社外の人とのWeb会議で迷うのは、入室の時間、カメラとマイク、話し始め、画面共有、退出の5つです。どれも法令や官公庁の指針で決まったものではなく、一般的な慣習なので、会社や相手によって違うことがあります。先に、迷ったときの答えを並べます。
5つの迷いへの答えを先に
| 迷う場面 |
一般的な答え |
例外・注意 |
| 入室 |
開始の数分前に入る |
待機室(ロビー)があれば、許可されるまで待つ |
| カメラ |
主催者の案内や参加者の様子に合わせる |
オフにするときは、最初に理由を一言添える |
| マイク |
話さないときは切る |
主催者が「そのままで」と言ったときは従う |
| 話し始め |
名乗ってから、一呼吸おいて話す |
話がかぶったら、先に始めた人に譲る |
| 画面共有 |
共有する前に、通知を切り、ウィンドウを選ぶ |
顧客情報・パスワード・無関係な資料は閉じる |
| 退出 |
主催者と相手が退出してから、お礼を言って切る |
終了の操作で全員が切れる会議もある |
この表にない細かい作法は、覚えなくても困りません。会議を進める人と、同じ会議に出ている人の邪魔をしないことが、いちばんの基準です。
前日までに確かめる5つのこと
Web会議は、始まる前の準備で失敗の大半が防げます。対面なら受付で道を聞けますが、Web会議では、入れなければ連絡の手段も限られます。
- 招待の内容: 日時、URL、参加者の名前を確認します。主催者が使うサービスが自社と違うときは、アプリの導入やアカウントの登録を前日までに済ませます。
- 表示名: 画面に出る名前を「株式会社〇〇 山田太郎」のように、会社名と氏名にしておきます。一般的な慣習で、決まりではありません。社内用に愛称やひらがなの名前を登録しているときは、社外の会議の前に直します。
- 背景: 後ろに、ほかの人の顔、書類、ホワイトボードの文字が映らない場所を選びます。IPAの注意事項も、意図しない映り込みと音声の漏えいを避けるよう、端末の場所と映像の背景に配慮することを求めています。
- 通信と音: 有線かWi-Fiかを決め、イヤホンマイクかヘッドセットを用意します。会議の前に、サービスのテスト機能で、音と映像を確かめておきます。
- 資料: 共有する資料は、前日までに開いて、最新版か、余計な書き込みがないかを確かめます。
IPAの「テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項」は、新しいWeb会議サービスを使うときに、初期設定とセキュリティ機能を事前に確認するよう勧めています。公式サイト以外から導入アプリを入手しないことも、IPAのWeb会議の注意事項に書かれています。
Web会議の前日の準備から退出までの6つの場面作成: 編集部 / 出典: IPA(情報処理推進機構)の注意事項をもとに編集部が作成
入室は開始の数分前、待機室では待つ
入室の時間は、一般的には開始の数分前です。5分前ごろに入って、音と映像を確かめ、始まりを待ちます。早すぎると、主催者がまだ準備中のことがあります。10分以上前は避けたほうが無難です。
待機室があるとき
待機室(ロビー)は、主催者が許可するまで、参加者が会議に入れない機能です。IPAは、意図しない参加者を避ける方法として、会議パスワードの設定と待機室の有効化を挙げています。そのため、社外の会議では、待機室が使われていることがあります。
「入室の許可を待っています」といった表示が出たら、そのまま待ちます。何度も入室の操作をやり直すと、主催者の画面に同じ名前が並んで、混乱を招きます。許可されないまま開始時刻を過ぎたときは、チャットや電話で連絡します。
入室した直後
入室したら、画面の隅で自分のマイクとカメラの状態を見ます。入室時にマイクが切れる設定の会議も、入ったままオンの会議もあります。先に入っている人がいれば、短くあいさつします。
遅れそうなときは、開始前にチャットや電話、メールで連絡します。連絡先は、招待のメールに書かれていることが多いので、前日までに控えておきます。
カメラとマイク 社外では主催者に合わせる
カメラは、オンかオフかの決まりはない
カメラをオンにする義務はありません。社外の会議では、顔が見えるほうが話しやすいと感じる人も、画面共有だけで十分と考える人もいます。一般的には、主催者の案内や、ほかの参加者の様子に合わせます。案内に何も書かれていなければ、入室したときに主催者や相手の様子を見て決めます。
