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時短勤務で評価が下がらないように 復職後の目標の立て方と伝え方

時短勤務で評価が下がりやすいのは、働く時間が減ったのに、目標の量が前のままのときです。復職後の目標を時間に合わせて決め直す考え方と、上司への週の報告や評価面談での伝え方を、文例で押さえます。

文字
時短勤務で評価が下がらないように 復職後の目標の立て方と伝え方

この記事でわかること

  • 国の目安は、量の目標は働く時間に合わせて減らし、質の目標は変えないこと。
  • 時短や残業免除を使った女性正社員の28.6%は、仕事量が前と変わらなかった。
  • 按分の元には残業の時間も入れ、任される範囲と評価の物差しは期初に決める。
  • 評価に納得できないときは足りない事実と次の基準を聞き、労働局にも相談できる。
対象実務

時短で職場に戻ったのに、目標シートの件数は、残業もしていたころのままになっていませんか。そのまま期末を迎えると、足りなかった時間の分が、そっくり「未達」に見えてしまいます。

評価が気になるとき、最初に手を入れたいのは、働き方よりこの数字のほうです。厚生労働省の案内でも、短い時間で働く正社員の目標は、量を労働時間に合わせて減らし、質は変えないのが原則。復職後の最初の面談でこの線を上司と言葉にしておけば、限られた時間で出した成果が、そのまま評価に映りやすくなります。

時間が短くなると、評価のどこに響くのか

明るいオフィスの午後、白いブラウスの30代前半の女性が自分の席でノートパソコンに打ち込みながら、横に開いたチェックリストの手帳を見ている。椅子の背には紺のジャケット、足元の横にはピンクのトートバッグがあり、帰る支度ができている。机にはペン立てとマグカップと観葉植物、奥では同僚が働いている。
時短で帰る前に、今週終えた仕事を上司へ短く報告するイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)

時短を申し出たことや使ったことを理由に、昇進や昇格の評価で不利に扱うのは、育児・介護休業法が禁じる不利益な取扱いです。1それでも評価が下がりやすいのは、評価の物差しの一部が、働く時間と結びついているからです。

思い当たるのは次の3つでしょう。

まず、数で決めた目標。処理件数や受け持つ取引先の数のような目標は、時間が4分の3になれば、こなせる量もそれに近づきます。数字が前のままなら、時短に入った日から、未達に向かって走るようなものです。

次に、時間外で稼いでいた成果です。休む前の数字が残業で回していた分を含んでいても、目標シートのどこにも「残業込み」とは書かれていません。だから、所定の時間だけで比べると、この分が見えなくなります。

そして、夕方の会議や急ぎの対応に出られないこと。顔を合わせる場が減れば、終えた仕事も上司の目に入りにくくなるでしょう。

時短で働く人の答えにも、このずれは表れました。厚生労働省が委託した調査では、育児のために時短か残業の免除を使った女性正社員542人のうち、28.6%が働き方の変化として「勤務時間にあわせて、仕事量が変わらなかった」を選んでいます。2時間は減ったのに、任される量は減らなかったという答えです。「時間あたりのアウトプット・成果で評価されなくなった」も18.5%いました。

一方、同じ年に会社に聞いた調査では、時短の人への配慮として「時間分の業務負荷を減らす」を挙げた会社が67.2%で、いちばん多い答えでした。3減らす方針の会社は多いのに、減らなかったと答える人もいる。どれだけ減らすかを数字で決めないまま、時短が始まっている職場もあるのかもしれません。

評価のしかたは上司しだいの面もあります。時短や残業免除を使う人のマネジメントや評価のしかたを、管理職に説明したり研修したりしている会社は36.7%でした。そうした会社でも、「時間あたりの成果で評価するべきであること」を伝えているのは19.4%にとどまります。3

