請求書や契約書を郵送するとき、書類の上に1枚添えるのが送付状です(添え状・送り状とも呼ばれます)。何を何部送ったのかを伝える案内で、受け取った会社の中で担当者に回すときの目印にもなります。この記事では、送付状に入れる項目と見本、書類別の例文、封入の順番、送る方法の選び方をまとめました。郵便の決まりと料金は、郵便法と総務省・日本郵便の資料で2026年10月19日に確かめています。
送付状は何のために入れるのか
送付状を入れることは、法令で決まっているわけではありません。一般的な慣習ですが、入れておくと次の3つに役立ちます。
- 受け取った側が、届いた書類の名前と部数を照らし合わせられる
- 誰から、何のために届いたかが分かり、社内の担当者に回しやすい
- 返送のお願いや期限など、書類だけでは伝わらない用件を伝えられる
会社に届いた郵便物は、受付や総務で開けて仕分けることがあります。送付状に件名と同封書類が書いてあれば、宛先の部署や担当者まで迷わず届きます。受け取る側の流れは郵便・宅配便の受け取りと社内配布のルールにまとめています。
送付状に入れる項目と見本
送付状はA4の1枚に収めるのが一般的です。入れる項目と置く場所の例は次のとおりです。会社に決まった様式があれば、そちらを使います。
| 項目 |
置く場所(一般的な例) |
書き方 |
| 日付 |
右上 |
送る日(投函する日)。社内の文書に合わせて西暦か和暦 |
| 宛先 |
左上 |
会社名・部署・役職・氏名に「様」。部署あては「御中」 |
| 差出人 |
宛先の下の右側 |
会社名・部署・氏名・住所・電話番号・メールアドレス |
| 件名 |
中央 |
「書類送付のご案内」など、何の書類かが分かる言葉 |
| 頭語と前文 |
本文の始め |
「拝啓」と短い挨拶 |
| 主文 |
前文の後 |
「さて、下記の書類をお送りいたします」と用件を先に |
| 結語 |
主文の後の右 |
「拝啓」なら「敬具」 |
| 記(同封書類の一覧) |
中央に「記」 |
書類名と部数を箇条書きで |
| 以上 |
一覧の後の右 |
一覧の終わりの印 |
| 担当者・補足 |
最後 |
返送の期限や問い合わせ先 |
送付状の見本(A4横書き)と入れる10の項目、敬称・封入の順番・FAXで足す項目作成: 編集部 / もとの資料: 日本郵便「封筒の表書き・裏書きの書き方」「手紙を書くときのポイント(ビジネス編)」「頭語と結語」
前文は短く、用件を先に
日本郵便は、ビジネスの手紙では前文を最小限にとどめ、すぐに用件を書き出すよう勧めています。日時などの大事なことは箇条書きにするとよい、とも説明しています。送付状は書類の案内なので、挨拶は1〜2文で足ります。
季節を問わない「時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」を使えば、月ごとに書き換えずに済みます。季節の言葉を入れたいときは、時候の挨拶 月別の例文と頭語・結語の一覧から選べます。頭語と結語は対にし、「拝啓」で始めたら「敬具」で結びます(日本郵便「頭語と結語」)。社内の拠点あてや、毎月やり取りのある相手には、頭語や時候の挨拶を省いた短い形を使う会社もあります。
宛名と敬称で迷いやすいところ
日本郵便は、会社にあてる丁寧な手紙では「(株)」と略さず「株式会社〇〇」と書くのが正式とされている、と説明しています。部署あてで担当者の名前が分からないときは「〇〇課御中」とし、「〇〇課御中 郵便太郎様」のように敬称を重ねるのは誤りとしています。
役職を書くときは、一般的には「経理部 部長 山田太郎様」のように役職を名前の前に置きます。「山田部長様」は、役職名と「様」が重なるため避けるのが一般的です。
同封書類の一覧は、封入した数と合わせる
書類名は、相手の手元に届く書類と同じ名前で書きます。「請求書(2026年10月分) 1通」のように、何の書類が何部あるかが分かるようにします。
一覧と封筒の中身が食い違うと、受け取った側が問い合わせをすることになります。封をする前に、一覧を指でたどりながら書類を1枚ずつ数えると、入れ忘れに気づけます。
