新入社員研修の4月は、会社と仕事の基本、部署を知る、実習、配属へつなぐ、の4週で組むと準備が進めやすくなります。週ごとに何をするかが決まれば、講師や会場、教材の手配も1月から逆算できるからです。
厚生労働省の調査では、正社員の新入社員にOFF-JTを実施した事業所は58.7%、計画的なOJTを実施した事業所は52.3%でした。1研修そのものはめずらしくありませんが、時間割の中には法令で求められる教育も入ります。
新入社員向けの研修は、事業所の研修でいちばん多い
1週目は、会社の仕組みと仕事の基本からイラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
同じ調査で、OFF-JTを実施した事業所にその内容を聞くと、「新規採用者など初任層を対象とする研修」が75.7%で最も多くなりました。ビジネスマナーなどの基礎知識は46.6%、法務・コンプライアンスは39.9%です。1
新入社員へのOFF-JTと計画的なOJTの実施率、実施したOFF-JTの内容(2025年度)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省
調査の言葉の意味も、ここで押さえておきましょう。OFF-JTは、通常の仕事を一時的に離れて行う研修のこと。計画的なOJTは、計画書を作るなどして担当者、対象者、期間、内容を決め、仕事の中で段階的に続ける教育を指します。2つまり、新入社員研修は、4月のOFF-JTで始まり、配属先のOJTへ引き継ぐ流れで考えると組みやすいのです。
4月の時間割は、4週で組む
新入社員研修の4月の時間割、4週で組む例作成: 編集部 / 出典: e-Gov法令検索、厚生労働省
時間割は編集部の例ですが、会社の規模や配属の時期に合わせて、週の数を縮めたり順番を入れ替えたりして使えます。
1週目は会社と仕事の基本。理念や組織、就業規則、勤怠と給与のルールを伝え、報連相やメール、電話の基本を学びます。あとで触れる安全衛生教育とハラスメント防止も、この週に入れておくと漏れません。
2週目は部署と仕事を知る週です。各部署の担当者に、仕事の中身とほかの部署とのつながりを話してもらいます。社内のシステムやツールの使い方も、ここで覚えます。
3週目は実習です。電話の取り次ぎやメール、簡単な資料づくりを実際にやってみて、その日のうちにふりかえります。
4週目は配属へつなぐ週。配属先のOJT担当者と顔を合わせ、最初の3か月で何を覚えるかをすり合わせます。最後に人事と1対1でふりかえり、研修中の気づきを配属先へ渡しましょう。
時間割に必ず入れたい3つ
1つ目は雇入れ時の安全衛生教育です。労働者を雇い入れたら、その人の業務に関する安全衛生の教育をする。労働安全衛生法が事業者に求める義務です。3教える事項は、労働安全衛生規則で次の8つと決まりました。4
- 機械や原材料などの危険性・有害性と、その扱い方
- 安全装置や保護具の性能と、その扱い方
- 作業手順
- 作業を始めるときの点検
- その業務で起こるおそれのある病気の原因と予防
- 整理、整頓と清潔の保持
- 事故のときの応急措置と退避
- そのほか、業務に関する安全衛生に必要なこと
このうち、その人の業務の安全衛生に必要な事項を教えます。十分な知識や技能があると認められる事項は、省略できます。4ただ、事務の仕事でも、整理整頓や、地震や火事のときの退避は教えておきたいところです。
2つ目はハラスメント防止です。パワハラをしてはならないという会社の方針を、研修や講習で社員に周知・啓発する。パワハラ防止の指針は、これを会社の措置の例に挙げました。5相談窓口の場所も、このときに伝えておきます。
3つ目は研修の時間の決め方です。参加を業務上義務づけている研修の受講や、会社の指示で業務に必要な学習をする時間は、労働時間にあたります。6だから、時間割には終わる時刻まで書き、研修のあとに出す課題も勤務時間の中で終わる量にしておきましょう。
OJT計画は、配属先と一緒に作る
研修が終わると、教える役は配属先に移ります。だから、4週目までに、配属先とOJT計画を作っておきましょう。調査の定義に沿うなら、決めるのは担当者、対象者、期間、内容です。2
| 決めること |
例(編集部の例) |
| 目標 |
3か月後に、請求書の発行を一人でできる |
| 担当者 |
同じ課の3年目の先輩。困ったときの相談先も別に1人 |
| 期間と段階 |
1か月目は見て学ぶ、2か月目は一緒にやる、3か月目は任せて確認する |
| ふりかえり |
週に1回15分、担当者と本人で |
でも、教える側の負担も忘れずに計画へ入れておきます。担当者の仕事を少し減らしたり、ふりかえりの時間を予定表に入れたりすると、OJTが後回しになりにくくなります。担当者が新入社員に声をかけるときの伝え方は、部下へのフィードバックの伝え方が参考になります。
研修のあとは、引き継ぎメモを配属先へ渡す
4週目のふりかえり面談で聞いたことは、短いメモにして配属先のOJT担当者へ渡します。研修中の様子を知らないまま受け入れると、同じ説明を一からくり返すことになりがちです。
| 書くこと |
例(編集部の例) |
| できるようになったこと |
電話の取り次ぎ、社内チャットでの報告 |
| まだ不安なこと |
社外へのメールの言い回し |
| 本人が早く覚えたいこと |
経費の精算の流れ |
| 次のふりかえりの日 |
配属から1か月後と3か月後に、人事も入って15分 |
ただし、体調や家庭の事情などは、本人の了解なしにメモへ書きません。パワハラ防止の指針は、病歴などの機微な個人情報を本人の了解なく他の社員に伝えることを、パワハラに当たると考えられる例に挙げています。5配慮が必要なことは、本人に伝え方と伝える相手を聞いてから共有しましょう。
講師・会場・教材の準備は、1月から逆算する
4月の研修を、1月から逆算した段取りの例です(編集部の例)。
| 時期 |
やること |
| 1月 |
研修の目的と4週の骨組みを決める。各部署に講師を頼み、日時を仮で押さえる |
| 2月 |
会場を押さえる。就業規則、組織図、業務マニュアルなどの教材をそろえる。外部の研修を使うなら申し込む |
| 3月 |
配属先とOJT担当者を決め、OJT計画を作る。パソコンとアカウント、名札、時間割を用意する |
| 4月 |
研修を進め、毎日ふりかえる。4週目に面談し、配属先へ引き継ぐ |
社会保険や雇用保険の届け出など、入社の手続きの期限は入社手続きのチェックリストで確認できます。
研修の準備で確認すること
- 4週の時間割に、始まりと終わりの時刻まで書いた。
- 雇入れ時の安全衛生教育の時間を入れ、教える事項を決めた。
- ハラスメント防止の方針と、相談窓口を伝える時間を入れた。
- 各部署の講師に、日時とテーマを頼んだ。
- 会場、教材、パソコンとアカウントを用意した。
- 配属先のOJT担当者と、OJT計画を作った。
- 研修後の課題を、勤務時間の中で終わる量にした。
新卒の定着を数字で見たいときは、新卒の3年以内離職率で自社と同じ区分の数字を比べられます。