時間あたりで見てもらえるとは限らない、ということですよね。だから、何で評価してもらうかを、期初に自分から持ち出す意味があります。

育児のための時短や残業の免除を使った女性正社員542人と、時短の利用者がいる・いた企業に聞いた調査の図(2022年12月〜2023年1月・複数回答)。左は働き方の変化で、業務負荷が減った35.8%、勤務時間にあわせて仕事量が変わらなかった28.6%、夜勤・休日勤務がないポストに変わった24.5%、責任のない役職に変わった22.7%、部署が変わった21.2%、業務の責任の範囲が変わった21.0%、出張が免除された19.9%、特に変化はない19.9%、時間あたりのアウトプット・成果で評価されなくなった18.5%、対外業務がなくなった12.2%。不利益に感じたものは、仕事量が変わらなかった16.4%、時間あたりで評価されない13.3%、不利益はなかった41.5%(わからない23.2%)。右は会社の答えで、時短の人への配慮として時間分の業務負荷を減らす67.2%、管理職に評価のしかたを説明・研修している36.7%(していない49.8%)、そのうち時間あたりの成果で評価するべきと伝える19.4%。伝えている内容は、時間内に終わるよう日々の指示に配慮68.2%、業務の配分に配慮58.9%、ポストや経験に見合った業務31.8%、意欲と能力に応じた昇進の機会26.8%、時間あたりの成果で評価19.4%、負担や責任を軽く17.8%。時短の人のキャリアについては、制度を使う間もキャリアアップを目指してほしい37.7%、子育てが落ち着いたら目指してほしい32.1%、前と同じキャリアを保ってほしい16.0%、対象者がいない・わからない8.7%。
時短で働く人と会社の答え 仕事量が減らなかった人は28.6%、評価の物差しは上司しだい作成: 編集部 / 出典: 日本能率協会総合研究所(厚生労働省委託事業)

量は時間に合わせて減らし、質は変えない

厚生労働省の「多様な働き方の実現応援サイト」を開くと、短時間で働く正社員の目標をどう決めるかが書いてあります。同じ職種と職位のフルタイムの人と比べて、量は労働時間に合わせて減らし、質は変えない。これが原則で、仕事の中身や本人の希望も考えたうえで決めるよう求めています。もとは短時間正社員制度の案内です。とはいえ、育児のための時短で働く人も、条件に合えば短時間正社員に含まれる、と同じサイトにあります。

量に当たるのは処理する件数や受け持つ数、作る資料の本数です。質のほうは締め切りや正確さ、判断の水準。能力や行動の評価も、基本はフルタイムの人と同じ基準です。昇進や昇格については、「短時間正社員であるという理由で、機械的に低位に位置付けられることがないよう、公正な人事評価を行うことが重要です」とあります。

質の基準が同じなら、時短のあいだにした丁寧な仕事も、そのまま評価の材料になります。あとは量を正しく減らせるかどうか。

量を減らすときに見落としやすいのが、残業の分です。

たとえば、休む前は1日8時間に加えて月20時間ほど残業していて、時短では1日6時間、残業なしで働くとします。月20日の勤務なら、休む前は180時間、今は120時間。所定の時間だけで比べると75%ですが、残業も入れると約67%です。休む前に残業込みで月300件を処理していた人なら、前者では225件、後者では200件。この25件の差は毎月の未達として積み上がっていきます。

按分のほかにも、目標の決め方はあります。仕事の性質に合わせて、次の3つから選ぶか、組み合わせます。

決め方 向いている仕事 期末に見るもの 気をつけること
量を時間で按分する 件数で数えられる定型の仕事 按分した件数と、締め切りや正確さ 残業で回していた時間も、按分のもとに入れる
任される範囲を絞る 担当ごとに区切れる仕事 残した担当を、締め切りどおりに回したか 手放す仕事と、引き受ける人を先に決める
量は変えず、時間あたりで見る 成果を時間で割りやすい仕事 時間あたりの件数や成果 管理職に伝えている会社は少なく、上司との合意が要る

迷ったら、件数で数える仕事は按分、担当で区切れる仕事は範囲を絞る形にすると、期末に上司と見るものがずれにくいでしょう。3つ目は成果を時間で割れる仕事なら筋が通ります。ただ、先ほどの調査のとおり、そう伝えている会社は多くありません。選ぶなら、期初にはっきり合意を取っておきましょう。

