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事前確定届出給与とは 役員賞与を損金にする届出の期限と書き方

役員の賞与を損金にするには、額と支給日を決めて税務署へ届け出ます。届出と違う額を払うと少なくても全額が損金から外れるのが原則なので、決議から1か月という期限の数え方と付表の書き方を押さえます。

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事前確定届出給与とは 役員賞与を損金にする届出の期限と書き方

この記事でわかること

  • 事前確定届出給与の期限は、総会の決議から1か月と期首から4か月の早いほう
  • 届出より多くても少なくても、原則は払った額の全額が損金にならない
  • 決算をまたぎ、後の回だけ違ったときは、損金から外れるのは後の回の額だけ
  • 一時的な資金繰りの都合では、減額の変更届を出す理由に当たらない
対象経理実務

冬の賞与で、役員の分だけ届出より少なく振り込む。会社の負担が減るのだから、問題はなさそうに見えます。でも、税務ではその賞与の全額が損金から外れるのが原則です。1

役員の賞与を損金にできる形は限られています。いつ、いくら払うかを先に決めて税務署へ届け出るのが事前確定届出給与で、期限は総会で決議してから1か月を経過する日と、期首から4か月を経過する日の早いほう。12月に振り込む前も、来年の総会を開く前も、見るのは同じ届出書と付表です。

役員の賞与は、期の初めに決めておく

役員の報酬や賞与で損金になる形は、次の3つです。2

形 どんな給与か 主な条件
定期同額給与 1か月以下の一定の期間ごとに同じ額を払う 額を変えるのは原則、期首から3か月以内
事前確定届出給与 決まった時期に、確定した額を払う 定めの内容を税務署へ届け出る
業績連動給与 業績の指標をもとに算定する 同族会社は原則対象外。算定方法の開示なども要る

同族会社は業績連動給与を原則使えないので、賞与で出すなら真ん中を考えることになります。社員の決算賞与のように、期末に額を伝えて未払計上する道は、役員にはありません。決算の数字を見てから決めた額は、事前に確定した額とはいえないからです。

明るい事務所の木の机の上に、何も書かれていない同じ大きさの白い封筒が2通、高さをそろえて並んでいる。封筒の後ろには紺のファイル、手前には目盛りのない木の定規があり、奥には観葉植物と窓が見える。
届け出た日と額のとおりに払う。そろえておくのが損金の前提ですイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)

2027年の総会で数えると、期限はこの日

定時総会の日を架空で置き、暦で数えました。3

12月決算(2027年12月期) 3月決算(2028年3月期)
定時総会の例 2027年3月26日(金) 2027年6月28日(月)
決議から1か月を経過する日 2027年4月26日(月) 2027年7月28日(水)
期首から4か月を経過する日 2027年4月30日(金) 2027年7月31日(土)
届出の期限 2027年4月26日(月) 2027年7月28日(水)

総会が期首から3か月を過ぎると、4か月のほうが先に来ます。なお、国税通則法では、届出などの期限が日曜や祝日などに当たるときは翌日を期限とみなします。4

迷いやすいのが、総会のあと、取締役会で各人の額を決める場合でしょう。決議が職務の開始より後なら、数え始めは開始の日です。3再任の役員なら、開始の日は定時総会の日。5つまり、取締役会を1週間遅らせても、期限は延びません。

事前確定届出給与の届出期限の図。12月決算は2027年3月26日(金)の総会から1か月を経過する4月26日(月)が、期首から4か月を経過する4月30日(金)より早く、期限は4月26日。3月決算は2027年6月28日(月)の総会から1か月を経過する7月28日(水)が、7月31日(土)より早く、期限は7月28日。それより後に決めても今期の届出には間に合わない。原則と違う期限は、新設法人が設立の時に始まる職務について定めたとき設立の日以後2か月を経過する日、臨時改定事由で新たに定めたとき原則の日と事由が生じた日から1か月を経過する日の遅いほう、届出済みの定めを臨時改定事由で変更したとき事由が生じた日から1か月を経過する日、業績悪化改定事由で減額したとき変更の決議から1か月を経過する日で、その前に次の支給日が来るならその前日。数え方は、決議の翌日から数えて翌月の同じ日で、5月25日の決議なら6月25日。決議が職務の開始より後なら開始の日から数え、再任なら定時総会の日。申告期限の延長の指定を受けていると4か月は指定の月数に3か月を足した月数で、通算法人の一部は5か月。総会の日は架空の例。
届出の期限は、決議から1か月と期首から4か月の早いほう。12月決算と3月決算の暦の例と、違う期限になる場面作成: 編集部 / 出典: 国税庁(タックスアンサーNo.5211・届出書の記載要領)、法人税法施行令