書類別の送付状の例文
次の例文は、件名・主文・記の部分です。頭語と前文、結語は、見本と同じ書き方が使えます。
請求書を送るとき
請求書は信書なので、郵便で送ります。日本郵便は、納品書や請求書の送付に特定記録を勧めています。出した記録が残り、インターネットで配達状況を確かめられます。
「ご査収」は、よく確かめて受け取ってください、という意味です。
契約書を返送するとき
相手から契約書が2通届き、こちらで記名押印して1通を返すときの例です。自社の控えの扱いも書いておくと、相手がもう1通の行方を気にせずに済みます。
こちらから先に契約書を送るときは、「2通ともにご記名ご押印のうえ、1通を同封の返信用封筒にてご返送くださいますよう、お願い申し上げます」と書き、返送の期限も添えます。受け取った契約書で確かめることは、契約書を受け取ったら確認することにまとめています。
見積書を送るとき
見積書も信書なので、郵便かレターパックで送ります。一緒に入れるカタログは信書に当たりません(総務省「信書のガイドライン」)。
見本(サンプル)を送るとき
総務省のQ&A集は、商品サンプルは文書ではないため信書に当たらないとしています。見本は宅配便やゆうパックで送れます。送付状は、封をせずに荷物に添えます。
日本郵便は、ゆうパックやゆうメールなどに同封できるのは、送付物に関する簡単なあいさつ状や請求書などの、封をしていない添え状・送り状だと案内しています。品物と関係のない別の取引の請求書や契約書は、同じ荷物に入れず郵便で送ります。
FAXで送るとき
FAX送付状には、郵送の送付状の項目に加えて、宛先のFAX番号と送信枚数を書きます。枚数は「この用紙を含めて3枚」のように書くと、受け取った側が抜けに気づけます。
誤送信を防ぐ方法として一般的なのは、送る前に番号を2人で読み合わせる、登録した番号から選ぶ、個人の情報が多い書類はFAXで送らない、の3つです。
封入の順番と書類の折り方
封筒に入れる順番に決まりはありません。一般的には次の順に重ねます。
- 送付状(いちばん上)
- 同封書類(送付状の「記」と同じ順)
- 返信用封筒(返送を頼むとき。宛先を書き、切手を貼っておく)
書類はクリアファイルにまとめて入れると、折れやぬれを防げます。送付状と書類をとめるなら、ホッチキスよりクリップにすると、受け取った側が書類を分けやすくなります。
A4の書類を三つ折りにするときは、一般的には下から3分の1を折り上げ、その上に上の3分の1をかぶせます。封筒から取り出して開いたとき、送付状の書き出しがすぐ読める向きに入れます。
封筒の大きさの選び方
| 封筒 |
大きさ |
入れ方 |
郵便の区分と料金 |
| 長形3号 |
120×235mm |
A4を三つ折り |
定形郵便物(50gまで110円) |
| 角形2号 |
240×332mm |
A4を折らずに |
定形外郵便物の規格内(50gまで140円・100gまで180円・150gまで270円) |
封筒の寸法は、日本郵便が紹介しているJIS S5502:2010の呼称と寸法です。定形郵便物は長さ14〜23.5cm・幅9〜12cm・厚さ1cm・重さ50gまでです。定形外の規格内は、長辺34cm・短辺25cm・厚さ3cm・重さ1kgまでです。書類が多く50gを超えると、長形3号でも定形外の料金になります。契約書のように折り目を付けたくない書類は、角形2号で折らずに送るのが一般的です。
封筒の表書きと「〇〇在中」
日本郵便は、封筒の表書きと裏書きについて次のように説明しています。
- 切手は、封筒を縦長にしたときの左上に貼る
- 住所や会社名が長いときは、先に相手の氏名を中央に書くとバランスをとりやすい
- 横書きの裏書きは、差出人の住所と氏名を封筒の下部3分の1に収める
- 封はセロハンテープやホッチキスでとめない方がよい
表に「請求書在中」「見積書在中」「契約書在中」のように中身を書くのは、一般的な慣習です。受け取った会社で、開ける前に急ぐ書類だと分かり、担当者に回りやすくなります。縦長の封筒なら表の左下に、赤い字で書くか赤いスタンプを押すのが一般的です。
