも、時効の5年は当たりますか。

A当たりません。法律の附則で、施行日の前に生じた事故が原因の保険給付などの時効は、従前の例によるとされています。5年になるのは、施行日の2027年4月1日以後に生じた事故のうち、政令で定める疾病が原因のものです。

Qうちは会社(法人)ですが、農林水産業の暫定措置の廃止は関係ありますか。

A暫定任意適用の対象は個人経営の小規模な事業です。法人の会社は、すでに労災保険が当然に適用されているため、この改正で手続きが変わるわけではありません。農業などの個人経営の取引先がある場合は、時期が来たときに知らせる程度で足ります。

Q政令案の内容は、この記事のとおりに決まりますか。

A決まったわけではありません。政令案は2026年10月22日から11月23日まで意見を募集している段階で、公布は同年12月、施行は2027年4月1日の予定です。意見募集の結果や省令の公表を、厚生労働省の案内で確かめてください。

出典・参考

この記事は、まだ監修者のチェックを受けていません。

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ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の資料・公的な統計などの一次情報を調べて、バックオフィスの仕事・ビジネスマナー・会社のしくみの解説記事と図解を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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