取引先から会社あてにお歳暮やお中元が届くと、総務には「誰が受け取って、誰の名前でお礼を出すのか」「お返しは要るのか」という相談が集まります。この記事は、品物を受け取った側の対応をまとめたものです。受け付けと記録、お礼の名義と時期、はがき・封書・メールの文例、お返しの要否、今後の受け取りを辞退する伝え方の順に説明します。習わしは決まりではないので、「一般的には」と書いた部分は、会社や地域の考え方に合わせて読み替えてください。
贈る側の手配は、お歳暮の贈り方とお中元の贈り方にまとめています。ここでは重ねず、届いたあとのことだけを扱います。
贈答品が届いたら 受け付けと記録からお礼まで
届いた日のうちにすることは、受け付けと記録です。お礼の文面を考えるのは、そのあとでかまいません。流れは次の図のとおりです。
贈答品が届いたときの流れ。受け付け・記録・名義と方法の決定・お礼の4段階作成: 編集部 / もとの資料: 日本郵便(郵便局のネットショップ)「お中元のお礼状の書き方・マナーや例文を紹介」ほか
受け付けるのは誰か
社内の受け付けは、郵便・宅配便の受け取りと同じ窓口(総務や受付)に集めると迷いません。受け取りの流れは郵便・宅配便の受け取りと社内配布 ルールの作り方と書留・親展の扱いと同じ形にします。生ものや冷蔵品は、その日のうちにあて先の部署へ渡します。
記録する項目
記録は、後からお礼の漏れを探せることが目的です。次の項目があれば足ります。
| 項目 |
書く内容 |
| 届いた日 |
受け取った日付 |
| 送り主 |
会社名、部署、名義の人 |
| 品物 |
品名と数量。金額が分かればそれも |
| あて先 |
宛名が代表者か、部署か、担当者個人か |
| お礼を出す人 |
名義にする人と、文面を作る人 |
| お礼を出した日 |
方法(メール・はがき・封書・電話)も |
| お返し |
要・不要と、その理由 |
| 辞退・喪中の連絡 |
連絡をもらった日と、連絡をくれた人 |
この一覧は、翌年に自社が贈るときの送り先リストにそのまま使えます。贈った相手と届いた相手を同じ表に並べておくと、片方だけ贈っている、という偏りにも気づけます。
お礼を出す名義は贈り主に合わせる
お礼状の名義には、公的な決まりがありません。一般的には、贈り主の名義の格に合わせます。
| 届いた品の名義 |
お礼の名義の例 |
備考 |
| 会社名と代表者名 |
会社名と代表者名(代表者が署名するか、印字) |
代表者あてに届いたものは、代表者に品物と贈り主を伝える |
| 会社名だけ、または部署あて |
会社名と部署名、担当者名 |
受け付けた総務が、文面を作る |
| 担当者個人の名義(会社名と氏名) |
受け取る側も担当者名(会社名と部署名と氏名) |
上長に報告してから出す |
日本郵便の案内は、ビジネスでは差出人名の氏名の前に会社名を添えるとしています。品物を受け取った本人の名前で出す方法が広く知られていますが、本人が忙しいときは、同僚が代わりに書いてもかまいません。宛名の人が不在のときも、戻ってから本人の名義で出すのが基本で、長引くときは上長か総務が受け取りの一報だけ先に入れます。代わりに書く場合は、文面を作った人を記録に残し、出す前に名義の本人が目を通します。
お礼を出す時期と方法 はがき・封書・メール・電話の使い分け
日本郵便の案内では、お礼状は品物の到着から3日以内が望ましく、遅くとも1週間以内がよく見られる目安とされています。贈った側は、無事に届いたかを気にしています。まず電話かメールで届いたことを伝え、そのあとで書面を出す、という二段構えが丁寧とされています。
| 方法 |
向いている場面 |
気を付けること |
| 封書(縦書き・白無地) |
長く取引のある相手、代表者あて |
日本郵便の案内では、法人には白無地の縦書き封書が格式の高い形とされている |
| はがき |
数が多いとき、普段のやり取りがある相手 |
白いはがきに縦書きで印刷する会社も多い。料金は日本郵便の案内で確かめる(2026年10月時点で85円) |
| メール |
すぐに一報したいとき、日常的にメールでやり取りする相手 |
件名で用件が分かるようにし、書面の代わりにするかは相手との関係で決める |
| 電話 |
目上の方、届いた報告を急ぐとき |
相手の忙しい時間帯を避ける。不在なら書面に切り替える |
年末のお歳暮は、先方も休業前で忙しい時期です。12月20日ごろに届いたら、年内の最終営業日までに、少なくともメールで一報します。書面が年内に出せなかったときは、年明けの仕事始めにお詫びを添えて出します。時候の挨拶を選ぶときは、時候の挨拶 月別の例文とビジネス文書の書き出し・結びの12月と7月・8月の一覧が使えます。
お礼の方法とお返し・辞退の判断の早見表作成: 編集部 / もとの資料: 日本郵便(郵便局のネットショップ)「お中元にお返しは必要?」ほか・日本郵便「はがき」