宛名の本人だけに開けてほしいときは「親展」と書きます。なお総務省のQ&A集は、「親展」と書いてあるから必ず信書になるわけではなく、中に入れた文書の内容で判断するとしています。
送る方法の選び方 信書かどうか・記録・補償
信書の送達を仕事として行えるのは、日本郵便と、総務大臣の許可を受けた信書便事業者だけです(郵便法4条・信書便法3条)。総務省の「信書のガイドライン」は、請求書・納品書・領収書・見積書・申込書・契約書を信書の例に挙げています。ゆうパック・ゆうメール・ゆうパケット・クリックポストには、信書を入れられません(日本郵便)。ほかの会社の宅配便も同じです。
運送会社に信書を託すと、頼んだ側も郵便法4条4項に違反します。罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(76条)。例外は、貨物に添える封をしていない添え状と送り状です(4条3項ただし書)。信書に当たるか迷うときは、総務省の信書相談窓口(03-5253-5975・平日9時30分〜12時と13時〜17時)で確かめられます。
信書を郵便で送るときは、記録と補償が要るかで選びます。料金は2026年10月19日に日本郵便のページで確かめた、手紙(第一種郵便物)の額です。
| 送り方 |
信書 |
記録・追跡 |
届け方 |
料金 |
損害賠償 |
| 定形郵便物 |
送れる |
なし |
郵便受箱 |
110円(50gまで) |
なし |
| 定形外郵便物(規格内) |
送れる |
なし |
郵便受箱 |
140円(50gまで)〜750円(1kgまで) |
なし |
| 特定記録 |
送れる |
引受けを記録・追跡あり |
郵便受箱 |
基本料金に210円加算 |
なし |
| 簡易書留 |
送れる |
引受けと配達を記録 |
手渡し |
基本料金に350円加算 |
原則5万円までの実損額 |
| 一般書留 |
送れる |
引受けから配達まで記録 |
手渡し |
基本料金に480円加算 |
10万円まで(申し出で最大500万円) |
| レターパックライト |
送れる |
引受けとお届け完了 |
郵便受け |
430円 |
なし |
| レターパックプラス |
送れる |
引受けとお届け完了 |
対面で受領印か署名 |
600円 |
なし |
| ゆうパック・ゆうメール・宅配便など |
送れない(封をしない送付状だけ可) |
サービスによる |
サービスによる |
各社の料金 |
各社の約款による |
郵便法50条は、損害賠償の対象を書留などに限っています。普通郵便・特定記録・レターパックで送った書類が届かなくても、原則として賠償はありません。大事な原本を送るときは、簡易書留か一般書留を選びます。
書類を送る方法の選び方。信書か・記録と補償・期限の3つの問いと料金の比較作成: 編集部 / もとの資料: 郵便法・総務省「信書のガイドライン」「信書に該当する文書に関する指針」Q&A集・日本郵便
期限がある書類は、土日の配達に注意
日本郵便は2021年10月から、普通扱いの郵便物の土曜日の配達を休止し、お届けの日数も1日程度繰り下げています。特定記録も、土曜日・日曜日・休日には配達しません。速達・書留・簡易書留・レターパックは、土曜日・日曜日・休日も配達します。速達の加算料金は、250gまでで300円です。
支払期日や契約の期限が近い書類は、金曜日に普通郵便で出すと週明けまで届かないことがあります。期限から逆算して、速達か書留、レターパックを選びます。
送る前のチェックリスト
今日からできること
送付状は、一度ひな形を作れば毎回の手間が大きく減ります。
- 自社の送付状のひな形を、郵送用とFAX用の2つ作る
- 請求書・契約書・見積書・見本の主文の例文を、ひな形と同じフォルダに置く
- 書類の種類ごとに、送る方法(特定記録・簡易書留・速達など)を決めて一覧にする
- 「〇〇在中」のスタンプと、長形3号・角形2号の封筒をそろえる
- FAXの宛先番号の登録を見直し、送る前に読み合わせる決まりを作る