オフにするときは、最初に一言伝えます。黙ってオフにすると、機器の不具合と見分けがつきません。
オンにするときは、顔が暗くならないよう、光を顔の前から当てます。窓を背にすると、顔が影になります。目線はカメラの近くに向けると、相手と目が合って見えます。
マイクは、話さないときは切る
話さないときにマイクを切るのは、周りの音を相手に聞かせないためです。キーボードの音、家族や同僚の声、紙をめくる音は、思いのほか相手に届きます。一方で、切りっぱなしにして、話し始めても声が届かないことも多いので、発言の前にマイクの状態を見ます。
主催者が「全員マイクをオンにして進めます」と言ったときや、少人数の会議でそのままのほうが話しやすいときは、主催者に従います。
同じ部屋に複数の端末があるとき
同じ会議室から複数の人が、それぞれの端末で入ると、音が回り込んで、キーンという音(ハウリング)が出ます。ほかの人の声が、遅れて二重に聞こえることもあります。
- 会議室の端末を1台決め、そのマイクとスピーカーだけを使う
- 資料の共有やチャットのために、ほかの端末で入る人は、マイクとスピーカーを切る
- 音が回り込んだら、まずその部屋のマイクを全員切る
どの端末で音を出すかは、会議の前に社内で決めておきます。
話し始めの合図 名乗ってから、一呼吸おく
対面の会議なら、顔を上げる、身を乗り出すといった動きで、話し始めの合図になります。Web会議では、その合図が相手に届きにくいため、言葉で示します。
名乗ってから話す
参加者が多い会議では、最初の発言で「〇〇社の山田です」と名乗ってから話します。声だけでは誰が話しているかが分からず、画面に表示名が出ていても、見ていない人がいます。同じ会議の中で2回目からは、「山田です」の短い形でかまいません。
一呼吸おく
通信の状態によっては、声が少し遅れて届きます。話し始めの前に一呼吸おくと、相手の発言の語尾に重なりにくくなります。
挙手の機能とチャット
多くのサービスには、手を挙げる印を出す機能(挙手の機能)があります。人数が多い会議で、司会が順に指名するときに使います。機能がないサービスや、使うか決まっていない会議では、チャットに「発言希望」と書いて知らせます。
話がかぶったとき
2人が同時に話し始めたら、どちらも止まります。そのあと、先に声を出した人が続けるのが一般的です。もう一方は、「失礼しました。どうぞ」と譲ります。双方が「どうぞ」と言い合うと、時間がかかるので、譲られたほうは「ありがとうございます」と短く受けて話します。
相づちは声より動きで
対面でうなずく感覚で「はい、はい」と声に出すと、相手の発言に重なって聞こえにくくなります。マイクがオンの会議では、声の相づちは控えめにして、うなずきで示します。カメラがオフなら、必要なところで「はい」と短く返事をします。
画面共有の前に、5つを確かめる
画面共有は、手元の画面を相手に見せる機能です。Web会議で資料を見せる、いちばん手軽な方法ですが、共有を始めた瞬間に、画面に映っているものがすべて相手に見えます。始める前に、次の5つを確かめます。
画面共有の前に確かめる5つと、ウィンドウと画面全体のちがい作成: 編集部 / 出典: IPA(情報処理推進機構)の注意事項をもとに編集部が作成
- 通知を切る: メールやチャットの通知が画面に出ると、相手に届きます。端末の「おやすみモード」などで、通知を止めます。
- 共有する画面を選ぶ: 画面全体でなく、資料を開いたウィンドウだけを選びます。画面全体を共有すると、デスクトップのファイル名や、ほかのウィンドウの切り替えも見えます。
- 関係ない資料を閉じる: ほかの取引先の資料、顧客の名簿、パスワードを書いたメモ、メールやチャットのウィンドウは、閉じておきます。ブラウザのタブにも、会社名が並んでいないか見ます。
- 資料の表示を整える: 資料は最新版か、コメントや変更履歴が見えていないかを確かめます。文字の大きさは、相手が小さな画面で見ても読めるように、大きめにします。
- 声をかけてから始める: 「画面を共有します。見えていますでしょうか」と伝え、見えていることを確かめてから説明に入ります。
資料は、画面で見せるだけにするか、事前に送るかも決めておきます。相手が手元で読みたい資料は、会議の前にメールで送ります。ただし、社外秘の資料は、送る経路やパスワードの扱いが社内の決まりに沿っているかを確かめます。
録画・録音は、始める前に了承を得る