原則と違う期限になる場面は4つあります。6

場面 届出の期限
新設法人が、設立の時に始まる職務について定めた 設立の日以後2か月を経過する日
臨時改定事由で新たに定めた(直前の職務に定めがない) 原則の日と、事由が生じた日から1か月を経過する日の遅いほう
届出済みの定めを、臨時改定事由で変更した 事由が生じた日から1か月を経過する日
届出済みの定めを、業績悪化改定事由で減額した 変更の決議から1か月を経過する日。その前に次の支給日が来るなら、その前日

では、11月になって「役員にも冬の賞与を」と言われたらどうでしょう。12月決算や3月決算なら、今期の期限はもう過ぎています。臨時改定事由のような事情がなければ、今から決めてもこの形にはなりません。税務署長がやむを得ない事情を認めたときの救済はあるものの、どんな事情が当たるかの例は国税庁の資料に見当たりませんでした。7損金にならない前提で払うかは会社が決めることで、来期に出すなら次の総会の議案に入れる話になります。

届出書で書きにくいのは2か所

欄ごとに何を書くかを、架空の例で1枚の図にまとめました。

事前確定届出給与に関する届出書と付表1の記入例の図。届出書は定めごとに1通で対象の役員全員の分をまとめる。①決議をした日と機関等は令和9年6月28日の定時株主総会、②職務の執行を開始する日は令和9年6月28日、③臨時改定事由の概要と生じた日は臨時改定事由で定めたときだけ、④事前確定届出給与等の状況は付表1のNo.1からNo.2のとおり、⑤定期同額給与としない理由と支給時期の理由は自社の事情を具体的に、⑥その他参考となるべき事項は定めの写しを添付し新設法人は設立年月日も書く。届出期限は(イ)令和9年7月28日、(ロ)令和9年7月31日、イは令和9年7月28日、届出期限となる日は1。番号はイの日なら1、ロ(新設法人)なら2、ハ(臨時改定事由)なら3。付表1は役員ごとに1枚で、氏名と役職名、職務の執行の開始の日、職務執行期間、当該事業年度と開始の日の属する会計期間を書く。事前確定届出給与に関する事項は令和9年12月24日に3,000,000円、翌会計期間以後は令和10年6月23日に3,000,000円。事前確定届出給与以外の給与に関する事項は令和9年4月20日から6月20日まで700,000円、令和9年7月20日から翌年3月20日まで800,000円、翌会計期間以後は令和10年4月20日に800,000円で、すでに払った月の分も支給時期ごとに書く。提出先は納税地の所轄税務署長で、e-Taxか書面1部の持参や送付で出す。日付と金額はすべて架空の例。
届出書と付表1の主な欄と記入の例。欄は国税庁の様式から抜き出し、日付と金額は架空作成: 編集部 / 出典: 国税庁(事前確定届出給与に関する届出書・付表1の様式と記載要領)

まず⑤の欄です。月々の定期同額給与にしない理由と、その時期に払う理由を、具体的に書きます。手がかりになるのが国税庁の質疑応答事例。役員の賞与を従業員の賞与と同じ時期にして毎期続けているなど、「支給時期が一般的に合理的に定められているような場合」なら、職務執行期間の途中で払っても損金算入できるとしています。8

もう1か所は付表の下半分、「事前確定届出給与以外の給与に関する事項」です。賞与の届出なのに、毎月の報酬も支給時期ごとに書きます。すでに払った月も入るので、給与の台帳を横に置くと早いでしょう。9

違う額を払うと、どこまで損金から外れるか

法人税基本通達は、届け出た額と実際の額が異なれば「原則として、その支給額の全額が損金不算入」としています。差額だけではなく、多く払っても少なく払っても同じです。1

3月決算の会社で、届出と違う額を払ったときに損金にならない額の場合分けの図。1回払いで300万円の届出に250万円払うと250万円、350万円払うと350万円で、差額の50万円だけではなく全額。決算をまたぐ2回で、12月に200万円の届出に100万円、6月に200万円の届出に200万円払うと300万円で、6月の分も全額。決算をまたぐ2回で、12月に300万円の届出どおり、6月に300万円の届出に50万円払うと、翌事業年度に払った50万円だけ。同じ事業年度の2回で、6月に300万円の届出どおり、12月に300万円の届出に200万円払うと、例外に当たらず原則で全額の500万円と読める(編集部の読み)。役員Aが300万円の届出に250万円、Bが300万円の届出どおりならAの分の250万円だけで、Bに影響はない。支給日も定めのとおりであることが要る。
届出と違う額を払ったときに損金から外れる範囲を、支給の回と決算の位置で場合分けした作成: 編集部 / 出典: 国税庁(法人税基本通達9-2-14・質疑応答事例)
場合 届出→実際 損金にならない額
1回払いで違った(架空) 12月は300万円→250万円か350万円 払った額の全額
決算をまたぐ2回で1回目が違った(質疑応答事例) 12月は200万円→100万円、6月は200万円→200万円 300万円
決算をまたぐ2回で2回目だけ違った(質疑応答事例) 12月は300万円→300万円、6月は300万円→50万円 50万円
同じ事業年度の2回で2回目だけ違った(架空) 6月は300万円→300万円、12月は300万円→200万円 500万円(全額と読める)
役員Aだけ違った(架空) Aは300万円→250万円、Bは300万円→300万円 250万円(Aの分だけ)

