総務省の労働力調査によると、2025年の女性の就業率は、25〜34歳で85.7%、35〜44歳で81.7%でした。10年前の2015年はどちらも72%前後だったので、子育ての時期にあたる年代で、10ポイント以上上がったことになります1。
かつては出産や子育ての時期に就業率が落ち込み、年齢別のグラフがアルファベットのMの形になることから「M字カーブ」と呼ばれてきました。そのくぼみは、今ではほとんど目立ちません。ただ、働き方の中身を見ると、別の形が見えてきます。
子育て期の就業率は、10年で10ポイント以上上がった
女性の年齢階級別の就業率(2015年と2025年)作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局
労働力調査は、総務省統計局が毎月行う調査で、年平均の結果は翌年の春に公表されます。就業率は、15歳以上の人口に占める働いている人の割合です2。
2025年の女性全体の就業率は55.1%で、5年連続で上がりました。15〜64歳に限ると75.3%で、男性の84.6%との差は9.3ポイントです。2015年は女性64.6%、男性81.8%だったので、差は17.2ポイントから半分近くに縮んでいます1。
年代ごとでは、25〜34歳が72.1%から85.7%に、35〜44歳が71.2%から81.7%に上がりました。55〜64歳も57.9%から71.6%に伸びています。
M字のくぼみは、ほとんど見えなくなった
両立の制度は、使う人の声を聞いて見直すイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
M字のくぼみは、隣の年代と比べるとわかります。2015年は、35〜44歳の71.2%が、25〜34歳の72.1%と45〜54歳の74.8%の両方を下回り、谷になっていました1。
2025年は、35〜44歳の81.7%と45〜54歳の82.0%の差が0.3ポイントしかありません。グラフは谷というより、25〜34歳を頂点にゆるやかに下がる形に近づきました。この記事の数字は10歳ごとの区分なので、5歳ごとに見ると細かな凹凸は残りますが、大きな傾きは同じ読み方ができます。
正規の割合は、25〜34歳を頂点に下がっていく
働く女性のうち正規の職員・従業員の割合作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局
働いている人が増えた一方で、働き方には年齢による差があります。役員を除く雇用者のうち、正規の職員・従業員の割合は、女性の25〜34歳で71.5%と最も高く、35〜44歳で55.1%、45〜54歳で47.6%、55〜64歳で36.4%と下がっていきます1。
男性は25〜34歳が86.4%、35〜44歳と45〜54歳は91%台で、年齢が上がっても高いままです。女性の正規の割合をグラフにすると、L字のような形になります。10年前と比べると、どの年代も5〜12ポイントほど上がっていますが、形そのものは変わっていません。
つまり、子育ての時期にも仕事を続ける人は増えましたが、正規の働き方のまま続ける人、あとで正規に戻る人は、まだ少ないと読めます。ただ、この統計からは理由まではわかりません。本人が短い時間の働き方を選んだ場合もあるので、決めつけずに読むことが大切です。
正規で働く女性は、1年で42万人増えた
変化の兆しもあります。2025年の正規の職員・従業員は、女性が1341万人で、前の年より42万人増えました。男性の増加は12万人なので、正規の増え方は女性のほうが大きかったことになります1。
年代ごとの割合も、10年前と比べて35〜44歳で9.7ポイント、25〜34歳で12.3ポイント上がっています。非正規の割合で見ると、25〜34歳は2015年の40.8%から2025年は28.5%に下がりました1。子育ての時期に正規のまま働き続ける人は、少しずつ増えていると読めます。
ただし、45〜54歳では今も非正規が52.4%と半分を超えます。一度正規を離れた人が戻れる道をどうつくるかは、これからの人事の課題になりそうです。
人事が自社の数字と並べるときの見方
統計は、自社の状況を点検する目安になります。たとえば、30代で辞める女性社員が多いのか、辞めずに働き方だけ変えているのかで、打つ手は変わるはずです。
育休からの復帰の段取りは育休から復職する前の面談の記事、時短勤務の人の評価は時短勤務の評価と目標の記事で確認できます。正社員のまま時間を短くできる制度があるか、短時間の正社員から元に戻る道があるかも、見直す点になるでしょう。
自社の数字と並べる確認表
- 女性社員の人数を、年代ごとに数えた。
- 年代ごとの正社員の割合を出し、統計と並べた。
- 過去3年に辞めた女性社員の年代と理由を見た。
- 育休から復帰した人の、1年後の働き方を確認した。
- 時短勤務やパートから正社員に戻った例があるかを調べた。
- 制度を使った人に、困ったことを聞く場をつくった。
数字は、2026年11月4日に総務省統計局の労働力調査(基本集計)2025年平均結果の概要で確認したものです。次の年平均の結果は、2027年の春に公表される見込みです。