時短に合わせて担当が変わった人は、新しい担当をフルタイムでしている人の目標を目安にします。応援サイトも、仕事の中身が変わったときはそうするよう勧めています。

範囲を絞るときは、絞りすぎないことも大切です。国の指針では、仕事をさせないことや、雑務ばかりをさせることも、不利益な取扱いの例です。4手放すのは時間の読めない仕事にして、自分の強みが出る担当は残しておく。そうすれば、期末に話せる実績も手元に残ります。

期初の面談で、上司と決めておく段取り

時短の目標の決め方の図。国の原則として、量の目標は労働時間に合わせて減らす、質の目標は変えない、仕事の中身や本人の希望も考えて上司と話し合って決める、能力や行動の評価はフルタイムと同じ基準、短時間であることだけで昇進や昇格を機械的に低く位置付けない、担当が変わったら同じ仕事をフルタイムでする人の目標が目安。計算例は、休む前が所定160時間と残業20時間で月180時間、時短が1日6時間を月20日で120時間。休む前の目標月300件は、所定だけで按分すると75%で225件、残業も入れて按分すると約67%で200件で、25件の差が毎月の未達として残る。目標の決め方は、量を按分する、範囲を絞る、時間あたりで見る、の3つを、向いている仕事、期末に見るもの、気をつけることで比べた表。期初から評価面談までの流れは、期初の面談で按分の比率と件数、続ける担当と手放す担当、期末に見る物差し、見直す月を決める、毎週3行の報告を送る、時間を変えたらその月から按分し直す、評価面談の前に按分した量の達成と締め切りを守った回数と質の数字を並べる、評価のあとに納得できなければ足りなかった事実と次の基準を聞き、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)にも相談できる。
時短の目標は、量と範囲と評価の物差しを期初に上司と決める作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「多様な働き方の実現応援サイト」

量と範囲の案は、面談の前に自分で作っておくと、話が早く進むはずです。

  1. 休む前の1か月に働いた時間を、残業も含めて書き出す。
  2. 今の担当を、続けるもの、減らすもの、手放すものに分ける。
  3. 数で決める目標を、時間の比率で按分した案にする。
  4. 締め切りや正確さの目標は、前と同じ水準で書く。
  5. 期末に何で評価してほしいかを、1文にまとめる。
  6. 目標を見直す月を、面談の最後に決める。

1つ目の時間は、勤怠記録で月ごとの残業時間を見れば分かります。復帰前の面談で制度の使い方をまだ決めていないなら、育休明けの復職準備の早見表を先に見ておくと、時短で働く時間と期間を決めやすくなります。

面談では時短のあいだに上司が何を期待しているかも聞いておくと、目標の形を選びやすくなります。先ほどの企業調査には、時短や残業免除を使う人のキャリアをどう考えるか、という問いもありました。制度を使っているあいだもキャリアアップを目指してほしい会社が37.7%、今は難しいので子育てが落ち着いてから目指してほしい会社が32.1%、制度を使う前と同じキャリアを保ってほしい会社が16.0%。3時短のあいだに望むことは、会社によってかなり違うのです。

上司が今は維持でよいと考えているなら、量を減らしたぶん、質の目標で存在感を出す。今も伸びてほしいと考えているなら、範囲を絞ったうえで、新しい役割をひとつだけ引き受ける。目標の形は上司の期待に合わせて選べます。

目標を「何を・どれだけ・いつまでに」で1文に書く基本は、目標設定の立て方で文例と一緒に紹介しました。

いない時間の仕事を、上司から見えるようにする

時短のあいだは上司があなたの仕事を目にする時間も短くなります。夕方の会議で進み具合を話す場がなくなれば、なおさらです。

そこで、見える形を自分で作っておきます。おすすめは週に1回、3行だけの報告。何時間働いたかより、任された範囲を締め切りまでに回したかで書くのがこつです。上司が期末に思い出すのも、たぶん時間ではなく、締め切りを守れたかどうかでしょう。