録画や録音は、Web会議のサービスにある機能で、議事録の作成や、参加できなかった人への共有に使えます。社外の会議では、録画する側が、開始前に目的を伝えて了承を得るのが一般的です。
個人情報保護委員会のFAQ(Q1-13)は、防犯カメラについて、特定の個人を識別できる画像を取得すると個人情報の取扱いになるとしています。このFAQは防犯カメラについてのもので、Web会議の録画にそのまま当てはまるかは書かれていません。そのため、ここでは法律上の結論ではなく、実務の進め方として次のようにします。
- 録画する前に、目的(議事録の作成など)と、保存する期間・場所・見る人を伝える
- 了承が得られなければ、録画しない。メモと議事録で記録する
- 相手が録画を始めると言ったら、目的と保存先を聞いてよい
- 会議の後は、録画のデータを保存先に移し、サービスの上に残さない
IPAも、録音・録画データや共有資料、チャットがクラウド上に残るときは、端末への移動や暗号化をして、クラウドから削除するよう求めています。
録画を使わずに記録を残す方法は、議事録の書き方 決定事項と宿題が伝わる型・例文と早く仕上げる段取りで説明しています。オンラインや会議室との併用で開く会議の議事録に足す項目も、その記事に載せています。
退出は、主催者と相手より先に切らない
退出の順番にも、公的な決まりはありません。一般的には、社外の会議では、相手より先に切らないようにします。対面の会議で、お客様が部屋を出るまで見送るのと同じ考え方です。
流れは、次のとおりです。
- 主催者が終了を伝えたら、お礼を言う
- 共有している画面があれば、停止する
- 主催者と相手が退出の操作をするのを待つ
- 自分も「それでは失礼いたします」と言って退出する
文化庁の「敬語の指針」では、「いたす」「いただく」のように自分側の動作をへりくだって言う言い方を、謙譲語としています。「お時間をいただき」「失礼いたします」は、その形です。言葉は、会議の相手との関係で、丁寧さを選びます。
切る前に気をつけること
- 退出の操作をするまで、マイクとカメラはつながっています。ほっとして独り言を言う、隣の人に話しかけるといったことは、操作をしてからにします
- 主催者が終了の操作をして、全員が一度に切れる会議もあります。このときは、お礼を言い終えてから、そのまま待ちます
- 「終了」と「退出」が分かれているサービスでは、自分が主催者のときだけ「終了」を使います。ほかの人がまだ話しているときは、「退出」を選びます
会議の後は、お礼と要点を、当日中にメールで送るのが一般的です。決まったことと、宿題の期限を書いておくと、相手も確認しやすくなります。
対面の会議と違う点の早見表
| 項目 |
対面の会議 |
Web会議 |
| 入る時間 |
約束の少し前に着き、受付で名乗る |
開始の数分前に入室し、待機室では許可を待つ |
| 名乗り |
受付と、会議の冒頭 |
表示名に会社名と氏名。最初の発言でも名乗る |
| 名刺 |
会議の前に交換する |
交換できない。メールの署名などで連絡先を伝える |
| 席次 |
上座と下座がある |
画面の並びは決まっていない |
| 話し始め |
顔を上げる、身を乗り出す |
名乗る、一呼吸おく、挙手の機能・チャットを使う |
| 相づち |
うなずきと声 |
うなずきが中心。声は控えめにする |
| 資料 |
紙を配る、投影する |
前日までに送る、画面共有で見せる |
| 飲み物 |
お茶出しがある |
自分で用意する。飲むときはマイクを切る |
| 退出 |
立ち上がってお礼を言い、見送る |
画面共有を止め、相手の退出を待つ |
席次や名刺交換の作法は、Web会議には持ち込めません。名刺交換の作法は、名刺交換のマナー 順番・渡し方・受け取り方と交換した後の扱いで説明しています。オンラインで初めて会うときの連絡先の伝え方も、その記事にあります。
会議そのものを短くする段取りは、会議を短くする段取り アジェンダ・時間・決めることを先に決めるにあります。Web会議は、画面の前に座る時間が長いと疲れやすいので、会議の目的と時間を先に決めておくと、参加する側の負担も減ります。
入室の5分前に確かめる確認表
次の表を、会議の5分前に見ます。社外の会議に初めて出る日は、前日にも一度見ておきます。
会社にWeb会議の決まりがなければ、総務や営業事務で、表示名の付け方、カメラの扱い、録画の了承の取り方の3つを決めて、社内に伝えておくと、人が替わっても同じ対応ができます。