お礼の文例 5つ
社名・人名はすべて架空です。頭語と結語は組になります。「拝啓」には「敬具」、「前略」には「草々」を使います。品物への一言の感想を入れると、気持ちが伝わります。
文例1 お歳暮のお礼状(会社名義・封書かはがき)
代表者名は印字で出す会社が多いです。品物の名前を書くと、何を受け取ったかが相手に伝わります。
文例2 お中元のお礼状(担当者名義・はがき)
担当者名義のときは、宛名も担当者の氏名にします。部署あてに届いた品なら、「営業部御中」でも通じます。
文例3 メールのお礼
書面を出さない相手には、最後の「追って」の一文を外します。件名は、受け取ったことが開く前に分かる形にします。
文例4 お返しを送るときの添え状
お返しは、基本的に要りません。それでもお互いに贈り合いたい相手には、お礼を先に出し、数日から時期をずらして贈る方法があります。品物には封をしない添え状を付けます。宅配便に入れられる手紙は無封の添え状だけです(郵便法4条のただし書。詳しくはお歳暮の記事の送り状の節)。
のし紙の表書きは、お中元・お歳暮の時期を過ぎていれば「御礼」にします。時期の中なら、そのまま「御歳暮」「御中元」とするのが一般的です。日本郵便の案内では、いただいた品の半額から同等の間で選ぶ例が多いとされています。明らかに高い品を返すと、辞退の意味にも受け取られるので避けます。
文例5 今後の受け取りを辞退するお礼状
辞退の理由は、会社の方針と書けば足ります。理由を細かく説明すると、かえって相手が気にします。
お返しは必要か 判断の表
日本郵便の案内は、お中元もお歳暮もお返しの品は基本的に要らず、お礼状で感謝を伝えれば十分としています。そのうえで、場面ごとの考え方を並べます。いずれも一般的な考え方です。
| 場面 |
お返し |
考え方 |
| 取引先から届いた(通常の取引) |
要らない |
お礼状かメールで十分。次の季節に、自社のリストに従って贈るかを決める |
| 毎年、互いに贈り合っている相手 |
贈り返しは不要 |
届いたお礼を出し、自社の贈答は通常の時期に、お返しではなく別の贈り物として手配する |
| 同僚や同じ立場の相手から |
贈ってもよい |
お礼を先に出し、時期をずらして半額から同等の品を。表書きは「御礼」 |
| 初めて届いた相手 |
まず不要 |
お礼を出し、取引の関係を見て、次の季節に贈るか決める |
| 金額が大きい、受け取りに迷う |
上長に相談 |
社内の決まりを確かめ、受け取れなければ断り状を添えて返す |
| 官公庁や公的な団体 |
受け取れない場合がある |
倫理規程や団体の決まりを確かめる |
「お返し」と「次の季節に贈ること」は別の話です。届いたお礼を出し、贈るかどうかは、毎年の送り先リストの見直しの中で決めます。
今後の受け取りを辞退するときの伝え方
社内の方針で贈答品の受け取りを控えるなら、贈り主が来年のリストを作る前、遅くとも秋のうちに伝えると親切です。日本郵便の案内では、贈答を断ること自体は失礼とされていません。方法として、お礼状で伝える、電話で伝える、立場上受け取れないときや何度断っても届くときは断り状を添えて返送する、の3つが挙げられています。
伝える順序は、次のとおりです。
- 品物へのお礼を先に述べる
- 今後は季節のご挨拶の品を控えている旨を伝える
- 取引やお付き合いは変わらずお願いしたい旨を添える
- 贈り主の一覧に、伝えた日と、伝えた人を記録する
電話で話すときは、「先日はありがとうございました。実は、弊社では季節のご挨拶の品をご遠慮しております。今後はお気遣いなさいませんよう、お願いします」の順で話します。担当者が一人で抱えず、総務から会社として一本化して伝えると、取引先ごとの対応のばらつきが出ません。
喪中のときの対応
日本郵便の案内では、お中元は日ごろの感謝を伝えるもので、お祝いではないため、自分や相手が喪中でも贈ったり受け取ったりできるとされています。お歳暮も同じ考え方です。受け取る側が喪中でも、お礼状は普段どおり出して問題ありません。
気を付けるのは、品物を贈るときの水引と時期です。紅白の水引はお祝いを連想させるため、喪中の相手には白無地の短冊などにします。四十九日が過ぎるまでは、相手の事情を思って時期をずらす考え方もあります。考え方は家や地域で違うので、迷うときは担当者を通して確かめます。
今日からできること
- 今年届いたお中元とお歳暮の記録を探し、届いた日・送り主・お礼の有無を1つの表にまとめる
- 社内の受け付けの窓口と、記録の項目を決めて周知する(12月上旬までに)
- お礼の名義を決める基準(贈り主の名義に合わせる)を、上長に確かめておく
- 文例1から3を、自社の社名と署名に直して保存しておく
- 受け取りを辞退するか、上長と相談する。辞退するなら、文例5を12月のお礼に添えられるよう用意する
- 官公庁や公的な団体から届く可能性があるなら、受け取れるかを組織の決まりで確かめる