出られない会議は、前の日までに意見をメモで渡しておき、決まったことは翌朝に議事録かチャットで確認します。帰る30分前に、その日の残りと、翌朝に続ける作業を一言残しておくと、急ぎの連絡が入っても周りが動けます。

最初は少し面倒に感じるかもしれません。けれど、5分で書ける報告がたまれば、半年後にはそのまま実績の一覧になります。

時間が変わった月に、目標も按分し直す

時短で働く時間は、子どもの年齢や保育園の事情で変わっていくでしょう。6時間から7時間に延ばしたとき、時短をやめたとき、逆に短くしたとき。働く時間が変わったら、その月から目標の量も按分し直してもらいます。

期初に決めた数字のまま期末を迎えると、時間を延ばした月の伸びも、短くした月の事情も、評価からは見えなくなってしまいます。目標管理制度の会社なら、期中の面談がその機会です。期初に決めた目標の達成度で評価する仕組みなので、目標の数字が実際の時間に合っているかどうかが、評価に直結します。

評価面談の前には、週の報告を並べ直し、按分した量をどれだけ終えたか、締め切りを何回守ったか、質をどう保ったか、の3つで数字を出しておきます。自己評価の文は評価面談の自己評価の書き方の3文の型がそのまま使えます。

評価に納得できないときの聞き方

それでも、評価が思ったより低いことはあります。その場で言い返すより、何が足りなかったのかを事実で聞くほうが、次の期につながります。

賞与が下がったときは、計算のしかたを人事に聞いてかまいません。指針では、短くした時間を合計して日数に直し、その日数を日割りで差し引くところまでは、不利益な取扱いに当たりません。それを超えて減らすと「不利益な算定」です。5

時期にも目安があります。国の解説によると、時短などを申し出たり使ったりしてから1年以内に起きた不利益な扱いは、原則として法律に反すると判断されます。業務上どうしても必要だった場合などの例外はあります。人事考課や昇給のように時期の決まったものは、時短が終わって1年を過ぎていても、その後の最初の考課や昇給までが対象です。6

社内で話しても納得できないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。労働局長による助言や指導、勧告、両立支援調停会議の調停といった形で、会社との間に入ってもらう方法もあります。援助や調停を求めたことを理由に不利に扱うことも、法律で禁じられています。7

評価の仕組みは会社ごとに違い、時短で働く人の目標をどう決めるかを定めていない会社もあるでしょう。だからこそ、休む前と今の時間を並べたメモを1枚、次の面談に持っていく。目標シートの数字を今の働き方に合わせる話は、そこから始まります。時短のあいだの実績を数字で言えるようにしておけば、時間を戻したあとの昇進の話でも、その数字がそのまま使えるはずです。

記事の制度と数字の確認日は2026年10月30日。もとにしたのは、育児・介護休業法と国の指針、厚生労働省の資料と委託調査です。自社の評価のしかたは、評価制度の規程や人事の案内で確認できます。

注

  1. 育児・介護休業法第23条の2、子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号)第2の十一(二)リ ↩

  2. 日本能率協会総合研究所「仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」労働者調査(令和4年度厚生労働省委託事業)。2022年12月21日から2023年1月5日にウェブで実施。小学4年生未満の子を育てながら働く人が対象で、数字は育児で離職した経験のない女性の正社員・職員のうち、時短か残業の免除を使っている(使っていた)542人の複数回答 ↩

  3. 同じ事業の企業調査。従業員50人以上の5,000社に送り、926社が回答。2022年12月から2023年1月に実施。数字は育児のための時短の利用者がいる(いた)企業の回答で、研修の内容は説明や研修をしている企業の回答 ↩ ↩2 ↩3

  4. 同指針第2の十一(三)ト ↩

  5. 同指針第2の十一(三)ニ ↩

  6. 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」不利益取扱いの禁止 ↩

  7. 育児・介護休業法第52条の4・第52条の5 ↩

出典・参考

この記事は、下の監修者が内容を確認しました()。

執筆

ベンチャー・スピリット!編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の資料・公的な統計などの一次情報を調べて、バックオフィスの仕事・ビジネスマナー・会社のしくみの解説記事と図解を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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