2回払いは、職務執行期間をひとまとめにして判定します。だから、2行目では定めどおりの6月の分まで損金から外れるのです。3行目は例外で、後の回のずれが前の事業年度の所得に影響しないため、翌事業年度に払った額だけを損金不算入にして差し支えないとされています。10

気をつけたいのは4行目です。例外の理由が前の事業年度への影響なので、同じ事業年度の中で2回払って後の回だけ違ったときは、例外に当たらず全額と読めます。ただ、質疑応答事例がこの形を直接書いているわけではありません。6月と12月に払う定めなら、税理士に確認しておくと確実です。

役員ごとに判定するので、Aの額が違ってもBの分には響きません。11

額が同じでも、支給日は別に確認が要ります。国税庁は「支給時期、支給金額又は株式数等が事前に確定し、実際にもその定めのとおりに支給される給与に限られます」としているからです。10何日のずれまでなら許されるかを示した資料は見つかりませんでした。

額を変えられるのは、2つの事情があるときだけ

定めを変えて変更届を出せる事情は、臨時改定事由と業績悪化改定事由の2つです。6臨時改定事由には、社長の退任で副社長が社長になった、合併で役員の職務が大幅に変わった、といった例があります。12役員が病気で入院し、職務の一部ができなくなった場合も同じです。13

業績悪化改定事由は減額だけ。しかも「法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったこと」は含まれません。14たとえば、経営状況が悪化して、株主や取引銀行など第三者との関係で減らさざるを得ない場合が当たります。13冒頭の「少なく振り込む」が資金繰りの都合なら、ここには当たりません。

変更の期限は支給日にも左右されます。12月24日に払う定めで12月1日に減額を決議したなら、変更届の期限は前日の12月23日です。

冬の振込の前のチェックリスト

3月決算で12月に払う会社は、次の順で見ていきます。

  1. 付表を役員の人数分そろえる。
  2. 支給日を、付表の「支給時期」と並べて見る。
  3. 振込額を、付表の「支給額」と並べて見る。
  4. 額や日を変える話があれば、決議の前に税理士へ相談する。
  5. 源泉徴収と賞与支払届の予定を入れる。

損金になるかどうかにかかわらず、役員の賞与にも源泉徴収が要り、納付書には「役員賞与」の欄があります。15被保険者である役員なら、賞与支払届も支給から5日以内です。16

12月決算の会社は、来年3月の総会に向けて額と支給日の案を作り、総会から1か月の日を予定表に入れるところから始められます。

届出書の控えと付表、定めの写し、振込の記録を1つのフォルダにまとめておけば、次の担当者にそのまま引き継げます。経営者に聞かれたときも、「届出どおりに払いました」と日付と金額で答えられるようになります。

この記事は、2026年10月31日時点の法令と国税庁の資料をもとに書きました。届出がいるかどうかや額の決め方は会社ごとに事情が違うので、顧問の税理士か所轄の税務署に相談してください。

注

  1. 法人税基本通達9-2-14 ↩ ↩2

  2. 法人税法第34条第1項・第2項、国税庁タックスアンサーNo.5211 ↩

  3. 法人税法施行令第69条第4項第1号、国税通則法第10条第1項、国税庁「事前確定届出給与に関する届出書の記載要領等」 ↩ ↩2

  4. 国税通則法第10条第2項 ↩

  5. 法人税基本通達9-2-16 ↩

  6. 法人税法施行令第69条第4項・第5項 ↩ ↩2

  7. 法人税法施行令第69条第7項 ↩

  8. 国税庁 質疑応答事例「職務執行期間の中途で支給した事前確定届出給与」 ↩

  9. 国税庁「付表1の記載要領等」 ↩

  10. 国税庁 質疑応答事例「定めどおりに支給されたかどうかの判定」 ↩ ↩2

  11. 国税庁 質疑応答事例「特定の役員に当該届出書の記載額と異なる支給をした場合の取扱い」 ↩

  12. 法人税基本通達9-2-12の3 ↩

  13. 国税庁「役員給与に関するQ&A」Q1・Q5(平成24年4月1日現在) ↩ ↩2

  14. 法人税基本通達9-2-13 ↩

  15. 国税庁「納付書の記載のしかた(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)」 ↩

  16. 日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」 ↩

出典・参考

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執筆

ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の資料・公的な統計などの一次情報を調べて、バックオフィスの仕事・ビジネスマナー・会社のしくみの解説記事と図解を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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